空中投下

2010年のハイチ地震の際、C-17 グローブマスターIII輸送機より空中投下された人道支援物資
空中投下(くうちゅうとうか, Airdrop)は、航空輸送の一形態であり、飛行中の航空機から物資を投下し、所要の地点に物資を届ける方法である。
目次
1 概要
2 投下法
3 参考文献
4 脚注
5 関連項目
概要
航空機を用いて物資を輸送する際、輸送の最終段階において、機体より物資を投下・着地させる方法は、航空機の初期の頃より行われており、当初は衝撃対策として、詰め物をした箱に入れて物資を投下していた[1]。
第二次世界大戦の頃には航空機も発達し、兵員を空中投下するエアボーン戦術や包囲陣地に対する補給物資の投下による空中補給などの戦術が行われるようになった。現代でも、軍事用途のほか、着陸不能の場所に対する輸送法として用いられる。
日本の航空法では第89条で規定されており、落下地点に損害がない地点であって、事前に国土交通大臣に届け出れば可能となる。
投下法

イギリス空軍のC-130 ハーキュリーズ輸送機による人道支援物資の自由投下
航空機の機体側面より投下する方法もあるが、軍用大型輸送機は機体後部に大型貨物扉を有しており、そこから投下するようになっている。爆撃機を利用する場合は、爆弾槽より投下する場合もある。
投下物には、各種物資の他、M551シェリダンやBMD-1といった空挺戦車も可能となっており、ほかにも大型のため、爆撃機に積めないBLU-82やMOABといった大型爆弾も、輸送機からの投下対象となっている。重量物の投下にあたっては、着地の衝撃を和らげるためパラシュートが用いられており、加えて減速用補助ロケットが用いられる場合もある。逆に、心理戦用のビラや一部の人道支援物資の投下の場合は、衝撃を考慮しないため、そのまま投下する自由投下(Freedrop)が用いられる[2]。
また、現代の大型輸送機においては、貨物室内貨物はパレットに物資を載せる方式が主流となっており、さらに、それを機体後部投下口まで移動させ投下する方法として、機体を上向きに傾かせ、その傾斜により移送・投下させる大型投下容器投下方式(CDS, Container Delivery System)と、貨物からドラッグシュートを展開し、ドラッグシュートの牽引により移送・投下させるプラットホーム投下方式(PDS, Platform Delivery System)がある。PDS方式のうち、低高度から行われるものについては、低高度パラシュート抽出システム(LAPES, Low-Altitude Parachute Extraction System)とも呼ばれる。
参考文献
Technical Order (TO)13C7-1-11 Airdrop of Supplies and Equipment: Rigging Containers. Department Of The Air Force. (September 2005).
Technical Order (TO)13C7-1-5 Airdrop of Supplies and Equipment: Rigging Airdrop Platforms. Department Of The Air Force. (August 2001).
脚注
^ "Help From The Skies", November 1929, Popular Mechanics
^ USE OF THE MILITARY IN HUMANITARIAN RELIEF.PBS
関連項目
- 輸送機
- 爆撃機
- エアボーン
- パラシュート
- 重物量投下器材