馬力
































馬力(仏馬力)
horsepower

荷役馬
荷役馬。当初の1馬力。
記号
PS(仏馬力)
HP, hp, ㏋(英馬力)

メートル法重量単位系(仏馬力)
ヤードポンド法重量単位系(英馬力)

仕事率、工率
SI
735.498 75 W(仏馬力)ただし、日本の計量法では、735.5ワット(正確に)
745.699 871 582 270 22 W(英馬力)[1]
定義
75 kgf·m/s(仏馬力)
550 lbf·ft/s(英馬力)
由来
標準的な荷役馬1頭の仕事率
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馬力(ばりき)は工率の単位である。今日では、ヤード・ポンド法に基づく英馬力、メートル法に基づく仏馬力を始めとして、馬力の定義はいくつかある。日本の計量法では、仏馬力を特例的に当分の間のみ認めており、 正確に 735.5 ワットと定義している。


国際単位系 (SI) における仕事率、工率の単位はワット (W) であり、馬力は併用単位にもなっていない。




目次






  • 1 由来


  • 2 英馬力


  • 3 仏馬力


    • 3.1 記号




  • 4 日本における馬力


    • 4.1 計量法(現行)


    • 4.2 記号


    • 4.3 過去の経緯




  • 5 業務用エアコンにおける馬力


  • 6 仕事率の具体例


  • 7 符号位置


  • 8 出典


  • 9 関連項目





由来


名前の通り、元々は馬一頭が発揮する仕事率を1馬力と定めたものであった。1馬力は輓馬(荷を引く馬)が継続的に荷を引っ張る際の仕事率を基準にしており、単純に「馬の最高出力=1馬力」を表すわけではない[2]。全力で加速しているサラブレッドは、実際には数十馬力もの脚力を出しており、人間でも100メートル走などにおける瞬間的な最大出力では1馬力程度の力を出すことができる。



英馬力


馬力という単位は、ジェームズ・ワットが蒸気機関の能力を示すのに、標準的な荷役馬1頭のする仕事を基準としたことに始まる。これが英馬力の起源で、数値的には「1秒間につき550重量ポンド (lbf) の重量を1フィート (ft) 動かすときの仕事率」(550 lbf·ft/s) となる。


こういう数値になった経緯は次の通り。ウマの牽引力の平均が180重量ポンド、1時間ウマに牽引させ進んだ距離が10 852フィート、したがって1時間当たりの仕事率は、180×10 852=1953 360フィート・重量ポンド/時である。そして1分当たりは、1953 360÷60=32 556フィート・重量ポンド/分となる。この数値を33 000フィート・重量ポンド/分と丸めた上で、1秒当たりを算出すると550フィート・重量ポンド/秒となる。


ワットで表すと、1英馬力は約745.700ワットである。イギリスの法令上の正確な換算値は、1英馬力 = (正確に)745.699 871 582 270 22 ワットである[1]。この17桁もの数値は、550フィート・重量ポンド/秒 = 550×0.3048(m/フィート)×0.453 592 37(kg/ポンド)×重力加速度9.806 65 (m/s2) を、桁を丸めることなく算出したものである。


英馬力は、英語の「horse power」の頭文字をとってHPという記号で表される。hpと小文字で書くこともあり、HPを合字にした (U+33CB、JIS X 0213 1-3-62) も使われる。また、出力を測定するダイナモメータが制動力(ブレーキ力)を利用して測定されたことから、「brake horse power」の頭文字をとったbhpが使われることがあり、数値はHP=bhpとなる。(カタログなどではBHPと大文字で表記されることもある。)同様に、エンジンやタービンの軸出力(軸馬力)として英語の「shaft horse power」の頭文字をとったshpが使われることもある。


近年では後述のPSやkWが使われることが多く、HP、bhpは主にアメリカとイギリスの自動車メーカーで使われている。



仏馬力


仏馬力は、メートル法(重力単位系)に基づいて、英馬力の値に近づけながらも可能な限り簡素な数値によって定義したものである。メートル法がフランス発祥であることから仏馬力と呼ばれる。その定義は、「1秒間につき75重量キログラム (kgf) の重量を1メートル動かすときの仕事率」(75 kgf·m/s) となる。ワットで表すと、1仏馬力は 735.498 75 ワットである。ただし、日本の計量法では、1仏馬力= (正確に)735.5 ワットである(計量単位令第11条第2項)。


こういう数値になった経緯は、英馬力から仏馬力を決めたことにある。ft·lbf ≒ 0.013 8255であり、550フィート・重量ポンド/秒が1英馬力である。それをメートル法に換算すると 550 lbf·ft/s ≒ 76.040 225 kgf·m/sとなる。この数字をもとに、きりのいい 75 kgf·m/s がフランス馬力とされた。


このため英馬力と仏馬力は等しくなく(英馬力>仏馬力)、1 仏馬力 (PS) = 約 0.986 32 英馬力 (HP) である。



記号









































































言語 呼称 記号

日本の旗日本語
馬力 PS[3]

ドイツの旗ドイツ語

Pferdestärke

フランスの旗フランス語
cheval-vapeur ch

イタリアの旗イタリア語
cavallo vapore CV

スペインの旗スペイン語

Caballos

ポルトガルの旗ポルトガル語

Cavalos

スウェーデンの旗スウェーデン語
hästkraft hk

デンマークの旗デンマーク語
ノルウェーの旗ノルウェー語

hestekraft

フィンランドの旗フィン語
hevosvoima hv

チェコの旗チェコ語
koňská síla k, ks

クロアチアの旗クロアチア語

konjska snaga

ポーランドの旗ポーランド語
koń mechaniczny KM

ハンガリーの旗マジャール語
lóerő LE

オランダの旗オランダ語
paardenkracht pk

記号は、ドイツ語のPferdestärke(馬の力)の頭文字の、PS または ps がヨーロッパで使われるほか、表のような各国固有の記号も使われる。





日本における馬力



計量法(現行)


1999年施行の新計量法では、仏馬力のみを暫定的に採用した。すなわり計量法附則第6条と計量単位令第11条は、「仏馬力は、内燃機関に関する取引又は証明その他の政令で定める取引又は証明(=外燃機関に関する取引又は証明)に用いる場合にあっては、当分の間、工率の法定計量単位とみなす。」とし[4]、計量単位令第11条第2項は、1仏馬力 = (正確に)735.5ワットと定義している[5]


これは、新計量法がSIを全面的に導入するために制定されたものであり、本来であればSI組立単位であるワットを使うべきであるが、馬力がいまだに広く使われており、これを廃止すると混乱を招くために移行措置として当分の間、暫定的に使用を認めているものである。今日でも、レシプロエンジンの出力表示にはキロワット (kW) とともに馬力(仏馬力)が併記されることがある。


特に自動車用エンジンについては、キロワット (kW)表示は新計量法導入から15年以上経過した現在においても、個人ユーザーから事業者レベルに至るまでほとんど浸透しておらず、カタログにはkWを主として、依然としてPSが併記されている。これにはkW表記よりもPS表記のほうが見かけ上の数値が大きいことも影響していると考えられる[要出典]



記号


日本における仏馬力の単位記号は、PS である[6]。小文字の ps は用いることができない。



過去の経緯


日本の旧計量法では、1馬力は英馬力とも仏馬力とも違い、仏馬力をベースに重力加速度を(正確に)10m/s2として計算した750ワットとしていた。これを日本馬力と呼んでいたことがある。日本馬力は1999年施行の計量法で廃止された。



業務用エアコンにおける馬力


日本では、エア・コンディショナー(特に業務用大型空調設備)の能力を「馬力」という単位で表現することがあるが、この「馬力」は、仏馬力とも英馬力とも全く異なるものであり[7]、計量法上は全く認められていない。


暖房と冷房とでワット数が異なるものについて同一の「馬力」として換算するなど、正式な換算式があるわけではないが、冷房能力について言えば、1馬力 = 2.8kW(= 約2409kcal/h)程度の空調能力(約8畳相当の空間を冷やす能力)である[8][9]。したがって、通常に用いられる馬力(735〜750 W )とは4倍弱の違いがある。



仕事率の具体例

















































































































人間 1馬力 継続的に発揮できる仕事率は0.1 - 0.2馬力程度
原動機付自転車 4.5 - 7.5馬力
競走馬 15 - 20馬力 継続的に発揮できる仕事率は2 - 3馬力程度
軽自動車 40 - 64馬力
自動車馬力規制(1987年)による上限
四輪自動車
64 - 300馬力 ものによっては1000馬力を超す
大型トラック、大型バス
250 - 600馬力 世界最大のものは4000馬力
F1カー 930 - 980馬力
零式艦上戦闘機 1130馬力 22型・52型栄 (エンジン)
蒸気機関車 1400馬力
国鉄D51形蒸気機関車
戦車 1500馬力(約) 機密扱いの為正確な数値は不明
貨物列車 2000 - 8000馬力 
小 - 中型ヘリコプター
124 - 3600馬力 小型機:R22 - 中型機:UH-60
大型輸送ヘリコプター
1万2300 - 2万2480馬力
CH-46 - Mi-26(世界最大)

新幹線
2万3200馬力
N700系電車16両編成

プロペラ機
200 - 2万馬力

ジェット機
1万 - 7万馬力[2]

タイタニック(客船) 4万6000馬力
F-4戦闘機 8万4000馬力 4万2000馬力×2
戦艦大和 15万3553馬力
F-15戦闘機 20万馬力 10万馬力×2
原子力空母 28万馬力
ニミッツ級航空母艦

LE-7A(ロケットエンジン)
318万馬力




符号位置

















記号 Unicode JIS X 0213 文字参照 名称
U+33CB -


馬力

Unicodeには、馬力を表す上記の文字が収録されている。これはCJK互換用文字であり、既存の文字コードに対する後方互換性のために収録されているものであるので、使用は推奨されない[10][11]



出典


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  1. ^ abThe Units of Measurement Regulations 1995 No.1804 SCHEDULE[1]

  2. ^ ab講談社1983年刊『大辞典』1,275頁


  3. ^ 計量単位規則 別表第7


  4. ^ 計量法 附則6条 第六条 仏馬力は、内燃機関に関する取引又は証明その他の政令で定める取引又は証明に用いる場合にあっては、当分の間、工率の法定計量単位とみなす。 2 仏馬力の定義は、政令で定める。


  5. ^ 計量単位令 第11条 第2項 法附則第六条第二項の政令で定める仏馬力の定義は、ワットの七百三十五・五倍とする。


  6. ^ 計量単位規則 別表第7 第2条第2項第2号による。


  7. ^ 元来は、圧縮機を動かすモーターの出力(1馬力≒750W)を示していたが、現在ではモーターの出力とエアコンの馬力とは全く一致しない。


  8. ^ 空調冷暖房新旧換算表 空調機 kW⇔Kcal/h 換算表


  9. ^ http://www.e-matsumura.jp/AC_kw-kcal-kansan-.html 空調冷暖房新旧換算表]


  10. ^ “CJK Compatibility” (2015年). 2016年2月21日閲覧。


  11. ^ “The Unicode Standard, Version 8.0.0”. Mountain View, CA: The Unicode Consortium (2015年). 2016年2月21日閲覧。




関連項目



  • 計量単位一覧

  • 仕事 (物理学)

  • 課税馬力

  • 自動車馬力規制


  • ペイロード (航空宇宙) - 輸送される荷物の可搬量









































仕事率の単位

W
kgf·m/s
PS
kcal/h
1 ワット(W)
= 1
= 0.102
= 0.00136
≈ 0.860
1 重量キログラムメートル毎秒(kgf·m/s)
= 9.80665
= 1
≈ 0.01333
≈ 8.4322
1 仏馬力(PS)
= 735.49875
= 75
= 1
≈ 632.415
1 キロカロリー毎時(kcal/h)
= 1.163
≈ 0.1186
≈ 0.00158
= 1



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