英語































































英語


English
発音
IPA: ['ɪŋɡlɪʃ] 
話される国
イギリス、アメリカ合衆国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、アイルランド、南アフリカ共和国、フィリピン、シンガポールなど多数 (約80の国・地域)
地域
主として西ヨーロッパ、北ヨーロッパ、アジア、北アメリカ、オセアニア、西インド諸島の一部など
話者数
約3億3500万人[1]
話者数の順位
2-3 (第二公用語含む)
言語系統

インド・ヨーロッパ語族

  • ゲルマン語派

    • 西ゲルマン語群

      • アングロ・フリジア語群

        • 古英語
          • 英語






公的地位
公用語
英語圏を参照
統制機関
なし
言語コード
ISO 639-1
en
ISO 639-2
eng
ISO 639-3
eng
SIL
ENG
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英語(えいご、English)は、インド・ヨーロッパ語族のゲルマン語派に属し、イギリス・イングランド地方を発祥とする言語である。




目次






  • 1 「英語」という呼称


  • 2 現況


  • 3 文字


  • 4 発音


  • 5 文法


    • 5.1 代名詞


    • 5.2 名詞


    • 5.3 動詞


      • 5.3.1


      • 5.3.2 時制


      • 5.3.3


      • 5.3.4


      • 5.3.5 be動詞の活用


      • 5.3.6 人称代名詞とbe動詞の関係


      • 5.3.7 動詞を原形で用いる場合




    • 5.4 助動詞


    • 5.5 その他の品詞


    • 5.6 基本文型




  • 6 歴史


  • 7 英語圏


  • 8 英語人口


  • 9 各国の英語事情


    • 9.1 イギリスの英語事情


    • 9.2 アメリカ合衆国の英語事情


    • 9.3 カナダの英語事情


    • 9.4 オーストラリアの英語事情


    • 9.5 ニュージーランドの英語事情


    • 9.6 日本の英語事情




  • 10 英語に関する資格試験


  • 11 脚注


  • 12 関連項目


    • 12.1 英語の時代による分類


    • 12.2 他の言語


    • 12.3 英語による各国文学


    • 12.4 方言


    • 12.5 英語を基にした人工言語


    • 12.6 辞典


    • 12.7 教育


    • 12.8 個別言語学


    • 12.9 資格試験







「英語」という呼称




EN:英語の言語コード ISO 639-1、シンボリックフラグ


「英語」の「英」はイギリスの漢字表記「英吉利」、もしくはイングランドの漢字表記「英格蘭」に由来する(「英吉利」「英格蘭」とも表記自体は先行する中国語に倣ったものであり、現代の中国語でも「英吉利海峡」などの語に残っている)。


同じような成立の略語に「仏語」(仏蘭西語)、「独語」(独逸語)、「西語」(西班牙語)などがあるが、現代日本では「フランス語」、「ドイツ語」、「スペイン語」といった呼称が普及している(なお、スペイン語については、スペインのカスティーリャ地方を発祥とする言語であることから、カスティーリャ語という表現も広く用いられる)。一方で英語は古くに「英吉利語」(イギリス語)[2]という呼称もあったがすでに廃れており「英語」という呼称のみが普及している。



現況






現在、イギリス全体としての国家語は英語であるが、イギリスに含まれるイングランドやウェールズやスコットランド、北アイルランドでは英語以外の言語話者もいる。また、イギリス、アメリカ合衆国をはじめとして少なからぬ国で公用語となっており、それぞれが各々の規範を持つ複数中心地言語でもある。


20世紀中盤までイギリスが多くの植民地を抱えていたこと(イギリス帝国)は英語話者数の増加の要因となった。イギリスの取った植民地政策は間接統治であった。つまりエリート層をイギリス本国で教育させ、それぞれの植民地へ送り返した。上層階級であるエリート層はみな英語で教育を受けたため、植民地行政では英語が支配的となり、独立後もこの状態が続く。かくして旧イギリス領(現在その多くはイギリス連邦に加盟している)では法律が英語で起草されており、それによって公的に(政治・経済・教育で)使われるようになり、イギリスとこれらの地域の共通語になった。


第二次世界大戦後イギリスは徐々に国際政治での影響力を弱めていくが、かつて英国が植民地を建設した土地でありまた同じ英語を使用する国でもあるアメリカ合衆国が強い影響力を持つようになり、結果として英語が有用な外国語として世界に広く普及することになった。経済、社会、文化など様々な分野でグローバル化が進み、「国際共通語」としての英語の重要性は高まる一方である。
約80の国・地域で話されており、世界で最も多くの国・地域で使用されている言語である。


この現況に対しては世界中の非英語圏地域においてさまざまな反発が存在し、特にスペイン語圏では顕著な反英語感情が見られる。「自然言語」の一つに過ぎないただの英語という言語がこれほどまでに高い国際的地位を保ち続け頑としてゆるがせにしない現在の状況は、イギリスやアメリカといった経済的超大国による国際支配の歴史を浮き彫りにするものであり、また世界の非英語国(特に発展途上国)への差別(特にその文化に対する差別)を助長するものであり、さらにはそうした途上国の文化を滅ぼすおそれがある。それらの批判に対する解決策としては、「国際語」向けに作られた人工言語(現在のところエスペラントが最有力)に地位を与えることが考えられるが、「英語の地位を落とすに足る積極的理由もなしに『国際語』をわざわざ変える必要はない」「(英語が既にこれほどまでに普及し強く根づいている現状において)変えるとなると世界的な混乱や波紋を呼ぶことになる」などの反論がある。



文字



英語は通常ラテン文字によって記述され、以下の26文字を用いる。



























































A B C D E F G H I J K L
M
N O P Q R S T U V W X Y
Z
a b c d e f g h i j k l
m
n o p q r s t u v w x y
z

ヨーロッパの他の多くの言語と異なり、外来語(およびその転写)を除いてダイアクリティカルマークはほとんど用いない。
手書き時はアルファベットが連なる筆記体が以前は主流だったが、現在は署名(サイン)など独自性を追求される場合を除いて、読みやすさなどの観点からブロック体が主流である。
英語においては多くの文字が複数の発音を持っていて、綴りと実際の発音の食い違いも大きい。



発音







英語の発音と綴りの間の関係は他のヨーロッパの言語と比べると一貫性に乏しい。これは主に中英語時代である15世紀初頭に始まり、近代英語初期である17世紀初頭に終わった大母音推移という現象が関係する。それ以前は「name」はナーメ、「time」はティーメと発音されていたが、ネイムやタイムという発音に変化した。その一方で同時期、活版印刷の発達とロンドン英語の普及の中で、英語の標準化を目指す動きが辞書編纂などの形で進んだが、当時は表音主義よりも伝統主義・語源主義の方が優勢で、古い発音に基づく綴りが固定化してしまった。またラテン語をはじめとした他のヨーロッパ系言語からの借用語も、表音主義的な綴りよりも語源的綴字が用いられた。[3]
日本語における歴史的仮名遣と同様、以下に述べるような発音規則がある程度成り立つが(フォニックス)、頻出語彙を中心として例外も多く( have、come、who など)、現在まで英語学習者を悩ませている。



母音字 a に関わる発音




  • a

    • 強勢があるときには/æ/。ただしその後に子音+eとなる場合や開音節の場合は/eɪ/と二重母音化する。
      例:fat /fæt/, make /meɪk/, nation/ˈneɪʃən/

    • 強勢がない場合は曖昧母音。
      例:adamant /ædəmənt/ En-us-adamant.ogg 聞く[ヘルプ/ファイル]




  • ai
    例:mail /meɪl/ Mail.ogg 聞く[ヘルプ/ファイル]


  • al/ɔː/ またロマンス系単語の形容詞系としてのalは/əl/
    例:all /ɔːl/, talk /tɔːk/, national /ˈnæʃnəl/





  • au/ɔː/

英語における「ひとつの音」という認識単位は音節である。たとえば楽譜では、音符(またはスラーでつながった音符群)ひとつに音節ひとつが乗る。アクセントのある開音節は長母音または二重母音である。冠詞の thea はアクセントがない場合に短母音の開音節であるが、強調するためにアクセントがかかると長母音・二重母音化する。ただしこれらの原則は大母音遷移以降に輸入された借用語で成り立たなかったり、中間的な発音になるケースも多い。


例えば nationnational はいずれもフランス語からの借用語であり、第1音節にアクセントがある。14世紀初頭で既に使われていた nation は大母音遷移の影響を受けた。一方、16世紀以降に定着した national は大母音遷移の影響を受けずフランス語に近い発音のまま、あるいは第2音節の母音を消失させることで英語風の発音にしている。



文法






以下では現代の言語学で一般的な生成文法にもとづく構文の記法ではなく、日本の義務教育や高校教育で専ら使われているいわゆる伝統文法ベースの記法を使う。生成文法的な英文法については英語学#統語論を参照。


他の印欧諸語、そのうちでも特に欧州の諸言語と比較して、現代英語には以下のような文法的特徴がある。



  1. 名詞に性がない。a と an、these と those といったごく一部の限定詞だけが、数によってのみ変化する。


  2. 動詞の変化が単純になっている。しかし不規則動詞の数は比較的多い。規則動詞の変化形は過去形・過去分詞の -ed、現在分詞・動名詞の -ing、三人称単数現在形の -(e)s のみである。不規則動詞では現在形、過去形、過去分詞で語幹変化が見られる。

  3. 西ヨーロッパの言語の大半と同じく、名詞の格変化がほぼ消失しており、代名詞に残るのみである。それらの言語とは違い、さらに動詞の人称活用もほとんどないため、格関係を示すものとして、前置詞以外には、語順が非常に大きな役割を持っている。

  4. 複雑な時間表現がある。下記の時制の章を参照。

  5. 否定文、疑問文で無内容の助動詞 「do」 を用いる。これは英語以外の印欧語では珍しい。


  6. 主語の働きが強く、形式主語や無生物を主語にする文などが発達している。

  7. 二人称では単複および親疎の区別をせず「you」 のみを使う。



代名詞


人称代名詞については英語の人称代名詞を参照。



人称疑問詞・関係代名詞 「who」 の格変化

人称疑問詞・関係代名詞who は、単数複数関係なく主格 who / 所有格 whose / 目的格 whom の格変化をするのみである。



名詞




可算名詞と不可算名詞

英語には可算名詞と不可算名詞の区別がある。何が不可算であるか、日本人にとってわかりにくいものが多い。例えば furniture「家具」や集合的に扱われるfruit「果物」は不可算だが、vegetable「野菜」は可算。学問名のmathematics「数学」などは、-s がついているにもかかわらず不可算で、単数扱いである。

常に複数の名詞


pants「ズボン」、glasses「めがね」、scissors「はさみ」などは常に複数形で使われる。police「警察」、people「人民」、human「人」、cattle「牛」のような集合名詞も複数として扱われる。

名詞による名詞の修飾と数

別の語を修飾している名詞は複数形にならない。

複数変化

可算名詞には単数形では不定冠詞をつけ、複数では語尾に「s」 を付する。語が無声音で終わっていれば発音は /s/、有声音なら /z/ となる。歯擦音に終わる語ではes /ɨz/ を付する。また「f」/f/ で終わる語の中には /f/ が有声化し /v/ となる語があり、つづりの上では fv に変えて es /z/ を加える。正書法上は、o で終わる語には es /z/ を加える。y で終わる語は、その前の字が子音字の場合は yi に変えて es を加える。


一部の名詞は不規則に変化する。歴史的には、古英語時代にはさまざまな複数形の作り方があったのが、-s 形に統一されていったもので、これらの語は古形が残存したものであることが多い。



  • 単複同形

  • 母音が変化するもの

  • -en がつくもの など


ほかに、借用語では元の言語の変化方法に従うことが多い。



名詞の所有表現

ある名詞が何らかを所有していることを表し直後に置かれる他の名詞を形容詞的に修飾する場合、もとの語が歯擦音で終わっているならば /ɨz/ を、無声音で終わっている場合は /s/ を、有声音で終わっている場合は /z/ をつける。正書法上はいずれも 's と記す。ただし -s に終わる複数の場合は何もつけず、つづりの上では '(アポストロフィのみ)を付する。-s で終わる固有名詞でも ' のみをつける場合がある。's は歴史的には属格に由来するが、属格と異なり、たとえば「スペイン王の」は king of Spain's と言い、*king's of Spain にはならない。

また、前置詞 of を用いて所有関係を表す。このフランス語からの借用表現は英語の表現の自由度を向上させた。


例:




  • The judge's decision / Decision of the judge :裁判官の決定


  • The judges' decision / Decision of the judges :裁判官たちの決定


  • Horus' battleship / Battleship of Horus :ホルスの戦艦



派生名詞

他の品詞の語に語尾を追加して名詞化する例が多い。

  • 動詞 + -er または -or …する人 例:batter

  • 動詞 + -ing …すること 例:batting

  • 動詞 + -ment …すること 例:settlement

  • 形容詞 + -ness …であること 例:madness

  • 形容詞 + -ity …であること 例:possibility
    • 形容詞 + -ality …であること 例:commonality


  • 形容詞 + -ist …である人 例:specialist

  • 名詞 + -ism …主義または傾向 例:capitalism

  • 名詞 + -ist …主義者 例:capitalist



元の品詞と意味の派生方法は代表的なものだけを示した。

逆に言えば、これらの語尾で終わる英単語はほぼ間違いなく名詞である。



動詞


一般動詞は、法、数、人称による活用をほぼ消失しており、三人称単数現在形で(-(e)sが付されるだけである。時制による変化は不規則変化動詞においては現在形、過去形でそれぞれ変化するが、規則変化動詞では過去形に -ed 語尾が付されるのみとなる。また、動名詞・現在分詞においては全ての動詞において原形に -ing 語尾を付すれば良い。
現在分詞や過去分詞は形容詞として扱われる。


フランス語やドイツ語と違い、不定形に一見して動詞とわかる綴りの形はない。したがってある単語の原形が与えられたとき、動詞かどうか判断する手段はない。このため語形を変えずに品詞の転換が容易である。例:smoke は名詞では「煙」「タバコの一服」だが、そのまま動詞として「煙を出す」「タバコを吸う」としても使える。





英語の直説法仮定法命令法、条件法が存在する。



直説法

一般動詞においては過去形、過去分詞形、現在分詞形、動名詞、三人称単数現在形以外では目に見える形で活用せず、実質原形を用いる。

仮定法

中英語期以前までは、現在・過去のいずれの時制でも現れ、それぞれ固有の語形変化をもっていたが、現代では仮定法自体やや特殊な用法となっている。 if などを用いた条件節内においては一般動詞を過去形に、be動詞の場合は were にすることによって法を表現し、条件節以外では助動詞の過去形を用いることによって表現する。仮定法本来の動詞変化が消失したためにこのような形で表現するのであるが、そのせいで動詞の語形変化で表される時制と、仮定法によって叙述される時制にズレが生じる。
  • 例:If I were a bird, I could fly into the sky. 「もし私が鳥ならば、空に向かって飛んでいけるのだが。」


これを「仮定法過去」といい、叙述されているのは現在の状態・動作である

仮定法によって過去の状態・動作を叙述するには、次のような構造を用いる。
  • 例:If I had been a bird, I could have flown into the sky. 「もし私が鳥だったならば、空に向かって飛んでいけたのだが。」


条件節内を「助動詞 have の過去形 had+過去分詞」とし、主節内を「助動詞過去形+助動詞 have+過去分詞」とする。これを「仮定法過去完了」という。


仮定法の条件節において if を使わず、助動詞を倒置させることがしばしばある。
  • 例:Had I had the money, I could have made my fortune. 「あの金さえあればひとやま築けたのに。」



命令法

動詞を原形で文の最初に置くことによって表現する。命令法以外では文頭に動詞の原形が置かれることはほとんど無い。
  • 例:Be quiet. 「静かにしなさい」 Go to school. 「学校に行け」 Open the window. 「窓を開けなさい」




時制


英語の基本的な時制は非過去過去の二つである。これはゲルマン語系言語に共通する特徴である。過去形は不規則変化動詞においては語幹変化で、規則変化動詞においては -ed 語尾を付して表現する。本来英語には未来時制がないので、未来のことを表現するときは法の助動詞 will, shall を用いて表現したり be going to という慣用表現を用いたりする。直近の予定は現在進行形で表現することもある。


英語の時制、法、相、態は以下のように結びつく。






















時制 動詞
完了相 進行相
Ø (非過去)
-ed (過去)
Ø (通常)
will (未来)
Ø (通常)
have -ed (完了)
Ø (通常)
be -ing (進行)
Ø (能動)
be -ed (受動)
do

時制、法、完了、進行が各2通りあるので、実質的な時間表現は16通りある。不定詞では相および態しか使えない。本来の時制の他、will による未来表現も時制に入れることがある。この場合、現在 (-Ø) 、過去 (-ed) 、未来 (will) 、過去未来 (would) と呼ばれる。





英語の相は、完了相進行相が存在する。



完了相

「助動詞 have + 過去分詞形動詞」によって表される。助動詞 have を過去形 had にすることにより、完了相の時制を表現することが可能である。

  • 現在完了の例:She has gone to India.「彼女はインドへ行ってしまった。」

  • 過去完了の例:He said that she had gone to India.「彼は、彼女がインドに行ってしまったのだと言った。」



過去完了を用いることにより、間接話法中において、時制の差異を表現することができる。これを「大過去」ともいう。

現在完了と過去時制との違いは、後者が過去における事実を叙述するに過ぎないのに対し、前者は過去の行為が現在に及ぼす影響を含んでいること。したがって現在完了は経験や継続を表すのに使われる。

  • 現在完了の例:She has gone to India.「彼女はインドへ行ってしまった(そのまま戻っていない)。」

  • 過去の例:She went to India.「彼女はインドに行った(もう戻っているかもしれないし、戻っていないかもしれない)。」

  • 現在完了の例:She has lived in India.「彼女はインドに住んだ経験がある」または「彼女はインドに住み続けている。」

  • 過去の例:She lived in India.「彼女はインドに住んでいた(現在どこに住んでいるかは叙述していない)。」



古くは自動詞の完了相は「助動詞be + 過去分詞形動詞」によって表されていた。現在でも少数の自動詞は慣用的にこの形をとる。「少数」とはいえ、慣用により頻出である。

  • He is gone. 「彼は行ってしまった。」

  • The sun is set. 「日は沈んでしまった。」

  • I'm done with it. 「私はもう済みました。」




進行相

「助動詞 be + 現在分詞形動詞」によって表される。ただし動作を表す動詞にしか用いることはできない。また助動詞 be を過去形 was, were にすることにより、進行相の過去時制を表現することが可能である。

  • 現在進行形の例:She is playing tennis.「彼女はテニスをしている。」

  • 過去進行形の例:She was playing tennis.「彼女はテニスをしていた。」







英語の態は能動態受動態があり、能動態においては動詞によって表される状態・動作を主語が行うことを表す。一方受動態は、主語が何らかの動作を「されている」ことを表す。受動態は「助動詞 be + 過去分詞」で表現され、その場合の真の動作主は by で導かれる前置詞句によって表される。ただし、他動詞に限定され、能動態において目的語を取らない自動詞は受動態にできない。また、助動詞 be を過去形 was, were にすることにより、受動態の時制を表現することが可能である。



  • 「能動態」の例:He built the dog house.「彼は犬小屋を造った。」

  • 「受動態」の例:The dog house was built. 「犬小屋が造られた。」


これらの法・時制・相を組み合わせて複雑な時間軸・動作の表現をすることも論理上可能になる。


  • 例:He would say that the building had been being built.「彼は言うだろう、その建物は建設中であったと。」


be動詞の活用


原形は be である。仮定法過去においては人称に関係なく were となる。過去分詞形は been、現在分詞、動名詞は being である。
































直説法
一人称
二人称
三人称
単数
複数

単数
複数
現在形
am
are
are
is
are
過去形
was
were
were
was
were


人称代名詞とbe動詞の関係


be動詞の変化の仕方などについては、下の表を参照。be動詞は進行形にも使用される。





























































































標準的な現代英語における人称代名詞と対応するbe動詞
人称
主格
(~が/~は)
目的格
(~に/~を)
所有格
(~の)
所有代名詞
(~のもの)
再帰代名詞
(~自身)
対応するbe動詞
現在形
過去形
過去分詞
現在分詞
単数
一人称 (私)
I me my mine myself am was been being
二人称 (あなた)
you your yours yourself are were
三人称
男性 (彼)
he him his himself is was
女性 (彼女)
she her hers herself
中性 (それ)
it its - itself
複数
一人称 (私たち)
we us our ours ourselves are were
二人称 (あなた達)
you your yours yourselves
三人称 (彼ら/彼女ら/それら)
they them their theirs themselves




  • I'm Jim. 私はジムです。


  • You're playing soccer. あなたはサッカーをしています。


  • She was young. 彼女は若かった。


  • It's cold. 寒い。


  • Is she a teacher? 彼女は先生ですか?


  • What are those? あれらは何ですか?


  • Who left their dirty socks on the breakfast table? 誰が朝食机の上に汚れた靴下を放置したの?



動詞を原形で用いる場合


原形で使用する場合もある。



  • 助動詞の後 例 It must be true. それは本当に違いない。

  • 不定詞のとき 例 Be sure to be there at ten. 10時には必ずそこに行きなさい。

  • 命令文のとき 例 Be quiet. どうか静かにしてくれ。

  • 要求・提案を表す動詞につづくthat節。ただし、イギリス英語ではshould+動詞の原形となる。 例 I demanded that they be present at all classes. 私は彼らがすべての授業に出ることを要求した。



助動詞


助動詞は法、相などの文法的機能を担い、意味を担う本動詞と共に用いる。



不定詞を後置する場合

助動詞には直後に原形不定詞を置くものと to不定詞を置くものがある。中でも可能・義務・予定など、話者の意思を表すものは法助動詞と呼ばれ、助動詞の中でも使用の頻度が高い。
  • 法助動詞の例:can, will, shall, may, must, need, dare


古英語・中英語期に、一般動詞として使用されてきたものが転じて助動詞となったものがある。must を除く法助動詞は過去形を持ち、本動詞の代わりに語形変化をして過去時制を表す。
  • 例:Once I could swim very well.「私はかつて、上手く泳げた。」


英語には元来未来時制は存在しないが、will, shall, be going to を用いることによって未来を表せる。


分詞を後置する場合

分詞を後置する助動詞には have, be があり、各々過去分詞・現在分詞と結びついて完了相・進行相を形成する。この場合 have, be は主語の人称・数・時制に対応して一般動詞の場合と同様の語形変化をする。


疑問文と否定文の形成



助動詞が無い文の場合

助動詞が無い肯定文を疑問文・否定文にするには、助動詞 do を用いる。その場合の do は主語の人称・数・時制に対応して語形変化する。その際の語順は、疑問文の場合「助動詞 do →主語 →本動詞」となる。

  • 例:Do you swim? 「あなたは泳ぎますか?」

  • 例:Does he swim? 「彼は泳ぎますか?」

  • 例:Did you swim? 「あなたは泳ぎましたか?」



ただしbe動詞と古風なイギリス英語における所有を表す have は、do を使わずに主語と倒置させて疑問文を作る。

  • 例:Are you a swimmer? 「あなたは泳者ですか?」

  • 例:Have you a pen? 「ペンを持っていますか?」



否定文の語順は「主語→助動詞 do→副詞 not→本動詞」となる。一般に donot が縮約して don't になる。疑問文と同様、be と古風なイギリス英語における have は、do を用いない。

  • 例:I do not swim. 「私は泳ぎません。」

  • 例:He does not swim. 「彼は泳ぎません。」

  • 例:You did not swim. 「あなたは泳ぎませんでした。」

  • 例:I am not a swimmer. 「私は泳者ではありません。」

  • 例:I have not any money. 「私はお金をまったく持っていません。」





助動詞がある文の場合

助動詞がある肯定文を疑問文にするには、助動詞を主語の直前に置き語順を「助動詞 - 主語 - 本動詞」にする。

  • 例:Can you swim? 「あなたは泳げますか?」

  • 例:Are you driving a car? 「運転中ですか?」



また、助動詞の直後に副詞 not を置くことにより否定文を形成する。ammay を除き、n't を含む縮約形がある。ただし口語表現では mayn't という形は存在し、また砕けた表現ではあるものの am not→ain't という表現がある。

  • 例:I will not swim. 「私は泳ぎません。」

  • 例:I am not driving a car. 「運転中ではありません。」





疑問否定文の形成

否定文をさらに疑問文にするには、助動詞を主語の前に移動する。この時、n't を含む縮約形は1語と見なす。

  • 例:Don't you swim? 「あなたは泳がないのですか?」

  • 例:Aren't you driving a car? 「運転中ではないのですか?」



硬い表現では縮約形を使わないが、この時、not は元の位置に留まる。ammay は縮約形が無いので、必ずこの形式になる。

  • 例:Do you not swim? 「あなたは泳がないのですか?」

  • 例:Are you not a swimmer? 「あなたは泳者ではないのですか?」





否定命令文の形成

動詞の種類にかかわらず don'tを文頭に置く。副詞の never を用いることもある。

  • 例:Don't swim. 「泳ぐな」

  • 例:Don't be surprised. 「驚かないでね」

  • 例:Never mind.「気にするな」





付加疑問文の形成

助動詞と代名詞からなる2語の疑問文を文末に付加し、付加疑問文を形成する。付加疑問文では文中の動詞と同一の時制、相をとる。先行する文が肯定文の場合は付加疑問文は否定文となり、先行する文が否定文の場合は付加疑問文が肯定文となる。つまり先行文と肯定・否定の関係を逆転させる。

  • 例:He will study English, won't he? 「彼は英語を勉強しますね?」

  • 例:He is studying English, isn't he? 「彼は英語を勉強していますね?」

  • 例:He won't study English, will he? 「彼は英語を勉強しませんね?」

  • 例:He isn't studying English, is he? 「彼は英語を勉強していませんね?」



このとき硬い表現での付加否定疑問文では、助動詞→主語→notの語順となる。よって I を主語とした文では 〜, am I not? となるわけであるが、堅すぎるとして口語においては 〜, don't you think? 等と言い換えることがある。




動詞の強調

助動詞 do を本動詞の前に置いて動詞を強調する。
  • 例:I do swim. 「本当に泳ぎます」


この用法は平叙文ではbe動詞に使えないが、命令文では使える。
  • 例:Do be prepared. 「しっかり準備しておいてください。」



疑問文に対する回答で元の動詞を代表する

この用法の do は特に「代動詞」と呼ばれることがある。

  • 例:Do you swim? / Yes, I do. 「あなたは泳がないのですか?」 「はい、泳ぎます。」

  • 例:Can't you swim? / Yes, I can. 「あなたは泳げないのですか?」 「泳げます。」



日本語と違い、疑問が肯定的であるか否定的であるかに関わらず回答が肯定文ならば yes、否定文ならば no で答える。

二重否定

現代英語の規範文法では、二重否定は肯定を意味する。否定を否定することによって強い肯定を表す場合の他に、ためらいなど話者の微妙な感情を表現している場合がある。


  • I've never done anything illegal.「違法なことをしたことなんか一度もない」。


  • I'm not uninterested in marrying you.「君との結婚に興味がないわけじゃないんだよ」。[4]



17世紀以前の英語や、今日でも一部の地域方言、また黒人英語に代表される社会方言等では、二重否定は否定の強調として使われることがある。ポップ・ミュージックには少なからず見られる表現である。

  • We don't need no education.「教育なんか必要ない」[5]




その他の品詞



形容詞

形容詞は古英語期まで修飾する名詞の数・性・格によって変化していたが、現在では消失した。語形変化としては比較級の -er および最上級の -est 接辞がある。3音節以上の語では級変化せず、直前に副詞 more, the most を置く。一部の形容詞には語幹変化するものもある。

英語の形容詞の位置は安定しており、補語となる場合を除き修飾される名詞の前に置かれる。修飾される名詞がsomebody, anybody, nobody, someone, anyone, no one, something, anything, nothingの場合のみフランス語のように後置される。

副詞

元来独立して副詞として存在してきたものに加え、古英語時代の接尾辞 -lice の流れを受け、形容詞に -ly を付けた物が多い。

形容詞や別の副詞を修飾する場合は前置されるが、動詞を修飾する場合は前置の場合と後置の場合がある。

冠詞




冠詞は、限定詞の1種。

冠詞には定冠詞the と不定冠詞a/an が存在する。これもすべての格変化を消失している。

前置詞

前置詞は、英語においては特に発達している。理由としては、中英語期まで名詞は主格の他に属格、与格、対格の格変化を持っており、語形変化によって他の語との意味的な関係を表していたが、現代英語に至って格が消失した結果、それを補うために発達したのだと考えられる。

接続詞

接続詞には、等位接続詞と従属接続詞がある。接続詞#英語の接続詞に詳しいので、そちらを参照されたい。

間投詞

間投詞は、Oh, Yeah. などのことばである。


品詞は内容語と機能語に大別される。一般的に、名詞・動詞・形容詞・副詞が内容語、代名詞・助動詞・冠詞・前置詞・接続詞・間投詞が機能語である。be動詞やhaveが助動詞として用いられる場合は、機能語となる。



基本文型


英語は、元来印欧語が持っていた名詞の格変化や動詞の人称変化のほとんどを失ったため、文中の格関係を語順に依存しており、したがって語順が固定的であり「文型」がはっきりしている。


日本の英語教育ではC・T・オニオンズの提唱した5文型という考え方が英語の基本文型として広く使われている。


5文型は、英文の中心をなす主語述語部分において、前置詞無しに語を並べただけで文ができあがっている物を並んだ語の種類によって分類したものと言える。そこで使われている語は主語としての名詞、存在を言う述語としてのbe動詞、作用を言う述語としての一般動詞、主語の性質や状態を言う形容詞、一般動詞の目的語になる名詞、その目的語に対する内容的な述語になる動詞の原形や名詞や形容詞である。ここには文の大基本である主語と述語に含まれている意味への考察がなされていない。そのため意味に基づいて言葉を使用しようとしている学習者にはかえって妨げとなっているのである。


これまでは下記の文型が主要かつ重要なものであるとして扱われてきた。英文の構造の分類法としての5文型は日本以外の国ではあまり一般的ではないが、動詞の語法を説明する上では、「基本5文型」をベースとした動詞型の分類が世界的に受け入れられていて、ジーニアス英和辞典、Oxford Advanced Learner's Dictionary 等の多くの権威ある辞書において積極的に採用されている。


通常、進行形の文は第2文型とは見なさず、動詞部分を三単現など主語に合わせた形にして文型を考える。また完了形も同様である。また受動態の文も5文型に当てはまらない。群動詞を含む文は群動詞全体を1つの動詞と考えることが多い。


ランドルフ・クァークは付加語Aを加えた考え方を提唱している。付加語Aは修飾語Mとは異なり省略することができない。この考えでは従来の5文型にSVAとSVOAという文型が加わる。また第2文型のうちVがbe動詞の場合を特別に扱う考えもある。また A・S・ホーンビーは第3文型、第4文型、第5文型のOやCが不定詞や分詞や動名詞やthat節の場合などで細かく分類した文型を提唱している。



第1文型 S+V

これは修飾語Mを除いたとき、主語Sと述語動詞Vだけで文章が完結している文型である。このときそのVを完全自動詞という。

第1文型に用いられる動詞には be, come, go などがある。

第2文型 S+V+C

これは修飾語Mを除いたとき、主語Sと述語動詞Vと主語を説明する補語Cで文章が成り立っている文型である。このときそのVを不完全自動詞という。このとき主語S⊆補語Cという関係が成立している。

第2文型における文の例:He is a teacher. 彼は先生です。

これが最も基本的な核となる部分であり、もしこれを「彼は英語の先生です。」としたいならば、 He is an English teacher. というように継ぎ足せばよい。


  • He is kind. He is busy. 彼は親切である。彼は忙しい。


  • He looks busy. 彼は忙しく見える。


  • This tastes good. これは美味しい味がする。



第2文型に用いられる動詞には次のものがある。

  • 状態の維持を表す be, remain, keep, lie, stay など。

  • 状態の変化を表す become, get, come, go など。

  • 感覚を表す sound, feel, look, hear, smell, taste など。

  • 感想を表す seem, appear など。





第3文型 S+V+O

これは修飾語Mを除いたとき、主語Sと述語動詞Vと動作の対象となる目的語Oで文章が成り立っている文型である。このときそのVを完全他動詞という。

第3文型における最も有名で分かり易い文としては I love you. (私はあなたを愛しています。)が挙げられる。

第4文型 S+V+IO+DO

これは修飾語Mを除いたとき、主語Sと述語動詞Vと動作を受ける間接目的語IOとその動作をする直接目的語DOで文章が成り立っている文型である。このときそのVを授与動詞という。

間接目的語IOと直接目的語DOの位置を入れ替えると、前置詞が加わってS+V+DO+前置詞+IOという形になる。このときの前置詞は tofor の場合がほとんどであり、これらの使い分けは動詞のもつ性質が相手の元に何かを届かせるタイプか相手のために何かをするタイプかで分けられる。

第4文型に用いられる動詞には次のものがある。


  • to が加わる give, hand, pass, offer, allow, sell, lend, owe, show, teach, tell, promise, read など。

  • for が加わる buy, make, get, do, find, cook, play, choose など。





第5文型 S+V+O+C

これは修飾語Mを除いたとき、主語Sと述語動詞Vと動作の対象となる目的語Oと目的語を説明する補語Cで文章が成り立っている文型である。このときそのVを不完全他動詞という。

第5文型における例文としては、 I think him a suspect. (私は彼を容疑者だと考えている。)がある。このとき目的語 O ⊆ 補語 C という関係が成立している。第5文型における、この関係はイェスペルセンが考えた用語ネクサスの一種である。ネクサスとは主語・述語の関係をさすが、本来の主語・述語の他に第5文型の目的語と補語のような意味上の主語・述語も含まれる。


言い換えると、OCとは、文の中心の主語述語以外で主語述語に当たるものを言うときに、主語を目的格にしてOとし、述語を動詞の原形にしたり、be動詞を省略して残したりした物をCとしているわけである。



第5文型は基本文型とされているが、元の文におけるOCが内部的にS+Cの文を含むと考えられることから、基本文型としては扱わないほうが実際的だという考えもある。

第5文型に用いられる動詞には次のものがある。


  • 知覚動詞の feel, see, hear, watch, observe, notice, smell, perceive, taste など。


  • 使役動詞の make, have, let, get, allow, permit, cause, force, compel, oblige など。





歴史







1世紀からローマ人がブリテン島に駐留して、ケルト系の住民(ブリトン人)を支配していたころには、ケルト語とラテン語が優勢だった。そのローマ人が 西暦410年に本国に引き上げると、5世紀半ばから6世紀にかけて、ゲルマン系の人々(ジュート人、アングル人、サクソン人)が大陸からブリテン島に渡来して、先住のケルト人を支配するようになった。このころイングランド(アングル人の陸地という意味)でゲルマン系の言語が定着した。ここから英語の歴史が始まる。


以後の英語の歴史はふつう 3期に大別される。(括弧内は西暦年)




  1. 古英語(450年〜1100年)ただし、最古の文献は7世紀のもの。


  2. 中英語(1100年〜1500年)


  3. 近代英語(1500年 以降)


である。


11世紀のノルマン・コンクエスト以降、フランスから来た貴族階級が話していたロマンス諸語のオイル語系のノルマン語が公用語として14世紀まで使われた。このことにより、中英語ではロマンス諸語、特にフランス語からの借用語の増大と、形態変化の単純化、名詞の性別の消失などを引き起こした。ただし中英語の変化のどこまでが言語接触の影響によるものかは議論がある(中英語クレオール仮説)。



英語圏





世界の英語圏地域。濃い青色は英語が第一公用語または事実上の(de facto)第一公用語となっている地域。水色(薄い青色)は英語が公用語の一つである地域。





国別の英語話者人口 2/3をアメリカ合衆国一国が占める



英語人口



英語を母語としている人は世界人口の4.68%で、第1位の中国語(13.22%)と比べかなり少ない[6]。しかし公用語人口としては英語が世界一である[7]
意思の疎通が可能な国や地域を考慮すると、英語は世界でもっとも広く通用する言語と考えられている[8]。EUでは、学校でもっとも学ばれている外国語である[9]。英米の影響などで英語が国際共通語として使われるようになったこと、商業言語として確立したこと、科学技術を伝達する主要な言語となったこと (例:需要が高い航空宇宙工学の分野やプログラミング言語やマークアップ言語の仕様書が英語で書かれている) などの理由で、第二言語 (English as a second language=ESL) として用いる人口は約4億人に上る。外国語 (English as a foreign language=EFL) として英語を学習・使用する人も多い。そのため、世界各国でイギリス(イングランド)方言・アメリカ方言などの英語の枠組みを超えた「新英語」が出現するようになった。



各国の英語事情







イギリスの英語事情



イギリス、とくに英語発祥の地であるイングランドには、多数の英語方言がある。「容認発音(received pronunciation/RP, BBC English, Queen's English など様々な呼称がある)」という伝統的な標準発音を用いた英語が標準とされてきたが、最近では「河口域英語 (Estuary English)」が新しい標準語として登場した。


イギリスには英語以外にスコットランドでは中英語から分離したスコットランド語や、先住民族であるケルト民族の言語(ウェールズ語・ゲール語など)が話されている。イングランドによる同化政策を経てケルト諸語話者は激減し、スコットランドではスコットランド英語、ウェールズではウェールズ英語、北アイルランドではアイルランド英語などの英語方言が話されているが、現在はウェールズ語などの復興策もとられている。



アメリカ合衆国の英語事情



アメリカ合衆国には、国家の公用語に関する法的な文章が存在しない。ただし、州レベルでは、英語を公用語とする州や英語とスペイン語(アメリカ合衆国のスペイン語)を公用語と明文的に定める州もある。初期の頃は、西欧系(特にゲルマン系)の移民が多く、英語優位の状況が確保されていたが、次第に東欧・南欧系が増えてきた。さらにアジア・中南米(ヒスパニック・ラテン系アメリカ人問題を参照のこと)からの移民(アメリカ合衆国への移民)が大量に押し寄せ、彼らが高い出生率を維持すると、英語の地位が揺るぎかねないといった風潮が英語話者(アングロ・サクソン系、WASP)の間で生まれてくる(イングリッシュ・オンリー運動)。


いずれにしても英語が国家の言語(国語)として通用しているのは事実で、教育の分野においては「バイリンガル教育かモノリンガル教育か」といった趣旨の問題がたびたび持ち出される。



カナダの英語事情



カナダはイギリス連邦および英連邦王国を構成する一国であり、元英領植民地(Crown colony)であった地域だが、その英領植民地にそれ以前はヌーベルフランスであり、今でもフランス語が使われ続けているケベック州があることから、カナダ全体の公用語として英語(カナダ英語)とフランス語(カナダフランス語)の両方が制定されており、連邦政府のサイトや企業の商品説明などは全て英仏両言語で行われている。旧英領の国としては、全人口の内、英語を母語とする人の割合は58%と低く、フランス語が22%を占める。これは、移民が非常に多いため第二言語として英語を使用している人口が非常に多いからである。また、北米でアメリカ合衆国が隣に位置していることから、旧英領であるとはいえ、オーストラリアやインドなどほかの旧英領植民地とは違い、比べるとカナダの英語はイギリス英語よりもアメリカ英語に近いが、単語の綴りとしてはイギリス英語式を採用することが多い。ケベック州ではフランス語が公用語であることから、英語を母語とせず英語運用能力が高くない人も少なくないが、ケベック州とニューブランズウィック州、オンタリオ州以外ではほとんどフランス語が使われないこともあり、カナダ英語におけるフランス語の影響は皆無に近い。



オーストラリアの英語事情



現在、オーストラリアで話されている英語は、イギリス英語が訛ったものである。訛りは比較的強いが[10]、アメリカ英語ほど変化は激しくなく、オーストラリアの映画などは他の英語圏でもイギリス英語を理解できるものなら分かる。



ニュージーランドの英語事情



ニュージーランドで使用される英語は、オーストラリア英語とほぼ類似しており、綴りや発音もイギリス英語の傾向だが、同国のもう1つの公用語であるマオリ語(先住民族マオリの言語)の影響も受けている。



日本の英語事情



日本では、学校教育の場合、文部科学省が定める学習指導要領により、義務教育である中学校3年間と小学校5・6年生で英語が必修科目となっているが、「受験英語」という言葉があるように読解力が特に重視されていて、会話(英会話)があまり教えられていないため、受験(入学試験)が終わると英語に接する機会が少なく、非英語圏の先進国やアジア域内諸国と比べても通用度は低い。


江戸時代末期にアメリカやイギリスからの使節と交渉する必要が生じ、日本での英語の歴史が始まった。ジョン万次郎が著した日本最初の英会話教本には、(日本語とは語順の違う)英文の意味を取りやすいよう、漢文のような返り点が打たれていた。第二次世界大戦中は、敵性語として排斥されていた時期もあった。今日、日本における英語は依然第一外国語であり、科学技術や諸制度の吸収のための手段や通商の道具(商業英語)という位置付けである。


高校受験・大学受験、各種学校の必修・選択単位取得においては、英語を読解する能力が重視され、英文和訳を中心とした授業(いわゆる受験英語の学習)が行われている。日本語での出版活動が盛んで、多くの英語の書籍が日本語へ翻訳されることから、日常生活で英語の読解に迫られることはあまりないが、職種によっては英文文献の読解が必要となることは少なくない。そのため、専門分野の英文の理解はできるが、日常会話の経験はなく、英会話に苦手意識を持っている日本人は多い。


日本では、非都市部を中心に英語会話能力を特殊技能と見なす傾向が認められる。日本では大学の講義が英語ではなく日本語で受けることができること、すなわち日本の高等教育は母国語だけで十分に享受できるということ、英語を母語とする人が1%未満であり日本語だけで日常生活に支障をきたさないことなど複合的な要素によって、日本国内では特定の業界や職種を除き、英会話の必要性が乏しいためである。一方、東京・大阪・神戸・名古屋・福岡などの都市圏では英語話者のコミュニティが形成されている他、英語放送局も存在する。日本の案内標識は英文併記が多い。



英語に関する資格試験






脚注


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  1. ^ “English”. エスノローグ18版 (2015年). 2015年9月2日閲覧。


  2. ^ 例えば、青木輔清 編『英吉利語学便覧 初編』(明治5年刊)など。


  3. ^
    『英語学コース[1]英語史』 松浪有、大修館書店、1986年。ISBN 4-469-14161-5。



  4. ^ 英語の母語話者間では、このような否定の接頭辞(un-, in-, dis- など)の付く派生語の文章は、二重否定と捉えられていない場合が多い。例えば、英語版記事(double negative)や、Betty Azar著 Understanding and Using English Grammar では、このようなものを例をして挙げておらず、総じて二重否定は禁止されているとする。


  5. ^ ピンク・フロイドのアナザー・ブリック・イン・ザ・ウォールの有名な一節。


  6. ^ CIA. “The World Factbook -Field Listing ::Languages” (英語). 2009年11月26日閲覧。


  7. ^ 『なるほど知図帳世界2009』 昭文社、2008年。ISBN 978-4398200396。


  8. ^ en:List_of_languages_by_number_of_native_speakers


  9. ^ Eurobarometer (2006年2月). “Europeans and their Languages (PDF)” (英語). 2009年11月26日閲覧。


  10. ^ オーストラリア政府観光局認定のオーストラリア・トラベル・アドバイザーによる解説. “オーストラリアの言葉” (日本語). 2010年10月27日閲覧。




関連項目










































英語の時代による分類




  • 古英語 (Old English)


  • 中英語 (Middle English)


  • 初期近代英語 (Early Modern English)


  • 近代英語 (Modern English)

    • 現代英語 (Present-Day English, Contemporary English)




他の言語




  • フランス語 - フランス語から英語への借用

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  • ネイティブスピーカーの数が多い言語の一覧



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