新春ワイド時代劇




新春ワイド時代劇』(しんしゅんワイドじだいげき)は、テレビ東京同系列で1981年から2016年までの1月2日に放送していた正月恒例の特別番組。


放送日に設定している1月2日は、前身の「12時間超ワイドドラマ」の放送を開始した当時、親局のアナログチャンネル番号が「12ch」だった事に因んでいる。




目次






  • 1 概要


  • 2 歴代作品


  • 3 脚注


  • 4 関連項目





概要


1978年、東京12チャンネル(現・テレビ東京)の当時の社長中川順が「チャンネルイメージを上げるようなデカイことをやりたい」と〈12時間時代劇〉構想を提唱したのを始まりとする[1][2]。あまりのリスキーな構想に消極論が社内の大勢を占めたが、中川社長が後へ退かず、結局社運を賭けた大イベントとして実行に移された[1]。翌1979年、東京12チャンネルの開局15周年記念の一環として映画『人間の條件』を12時間に亘り放送、翌1980年も映画『宮本武蔵』(中村錦之助版)を一挙放送した[1][3]。その反響の大きさから、1981年からはいよいよオリジナルドラマの制作に乗り出し、同年(『宮本武蔵』の続きを描くということから)『それからの武蔵』を放送、以降はテレビ東京オリジナルの「12時間超ワイドドラマ」(放送時間も同日の12時から24時までの12時間)を放送する様になった[1](12時間放送の体制は2000年まで続いていた)。


2001年から2009年までは放送時間を10時間に(日本テレビ系列の『箱根駅伝』中継が14時ごろに放送終了となるため、チャンネルを変えてもらいやすくなると見込み、スタート時刻を14時に変更、終了は今までと同じ24時)縮小したため「新春ワイド時代劇」(2001年と2002年は21世紀の初頭に因み「新世紀ワイド時代劇」)に改題、2010年から2013年までは放送時間をテレビ東京のデジタルリモコンキー「7チャンネル[4]」に因んで7時間に縮小され、放送時間は16時から23時に変更されたが、開始時間帯は日本テレビ系列の『高校サッカー』中継が終了する頃である[5](2013年は17時から24時に放送された)。2014年・2015年は放送時間を5時間に縮小され(18時から23時)、2016年は放送時間を3時間に縮小された(21時から24時。「新春時代劇」に改題された)。同年を最後に、テレビ東京系列の正月恒例特別番組として放送していた「新春ワイド時代劇」シリーズは36年間の歴史に幕を閉じた。


2000年までは5部制もしくは6部制だったが、2001年から2005年は4部制、2006年から2010年と2012年・2013年は3部制、2011年・2014年・2015年は2部制、2016年は全編制になっており、それぞれにオープニング・エンディングを入れている。中断時間は5〜10分で、各局別編成(番組案内・新年の挨拶・ニュース・天気予報など)となっていたが、2010年から2015年は中断せずに放送されていた。


舞台として選ばれる時代は、江戸時代が圧倒的に多い。戦国時代より前を舞台とした作品は全く製作されていない。
最も新しい時代を扱ったのは、1983年の『海にかける虹〜山本五十六と日本海軍』で、太平洋戦争を描いている。昭和時代が登場するのは本作のみで、明治時代以降を描いた作品は、本作と、翌84年の『若き血に燃ゆる〜福沢諭吉と明治の群像』の2作となる。幕末を主に扱った作品、戦国時代の作品も比較的少ない。


先述の通り、局オリジナル時代劇第1作となったのは1981年の『それからの武蔵』(萬屋錦之介主演)だが、同作は1996年に北大路欣也主演で『徳川剣豪伝 それからの武蔵』として再び製作された。この例を初めとして、2000年の『次郎長三国志』(オリジナル:1991年)、2001年『宮本武蔵』(オリジナル:1990年)、2004年『竜馬がゆく』(オリジナル:1982年)、2008年『徳川風雲録 八代将軍吉宗』(オリジナル:1986年『徳川風雲録 御三家の野望』)、2010年『柳生武芸帳』(オリジナル:1985年『風雲 柳生武芸帳』)と、特に近年は過去の作品のリメイクが増えている。


最も多く取りあげられている題材は“忠臣蔵”で、1989年の『大忠臣蔵』、1999年『赤穂浪士』、2003年『忠臣蔵〜決断の時』、2007年『忠臣蔵 瑤泉院の陰謀』、2012年『忠臣蔵〜その義その愛』の5回取りあげられている(主題となったのが5回。他年度作品でも挿話として数回登場しており、その回数も含めれば更に増える)。


NHK大河ドラマ原作となった小説を改めて映像化した例も多く、1982年・2004年の『竜馬がゆく』(1968年度大河ドラマ『竜馬がゆく』、原作は司馬遼太郎『竜馬がゆく』)、1988年『花の生涯 井伊大老と桜田門』(1963年度大河ドラマ『花の生涯』、原作は舟橋聖一『花の生涯』)、1999年『赤穂浪士』(1964年度大河ドラマ『赤穂浪士』、原作は大佛次郎『赤穂浪士』)、2005年『国盗り物語』(1973年度大河ドラマ『国盗り物語』、原作は司馬遼太郎『国盗り物語』)の4作がある(リメイクを含め8作品)。なお、1990年・2001年の『宮本武蔵』(原作は吉川英治『宮本武蔵』)は、本枠でのドラマ化の後に大河ドラマ化された例である(2003年度大河ドラマ『武蔵 MUSASHI』)。また2009年の『寧々〜おんな太閤記』は1981年度大河ドラマ『おんな太閤記』のために書き下ろされたオリジナル脚本(橋田壽賀子)を原作として改めて映像化された作品だった。


1980年代を中心に最多の8回に出演した北大路欣也は「テレビ東京の12時間ドラマは、時代劇復権のパイオニアであったと思います」と述べている[2](C.A.L製作の『国盗り物語』・ユニオン映画製作の『白虎隊〜敗れざる者たち』を除く6作全てが東映製作の作品)。
2007年の稲森いずみ主演『忠臣蔵 瑤泉院の陰謀』で初めて女性主人公のドラマが登場、その後2009年にも仲間由紀恵を主演に迎えて『寧々〜おんな太閤記』を放映している。


本放送した年の年末に数回に分けて夕方からゴールデンタイムにかけてネットワークぐるみで再放送するのが恒例化している。また平日昼に放送されている時代劇アワーでも1時間に分割・再編集して放送したり、年によっては6時間分ずつ2日間に分けてオールナイト放送を行ったこともある。


2001年からはBSジャパンでも放送されているが、地上波で前年に放送された作品を放送している[6]。2009年から2010年にかけて、毎年三が日明け頃に実施されていた一挙放送(朝〜夕方)が一時的になくなり、「時代劇スペシャル」(現在は終了)枠で、1回1時間の連続ドラマとして分割放送(概ね1月下旬から3月下旬にかけて)されていたが、2011年(1月3日)より1年遅れの一挙放送が復活した。2011年12月5日〜9日には2003年放送の『忠臣蔵〜決断の時』を5回(5部に分けた前後編)に分割して放送された[7]。また、2013年12月2日〜5日には2012年放送の『忠臣蔵〜その義その愛』を4回に分割して放送された(全7話の放送だったが、最初の3日間はそれぞれ第1話・第2話、第3話・第4話、第5話・第6話の2話連続放送で、最終日のみ第7話を放送)。


冠特別協賛スポンサーはセブン-イレブンが10数年間担当した後、2001年のマツモトキヨシ、2002年のビックカメラ、2003年 - 2008年のベルーナ、2009年のオージオ、2010年 - 2016年のヤマダ電機と担当スポンサーが変わっていた。セブン-イレブンのスポンサー時代は本編放送中に山口良一の進行によるドラマに関する三択式のお年玉クイズ(全12問)があった。また、マツモトキヨシ・ビックカメラ時代でも同様にお年玉クイズを展開した。


なお、セブン-イレブンが当番組のスポンサーだった当時、愛知・岡山・香川県にはセブン-イレブンの店舗がまだ進出していなかったため、テレビ愛知・テレビせとうちはその部分だけ別スポンサーに差し替え及びローカルセールスとなっていた[8]


これまで最も多く製作に関わっているのは松竹で、14作製作している。これに次いで東映が13作を製作している。その他テレパックが『若き血に燃ゆる〜福沢諭吉と明治の群像』と『宮本武蔵(2001年)』、中村プロダクションが『それからの武蔵』と『竜馬がゆく(1982年)』、C.A.Lが『国盗り物語』・『忠臣蔵 瑤泉院の陰謀』・『戦国疾風伝 二人の軍師 秀吉に天下を獲らせた男たち』を、そしてユニオン映画が『白虎隊〜敗れざる者たち』をそれぞれ製作している。なお、『大江戸捜査網2015〜隠密同心、悪を斬る!』は、制作プロダクションはユニオン映画だが、製作著作はテレビ東京のみである。


そしてテレビ東京系以外の地方局でも1時間あるいは2時間単位に分割されて番販ネットされることがある。ただし、BSジャパンでの遅れネットが定着したことや、経営環境の悪化を理由に、コンテンツ購入を取り止めている放送局も少なくない。2015年現在では、千葉テレビ放送(独立局)が平日昼の時代劇枠で放送したり、年末年始の連続放送として番販ネットが不定期に行われている[9]


また、独立局のうち普段テレビ東京(系)の番組を多数ネットしている局の中で、関西の3局[10] では『高校サッカー』等で中断を挟みながらも同時ネットするのが毎年恒例となっていた(中断を挟んだ後はディレイネット[11][12])が、2010年に7時間に規模縮小後はサッカーの生中継と時代劇の全編同時放送が可能になった。逆に東海地方の独立局では長年ネットがなく(前述の年末再放送は何度かネットしている)、三重テレビ放送では1989年12月の開局20周年記念特別番組として「海にかける虹〜山本五十六と日本海軍」を全編放送した時を除いては現在でも毎年ネットされていないが、岐阜放送は2005年に地元ゆかりの2英傑が主人公の『国盗り物語』の同時ネットを行ったほか、7時間に縮小となった2010年以降は同時ネットを行っていた。ちなみに福岡県ではTVQ九州放送開局前は、福岡放送(日本テレビ系列)で、88年放送分が同年の2月から3月にかけて土曜日の14:00-16:00枠で一部ずつが遅れネットで放送。TVQ開局前のサービス放送中に、90年に放送されたものを放送した。


放送開始当初はフィルム撮影・モノラル放送(1984年の作品はビデオ撮影)だったが2001年からビデオ(HD-VTR)撮影・ステレオ放送を開始し、また2005年からは字幕放送になった。



歴代作品


※以下は過去の映画のテレビ放送で、12時間超ワイドドラマの前身に当たる。

























放送年 タイトル 主演 備考
1979年 人間の條件 仲代達矢
1980年
宮本武蔵[13]

中村錦之助[14]


宮本武蔵 般若坂の決斗

宮本武蔵 二刀流開眼

宮本武蔵 一乗寺の決斗

宮本武蔵 巌流島の決斗

※以下はオリジナル作品となった1981年以降の作品。また、○印はVHS化された作品、●印はDVD化された作品である。






































































































































































































































番組名 放送年 タイトル 主演 備考
「12時間超ワイドドラマ」
1981年
それからの武蔵○●
萬屋錦之介
1982年
竜馬がゆく○●
萬屋錦之介
1983年 海にかける虹〜山本五十六と日本海軍 古谷一行
1984年 若き血に燃ゆる〜福沢諭吉と明治の群像 中村雅俊
1985年 風雲 柳生武芸帳 北大路欣也 テレビ東京開局20周年記念企画の一環として製作。
1986年 徳川風雲録 御三家の野望 北大路欣也
1987年 風雲江戸城 怒涛の将軍徳川家光 北大路欣也
1988年 花の生涯 井伊大老と桜田門 北大路欣也
1989年
大忠臣蔵○
松本幸四郎
1990年 宮本武蔵 北大路欣也 テレビ東京開局25周年記念番組として製作。
1991年
次郎長三国志○
高橋英樹
1992年
天下の副将軍水戸光圀 徳川御三家の激闘○
市川團十郎
1993年
徳川武芸帳 柳生三代の剣○●
松本幸四郎
1994年 織田信長 高橋英樹
1995年
豊臣秀吉 天下を獲る!○●
中村勘九郎(十八代目 中村勘三郎) テレビ東京開局30周年および松竹創業100年記念番組として製作。
1996年 徳川剣豪伝 それからの武蔵 北大路欣也
1997年
炎の奉行 大岡越前守○●
市川團十郎
1998年 家康が最も恐れた男 真田幸村 松方弘樹
1999年 赤穂浪士 松方弘樹
2000年
次郎長三国志○
杉良太郎 12時間超ワイドドラマとしては最後の作品。
「○○新世紀ワイド時代劇」
2001年
宮本武蔵○●
上川隆也 10時間放送に縮小。
2002年
壬生義士伝〜新選組でいちばん強かった男〜○●
渡辺謙

「○○新春ワイド時代劇」
2003年
忠臣蔵〜決断の時○●
中村吉右衛門
2004年
竜馬がゆく○●
市川染五郎
2005年
国盗り物語●
北大路欣也、伊藤英明、渡部篤郎
開局40周年記念特別企画。また、初の複数主人公作品。
2006年
天下騒乱〜徳川三代の陰謀●

西田敏行、村上弘明、中村獅童

2007年
忠臣蔵 瑤泉院の陰謀●
稲森いずみ 初の女性単独主演作品。
2008年 徳川風雲録 八代将軍吉宗 中村雅俊、松平健、内田朝陽

2009年
寧々〜おんな太閤記●
仲間由紀恵
2010年 柳生武芸帳
反町隆史、速水もこみち、高橋英樹
開局45周年記念特別企画。
7時間放送に縮小。
2011年 戦国疾風伝 二人の軍師 秀吉に天下を獲らせた男たち
高橋克典、山本耕史

2012年 忠臣蔵〜その義その愛
内野聖陽、舘ひろし

2013年
白虎隊〜敗れざる者たち●
北大路欣也
2014年 影武者 徳川家康 西田敏行、観月ありさ
5時間放送に縮小。
2015年 大江戸捜査網2015〜隠密同心、悪を斬る! 高橋克典、村上弘明 開局50周年記念特別企画。
1992年以来23年ぶりとなるシリーズ新作。

「YAMADA新春時代劇」
2016年 信長燃ゆ 東山紀之 3時間放送に縮小。
新春ワイド時代劇シリーズ最後の作品。

※○○は冠協賛スポンサー名がつく(本文詳述参照)


  • 最多主演俳優とその回は、北大路欣也の8回(内、1回は複数主人公)。

  • 最多連続主演俳優とその連続主演回数は、北大路欣也の4年連続 (1985年~1988年まで)。

  • 2004年放送の『龍馬がゆく』までは前身番組の2作を含めても単独主人公(単独主演)だっが、2005年放送の『国盗り物語』で初めて複数主人公(複数人主演)が採用されて以降は複数主人公の作品が多くなった。2016年のシリーズ最終作『信長燃ゆ』までに単独主人公の作品が放送されたのは、2007年放送の『忠臣蔵 瑤泉院の陰謀』と、2009年放送の『寧々〜おんな太閤記』と、2013年放送の『白虎隊〜敗れざる者たち』と、2016年放送の『信長燃ゆ』の4作のみ。

  • 全く同名のタイトルが採用されたのは1982年と2004年に放送された『竜馬がゆく』と、1990年と2001年に放送された『宮本武蔵』と、1991年と2000年に放送された『次郎長三国志』の各2回。このうち『宮本武蔵』は1980年に放送された前身番組の第1部『宮本武蔵』を含むと同名タイトルで3回放送されたことになる[15]



脚注


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  1. ^ abcd能村庸一 『実録テレビ時代劇史ちゃんばらクロニクル1953-1998』 東京新聞出版局、1999年、263-264頁。ISBN 4-8083-0654-9。

  2. ^ ab中川順 『―秘史― 日本経済を動かした実力者たち』 講談社、1995年、316-319頁。ISBN 978-4062078641。


  3. ^ 石光勝 『テレビ番外地 東京12チャンネルの奇跡』 新潮社、2008年、56-57頁。ISBN 978-4-10-610288-2。


  4. ^ テレビ愛知を除くTXN系列5局のリモコンキーも「7チャンネル」である。ちなみにテレビ愛知のリモコンキーは「10チャンネル」を使用している。


  5. ^ 但し、地元校が負けるか勝っても試合が組まれていない場合は別番組になる場合がある。


  6. ^ BSジャパン開局当初は地上波との同時放送を予定していたが、著作権及び肖像権の問題により断念した。


  7. ^ 18:00〜19:54の時間帯で放送されるため『MADE IN BS JAPAN』とアジアンマルシェ枠は休止となる。


  8. ^ 岡山県にはその後1993年にセブン-イレブンが進出したため、テレビせとうちも通常のネットセールスとなった(テレビ愛知はセブン-イレブンがスポンサー撤退後にネットセールスに移行)。なお、セブン-イレブンは愛知県は2002年夏に、香川県は2013年春に進出。


  9. ^ 2014年年末から2015年年始にかけて、当該期間の午前中に『炎の奉行 大岡越前守』を放送。2015年2月から3月の平日時代劇枠で『天下の副将軍水戸光圀 徳川御三家の激闘』を放送。


  10. ^ びわ湖放送、奈良テレビ放送、テレビ和歌山の3局。


  11. ^ 高校サッカーは讀賣テレビ放送など広域局でも放送されているが、共同制作機構は独立局(TOKYO MXを除く)全社も参加しており、広域圏である関東・中京・近畿でも各放送局本社所在都府県の試合を優先する


  12. ^ 12時間放送の場合は年度によって12時間ドラマを優先して高校サッカーは翌日3日の未明に撮って出し録画放送にしたことや、10時間放送の場合は第1試合に組まれていた場合に限り12時から高校サッカーを放送して、以後10時間ドラマを同時放送するというパターンもあった


  13. ^ 新聞のラジオ・テレビ欄では、「野望」というサブタイトルを添えて記載されていた。


  14. ^ 新聞のラジオ・テレビ欄では「萬屋錦之介」と記載。


  15. ^ 1985年放送の『風雲 柳生武芸帳』は2010年放送の際には『柳生武芸帳』のタイトルであり「風雲」の語が入っていないので同名タイトルではない。




関連項目




  • 金曜特選劇場(『海にかける虹』『若き血に燃ゆる』『柳生武芸帳』を分割再放送)

  • 時代劇アワー

  • 時代劇専門チャンネル










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