ラビリンチュラ











ラビリンチュラ

Aplanolm.jpg
ラビリンチュラの一種、Aplanochytrium


分類




























ドメ
イン
:

真核生物 Eukaryota
階級なし
:

ディアフォレティケス Diaphoretickes
階級なし
:

SARスーパーグループ Sar
階級なし
:

ストラメノパイル Stramenopiles
階級なし
:

ラビリンチュラ類 Labyrinthulea

下位分類

本文参照

ラビリンチュラ類(ICZN:Labyrinthulea、ICBN:Labyrinthulomycetes)はストラメノパイルに含まれるアメーバ様生物で、網状の特徴的なコロニーを形成することで知られる。




目次






  • 1 特徴


  • 2 生息環境


  • 3 生殖


  • 4 人間との関わり


  • 5 分類


  • 6 参考文献


  • 7 外部リンク





特徴





Aplanochytrium の走査型電子顕微鏡像。細胞表面の鱗片が確認できる。


「迷宮」を意味するこの名前は、代表属のLabyrinthulaが形成する網状の細胞外細胞質(ectoplasmic network)に由来する。英語では“net slime molds”とも呼ばれる。この網状構造の中に紡錘形をした個々の細胞が収まり、構造内を流れるように移動する。移動速度は200μm/minほどである。個々の細胞は細胞膜に包まれているが、サジェノジェネトソーム(sagenogenetosome)と呼ばれる孔を介して細胞外細胞質と連絡している。また、細胞表面には硫酸化多糖を主成分とする鱗片があり、ラビリンチュラ類に共通する特徴となっている。この鱗片はゴルジ体で形成される。


ラビリンチュラ類は全て吸収や捕食を行う従属栄養性の生物群で、光合成は行わない。捕食は食作用によらない細胞外消化(英語版)吸収であり、細菌類や真菌類、水棲の多細胞植物などを細胞表面で消化する。吸収した栄養分は細胞内に油滴として蓄積される。この油滴には、後述する高度不飽和脂肪酸が含まれる。油滴は無色のものから、色素を含んで橙色〜赤色を呈するものまで様々であり、特にディプロフリス属では巨大な油滴を発達させる種が見られる。


ラビリンチュラ類は、後述する生活環の中で鞭毛を持った遊走細胞を生じる。この細胞は長短二本の鞭毛を持っており、長い羽根型鞭毛を前に、短い鞭型鞭毛を後ろに向けて遊泳する。この遊走細胞の鞭毛構造は、ラビリンチュラ類がストラメノパイルに含まれる確定的な証拠となった。これは、本群の細胞のミトコンドリアが管状クリステである点からも支持される。



生息環境


海洋、特に沿岸域に普通。代表属のLabyrinthulaはやや広塩性で、河口などの汽水域にも生息する。吸収栄養を主とする生物群であるので、海草や海藻、陸上植物の枯死体といった有機物表面に多く見られる。多くは腐生生活を営むが、捕食性や寄生性の種もある。Diplophrys属は淡水に棲んでおり、プランクトンとして浮遊する事も多い。



生殖


ラビリンチュラ目では、網状構造内の栄養細胞が二分裂で無性的に増殖するほか、胞子形成細胞塊を形成(ここで減数分裂を経るとも言われる)して遊走子を形成する。遊走子は基物に付着すると、鞭毛を失って栄養細胞となる。ヤブレツボカビ目でも遊走子嚢から遊走子が放出されるが、いずれも有性生殖の過程は不明。



人間との関わり


海草であるアマモの消耗病の一因とされるが、具体的な因果関係は不明である。


近年、ラビリンチュラ類は細胞中にn-6系ドコサペンタエン酸(n-6DPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)などの高度不飽和脂肪酸(PUFA)を蓄積する事が判明し、産業利用へ向けた取り組みが為されている。PUFA組成は属・種・株間で異なる事が知られており、高度蓄積株のスクリーニングが進められていると共に、この組成比をラビリンチュラ類内部の系統分類に用いる向きもある。



分類


ラビリンチュラ目の生物は、その網状構造が細胞性粘菌類の変形体に類似する事から、古くは変形菌に含められて水生変形菌類(Hydromyxomycetes)などと呼ばれたこともあった。一方ヤブレツボカビ目は、この目の作る網状構造がツボカビ類の仮根に類似しており、また遊走子が卵菌類のそれに似る事から、ツボカビの名を持つ卵菌類として扱われてきた。その後、この仮根様の構造はラビリンチュラ目の網状構造と相同であり、両目の類縁性を支持する形質である事が明らかとなった。現在では遊走細胞の形態や分子系統解析の結果から、ストラメノパイルの一群である事が分かっている。Diplophrys は網状構造や仮根様構造を形成しないが、Labyrinthulaの紡錘形細胞と同様にバイポーラ形の細胞極性を持っており、その両端から放射状の仮足を伸ばす。


ラビリンチュラ類は現在も改変が進められている分類群であるので、下記には暫定的な分類を示す。特にディプロフリス属の上位分類は未整理である。なお、今でも見られる“Labyrinthulomycota”や“Labyrinthulomycetes”という表記は、ラビリンチュラ類が菌類として分類されていた頃の名残である。


Labyrinthulea ラビリンチュラ類



  • Labyrinthulales / Labyrinthulida ラビリンチュラ目
    • Labyrinthulaceae / Labyrinthulidae ラビリンチュラ科

      • AplanochytriumLabyrinthula ラビリンチュラ



  • Thraustochytriales ヤブレツボカビ目
    • Thraustochytriaceae / Thraustochytriidae ヤブレツボカビ科

      • Aurantiochytrium オーランチオキトリウム、JaponochytriumLabyrinthuloidesSchizochytriumThraustochytrium ヤブレツボカビ、Ulkenia



  • Thraustochytriida

    • Diplophryidae

      • Diplophrys ディプロフリス


    • Thraustochytriidae

      • Schizochytriumシゾキトリウム






参考文献


  • バイオダイバーシティ・シリーズ(4)菌類・細菌・ウイルスの多様性と系統:杉田純多 編 裳華房(2005) ISBN 4-7853-5827-0

  • Hausmann K, Hulsmann N, Radek R. (2003) Protistology 3rd. E. Schweizerbart'sche Verlagsbuchhandlung, Stuttgart. ISBN 3-510-65208-8


  • Leander CA, Portera D (2001). “The Labyrinthulomycota is comprised of three distinct lineages”. Mycologia 93 (3): 459-64. 


外部リンク


  • 生物の系統分類ラビリンチュラ綱-写真・動画(甲南大学)



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