ハチ目
ハチ目(膜翅目) Hymenoptera | ||||||||||||
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![]() セイヨウミツバチ Apis mellifera | ||||||||||||
分類 | ||||||||||||
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学名 | ||||||||||||
Hymenoptera Linnaeus, 1758 | ||||||||||||
亜目 | ||||||||||||
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ハチ目(ハチもく、Hymenoptera)は昆虫のグループの1つ。膜翅目(まくしもく)とも呼ばれる。ハチ全般の他、アリを含む大きなグループである。
膜翅目の名の由来ともなったように丈夫な膜状の4枚の翅を持つ、一般的に前翅の方が大きい。雌はしばしば産卵管を毒針に変化させている。ハナバチ科、スズメバチ科、アリ科の多くのように、社会性を持つものも多い。
アリ、ハチとも幼虫、蛹、成虫の段階があり、完全変態昆虫である。幼虫は多くのものでは付属肢のないウジ型に近いが、ハバチ類ではチョウ目の幼虫に似たイモムシ型である。受精卵はメスに、未受精卵は単為発生によりオスとして発生する。
ハチ、アリの詳細についてはそれぞれの項に任せる。ここでは、アリとハチの繁殖、進化、分類を述べる。
目次
1 ハチ目の繁殖と家族社会
2 進化(但し異論有り)
3 分類
3.1 ハバチ亜目(広腰亜目) Symphyta
3.2 ハチ亜目(細腰亜目) Apocrita
4 脚注
5 関連項目
6 外部リンク
ハチ目の繁殖と家族社会
ハチ目に属す昆虫は、家族社会を構成しているものが多く存在することが知られる。すなわち、雌のうちの一匹から数匹が女王蜂(蟻)として産卵を担当し、それ以外の多数の雌は働き蜂(蟻)として巣作り・餌集めなどを担当するという分業を行っている。働きバチは通常は自分で繁殖はしない。このような繁殖しない個体がいる生物の性質を真社会性と呼ぶ。このハチ目の多くに見られる性質は、染色体の半倍数性に由来する。自分の遺伝子をより効率的に残そうとする性質は進化の過程で発達してゆく。しかしながら半倍数性性決定システムを持つハチ目の場合は、自分の実子を残すよりも姉妹や甥・姪を残す方が、自分の遺伝子を効率よく増やすことができる。よって働き蜂(蟻)は、自分の姉妹や甥・姪が子孫を残していくようにサポートする行動を取るのである。 この集団生活の単位をコロニーと呼ぶ。コロニーをそれ一つで他の生物の個体と同等のものと見なし「超個体」と呼ぶこともある。
ただし、真社会性の種だけでなく、子が親の子育てを手伝うだけの前社会性のものも知られる。また種数としては単独生活のものの方がはるかに多い。およそ13万から研究者によっては潜在種も含め30万とも見積もられているハチ目のうち、集団生活をする種は1割程度である。ハバチやキバチ等は自由生活、コバチやヒメバチなどは寄生生活(寄生バチと呼ばれる)、スズメバチ上科の多くは狩りバチとして、ハナバチ類の多くは花粉や蜜を餌として単独で生活している。半倍数性はかならずしも真社会性に結びつかず、真社会性生活に移行しやすくなるだけだろうと考えられる。
進化(但し異論有り)
ハチ目の分化には諸説ある。 2008年度の研究によると、ハチ目は完全変態を行う昆虫の共通祖先から最も初期に分岐し進化したとされる[1]。
初期のハチは、ハバチのように植物を食べていたと考えられている。このハバチ亜目は、ハチ亜目の特徴である腹部のくびれがなく、より原始的な姿をとどめている。この中から植物ではなく他の昆虫に卵を産む寄生バチが進化した。これらの寄生バチは獲物に産卵するための長い産卵管を持っており、これが後に毒針に進化することになる。ハチ目は、花を咲かせる被子植物が多様化を進めながら分布を拡大するのに合わせるように白亜紀中期の1億年ほど前から繁栄し始め、5000万年前には現在見られるハチ目の主要な科がそろったようである。現在では昆虫類の中で最も種数、個体数が多いグループである。
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分類
ハチ目(Hymenoptera)13万種
ハバチ亜目(広腰亜目) Symphyta
アギトハバチ上科 Megalodontoidea
キバチ上科 Siricoidea
ヤドリキバチ上科 Orussoidea
クキバチ上科 Cephoidea
ハバチ上科 Tenthredinoidea
ナギナタハバチ上科 Xyeloidea
ハチ亜目(細腰亜目) Apocrita
タマバチ上科 Cynipoidea
アブラタマバチ科 Charipidae
タマバチ科 Cynipidae
ツヤヤドリタマバチ科 Eucoiliidae
ヤドリタマバチ科 Figitidae
ヒラタタマバチ科 Ibaliidae
ザイタマバチ科 Liopteridae
コバチ上科 Chalcidoidea
イチジクコバチ Agaonidae
ツヤコバチ科 Aphelinidae
アシブトコバチ科 Chalcididae
ノミコバチ科 Elasmidae
トビコバチ科 Encyrtidae
アリヤドリコバチ科 Eucharitidae
ヒメコバチ科 Eulophidae
ナガコバチ科 Eupelmidae
カタビロコバチ科 Eurytomidae
ホソハネコバチ科 Mymaridae
タマヤドリコバチ科 Ormyridae
マルハラコバチ科 Perilampidae
コガネコバチ科 Pteromalidae
クロツヤコバチ科 Signiphoridae
マメトビコバチ科 Tanaostigmatidae
ケブカコバチ科 Tetracampidae
オナガコバチ科 Torymidae
タマゴコバチ科 Trichogrammatidae
ヒゲナガクロバチ上科 Ceraphronoidea
ヒゲナガクロバチ科 Ceraphronidae
オオモンクロバチ科 Megaspilidae
ヤセバチ上科 Evanioidea
セダカヤセバチ科 Aulacidae
コンボウヤセバチ科 Gasteruptiidae
ヤセバチ科 Evaniidae
ヒメバチ上科 Ichneumonoidea
コマユバチ科 Braconidae
ヒメバチ科 Ichneumonidae
ミゾツノヤセバチ上科 Megalyroidea
ミゾツノヤセバチ科 Megalyridae
ムカシホソハネコバチ上科 Mymarommatoidea
ムカシホソハネコバチ科 Mymarommatidae
タマゴクロバチ上科 Platygastroidea
ハラビロクロバチ科 Platygastridae
タマゴクロバチ科 Scelionidae
クロバチ上科 Proctotrupoidea
ハエヤドリクロバチ科 Diapriidae
クシヅメクロバチ科 Heloridae
シリボソクロバチ科 Proctotrupidae
イシハラクロバチ科 Roproniidae
ツツハラクロバチ科 Vanhorniidae
ツノヤセバチ上科 Stephanoidea
ツノヤセバチ科 Stephanidae
カギバラバチ上科 Trigonaloidea
カギバラバチ科 Trigonalidae
セイボウ上科 Chrysidoidea
アリガタバチ科 Bethylidae
セイボウ科 Chrysididae
カマバチ科 Dryinidae
アリモドキバチ科 Embolemidae
シロアリモドキヤドリバチ科 Sclerogibbidae
スズメバチ上科 Vespoidea
ドロバチ科 Eumenidae
アリ科 Formicidae
アリバチ科 Mutillidae
ベッコウバチ科 Pompilidae
ツチバチ科 Scoliidae
コツチバチ科 Tiphiidae
スズメバチ科 Vespidae
ミツバチ上科 Apoidea
セナガアナバチ科 Ampulicidae
ギングチバチ科 Crabronidae
ハエトリバチ科 Mellinidae
ドロバチモ ドキ科 Nyssonidae
アリマキバチ科 Pemphredonidae
フシダカバチ科 Philanthidae
アナバチ科 Sphecidae
ヒメハナバチ科 Andrenidae
ミツバチ科 Apidae
ムカシハナバチ科 Colletidae
コハナバチ科 Halictidae
ハキリバチ科 Megachilidae
ケアシハナバチ科 Melittidae
脚注
^ JT生命誌研究館系統進化研究室・2008年度活動報告より。
関連項目
- ハチ
- アリ
- 社会性昆虫
外部リンク
日本産生物種数調査 膜翅目(ハチ目) Hymenoptera(日本分類学会連合)
32. Hymenoptera 膜翅目 (ハチ目)(電子博物館)
ハチ目(膜翅目)(21世紀の昆虫少年・少女)
日本蟻類研究会 - 日本産有剣膜翅類目録