トル
トル torr(Torrとしない) | |
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記号 | Torr(torrとしない) |
系 | メートル法 |
量 | 圧力 |
SI | 約7002133322000000000♠133.322 Pa |
定義 | 7005101325000000000♠101325 / 760 Pa[1] |
由来 | 標準大気圧の760分の1の圧力 |
語源 | エヴァンジェリスタ・トリチェリ |
トル(torr、記号: Torr)は、圧力の単位である。メートル法に基づく単位であるが、SI単位ではない。
トルは日本の計量法体系においては、特殊の計量である「生体内の圧力の計量」[2][3]に限って使用することができる。正確に101325/760 Paと定義されている[4]。これは標準大気圧の1⁄760という意味である。約7002133322000000000♠133.322 Paである。
現在では、日本においては、1トルは水銀柱ミリメートルと完全に同一の定義である[5]。
目次
1 分量単位
2 単位記号
3 水銀柱ミリメートルとの関係
4 歴史
5 関連項目
6 出典
分量単位
計量法では、トルの分量単位である次のものを「生体内の圧力の計量」に限って使用することができる[6]。
- ミリトル(mTorr) = 10−3 Torr
- マイクロトル(μTorr) = 10−6 Torr
単位記号
トル、ミリトル、マイクロトルの単位記号は、それぞれ「Torr」、「mTorr」、「μTorr」である[7]。Torrの「T」の文字が大文字であることに注意。これはトルが人名(エヴァンジェリスタ・トリチェリ Evangelista Torricelli)に由来するからである。
トルは時々、誤って記号"T"で表されることがあるが、これはSI単位テスラ(T)の記号であり、混乱を招くので使用すべきではない。"Tor"と書かれることもあるが、これも誤りである。
なお、単位の名称は英語で"torr"と書かれる。この場合は、「Torr」とはしない。
水銀柱ミリメートルとの関係
現今では、日本の計量法は、トルも水銀柱ミリメートルも、定義は全く同じ「101 325/760 パスカル」としている[8]。したがってその数値に違いはない。
しかし、その使い方には違いがあり、トルは血圧の計量には使用することができない。詳細は水銀柱ミリメートル#日本における使い分けを参照のこと。
歴史
この単位の名は、1644年に気圧計の原理を発見したイタリアの科学者、エヴァンジェリスタ・トリチェリに因む[9]。
トリチェリが初の水銀気圧計を公表したとき、かなりの注目を集めた。彼は、気圧について初の現代的な説明をした。科学者は、気圧計の液面の高さの小さな変動をよく知っていた。これらの変動は気圧の変化の徴候として説明され、気象学が生まれた。
時間とともに、0℃における高さ760ミリメートルの水銀柱が与える圧力は、標準的大気圧に等しいと考えられるようになった。0℃における高さ1ミリメートルの水銀柱が与える圧力を圧力の単位とし、トリチェリを記念して「トル」と命名された。しかし、重力加速度が高度と緯度によって変わるため、水銀柱の重さが変わり、トルの値が場所によって異なることになる。
1954年の第10回国際度量衡総会で、気圧の定義が改められ、1気圧は正確に7005101325000000000♠101325 Paに等しいと定められた[10]。また、トルは1気圧の1⁄760として再定義された。これは、水銀の密度や重力加速度の測定値から独立した、明確で正確な定義である。
関連項目
- 水銀柱ミリメートル
- 単位の換算一覧#圧力・応力
- パスカル (単位)
- 気圧
- 水柱メートル
- バール (単位)
パスカル(SI単位) |
バール | 工学気圧 | 気圧 | トル | psi |
|
---|---|---|---|---|---|---|
1 Pa |
≡ 7000100000000000000♠1 N/m2 |
= 10−5 bar |
≈ 6995101999999999999♠10.2×10−6 at |
≈ 7000100007774999999♠9.87×10−6 atm |
≈ 6999999917763157894♠7.5×10−3 Torr |
≈ 6999999739808500000♠145×10−6 psi |
1 bar |
= 7005100000000000000♠100000 Pa |
≡ 106dyn/cm2 |
≈ 1.02 at |
≈ 0.987 atm |
≈ 750 Torr |
≈ 14.504 psi |
1 at |
= 7004980665000000000♠98066.5 Pa |
= 7004980665000000000♠0.980665 bar |
≡ 7000100000000000000♠1 kgf/cm2 |
≈ 0.968 atm |
≈ 736 Torr |
≈ 14.223 psi |
1 atm |
= 7005101325000000000♠101325 Pa |
= 7005101325000000000♠1.01325 bar |
≈ 1.033 at |
≡ p0 |
= 760 Torr |
≈ 14.696 psi |
1 Torr |
≈ 133.322 Pa |
≈ 1.333×10−3 bar |
≈ 1.360×10−3 at |
≈ 1.316×10−3 atm |
≡ 1 mmHg |
≈ 19.337×10−3 psi |
1 psi |
≈ 7003689475700000000♠6894.757 Pa |
≈ 7003689479999999999♠68.948×10−3 bar |
≈ 70.307×10−3 at |
≈ 68.046×10−3 atm |
≈ 7003689475295065789♠51.7149 Torr |
≡ 1 lbf/in2 |
出典
^ 計量単位令 別表第6 項番11、生体内の圧力の計量、トル、パスカル又はニュートン毎平方メートルの七百六十分の十万千三百二十五
^ 「生体内の圧力」とは、例えば、頭蓋内圧力、眼圧、気道内圧、膀胱内圧力のことであり、「血圧」はここでいう「生体内の圧力」ではないことに注意
^ [1] 生体内圧力の計量単位について(周知) 2011年12月 経済産業省 計量行政室
^ 計量単位令 別表第6 項番11、生体内の圧力の計量、トル、パスカル又はニュートン毎平方メートルの七百六十分の十万千三百二十五
^ 計量単位令 別表第6 項番11 生体内の圧力の計量 トルの欄及び項番12 血圧の計量の欄 水銀柱ミリメートルの欄
^ 計量単位令 別表第6 項番11、生体内の圧力の計量、ミリトル、マイクロトル
^ 計量単位規則 別表第4 生体内の圧力の計量、トル、ミリトル、マイクロトル
^ 計量単位令 別表第6 項番11、項番12
^ 水銀ではなく水を使った、最新の気圧計に類似した装置は、1640年代前半に何人かの科学者によって研究されていた(History of the Barometerを参照)。トリチェリによる気圧計の原理の説明は、1644年6月11日の日付のあるミケランジェロ・リッチあての手紙で初めて示されている。
^ BIPM – Resolution 4 of the 10th CGPM