豚汁
豚汁 | |
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![]() 自家製の豚汁 | |
種類 | 汁物、煮込み |
発祥地 | 日本 |
関連食文化 |
日本料理 |
難易度 | ![]() |
提供時温度 | 熱々 |
主な材料 | ダイコン、ニンジン、ゴボウ、ジャガイモ、出汁、味噌、サラダ油 |
その他お好みで | サトイモ、長ネギ、サヤインゲン、タマネギ、一味唐辛子 |
類似料理 | 肉じゃが |
豚汁(とんじる、ぶたじる)は、豚肉と野菜を煮込んで味噌で調味した日本の料理。具が多く、豚肉が入っている味噌汁(汁物)の一種である。
目次
1 概要
2 発祥
3 名称
3.1 商品名称
3.2 アンケート
3.3 辞書類
4 作り方
4.1 材料
4.2 調理方法
5 脚注
6 関連項目
概要
豚肉(バラ肉を使用することが多い)の脂、ゴボウなどアクの強い根菜などの野菜や味噌の香りが特徴である。この取り合わせは人気があり、他の汁物には見られない特徴のある料理である。それに加え、入れる具材の多さから各種の栄養素が含まれている。名称の元となっている豚肉のほか、複数種の野菜、あるいはそれらの加工品を入れるため、単に副食としての汁物としてではなく、単品で主菜にもなり得る(例:豚汁定食)。
寒い地域や寒い時期に食べられることが多いのは、豚肉から出る脂が汁の表面を覆い、冷めにくいからである。冬期の炊き出しメニューの定番であり、神社などにおいて年始の参拝客へ、またスキー場など寒い場所や寒い時期に振る舞われたりする。家庭で作られ、特に寒い時期に好まれるが、通年、日本料理店や牛丼店でも出されている。
地域によって具材が異なり、地域色が強い料理である。具が入ったレトルト食品、具を練りこんだ生みそ汁、インスタントカップなど、手軽に食べられる製品も販売されている。
発祥
諸説あり定かではない。
けんちん汁に肉を入れたという説(けんちん汁はそもそも作り方が違い、「神奈川県鎌倉市建長寺(語源ともなっている)の精進料理であり肉を入れない」)[1]。
ぼたん鍋を参考にした説
旧日本海軍においてカレー粉の代わりに味噌を入れて作ったことから始まったという説- 北海道の開拓を行った屯田兵が食べた「屯田兵の汁」を屯汁(とんじる)と呼ぶようになったという説
- 山形県庄内地方の芋煮がもとになったという説
- 日本国外から持ち込まれた説
薩摩汁の豚を使うものが独立した説[2]。 日本全国で獣肉食が広まったのは明治時代以降であるが、薩摩地方だけは例外的に豚を含めた獣肉食の習慣があり、地方料理に肉入りの味噌汁があった。明治政府は国民の体位向上を理由に肉食を奨励し、また明治時代の軍上層部には薩摩藩出身者が多かったため、地方料理であった薩摩汁が全国に普及してくる。明治42年発行の、明治陸軍の炊事マニュアルである「軍隊料理法」に「豚汁」と「薩摩汁」が別に記載されているが、豚汁が豚を使い、薩摩汁が「豚もしくは鶏を使う」とされている以外、料理法はほとんど同じである。昭和に入り「軍隊料理法」の発展版である「軍隊調理法」には「豚汁」は独立して記載されていない。「薩摩汁」の項目には「豚(又は鶏、兎羊肉)を、芋やごぼう等と煮て味噌汁にする」とあり、豚汁は薩摩汁の一種になっている。
名称
「とんじる」と呼ぶ地域と「ぶたじる」と呼ぶ地域がありしばしば論争になる。また、芋として薩摩芋を使用する「めった汁」や「スキー汁」など、地方独自名称もあるなど多様である。
商品名称
全国で販売されることから地域性を考慮し、主に「豚汁」と表記されるが、「とん汁」と表記されている事例もある。
- 例
- カップ味噌汁
セブン-イレブン - カップみそ汁 豚汁[3]
タケヤ味噌 - タケヤ味噌会館 豚汁
ほっともっと - 特製豚汁[4]
オリジン弁当 - 豚汁[5]
トップバリュ - 豚肉と野菜のうまみ 豚汁[6]
ハナマルキ - はなまる屋カップとん汁[7]
旭松食品 - 生みそずい 生タイプ とん汁[8]
神州一味噌 - コクが自慢のとん汁[9][10]
マルコメ - 生みそタイプ とん汁
永谷園 - あさげ とん汁 カップ入 生みそタイプ
- フリーズドライ味噌汁
- コスモス食品 - ごぼうがいっぱい入った豚汁
- アサヒグループ食品 - 味わうおみそ汁 豚汁[11]
- にんべん - 豚汁[12]
- 飲食店
松屋 - 豚汁[13]
ジョイフル - 豚汁[14]
すき家 - とん汁
- 惣菜
セブン-イレブン - 合わせ味噌の風味豊かな豚汁[15]
ローソン - ごろごろ野菜の豚汁[16]
ファミリーマート - 11種具材の豚汁[17]
- 派生商品
- カップうどん
日清食品 - 日清のどん兵衛 豚汁うどん[18]
東洋水産 - あつあつ豚汁うどん[19]
ヤマダイ - 懐かしのとん汁うどん[20]
- 缶入り飲料
伊藤園 - とん汁[21]
- カップうどん
アンケート
ローカル番組『ナイトシャッフルG』(福岡放送)で調査した結果、ぶたじるの境界線は関門海峡まで及び北海道と判明。また近畿関西の一部)
NHKのアンケート[22]によると、全国的には「とんじる」が54%、「ぶたじる」が46%であった。地域でわけると大まかに次のようになった。
- 「とんじる」:東日本
- 「ぶたじる」:西日本、北海道
辞書類
- 料理用語辞典・食材辞典
- 『丸善食品総合辞典』(丸善、1998年)では項目名「豚汁」として「とんじる」の箇所に説明されており[23]、「ぶたじる」の箇所では「とんじる」の箇所への参照としている[24]。
- 『料理食材大事典』(主婦の友社、1996年)では項目名「豚汁」として「ぶたじる」の箇所で説明している[25]。
- 国語辞典
- 国語辞典において『豚汁』の項目が存在する場合は「ぶたじる」を中心に記述するものと「とんじる」を中心に記述するものがある。
- 「ぶたじる」に説明し、「とんじる」は誘導に留めるもの。『広辞苑 第5版』『大辞林 第2版』『大辞泉 増補・新装版』
- 「とんじる」に説明し、「ぶたじる」は誘導に留めるもの。『日本国語大辞典第2版』
- 見出し語に「とんじる」しかみあたらないもの。『明鏡国語辞典』、『新明解国語辞典第6版』
作り方
材料
豚汁に用いる材料には、地域差・家庭差があるが、ここでは一般的と思われる物の中から一部を挙げる。
味噌、酒粕
醤油、みりん、酒、出汁
豚肉(脂のある肉、バラ肉を使用することが多い)
ゴボウ、ダイコン・ニンジンなどの根菜類- ネギ
キャベツ、ハクサイなどの葉野菜類
サトイモ、ジャガイモ、サツマイモなどのイモ類- コンニャク
木綿豆腐、油揚げ、焼き豆腐などの豆腐類
シイタケ、シメジなどのきのこ類
他の野菜も多く使用され、また好みにより一味唐辛子・七味唐辛子などの香辛料やおろし生姜などの薬味をいれる。
調理方法
調理方法も、地域や家庭などで様々である。
作り方の例(NHK総合テレビ「ためしてガッテン」によるもの[22])
- 煮える時間が同じくなるように野菜を切り湯通しする。肉は表面が変化し霜降りになる程度に湯通しする。
- 水に野菜を入れ強火で煮ることで素材の味を十分に出し切る。それらが完全に柔らかくなる前に半分の味噌を加えて再度煮る。
- 湯通しによって旨みを閉じ込めた豚肉を加える。豚脂の香りをなくさないために長く煮ないようにする。
- 再度味を見ながら味噌を加えて、刻み長ネギを入れ火を止める。
脚注
^ スープ大辞典 豚汁の基礎知識と発祥
^ 食の源流探訪 豚汁
^ インスタント汁物|セブン-イレブン~近くて便利~
^ 特製豚汁
^ 豚汁 | オリジン弁当 | オリジン東秀株式会社
^ 豚肉と野菜のうまみ 豚汁|商品情報|TOPVALU 〜トップバリュはお客さまの声を商品に生かします〜
^ はなまる屋カップとん汁
^ カップ生みそずい とん汁
^ コクが自慢のとん汁
^ おいしいね!! とん汁
^ 味わうおみそ汁 豚汁 | 商品情報 | アサヒグループ食品
^ 豚汁|商品情報|株式会社にんべん
^ サイドメニュー|メニュー|松屋フーズ
^ ファミリーレストラン・ジョイフル|メニューのご案内|定食
^ 合わせ味噌の風味豊かな豚汁 - セブン-イレブン~近くて便利~
^ ごろごろ野菜の豚汁|ローソン
^ 11種具材の豚汁 |商品情報|ファミリーマート
^ 日清のどん兵衛 豚汁うどん
^ あつあつ豚汁うどん
^ 懐かしのとん汁うどん|ニュータッチ||ヤマダイ株式会社
^ とん汁 広口缶 165g
- ^ abNHKためしてガッテン 2005年11月2日放送(2005年11月4日時点のアーカイブ)
^ 『丸善食品総合辞典』丸善 p.777 1998年
^ 『丸善食品総合辞典』丸善 p.937 1998年
^ 『料理食材大事典』主婦の友社 p.729
1996年
関連項目
- 日本料理
- 味噌汁
- 汁物