デファクトスタンダード
デファクトスタンダード(英語: de facto standard)とは、「事実上の標準」を指す用語である。de factoはラテン語で「事実上、実際には」を意味する。
目次
1 解説
2 デファクトスタンダードの例
3 規格の対立の例
3.1 ビデオ用メディアにおける規格争い
4 関連項目
解説
ISO、DIN、JISなどの標準化機関等が定めた規格ではなく、市場における競争や広く採用された「結果として事実上標準化した基準」を指す。デファクトスタンダードに対して、国際標準化機関等により定められた標準をデジュリ(デジューレ、デジュール、デジュア)スタンダード(英語: de jure standard)と呼ぶ。
インターネットの通信規格であるTCP/IPや、接続規格の多いコンピュータ関連分野で使われ始めた言葉だが、現在ではこれらの分野に限らず各種商品やサービスに広く使われるようになった。
電気製品など、商品開発サイクルの短い分野では、決定まで何年もかかる標準よりも、その時点での市場で一般的な規格である、デファクトスタンダードの重みが大きい。また、このようなデファクトスタンダードが後の国際規格の土台となる場合もある。
当然ながら、デファクトスタンダードは市場の状況により変化するため、これを獲得した企業は大きな利益を手にすることができる。そのためデファクトスタンダードの積極的な採用がかえって市場の独占を推し進め、結果として製品の価格を引き上げてしまったり、競争の鈍化を招く恐れがある。一部企業によるデファクトスタンダードは、ベンダーロックインにつながることもある。
また、デファクトスタンダードを目指す複数の規格の対立により、消費者が製品やサービス同士の連携で不便を強いられる問題(規格争い、顧客囲い込み)も生じている。
デファクトスタンダードの例
- 3.5mmフォーンプラグ
TCP/IP - インターネットの通信規格
イーサネット(Ethernet) - LANの接続規格
PC/AT互換機・Microsoft Windows - パーソナルコンピュータ
Microsoft Office - オフィスアプリケーション
VHS - 家庭用ビデオ規格
EBCDIC - メインフレームの文字コード
VT100 - 端末エミュレータの入出力処理
QWERTY・JISキーボード - キーボードの配列
TeX - 理工学系の学術論文・出版物のマークアップ言語
オルファ製品 - 折る刃式カッターナイフの刃の幅
規格の対立の例
「規格争い」も参照
デジタルコンパクトカセットとミニディスク - デジタルオーディオ機器の規格
GSとXG - MIDI音源の規格(GMの上位互換)
WindowsとClassic Mac OS / macOS、LinuxとBSD(Unix系) - パソコン用OS
OpenDocumentとMicrosoft Office Open XML - オフィススイートのファイルフォーマット
ZIPとスーパーディスクとMO - 大容量フロッピーディスク
CFメモリーカードとSDHCメモリーカードとメモリースティック PRO Duo - 小型大容量メモリーカード
microSDカードとminiSDカードとメモリースティック PRO DuoとMMCmobile - 携帯機器用メモリーカード
ビデオ用メディアにおける規格争い
「ビデオ戦争」も参照
VHSとベータマックス - 家庭用ビデオ規格
VHDとレーザーディスク - ビデオディスク規格
DVD-RとDVD+R - 書き込みが一回に限られる(ライトアットワンス、ライトワンス)記録型DVDの規格
DVD-RAM、DVD-RW、DVD+RW - 複数回の書き込みに対応した記録型DVDの規格
Blu-ray DiscとHD DVD - 第3世代光ディスク規格
関連項目
- プロプライエタリ・ソフトウェア
- 世界標準
国際標準化機構(ISO)
日本工業規格(JIS)- IPC (エレクトロニクス)
デ・ファクト - デ・ジュリ
- デジュリスタンダード
- アラビア数字
- 不文律