菜の花







菜の花


菜の花(なのはな)は、アブラナ科アブラナ属の花の総称[1]。特にアブラナまたはセイヨウアブラナの別名としても用いられる。また、菜花(なばな)は、ナタネ、カブ、ハクサイ、キャベツ、ブロッコリー、カラシナ、ザーサイなどアブラナ科アブラナ属で主として花を食するものをいう[1]


なお、アブラナ属以外のアブラナ科の植物には白や紫の花を咲かせるものがあるが、これを指して「白い菜の花」「ダイコンの菜の花」ということもある。




目次






  • 1 利用


    • 1.1 食用


    • 1.2 鑑賞用


    • 1.3 修景用




  • 2 栽培と文化


    • 2.1 日本


      • 2.1.1 栽培


      • 2.1.2 文化




    • 2.2 中国




  • 3 ギャラリー


    • 3.1 アブラナ属


    • 3.2 その他の属




  • 4 脚注


  • 5 関連項目


  • 6 外部リンク





利用



食用


アブラナは菜種油の原料となる[2]


また、菜の花の菜とは食用の意味であり、菜の花とは食用の花の意味である。食用の菜花には、葉が柔らかく花茎と蕾と葉を利用する在来種と、葉が厚く主に花茎と葉を利用する西洋種がある[1]。コウタイサイなど中国野菜由来の新品種も登場している。


野菜としては足が早いほうなので、保存する場合は加熱してから冷蔵する事がある。ビタミンCやミネラルが豊富な緑黄色野菜であり、アク(シュウ酸)はホウレンソウの20分の1以下なので、調理にあたっては茹ですぎないことがポイントとされる。




鑑賞用




菜の花畑(チンゲンサイ)


春、一面に広がる菜の花畑は壮観で、代表的な春の風物詩でもある。主産地の広大な菜の花畑は観光資源となっている。


切り花用として利用されるものは、チリメンハクサイや改良品種で、葉が白っぽく縮れている。ただしこれは食用にも利用されるため、栽培時期や方法の違いによって出荷先が変わるだけともいえる。



修景用


セイヨウカラシナは、丈夫で川原や荒れた土地にも繁茂するため、河川敷や堤防、空き地に播種し、菜の花畑を作るケースがある。



栽培と文化



日本



栽培


2012年の菜花の収穫量は日本全国で約5,222tで、主産地は千葉県が1,958t、徳島県が1,248t、香川県が725tであった[1]


2~3月だけ出回る旬を残す野菜だったが、予冷技術により出荷時期が延びてきている。また、寒咲花菜のように初冬から出荷されるものもある。


各地に伝統野菜がある。



  • 三重なばな 食用選抜したセイヨウアブラナ

  • 伏見寒咲花菜 京野菜のひとつ

  • 博多菜

  • とうな

  • かき菜

  • 小松菜

  • アスパラ菜


現代の日本では、菜種油採取用のアブラナ畑はあまり見られなくなったが、その他のアブラナ属の野菜も黄色い「菜の花」を咲かせるため、その種子採取用の畑が菜の花畑として親しまれている。


千葉県では早春のアブラナのほかに野菜類(カブやハクサイ)が、青森県横浜町では油用のセイヨウアブラナ、信州の菜の花畑はノザワナがそれぞれ5月に開花する。飯山市では連休中に見ごろとなるよう、ノザワナの播種日を調整している。



文化


菜の花は身近な春の光景として親しまれてきたため、文学や言葉に登場することも多い。
文学作品などに登場する菜の花は、明治以降は栽培が拡大したセイヨウアブラナが主体と見られる。



菜種梅雨


春雨前線が停滞する頃の雨の多い時期、ないしその雨を指す言葉。気象庁がその時期を明確に定めているわけではないが、主に3月半ばから4月前半にかけてのぐずついた天気を言う。この時期には、関東南部から九州にかけてアブラナが開花している事から名付けられた。ただし、いわゆる6月下旬から7月中旬の梅雨で起こるような激しい豪雨になる事は比較的少ない。


辛島美登里の曲。やまとなでしこ(東芝EMI TOCT-24943)に収録されている。NHKみんなのうたでもおなじみの曲である。

菜種月

春先によくみられる、かすみの掛かった月、おぼろ月

俳句

菜の花は晩春の季語である。


与謝蕪村(1716-1783年)は、菜の花(堀田満によれば、在来種アブラナ)をいくつもの歌に詠みこんでいる

菜の花や 月は東に日は西に

菜の花や 鯨もよらず 海暮ぬ

菜の花や 摩耶を下れば 日の暮るる (「摩耶」とは六甲山系の摩耶山のことと考えられる。眼下は神戸の海)

菜の花を 墓に手向けん 金福寺





  • なの花にうしろ下りの住居かな(一茶)

  • 菜の花の遙かに黄なり筑後川(夏目漱石)





山村暮鳥は1915年の作品「風景 純銀もざいく」で、「いちめんのなのはな」という言葉を淡々と連ねるという、平易ながら斬新な手法で風景を表している。

唱歌

「菜の花畠に入り日薄れ」と歌い出される「朧月夜」は長野県永江村(現・中野市大字永江)に生まれた高野辰之が作詞した。中野市や飯山市を含む長野県北信地方一帯では江戸時代から菜種(アブラナ)が主要な換金作物として栽培されており、一面に広がる菜種の花の記憶が詞のモチーフになったと想定される。昭和30年代以降、菜種油の需要が減ると菜種の作付けは激減し、一時は黄色い絨毯を敷き詰めたような景色はほとんど見られなくなったが、近年は観光用にノザワナを大規模に栽培して「朧月夜」で歌われた情景を再現している。

料理


炒り玉子を菜の花にみたてた「菜種あえ」、「菜種焼き」など

県花

千葉県

切手




  • 1980年(昭和55年)10月1日発売 40円普通切手 菜の花とモンシロチョウ


  • 1990年(平成2年)4月27日発売 62円 ふるさと切手 花・千葉・ナノハナ


  • 2009年(平成21年)12月1日発売 50円と80円 ふるさと切手 ふるさとの花シリーズ第5集



中国


雲南省は中国全土の4分の1の菜種を生産しており、特に羅平県には2万6,000haの広大な菜の花畑があり最大の産地となっている[2]


菜の花は菜種油の原料、食用、集成材の原料として用いられる[2]。羅平県のカルスト地形に並ぶ菜の花畑は観光資源にもなっている[2]



ギャラリー



アブラナ属



カラシナ(インド)[1]



その他の属




脚注


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  1. ^ abcd菜の花と食用にするナバナの違いについて教えてください。 農林水産省、2017年2月10日閲覧。

  2. ^ abcdカルストの大地に菜の花満開 中国・雲南省 asahi.com、2017年2月10日閲覧。




関連項目


  • なばなの里


外部リンク



  • 相馬博士の作物百科 アブラナ、菜種、なばな、菜の花、油菜

  • 道明寺天満宮・菜種御供大祭


  • 菜の花きいろ 作詞&作曲&歌&ウクレレ:蜂谷清香


  • ウィキメディア・コモンズには、アブラナ属に関するカテゴリがあります。


  • ウィキクォートには、菜の花に関する引用句があります。




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