ノルマン人
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ノルマン人(ノルマンじん、Normanean)は、スカンディナヴィアおよびバルト海沿岸に原住した北方系ゲルマン人。初期の時点では、「ヴァイキング」という概念とほぼ同じ(同項目を参照)。
目次
1 略史
2 移動ルート
3 著名な人物
4 脚注
5 参考文献
6 関連項目
略史
8世紀後半から活発化。9世紀にはヨーロッパ各地を侵略し、次のような国々を建国した。
- ヴァイキングが住み着いたフランス北西部のノルマンディー(コタンタン半島辺り)のフランス人もノルマン人と言う。「ノルマンディー公国」を建国し、11世紀にイングランドに征服王朝「ノルマン朝」を建国した(ノルマン・コンクエスト)。その一部は、イタリアへ侵攻し、南イタリアにシチリア王国(オートヴィル朝)を建国した(ノルマン人による南イタリア征服)。
グレートブリテン島、アイルランド島をたびたび侵略した一派は、デーン人、ノース人と呼ばれる。ノース人は北方ドイツやフィンランドをはじめ、西はカナダ、東はウクライナにまで進出した。彼らの一部は地中海へ進出し、ノルマンディーから来たノルマン人と合流している。
ロシア平原(ガルダリケ)に侵入した一派はヴァリャーグと呼ばれる。ヴァランジャンとも言う。彼らはこの地で「ルーシ・カガン国」、「ノヴゴロド公国」、「キエフ大公国」を建国した。さらに黒海に進出し、東ローマ帝国のコンスタンティノポリス侵攻も行った。ただし彼らは、商業目的も兼ねていた。また、北欧から東ローマへ赴いて傭兵となり、皇帝の親衛隊として活動したノルマン人も多い。- 8世紀から9世紀にかけ、ヴァイキングの故地スカンディナヴィア半島を中心にデンマーク、スウェーデン、ノルウェーと言った王国が建国され、10世紀には、アイスランドが成立した。北欧諸国家を建国したノルマン人たちは、北欧神話、ルーン文字を捨て、キリスト教(西方教会)に改宗した。
アイスランドに進出したノルマン人の中には、大西洋を越え、グリーンランド、アメリカ大陸(アメリカ大陸の発見)へ達する者もいた。- 地中海に進出したノルマン人たちは、ローマ教皇の唱えた十字軍にも参加した。その中には、1099年にアンティオキア公国を建国した者もいた。
ヴァイキングが終了した後、彼らは、北欧において独自の国家を建設し、中世以降、デーン人、スヴェーア人、ノース人、アイスランド人へと分離し、ノルマン人としての概念は薄れていった。しかし彼らの言語である「古ノルド語」は、16世紀頃まで使用されていた。ノルマン人と言う呼称が復活するのは、19世紀である。この時代、つかのまではあったが、彼らのナショナリズムが昂揚し、ノルマン人を冠した「汎スカンディナヴィア主義」が沸き上がった。しかし同じゲルマン人であるドイツ人が掲げた「汎ゲルマン主義」(ドイツ統一)に敗れ、ノルマン人としての一体化、統一は失われたまま現在に至っている。20世紀、第二次世界大戦後、北欧諸国が北欧理事会を設立したが、これは北欧諸国の協調と協力のための国際組織で、ノルマン人の合同と言うわけではない。
移動ルート
西ヨーロッパには北海を船で渡り、ロシア平原へ向かった者はバルト海を渡って東のヴォルガ川上流でノヴゴルド公国を興し、川を下り、カスピ海へ出た。バルト海から南へ向かった者はドニエプル川上流でキエフ大公国を興し、下流へ進み黒海へ出た。黒海からはアゾフ海に注ぐドン川を遡上し、ハザール王国でヴォルガ川からカスピ海へ移動することが出来た。こうしてイスラム支配下のコーカサス地方を経由せずにカスピ海まで進出した。カスピ海とスカンディナヴィアを結ぶ歴史はこのように古くからあり、現在のアゼルバイジャンのバクーでは地表に浸み出した石油の存在が知られていたため、スウェーデン王カール11世が派遣した調査団のドイツ人医師エンゲルベルト・ケンペルが1683年12月頃にヨーロッパ人初の油田記録を残した。ケンペルは1ヶ月滞在後ペルシャに渡り使節団と別れ、インドとインドネシアを経由して1690年に来日し、出島に2年間滞在した。19世紀にはスウェーデン人のノーベル兄弟がバクーに石油会社を設立した。
著名な人物
リューリク - ロシア平原に侵入し、862年ノヴゴロド公国を建てる。イーゴリはリューリクの子とされるのが定説だが、否定説もある。ルーシ族の出自とされるが、後述のオレグ、イーゴリと共に半伝説的な人物である。
オレグ - キエフ大公国の実質的な建国者。キエフを支配していたアスコルドとジールを殺害して建国。当初はイーゴリの摂政、王権代行であった。
イーゴリ - オレグを後見人に882年キエフ大公国を建国。この国家は後にスラヴ化し、10世紀に東方正教会に改宗。
オリガ - キエフ公妃。ノルマン人説もある。957年東方正教会に帰依。
ロロ - 北フランスを略奪し、911年ノルマンディー公国を建てる。
赤毛のエイリーク(Eiríkr rauði) - グリーンランドを発見。
レイフ・エリクソン - 赤毛のエイリークの長男でコロンブス以前に北米大陸(アメリカ)に到達した。
カヌート大王(クヌート) - デーン人の指導者、国王。1016年、イングランドにデーン朝を開く(北海帝国)。
ハーラル3世 (ノルウェー王) - 王位に就く前には東ローマの皇帝親衛隊に参加していたと言われる。
ロベール・ギスカール - ノルマンディー公国出身。東ローマ・ロンバルド系諸侯が並立する南イタリアを征服して統一する。
ターラント侯ボエモン - ロベール・ギスカールの子。第1回十字軍に参加し1098年アンティオキア公国を建国。
ロジェ1世 - ロベール・ギスカールの弟。シチリアを征服し、後にスペインに征服されるまでのシチリア王国となる礎を築く。
ノルマンディー公ギヨーム - 1066年イングランドを征服(ノルマンコンクエスト)し、ウィリアム1世を名乗る。現在に続くイギリス王室の血統を築く。
脚注
参考文献
関連項目
- ゲルマン人
ヴァイキング(海賊)- ヴァリャーグからギリシャへの道
- 北海帝国
- ハスカール
北欧神話(ゲルマン神話)- サガ
詩のエッダ、散文のエッダ
- ルーン文字
- 古ノルド語
- アルシング
- カルマル同盟
- 汎スカンディナヴィア主義
ノルマン語(オイル語形)- ノルマン・東ローマ戦争