機械











古代から用いられていたカタパルト(投石機)のレプリカ。





ウィトルウィウス(紀元前1世紀の人物)の記述から復元した古代ローマの水力製粉機の模型。近・現代では「水車小屋」と呼ばれているもの。





ツィットグロッゲのムーヴメント(ベルン、1218年~)。現在も使われている大型の機械式時計。





レオナルド・ダ・ヴィンチの飛行機械のアイディアスケッチ(1488年)




「Machine Arithmétique マシーヌ・アリトゥメティック」(=「算術機械」)や「Pascaline(パスカリーヌ)」と呼ばれているもの。機械式計算機。(1652年。1645年発明)




ニューコメンの蒸気機関(1712年)





シンガーが1854年に特許を取得したミシン(縫製機械)




ボンサックのタバコ巻き上げ機(1881年 特許取得)





フォード・モデルT (1908年発表)。これを製造する中で、ベルトコンベアを用いた大量生産の基本形が出来上がっていった、とも評される。





豊田自動織機。(無停止杼換式豊田自動織機 G型、1924年)。自動織機の一種。現在の「世界のTOYOTA」の原点。





PET 2001(1977年)。パーソナルコンピュータ(個人所有用のコンピュータ)として最初期の一台。





ASIMO(2000年)





3Dプリンター


この記事では機械器械[1](きかい、フランス語、英語、オランダ語:machine、ドイツ語:Maschine)について説明する。


なお、日本語で「機械」は主に人力以外の動力で動く複雑で大規模なものを言い、「器械」のほうは、人力で動く単純かつ小規模なものや道具を指すことが多い[1]




目次






  • 1 定義


    • 1.1 蒸気機関以前


    • 1.2 蒸気機関以降


    • 1.3 近代以降




  • 2 歴史


    • 2.1 産業革命以前


    • 2.2 産業革命以降


    • 2.3 19世紀以降




  • 3 機械の種類の例


  • 4 自律機械と他律機械


  • 5 メカ


    • 5.1 メカに関する項目




  • 6 注釈


  • 7 脚注


  • 8 関連項目





定義


機械の定義は時代によって移り変わっており、歴史的には以下のような定義がある。[2]



蒸気機関以前


蒸気機関が開発されるまでの機械についての定義は、現代における建築に関わる記述中によく見られる。


ウィトルウィウス説

機械とは、重いものを移動するとき、極めて大いなる利益をもたらす、1個の物質的装置

古代ローマの建築家マルクス・ウィトルウィウス・ポリオが『建築十書(英語版)』に記述した定義。機械を定義した言葉としてはもっとも古いといわれる。

ツァイジング説

機械とは、重荷の移動に対して優れた本質を持つ一組の木製の装置

17世紀にツァイジング(Zeising)が原始的なクレーンから影響を受けて説いたと言われる定義。


蒸気機関以降


蒸気機関が開発されると、建築以外の分野でも機械が多用され、機械を作るための機械である工作機械も作られるようになり機械の定義が拡張された。これが現代における機械の定義の原型とされる。


ロイポルト説

機械は人工的製作物であり、その助けを借りて運動を起こすことが出来て、時間や労力が節約出来るもの


18世紀、ドイツの工学者ロイポルト(Leupold)が説いた説。ロイポルトは高圧蒸気機関の原型を考えだした人物である。

ルーロー説

機械とは、抵抗力を有する物体の組み合わせで、その助けにより一定の運動を生じるように組み合わされたもの


19世紀、イギリスの技師フランツ・ルーローが『機械の力学』の中で説いた説。機械学者に支持が広まり、現在の定義の基礎となる。


近代以降


ルーローの説より発展し、現在では機械とは次のような性質をもつ人工の道具を指すことが多くなった。



  • 外からの力に抵抗してそれ自身を保つことのできる(=非可塑性の)部品で構成されている

  • 各部品が相対的かつ定まった運動をする

  • 外部から供給されたエネルギーを有効な仕事に変換する


明治時代以降、machineに対応する言葉として機械ということばを作ったが、それ以前はカラクリと呼ばれ「カラクリ人形」などの言葉にその名残が認められる。



歴史



産業革命以前


機械は水車や風車、ウマといった動力源に連動したり、あるいは織機のように人力を動力としながら動作するものであった。


水車などの動力源を別の運動に変換する必要性から機械は徐々に複雑なものとなり、歯車やカム、滑車、クランクといった機構が次第に開発されていった。


こうした近代化以前の機械のなかでもっとも精巧なものは時計であり、1736年にはジョン・ハリソンが正確なクロノメーターを完成させるなど、18世紀ごろにはヨーロッパにおいてかなりの精度の時計が生産できるようになっていた。時計産業は多くの部品を必要としたため個人での制作は効率が悪く、必然的に分業により制作する方式を採用していたが、これによって精度の高い部品を正確に組み合わせることのできる高度な技能を持った職人集団が成立し、この技術を他の機械製作にも応用することで蒸気機関や紡績機といった高い精度の必要とされる機械の生産が可能となり、産業革命の技術的基礎となった[3]。また、1690年にドニ・パパンが原始的な蒸気機関を開発して以降、トマス・ニューコメンらによって蒸気機関が徐々に改良されるようになった。



産業革命以降


産業革命はまず、紡織機械の改善からスタートした。


1733年にジョン・ケイが飛び杼を開発したのを皮切りに、1764年にはジェームズ・ハーグリーブスがジェニー紡績機を開発して紡績工程が改善され、1771年にはリチャード・アークライトが水力紡績機を開発することで紡績機械は人力から動力を利用するものへと変化した。


1769年にはジェームズ・ワットが復水器を独立させた新しい蒸気機関を開発し、これによって真に強力な動力源を得た人類は工業化を行うことが可能となった。


1785年にはエドモンド・カートライトが蒸気機関を動力とした力織機を開発した。蒸気機関を交通に応用することも行われ、1804年にはリチャード・トレビシックが蒸気機関車を発明し、1807年にはロバート・フルトンが蒸気船を実用化することで、輸送機械と呼ばれる新たな機械が誕生した。


また、1800年にはヘンリー・モーズリーが実用的なねじ切り旋盤を発明した[4]ことによってボルトとナットの生産が容易になり、機械化の基盤となった。このことから、モーズリーは工作機械の父とも呼ばれる。



19世紀以降


19世紀に入るとこうした機械技術の進歩を基盤として工業化が急速に進むようになり、それまで人力によって行われていた工業分野が次々と機械化されていくようになった。


大規模な産業機械が工場に備え付けられるようになり、成立した工場制機械工業は世界の工業化を急速に推し進めることとなった。


家事労働に機械が持ち込まれるのは産業の機械化よりは時期が遅れるものの、19世紀後半にはミシンが各家庭に徐々に普及していき、その後洗濯機や掃除機などの家事機械が次々と発明され普及していくことで、家事労働の負担は大幅に軽減されることとなった。



機械の種類の例







  • 熱機関


  • 輸送機械

    • 船舶

    • 自動車

    • 航空機



  • 計算機械(計算機の記事を参照)

  • 農業機械

  • 繊維機械

    • 紡機(紡績機械)

    • 織機



  • 建設機械


  • 工作機械

    • 旋盤


    • フライス盤 (milling machine)


    • 形削り盤 (shaping machine)


    • 平削り盤 (planer)

    • ボール盤


    • マシニングセンタ(別名「機械を作る機械」)



  • ロボット



自律機械と他律機械


上述「古典的な定義」の機械は、人間が細かい(あるいはある程度粗い)指示を与えないと動作しない、他律的な動作をする他律機械と言える。


一方、程度の差こそはあれ、自律的な動作をする機械は、ロボットに該当する。ロボットも、抽象化すると自律機械である。


さらに、人間や動物も、生物体である事を差し置けば、自律機械に抽象化されうる。


機械を情報の側面で抽象化するとオートマトンとなる。



メカ



メカとは、メカニズムの略語であるが、フィクションの分野(アニメやライトノベル、SF映画など)においては特に「空想的な機械装置」を指す用語であり、しばしば「巨大ロボット」の類を指す(同様の用語として、ロボがあるが、「ロボ」は人型のものを指すことが多く、「メカ」はそれよりもやや範囲が広く、動物型や恐竜型、戦闘機や戦車の類、設置型の大型兵器などの非人型のものも含まれることが多い)。
昨今、特に欧米では和製英語としてSF作品の中で頻繁に使用されており、日本的なロボットアニメ作品に登場するメカ(英語として誤っているが、日本ではよく『メカニック』と呼ばれる)と同義である。



メカに関する項目



  • メカニックデザイン

  • メカニカルデザイン




注釈





脚注




  1. ^ ab新村出, ed (2009-01). “きかい 【機械・器械】”. 広辞苑. ISBN 9784000801232. 


  2. ^ 『ハンディブック 機械』 萩原芳彦 監修 、オーム社、2007年3月20日、改訂2版、5-7頁。ISBN 9784274203664。NCID BA81640206。


  3. ^ 福井憲彦  『近代ヨーロッパの覇権』 講談社 〈興亡の世界史13〉、2008-12月-17、第1刷、183-184 。ISBN 9784062807135。


  4. ^ 磯田浩 『火と人間』 法政大学出版局、2004年4月20日、初版第1刷。ISBN 4588713027。NCID BA66863078。




関連項目





アンティキティラ島の機械。紀元前150 - 100年に製作されたと考えられている天文計算機械。



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