リグ・ヴェーダ






リグ・ヴェーダ






































リグ・ヴェーダ』(梵: ऋग्वेद ṛgveda, 英: Rigveda)は、古代インドの聖典であるヴェーダの1つ。サンスクリットの古形にあたるヴェーダ語(英語: Vedic Sanskrit)で書かれている。全10巻で、1028篇の讃歌(うち11篇は補遺)からなる。




目次






  • 1 呼称


  • 2 歴史


  • 3 構成


  • 4 内容


  • 5 日本語訳


  • 6 脚注


    • 6.1 注釈


    • 6.2 出典




  • 7 参考文献


  • 8 関連書籍


  • 9 関連項目


  • 10 外部リンク





呼称


「リグ」は「讃歌」、「ヴェーダ」は「知識」を意味している[1]


中国語の密教経典の翻訳では「梨倶吠陀」と表記され、日本語文献でも用いられた事がある。[2]



歴史


古代以来長らく口承され、のち文字の発達と共に編纂・文書化された数多くあるヴェーダ聖典群のうちのひとつで、最も古いといわれている。伝統的なヒンドゥー教の立場ではリシ(聖者・聖仙)たちによって感得されたものとされる。中央アジアの遊牧民であったインド・アーリア人がインドに侵入した紀元前18世紀ころにまで遡る歌詠を含む。


紀元前12世紀ころ、現在の形に編纂された[3]



構成


『リグ・ヴェーダ』は10のマンダラ(maṇḍala、巻)から構成される。ひとつの巻には複数のスークタ(sūkta、篇)を収録し、1篇の讃歌はいくつかの詩節(ṛc)から構成される。『リグ・ヴェーダ』の特定の詩節を引用する場合は、マンダラの番号・そのマンダラ内でのスークタの通し番号、詩節番号の3つの数字を通常用いる。


現存する『リグ・ヴェーダ』は補遺を含めて1028篇の讃歌(スークタ)から構成される[4]。ひとつの讃歌を構成する詩節の数は3から58まで多様であるが、10-12詩節を越えるものはまれである。主なヴェーダの韻律にはトリシュトゥブ(11音節4句)、ガーヤトリー(8音節3句)、ジャガティー(12音節4句)があり、この3種類だけで全体の約8割に達する[5]


『リグ・ヴェーダ』ではほかにも複数のスークタをまとめたアヌヴァーカ(anuvāka)という単位も用いられ、さらに別の方式による分類(全体を8つのアシュタカに分け、アディヤーヤとヴァルガに細分する)も記されているが、引用時には用いられない。



内容


中核となっているのは2巻から7巻で、祭官家の家集的な性質を持つ。第1巻と第8巻は内容的に類似し、2巻〜7巻の前後に追加された部分と考えられる。9巻はこれらとは大きく異なり、神酒ソーマに関する讃歌が独占している。10巻は『リグ・ヴェーダ』の中で最も新しい部分とされる。
讃歌の対象となった神格の数は非常に多く[注釈 1]、原則として神格相互のあいだには一定の序列や組織はなく、多数の神々は交互に最上級の賛辞を受けている。しかし、他方でリグ・ヴェーダの終末期には宇宙創造に関する讃歌、ナーサッド・アーシーティア讃歌(Nasadiya Sukta)、を持つにいたり、ウパニシャッド哲学の萌芽ともいうべき帰一思想が断片的に散在している[7]


後期ヴェーダ時代(紀元前1000年頃より紀元前600年頃まで)に続くヴェーダとして『サーマ・ヴェーダ』・『ヤジュル・ヴェーダ』・『アタルヴァ・ヴェーダ』の三つが編纂される。付属文典として『ブラーフマナ』(『祭儀書』)、『アーラニヤカ』(『森林書』)、『ウパニシャッド』(『奥儀書』)が著された[8][9]



日本語訳




  • 辻直四郎訳 「リグ・ヴェーダ讃歌」『インド集』 訳者代表 辻直四郎、筑摩書房〈世界文学大系 第4巻〉、1959年5月、pp. 5-37。全国書誌番号:55003870、NCID BN02001043。

  • 辻直四郎訳 「リグ・ヴェーダの讃歌」『ヴェーダ アヴェスター』 訳者代表 辻直四郎、筑摩書房〈世界古典文学全集 第3巻〉、1967年1月、pp. 5-104。全国書誌番号:55004966、NCID BN01895536。

  • 辻直四郎訳注 『リグ・ヴェーダ讃歌』 岩波書店〈岩波文庫〉、初版1970年。ISBN 978-4-00-320601-0。



脚注


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注釈





  1. ^ 例えば、インドラ、ヴァルナ(司法神)、ミトラ(契約の神)、アシュヴィン双神、アグニ(火神)、ソーマ(神酒)、スーリヤ(太陽神)、ヴァーユ(風神)、ルドラ(後のシヴァ神)、ヤーマ(死者の王)、ヴィシュヌ、など[6]




出典





  1. ^ 菅沼晃編(1985)『インド神話伝説辞典』、9-10頁。(インドの神話・伝説(概説))


  2. ^ 平田篤胤 (1827)『印度蔵志』巻之二稿「吠陀は、諸書に皮陀…。言義は、密嚴經音義に『吠陀梵語也、是譯云明論、謂壽礼平術、名四吠陀此云四明論、有十萬頁、西方所量、明四類法、一壽、二祠、三平、四術』と見え、名義集には『吠陀此言智論、知此生智…』」 (「壽」は、リグ・ヴェーダを指す。)


  3. ^ 中谷英明 (2000)「古代インドにおける哲学と文献学」『古典学の再構築』第5号. pp. 18-21. (オンライン・ペーパー (PDF) )


  4. ^ Macdonell (1900) p.40


  5. ^ Macdonell (1900) pp.54-55


  6. ^ 上村勝彦(1981)『インド神話』、16-26頁。


  7. ^ 辻直四郎(1996)『リグ・ヴェーダ讃歌』第29刷[要文献特定詳細情報]、299頁。


  8. ^ 上村勝彦(1981)『インド神話』、14頁。


  9. ^ 菅沼晃編(1985)『インド神話伝説辞典』、12-13頁。(インドの神話・伝説(概説))




参考文献




  • 上村勝彦 『インド神話』 東京書籍、1981年3月。ISBN 978-4-487-75015-3。
    • のち文庫化。上村勝彦 『インド神話 - マハーバーラタの神々』 筑摩書房〈ちくま学芸文庫〉、2003年1月。ISBN 978-4-480-08730-0。


  • 『インド神話伝説辞典』 菅沼晃編、東京堂出版、1985年3月。ISBN 978-4-490-10191-1。

  • 『リグ・ヴェーダ讃歌』 辻直四郎訳注、岩波書店〈岩波文庫〉、1970年5月。ISBN 978-4-00-320601-0。


  • Macdonell, A. A (1900). A History of Sanskrit Literature. Oxford: Clarendon Press. pp. 54-58. https://archive.org/stream/historyofsanskri00macduoft#page/54/mode/2up. 



関連書籍


  • 外薗幸一 「多神教の倫理 : リグ・ヴェーダの倫理観」、『鹿兒島経大論集』 第35巻第2号、鹿児島国際大学、1994年7月20日、pp. 79-117。NAID 110004672218。CiNii論文PDFオープンアクセス


関連項目



  • インドの叙事詩(英語版)

  • ヴェーダ語

  • ヴェーダの韻律

  • 十王戦争


  • マハーバーラタ
    • クルクシェートラの戦い(英語版)




外部リンク












  • The Rig Veda (Ralph T.H. Griffith, Translator. 1896) - Sacred Texts (英語)


  • 『リグ・ヴェーダ』聖典の写本(国立民族学博物館所藏「中西コレクション」) - アジア・アフリカ言語文化研究所 (日本語)























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