序ノ口
序ノ口(じょのくち)は、大相撲の番付上の最下位の階級。序二段の下である。番付外(前相撲)の力士よりは上位とされる。
目次
1 概要
1.1 昇進・陥落要件
2 記録
3 その他の用法
4 脚注
5 関連項目
概要
前相撲を取り出世した者が、初めて番付に名前を載せることができる地位である。通常15日間で7番の相撲を取る。ただし幕下以下の出場する全力士が6番相撲を取り終えた時点で7番相撲に出場する力士数が奇数となった場合は、1人だけ八番相撲が組まれることもある。
番付表では最も小さい文字で書かれるため[1]、「虫眼鏡」とも呼ばれる。元々は、番付の上り口という意味で「上ノ口」と表記したが、「上」は上位と紛らわしくなるため、「序ノ口」が用いられるようになった。上から数えると五段目であるため、かつては「五段目」とも呼ばれた。
三段目以上とは異なり定員は特に決まっておらず、人数は毎場所変動する。序二段との比率について、規定は明文化されていないが、21世紀以降は5月場所のみ序二段75%に対し序ノ口25%、5月場所以外は序二段80%に対し序ノ口20%が目安とされている。新弟子が激増した1990年代前期から中期にかけては東西70枚以上ある場所もあった。2018年5月場所現在までの最多枚数は1992年5月場所における77枚(77枚目は東のみ・延べ153人)である。逆に終戦直後は極端な新弟子不足で、1945年11月場所と1946年11月場所は序ノ口に力士が1人も在位していなかった。平成以降の最少枚数は2013年(平成25年)3月場所における14枚(14枚目は東のみ・延べ27人)である。
毎年、中学卒業力士が入門する3月場所や、高校・大学卒業見込みの相撲経験者が多く入門する1月場所の、それぞれ翌場所には激しい優勝争いになることもある。かつては幕下付出に相当する実力の持ち主でも、2000年9月以降に厳格化された幕下付出基準に届かなかったり、大学卒業を優先して付出の有効期限が切れたりして、前相撲を経由して序ノ口に在位するようになり、特にこれらの力士が各場所の有力な優勝候補となる。
優勝賞金は10万円。同点者が複数いる場合は千秋楽に優勝決定戦を行う。幕下以下の他の地位に比べて人数が少ないことが多く、特に2007年の時津風部屋力士暴行死事件・2010年の大相撲野球賭博問題・2011年の大相撲八百長問題など不祥事の続発に伴い力士数が顕著に減少して以降は、部屋が異なる複数の序ノ口力士が初戦から6連勝して相星決戦が発生するケースが少なくなっている[2]一方、6勝1敗の力士2~3名による決定戦が年に1場所の割合で発生している。1973年9月場所では様々な要因が相重なり[3]、全勝力士のみならず6勝1敗の力士も不在になり、5勝2敗の力士6名による決定戦が行われた[4]。
昇進・陥落要件
序ノ口に限らず、「番付は生き物」と俗称されるように、成績と翌場所の地位との関係は一定ではない。特に序ノ口、序二段は場所ごとに人数が変動するため、なおさら一定ではない。
現行の番付編成の傾向として、序ノ口で1勝でも挙げれば、翌場所の番付で前相撲から上がってきた力士より下位になることは無い。そのため、特に3月場所では負け越しても、翌5月場所では新弟子が大量に序ノ口に登場するため、繰り上げの形で序二段に昇進する場合がある。勝ち越した場合は、2007年9月場所以降は全員序二段に昇進しており、相場としては「勝ち越せば確実に昇進」である[5]。
一方、番付外への陥落は、序ノ口で全休(不戦敗含む)した場合に限られている。一旦番付外に陥落した力士は、再び前相撲を取って再出世する必要があるため、序ノ口で休場している力士でも、1番だけ強行出場することが多い。序ノ口で全敗した場合でも、序ノ口の中で番付が下がることはあっても、番付外へ陥落することはない。そのため、体格・技能が著しく劣る力士がこの地位で負け続けて連敗記録を作るケースもある。
記録
いずれも、2019年3月場所番付発表時点の記録である。
- 序ノ口まで陥落した関取経験者の力士は、龍門・琴別府・富風[6]・栃不動[6]・出羽乃富士・北勝国・琉鵬[6]・慶天海・竜電・飛翔富士・舛乃山・政風[6]の12人おり、陥落前の最高位は琉鵬と舛乃山が平幕で、他10名は十両である。なお、龍門・北勝国・飛翔富士はその後序ノ口から番付外に陥落し、琴別府・北勝国・竜電は陥落後に土俵に復帰し、その後再度関取に昇進した。
- 序ノ口優勝回数の最多記録は、蘇堅太(阿武松部屋)の3回で、2011年1月場所(新序ノ口)・同年11月場所・2013年7月場所でいずれも7戦全勝だった。
- 序ノ口在位場所数の最多記録は、澤勇智和(式秀部屋)の102場所で、番付に在位した149場所のうち、6割8分以上を占めている。
- 番付外で前相撲に出場して序ノ口に昇進した回数が最も多い力士は、宇瑠寅太郎(式秀部屋)をはじめ7人おり、いずれも4回記録した。
その他の用法
「序ノ口」は相撲の番付編成において最下級のものであるため[7]「程度が低い」「初っ端」などの意味合いが含まれる。以上のことから、例えば酒の呑みすぎを指摘された際などに「この程度は未だ未だ序ノ口」などという用いられ方がある。また、「物事のとりかかりの部分」を意味する際にも「序の口」という表現が用いられることがある。
脚注
^ 序ノ口力士の四股名が載る番付表の最下段は、親方等の名も載せるため、序ノ口力士に割り当てられるスペースは極めて小さい。
^ 2016年7月場所13日目・周志大和(木瀬部屋)対福倭毅(春日山部屋)のケースから2018年7月場所13日目・津志田亜睦(時津風部屋)対浪満六満(立浪部屋)のケースまで、2年間にわたり6戦全勝同士の序ノ口決戦は発生しなかった。
^ 当場所の序ノ口の枚数は東西17枚と少なく、更に、休場力士も8名と多く、必然的に初戦から6連勝する力士が不在となり得る状況であった。事実、6番相撲を終えた時点で5勝1敗が2名しかおらず、両者の対戦は既に組まれていたため、相星決戦を行うことができず、両者がそれぞれ別力士と対戦し、いずれも敗れたため、5勝2敗の優勝決定戦という珍事に至った。
^ 1960年7月場所に幕下以下の本割が1場所7番と定められて以降、5勝2敗で各段優勝となったのはこれが唯一のケースである。
^ 力士数が大幅に増えた1990年代半ばには、序ノ口下位で4勝しても翌場所据え置かれる例が多数あった。
- ^ abcd富風及び栃不動は序ノ口に陥落した場所前に、政風は休場したまま場所中に、琉鵬は全休した場所後に引退し、番付に掲載されたのみで出場はしなかった。
^ 番付外・新序・新弟子を除く。
関連項目
- 力士養成員
- 相撲用語一覧
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