延喜式
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延喜式(えんぎしき)は、平安時代中期に編纂された格式(律令の施行細則)で、三代格式の一つである。
目次
1 概要
2 成立
3 構成
4 内容
4.1 神祇官関係の式
4.2 太政官八省関係の式
5 写本
6 脚注
7 参考文献
8 関連項目
9 外部リンク
概要
三代格式のうちほぼ完全な形で残っているのは延喜式だけであり、細かな事柄まで規定されているため、古代史の研究のうえで重視されている。
成立
905年(延喜5年)、醍醐天皇の命により藤原時平らが編纂を始め、時平の死後は藤原忠平が編纂に当たった。『弘仁式』『貞観式』とその後の式を取捨編集し、927年(延長5年)に完成した[1]。その後改訂を重ね、967年(康保4年)より施行された。
構成
全50巻、約3300条からなる。律令官制に従い、以下のような構成。
- 巻1 - 巻10
神祇官関係の式。この部分を神祇式という。巻ごとによる記載内容の趣旨は以下となる。
- 巻1と巻2 - 定例祭 (通称:四時祭、四時祭式など)
- 巻3 - 臨時祭 (通称:四角祭・四角祭式、四境祭・四境祭式、四角四堺祭など)
- 巻4 - 大神宮
- 巻5 - 斎宮
- 巻6 - 斎院
- 巻7 - 踐祚大嘗祭
- 巻8 - 祝詞
- 巻9と巻10 - 神名帳 (通称:延喜式神名帳)
- 巻11 - 巻40
太政官八省関係の式- 巻41 - 巻49
- その他の官司関係の式
- 巻50
- 雑式
内容
神祇官関係の式
巻8に祝詞を掲載。巻9・10は神名帳(神社の一覧表)となっていて、祈年祭で奉幣を受ける2861社の神社が記載されている。延喜式神名帳に記載があるのは当時朝廷から重要視された神社であり、一般に式内社と言って社格の一つとされたが、現在では消滅したり不明となっている神社も多い。
太政官八省関係の式
巻21は治部省関係であり、山陵について記する諸陵式が含まれる。
巻22の民部省上の中に、「凡諸国部内郡里等名 並用二字 必取嘉名」とあり、全国の地名が変更された。
巻23は民部省下である。
巻24の主計寮上には、全国への庸、調、中男作物の割り当て等が書かれており、当時の全国の農産物、漁獲物、特産物を伝える。
巻25は主計寮下である。
巻28は兵部省関連である。その中の諸国駅伝馬条には五畿七道の402ヶ所の宿駅の名称と備えるべき駅馬や伝馬の数が記載されている[2]。
写本
『延喜式』原本は現存せず、室町・戦国期の古写本もほとんど散逸した。最古の写本には九条家伝来品の東京国立博物館所蔵本(国宝:平安時代、10・11世紀)や、大阪府河内長野市天野町の金剛寺所蔵の三巻(巻第十二残巻、巻十四、巻十六、平安時代、12世紀前半)がある。
脚注
^ 日本史用語研究会 『必携日本史用語』 実教出版(原著2009年2月2日)、四訂版。ISBN 9784407316599。
^ 武部健一 2015, p. 46.
参考文献
- 武部健一 『道路の日本史』 中央公論新社〈中公新書〉、2015年5月25日。ISBN 978-4-12-102321-6。
- 日本史用語研究会 『必携日本史用語』 実教出版(原著2009年2月2日)、四訂版。ISBN 9784407316599。
関連項目
- 延喜格
- 三代格式
- 日本の国宝一覧
外部リンク
- 延喜式検索システム