人魚姫










Vilhelm Pedersen 画「人魚姫」






人魚姫(にんぎょひめ、Den lille Havfrue)は、デンマークのハンス・クリスチャン・アンデルセン作の童話である。1837年に発表された。




目次






  • 1 あらすじ


  • 2 備考


  • 3 人魚姫の像


  • 4 派生作品


    • 4.1 音楽


    • 4.2 絵本


    • 4.3 アニメ


    • 4.4 舞台


    • 4.5 実写映画


    • 4.6 テレビドラマ


    • 4.7 小説


    • 4.8 施設




  • 5 脚注


  • 6 関連項目


  • 7 外部リンク





あらすじ




短剣を差し出す姉たち


王妃を失って久しい男やもめの人魚の王は母君に6人の娘の教育をして貰っていた。人魚姫の姉妹は1歳ずつ年齢が異なり、毎年1人ずつ海の上に行った。末の姫は15歳の誕生日に昇った海の上で船の上にいる美しい人間の王子を目にして恋心を抱くが、その夜の嵐で彼の船は難破し王子は意識を失って海に放り出される。人魚姫は文字通りすぐそばに来た彼が水中にいると死んでしまうことに気が付き、一晩中海面に持ち上げ続けたが日が出ても彼が意識を取り戻さないので温かい浜辺の方がよいだろうと考え岸辺において自分は離れて様子を見ていたところ、近くの修道院から出てきた女性が王子に気が付き連れて行ったのでそのまま人魚姫は海の底に戻っていった。


このことをきっかけに人間に強い興味を持った彼女は祖母に人間についていろいろ質問したところ、300年生きられる自分たちと違い人間は短命だが、死ねば泡となって消える自分たちと違い人間は魂というものを持っていて天国に行くというので、それを手に入れるにはどうしたらいいのかと尋ねると「人間が自分たちを愛して結婚してくれれば可能」だが「全く異形の人間が人魚たちを愛することはないだろう」とほぼ不可能だと告げられる。


そこで人魚姫は海の魔女の家を訪れ、声と引き換えに尻尾を人間の足に変える飲み薬を貰う。その時に「王子に愛を貰うことが出来なければ、姫は海の泡となって消えてしまう。」と警告を受ける。更に人間の足だと歩く度にナイフで抉られるような痛みを感じるとも言われたが、それでも人魚姫の意思は変わらず薬を飲んだ。人間の姿で倒れている人魚姫を見つけた王子が声をかけるが、人魚姫は声が出ない。その後、王子と一緒に宮殿で暮らせるようになった人魚姫であったが、魔女に言われたとおりに歩くたびに足は激痛が走るうえ、声を失った人魚姫は王子を救った出来事を話せず、王子は人魚姫が命の恩人だと気づかない。


それでも王子は彼女を可愛がり、歩くのが不自由な彼女のために馬に乗せてあちこちを連れて回ってくれ、また彼女と「おぼれていたところを助けてくれた人」が似ているともいうが、それは浜辺で彼を発見・保護してくれた修道院の女性の事で「彼女は修道院の人だから結婚なんてできないだろう」とややあきらめ気味で「僕を助けてくれた女性は修道院から出て来ないだろうし、どうしても結婚しなければならないとしたら彼女に瓜二つのお前と結婚するよ。」と人魚姫に告げた。


ところがやがて隣国の姫君との縁談が持ち上がるが、その姫君こそ王子が想い続けていた女性だった(修道院へは聖職者としてではなく教養をつけるために入っていた)。見も知らぬ姫君を好きにはなれないと思っていたし、心に抱く想い人とは2度と会えないだろうと諦めていた王子は、予想だにしなかった想い人が縁談の相手の姫君だと知り、喜んで婚姻を受け入れて姫君をお妃に迎えるのだった。


悲嘆に暮れる人魚姫の前に現れた姫の姉たちが髪と引き換えに海の魔女に貰った短剣を差し出し、王子の流した血で人魚の姿に戻れるという魔女の伝言を伝える。眠っている王子に短剣を構えるが、人魚姫は愛する王子を殺すことと彼の幸福を壊すことが出来ずに死を選び、海に身を投げて泡に姿を変えた。結局は王子の愛を得られずに泡になってしまった人魚姫だったが、彼女はそのまま消えてしまったわけではなく風の精(空気の精霊)に生まれ変わり、泡の中からどんどん空に浮かび上がっていった。


どこに行くのか戸惑う彼女に精霊が話しかけ、それによると「あなたは空の娘(風の精のこと)のところに行く」、「自分たちは暑さで苦しむところに涼しい風を送ったり、花の匂いを振りまき、物をさわやかにする仕事をしている。」、「自分たちも人魚と同様に魂はないが、人魚と違い人間の助けを借りずとも300年勤め続けることで魂を自力で得られる。あなたも今までの苦労でこの世界にこれた。」というような答えが返ってきた。


生まれ変わった彼女は(自分の最期を知っているはずがないのに)海の泡を悲しそうに見ている王子と花嫁を見つけ、王子のお妃となった姫君の額にそっと接吻し、王子に微笑みかけたあと新しい仲間たちとともに薔薇色の雲の中を飛びながら「あと300年で天国に行けるようになるのかな」とつぶやくと先輩の精霊から補足が入った。


魂を得られるまでの期間は厳密には固定ではなく「子供にいる家で親を喜ばせて愛しみを受ける子供を見つけて私たちも微笑むと試練の時は1年単位で短くなり、逆に悪い子を見て悲しみの涙が流させられると1日づつ長くなるのですよ。」だと[1]



備考


『人魚姫』は、アンデルセンの失恋(初出1837年だが、これ以前に少なくとも二人に失恋している[2]
)が原因で生まれた、人魚はアンデルセン自身の投影というのが定説である[3][4]。アンデルセンは生涯独身で暮らすのだが、“人魚姫”はしばしば「悲劇(悲恋)」や「叶わぬ恋」の形容詞とされる。原作では上記のように人魚姫が王子と(本来彼女の恋敵になる)花嫁に祝福し、新しい人生を歩むという比較的前向きな終わり方である。


人魚は下半身が魚の形で、足を開けない。これは少女(処女)の暗喩とされることがある。人の姿になった人魚が歩くたびに足を痛めたのは処女喪失を表す可能性がある[5]


1837年4月7日、コペンハーゲンのC.A. Reitzelより"Eventyr fortalte for Børn, 3"(『子どものための童話集・Ⅲ』)に収録されて出版されたのが初出。 "Eventyr"(『物語集』)(1849年12月18日)、"Eventyr og Historier. Første Bind"(『童話と物語・Ⅰ』)(1862年12月15日)にも収められる[6]



人魚姫の像



コペンハーゲンには人魚姫の像があり、有名な観光名所となっている。



派生作品



音楽




  • 交響詩『人魚姫』(アレクサンダー・ツェムリンスキー作曲)

  • 音楽物語『人魚』(1966年作曲、1968年改訂、鈴木静一作曲、ナレーション入りマンドリンオーケストラ)

  • 『Mermaid Girl』(2010年、コナミ、beatmaniaIIDX 18 Resort Anthemの楽曲、Ryu☆作曲、ボーカルはCream puff)

  • 『MerMaiD』(2010年、that作曲、作詞・ボーカルはみーちゃん)

  • 『深海のリトルクライ』(2012年、sasakure.UK作曲、ボーカルは土岐麻子)


  • 愛をめぐる奇妙な告白のためのフーガ - 章タイトル「人魚姫」として、モチーフが使われている。

  • 『マーメイドラプソディー』 (SEKAI NO OWARI 2015年、作詞:Saori、作曲:Nakajin、編曲:SEKAI NO OWARI、CHRYSANTHEMUM BRIDGE)

  • 『リトル・マーメイド~the First Love~』(2016年、GLAM GRAMM@R)



絵本



  • 『にんぎょひめ』(1967年、偕成社、著:曽野綾子、イラスト:いわさきちひろ)

  • 『音楽絵本・にんぎょひめ』(2013年、音楽絵本出版、イラスト:酒井景都) ※iPhoneアプリケーション。

  • 『にんぎょひめ プリキュアオールスターズ名作えほん3』(2014年、講談社)※テレビアニメ『ハートキャッチプリキュア!』と『ハピネスチャージプリキュア!』登場キャラで構成。人魚姫役は花咲つぼみ(キュアブロッサム)。



アニメ



  • 『魔法のマコちゃん』(1971年、東映動画、テレビアニメ)

  • 『アンデルセン物語』第31話~第33話(1971年、東映動画、テレビアニメ)

  • 『東映まんがまつり アンデルセン童話 にんぎょ姫』(1975年、東映動画、アニメーション映画)

  • 『リトル・マーメイド』(1989年、ディズニー、アニメーション映画)

  • 『人魚姫 マリーナの冒険』(1991年、テレビアニメ)

  • 『世界名作童話シリーズ ワ〜ォ!メルヘン王国』第24話「人魚姫」(1995年、東映動画、テレビアニメ)

  • 『雪の女王 〜THE SNOW QUEEN〜』第24話「月夜の人魚姫」(2005年、出崎統、テレビアニメ)



舞台


  • 『人魚姫 (宝塚歌劇)』(1971年、宝塚歌劇団月組・花組)


実写映画



  • 『アンデルセン物語』 - 1952年のアメリカ映画。劇中で人魚姫のバレエ・シーンがある。

  • 『人魚姫』(Malá mořská víla) - 1976年のチェコスロバキア映画。カレル・カヒーニャ監督。

  • 『スプラッシュ』(1984年、人魚姫の物語を現代風にアレンジしたブエナビスタ製作のアメリカ映画)



テレビドラマ


  • 『フェアリーテール・シアター』 (1987年、同タイトルで同ドラマの1エピソードとしてアメリカ合衆国で映像化・テレビ放送された。)


小説


  • 『断章のグリム』(2006年 - 2007年、甲田学人)


施設



  • 東京ディズニーシーのリトル・マーメイドをイメージしたエリア「マーメイド・ラグーン」。


脚注





  1. ^ ハンス・クリスチャン・アンデルセン作『人魚姫 (あなたの知らないアンデルセン)』長島要一訳、評論社 、2005年、ISBN 978-4566021792


  2. ^ ヨハネス・ミュレヘーヴェ 『アンデルセンの塩』 大塚絢子訳、新評論、2005年、270-281頁。.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit}.mw-parser-output .citation q{quotes:"""""""'""'"}.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/6/65/Lock-green.svg/9px-Lock-green.svg.png")no-repeat;background-position:right .1em center}.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg/9px-Lock-gray-alt-2.svg.png")no-repeat;background-position:right .1em center}.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/a/aa/Lock-red-alt-2.svg/9px-Lock-red-alt-2.svg.png")no-repeat;background-position:right .1em center}.mw-parser-output .cs1-subscription,.mw-parser-output .cs1-registration{color:#555}.mw-parser-output .cs1-subscription span,.mw-parser-output .cs1-registration span{border-bottom:1px dotted;cursor:help}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/4/4c/Wikisource-logo.svg/12px-Wikisource-logo.svg.png")no-repeat;background-position:right .1em center}.mw-parser-output code.cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:inherit;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;font-size:100%}.mw-parser-output .cs1-visible-error{font-size:100%}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#33aa33;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-subscription,.mw-parser-output .cs1-registration,.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left,.mw-parser-output .cs1-kern-wl-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right,.mw-parser-output .cs1-kern-wl-right{padding-right:0.2em}
    ISBN 4-7948-0653-1。



  3. ^ 浦山明俊 『絵本とは違いすぎる 原典アンデルセン』 ぶんか社、1999年、93頁。
    ISBN 4-8211-0676-0。



  4. ^ 安奈泉 『アンデルセン童話の呪い』 大和出版、1999年、28頁。
    ISBN 4-8047-6065-2。



  5. ^ 須田諭一 『おとなになって読むアンデルセン』 メトロポリタンプレス、2014年、14頁。
    ISBN 978-4-904759-84-4。



  6. ^ “The Little Mermaid”. The Hans Christian Andersen Centre. University of Southern Denmark Department for the Study of Culture. 2018年11月3日閲覧。




関連項目


  • 『ルサルカ (ドヴォルザーク)』 - アントニン・ドヴォルザークのオペラ歌劇音楽作品。ドヴォルザークとアンデルセンには関係性は無いが、相違点があるも、ストーリーは、ロシアにいる水の精霊のルサルカが人間の王子に恋し、魔法使いに魔法で人間になる点など類似する。


外部リンク







  • 『人魚のひいさま』:新字新仮名 - 青空文庫(楠山正雄訳)



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