アセラ・エクスプレス
アセラ・エクスプレス | |
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![]() アセラ・エクスプレス | |
国 | ![]() |
運行者 | アムトラック |
始発 | ボストン |
終着 | ワシントンD.C. |
経由線区 | 北東回廊 |
運行距離 | 734 km |
所要時間 | 7時間 |
運行頻度 | 1日20本 |
列車番号 | 2100 - 2290 |
最高速度 | 240 km/h |
平均速度 | 135 km/h |
表定速度 | 116 km/h |
運行開始 | 2000年12月11日[1] |

運行系統図
アセラ・エクスプレス(英語: Acela Express)は、アメリカ合衆国の旅客鉄道公社「アムトラック」が運行する、ボストン - ニューヨーク - フィラデルフィア - ワシントンD.C.を結ぶ特急列車である。名称は Acceleration と Excellence を合わせた造語で、現在アメリカ唯一の高速列車である。
目次
1 概況
2 車両
3 運行形態と設備
4 停車駅
5 問題点
6 脚注
7 外部リンク
概況
現在、自動車大国であるアメリカでは鉄道の旅客は大都市近郊区間を除けば利用者がほとんどいない状況であり、大都市間の移動は主に飛行機が使用されている。アムトラックはアメリカ東部を中心に路線を持ち、これまでもニューヨーク - ワシントンD.C.間を結ぶ「メトロライナー」を始めとする特急列車などを運行していたが、ビジネス客の利用が多かった「メトロライナー」以外の列車では利用者低迷にあえいでいた。
そこで起死回生を狙ってアメリカで最も人口が密集する地域を結ぶ北東回廊のボストン - ニューヨーク - ワシントンD.C.間に高速列車を走らせようと計画した。それが2000年に運行開始されたアセラ・エクスプレスである[1]。
車両
車両としてはフランスの「TGV」、ドイツの「ICE」、スペインの「タルゴ」、イタリアの「ペンドリーノ」、スウェーデンの「X2000」といったヨーロッパの高速列車が候補に上がり、「ICE」や「X2000」は実際に試運転まで行われたが、最終的にはTGVの技術をベースにした車両が導入された。車両の製造はカナダのボンバルディアとフランスのアルストムの企業連合が行った。
沿岸部を走ると言う特性から、車体はステンレス無塗装となっている。
現在アムトラックは新型車両の導入を計画中である。[2]
次期新型車両の製造メーカーはアルストム社に決定した。[3]
動力集中式でアヴェリア・リバティと呼ばれるタイプで、2021年の営業運行開始を目指している。[4]
試験走行開始は2019年を予定している[5]。
運行形態と設備
高速列車専用の施設は無く在来線を走る。ニューヨーク - フィラデルフィア - ワシントンD.C.間は古い設備が残っている区間も多く、最高速度215 km/h程度で225マイル(約360 km)を最速2時間47分で結ぶ。一方、ボストン - ニューヘイブン間は高速運転対応で最高速度240 km/hに達する区間もあるものの、ニューヘイブン - ニューヨーク間で低速の通勤列車と同じ線路を走るため大幅な徐行を余儀なくされており、ボストン - ニューヨーク間の231マイル(約370 km)に最速でも3時間23分かかる。
座席はファーストクラスとビジネスクラスのみからなっており、他の列車のエコノミークラスとは値段、サービス両面で差をつけている。公衆無線LANも使用可能。カフェ車も連結されている。ファーストクラスでは他のアムトラックの寝台車同様、食事及び酒を含む飲み物がサービスされる。アセラ車内販売限定サンドイッチも人気が高い。
なお、アセラ・エクスプレスの運転開始後も細々と(ワシントンD.C. - ニューヨーク間で)運転されていた「メトロライナー」[6]は2006年10月27日の最終運行をもって全廃となった。ちなみに最晩年の「メトロライナー」は平日1往復の運転となっていた。
停車駅
アセラ・エクスプレスの停車駅は、以下の通りである。途中14駅に停車するが、一部の列車しか停車しない駅は、アスタリスクでマークしている。接続の詳細、及び他の列車の停車駅は北東回廊を参照。
停車駅 |
州 |
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ボストン南駅 (MBTA) |
マサチューセッツ州 |
バックベイ駅 (MBTA) | |
128号線駅 (MBTA) | |
プロビデンス駅 (MBTA) |
ロードアイランド州 |
ニューロンドン駅* |
コネチカット州 |
ニューヘイブン・ユニオン駅* | |
スタンフォード駅* | |
ニューヨーク・ペンシルベニア駅 |
ニューヨーク州 |
ニューアーク・ペンシルベニア駅 |
ニュージャージー州 |
メトロパーク駅* | |
トレントン駅* | |
フィラデルフィア30丁目駅 |
ペンシルベニア州 |
ウィルミントン駅 | デラウェア州 |
ボルチモア・ペンシルベニア駅 |
メリーランド州 |
ボルチモア・ワシントン国際空港駅* | |
ワシントン・ユニオン駅 |
ワシントンD.C. |
問題点
事故や定時性の低さで毎年のように議会の槍玉に上がっているアムトラックの起死回生の切り札として登場したアセラ・エクスプレスではあったものの、いくつかの問題が生じている。
- 所要時間
- 前述のように、在来線を走る高速列車であるため線形の影響で高速化に限界がある。
- 故障
- アメリカでは唯一となる高速列車であるためか、部品の亀裂などによってたびたび全列車が原因究明のために運行停止に陥っている。
2002年8月15日、横揺れ吸収装置に亀裂が発見される。全車両無期限運行停止。2005年4月15日、ブレーキディスクに亀裂が発見され運行停止。どちらの事例も原因究明後には運転を再開している。
脚注
- ^ ab「Overseas Railway Topics」、『鉄道ジャーナル』第35巻第5号、鉄道ジャーナル社、2001年5月1日、 120頁。
^ http://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2012-12-13/MEZLO96S972E01
^ “Alstom tipped to win Amtrak high-speed train contract”. 2015年10月5日閲覧。
^ “Amtrak orders Alstom trains for Northeast Corridor”. 2016年8月28日閲覧。
^ http://www.democratandchronicle.com/story/news/2015/12/12/amtrak-able-reinvest-northeast-corridor/77176560/
^ 全盛期の1980年代からはアムフリート型客車編成を使用しAEM-7形電気機関車が牽引する客車列車に変更された。
外部リンク
- 公式サイト
- コモンズ(アメリカ合衆国の高速鉄道計画路線図)
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