T-38 (航空機)





T-38 タロン




T-38A

T-38A






  • 用途:練習機


  • 設計者エドガー・シュミード(英語版)


  • 製造者:ノースロップ(現・ノースロップ・グラマン)社


  • 運用者


    • アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国(空軍、海軍、NASA)


    • 西ドイツの旗 西ドイツ(ドイツ空軍)


    • ポルトガルの旗 ポルトガル(ポルトガル空軍)


    • トルコの旗 トルコ(トルコ空軍)


    •  台湾(台湾空軍)


    • 大韓民国の旗 韓国(韓国空軍)




  • 初飛行:1959年3月10日


  • 生産数:1,187機


  • 運用開始:1961年3月17日


  • 運用状況:現役






T-38はアメリカ合衆国のノースロップ(現・ノースロップ・グラマン)社が開発した練習機。愛称はタロン(Talon:猛禽類の鉤爪の意)。


練習機ながらアフターバーナーを装備し、超音速を発揮できる。優秀な双発ジェットの高等練習機として高く評価され、総数1,000機以上が生産された。




目次






  • 1 概要


  • 2 各型


  • 3 運用


  • 4 仕様


  • 5 登場作品


    • 5.1 映画


    • 5.2 漫画・アニメ




  • 6 出典・脚注


  • 7 参考文献


  • 8 関連項目


  • 9 外部リンク





概要





F-16との形状比較




模擬格闘戦でT-38Aを追尾するF-14


1950年代後半に入ると、実用ジェット戦闘機の高性能化が進み、練習機として用いられてきたT-33では性能が陳腐化してきた。その頃、ノースロップでは自社資金でN-156計画という西側同盟国向けの軍用機開発計画を進めていた。この計画は軽量戦闘機型のN-156Fと練習機型のN-156Tを開発するものである。練習機型はアメリカ空軍の興味を引くこととなり、1956年にYT-38として開発契約が結ばれた。YT-38の初飛行は1959年3月10日である。なお、戦闘機型も1958年に同盟国供与用のF-5として開発されることになる。


T-38はスタジアムシーティング[1]を採用したタンデム複座、キャノピーは前後独立、主翼は低翼配置、エアインテークを胴体側面に持つという、当時の標準的な設計に纏められた。小型軽量の機体で飛行性能が安定しており、整備性が良いため稼働率が高く運用コストも少なく済み、双発機であるためアクシデントにも強いという特徴を持つ。その反面、使用エンジンの燃費効率がやや悪く、また小型機ゆえに搭載力や航続距離に難があったものの、これは練習機用途としては大きな問題にはなりにくい。音速突破も可能な高速性能を持つが、これは亜音速と超音速飛行には隔絶した差があると考えられ、超音速飛行に慣熟するためには特別な訓練が必須であるとされたからである(現在では超音速飛行の練習は実機の複座型を用いれば十分であると考えられ、超音速飛行能力を持つ純練習機は廃れる傾向にある)。このため安全性も考慮された設計になっており、センチュリーシリーズにさえ取り入れられていなかった当時の先進的な操縦システムも導入されていた。


F-16より小型軽量の機体に推力重量比の高いエンジンを搭載し、練習機であるためクセがなく扱いやすい操縦特性となっていることから中高速域での運動性能は第4世代機と比較しても遜色がない。そのため、過去にアメリカ空軍のアグレッサー部隊で使用されたほか、戦闘機導入基礎課程(IFF)で基礎的な戦技の導入教育に使用されている。アメリカ空軍で行われた模擬格闘戦において最新鋭のF-22に撃墜判定を出したこともあるなど、技量次第では第5世代機にも対抗しうる能力を有する[2]


部隊配備は1961年から開始され、アメリカ空軍の他、同空軍にパイロットを派遣して訓練を行なっている西ドイツ空軍も使用した(アメリカ国籍マークを付けて、同国内で使用)。しかし輸出は、純粋な練習機にとどまる本機よりも、ドッグファイトや対地攻撃もこなせる実用機として使用できる姉妹機・F-5戦闘機の方が圧倒的に多かったため、本機の輸入国はポルトガル、台湾、韓国(T-50が完成するまでのつなぎとしてアメリカ空軍からリース)、トルコに留まった。生産は1972年まで行われ、生産機数は1,187機。また1975年より130機程度が、武装可能で攻撃訓練にも対応したLIFT(戦闘機前段階練習機)型のAT-38Bに改造された。


2001年よりアメリカ空軍は既存のT-38Aを改良したT-38Cの導入を進めている。アビオニクスの改良によりグラスコックピット化された操縦席にはヘッドアップディスプレイも備わり、エンジンのメインモジュールが交換され、機体側のエアインテークも改良された。アメリカ空軍は主翼の交換も検討している。


アメリカ航空宇宙局ではテキサス州ヒューストンのエリントン・フィールドに配備しており、宇宙飛行士の飛行体験訓練や連絡機として使用されている。アメリカでは民間に払い下げられた機体が少数あり、例えばボーイング社ではチェイス機としてT-38を使用している。


姉妹機F-5Aの複座練習機型であるF-5Bは、T-38の機首を流用したため外見が非常に似ているが、固定機関砲がない点を除けばF-5Aと同様の武装が装備できる軽攻撃機兼用型で、エンジンも作戦用途向けにより強力なものが使用されている。


2000年代から老朽化と補修部品の払底により修理コストが上昇したため、アメリカ空軍では後継機の選定を開始し、2018年9月27日にボーイングとSAABが共同提案したボーイング T-Xに決定された[3]



各型




T-38A(N)




AT-38B 胴体下パイロンに各種装備を携行できる



N-156T

社内開発名称。

YT-38

試作機

T-38A

量産型。

T-38A(N)


NASAで使用している型。操縦経験の無い宇宙飛行士を乗せて機動飛行を体験させるために使用。

T-38Cの登場以前からアビオニクスが改良され、ウェザーレーダーが装備されるなど、独自仕様となっている。

AT-38A

武装型。試作のみ。

DT-38A


アメリカ海軍向け。無人標的機の誘導に必要な機材を搭載している。

NT-38A

各種試験機。

QT-38A

無人標的機型。

AT-38B

武装型。

T-38C

近代化改修型。

AT-38C

武装型の近代化改修型。

T-38Cの改修モデル

ボーイングによりアビオニクスが更新された改修型。


グラスコックピットの採用やGPSが統合された航法装置を追加している[4]

T-38M


トルコ軍での近代化改修型。



運用




女性としてアメリカ空軍のパイロット養成プログラムを卒業した最初の10人(1977年)


  • アメリカ空軍


サンダーバーズでも1974年から1982年にかけて使用。

  • アメリカ海軍


アメリカ海軍戦闘機兵器学校(通称の「トップガン」で知られる)においてアグレッサー(仮想敵役機)として用いられた。

  • アメリカ航空宇宙局

宇宙飛行士の訓練に利用している。

  • 西ドイツ空軍

全機がアメリカ空軍シェパード基地で運用されており、アメリカ空軍のマーキングが施されている。

  • ポルトガル空軍

当初、F-5も導入予定であったが政情不安等から挫折。T-38Aを6機導入したに留まる。主力機がF-86、G.91やA-7などであったため、一時期、同空軍最高速度の軍用機となった(現在はF-16を運用)。現在は退役し、一部はゲートキーパー(基地入口に展示される機体)として保存されている。


  • トルコ空軍

  • 台湾空軍

  • 韓国空軍


自衛隊は導入していないが、航空自衛隊の操縦課程学生の一部はアメリカ空軍での操縦課程(SUPT)を履修しており、毎年数名の学生がアメリカ空軍の学生とともにT-38での操縦訓練を受けている。SUPT卒業後はウイングマークを取得し、再度耐G訓練を受けてから、AT-38Cによる戦闘機操縦課程を履修して帰国している。訓練中のコールサインは『ランサー(Lancer)』[5]



仕様




T-38A 三面図



  • 全長:14.13m

  • 全幅:7.7m

  • 全高:3.92m

  • 自重:4,960kg

  • エンジン:GE J85ターボジェットエンジン(推力1.2t A/B時 1.7t)2基

  • 最大速度:1560km/h(M1.3)

  • 航続距離:1600km

  • 乗員:2名

  • 武装:なし



登場作品



映画



『トップガン(原題:TOPGUN)』

“TOPGUN”の使用機として登場。

ただし、主に基地で後方に駐機している機体としての登場であり、飛行シーン及び“MiG-28”として登場しているものは、F-5N及びF-5の複座練習機型であるF-5Fである。



漫画・アニメ



『宇宙兄弟』

NASAで使用されているT-38A(N)が登場する。

『エリア88』 

作中で88所属機として度々登場。単座機のパイロットが人を便乗させる等、連絡用に使用している。



出典・脚注


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  1. ^ 後部席を若干上にすることで後席乗員の視界を確保する設計


  2. ^ F-22神話がまた一つ崩壊、模擬格闘戦演習でT-38がF-22を撃墜 2011年6月10日リンク切れ


  3. ^ https://www.af.mil/News/Article-Display/Article/1647147/air-force-awards-next-generation-fighter-and-bomber-trainer/


  4. ^ Boeing Delivers 200th Upgraded T-38 - Feb 3, 2004


  5. ^ 第20話「私がテストパイロットになるまで(中編)」:新米宇宙飛行士最前線! - 宇宙ステーション・きぼう広報・情報センター - JAXA - 油井亀美也がSUPTを履修した際の回想




参考文献



  • 航空ファン別冊 No.32 アメリカ軍用機1945~1986 空軍編 文林堂 雑誌コード 03344-8 1986年


関連項目



  • 練習機の一覧

  • 練習機

  • F-5



外部リンク






  • T-38 Talon




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