人造皮革

人造皮革の靴
人造皮革(じんぞうひかく)は、皮革に似せて作られた人工素材。
人造皮革に対し、本来の皮革を天然皮革、本皮という。合成皮革、人工皮革は別物であるが一般的に混同されており共に俗称として合皮と呼ばれる。動物の犠牲を避ける菜食主義者向けのヴィーガンレザーとして需要が高まっている。
目次
1 種類と製法
2 特徴
2.1 長所
2.2 短所
3 歴史
3.1 人造皮革
3.2 人工皮革
3.3 植物性の代替レザー
4 脚注
5 関連項目
6 外部リンク
種類と製法
合成皮革(ごうせいひかく)と人工皮革(じんこうひかく)に分けられる。
合成皮革は、天然の布地を基材とし、合成樹脂を塗布したものである。
- 人工皮革は、マイクロファイバーの布地(通常不織布)に合成樹脂を含浸させたものを、そのまま使うか、それを基材とし合成樹脂を塗布したものである。衣類や靴に使われるのは主に人工皮革である(クラレ社のクラリーノなど)。
塗布剤にはポリ塩化ビニル(ビニール、PVC、Polyvinyl chloride、ポリビニールクロライドと表記)やポリウレタン(PUやPolyurethane、ウレタン樹脂、ウレタンゴムと表記)が、含浸剤にはポリウレタンがよく使われる。
また、表面加工により、スエード(起毛)と銀面に分けられる。
特徴
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人造皮革に対する特徴は次のとおり。
長所
- 大きさ・形の制約がない。
品質が均一である。
動物を殺さないため、動物の権利などの倫理上の問題がない。
安価である。
水をはじくため、汚れにくい。
洗濯が容易。例外はあるが、通常のドライクリーニングで洗濯できる。
染色が容易。
なめし工程が不要なため、汚水問題がない。
短所
- ポリウレタンを使ったものは、ポリウレタンに耐久性がないため、数年で劣化する。特に高温多湿に弱い。
- PVCを使ったものは、接触した状態で長期間保存するとくっついてしまう。
- 製法・素材にもよるが、肌触り、通気性、長期間使用したときの馴染み感が劣るものもある。
- 製品のほぼ全てが石油製品であるため、総じて火に大変弱い。
歴史
人造皮革
人造皮革は、1850年代ごろから登場した。
初期の人造皮革でよく知られたものはファブリコイド(Fabrikoid)で、当初はファブリコイド社が、1910年からはファブリコイド社を買収したデュポンが製造した。天然の布地に多層のニトロセルロースを塗布したもので、自動車のシートや屋根などに使われた。
第二次世界大戦後は、ノーガハイド(Naugahyde)などの、PVCを塗布する合成皮革が主流になった。しかしまだ通気性がなく、衣類や靴には使えなかった。
1963年、デュポンは通気性の高いコルファム(Corfam)の靴を発売した。翌年のニューヨーク万博などで大掛かりな広告キャンペーンを展開したが、大きく普及はしなかった。
人工皮革が登場したのはその後のことである。
人工皮革
日本の人工皮革は1964年にクラレがクラリーノとして販売を開始し、1970年に東レがエクセーヌを販売開始した。
日本では旭化成せんい、クラレ、帝人コードレ、東レの4社が人工皮革を製造・販売している。
人工皮革には本革のように艶のある銀面タイプと起毛したスエードタイプがあり、代表的な商品ではクラレの「クラリーノ®」と帝人コードレの「コードレ®」は銀面タイプ、旭化成せんいの「ラムース®」、クラレの「アマレッタ®」と東レの「エクセーヌ®」はスエードタイプを主力にしている。
スエードタイプは自動車用内装材として多く用いられ、東レのエクセーヌ(イタリア製がアルカンターラ®、日本製がウルトラスエード®のブランド名を使用)、旭化成せんいのラムース®等がある。
植物性の代替レザー
コルク・レザー:コルクの木の樹皮から作られた革
Ocean leather:ケルプ(昆布)から作られた革
Pinatex(en):パイナップルの葉から作られた革
MuSkin:キノコから作られた革
脚注
関連項目
- アニマル柄
外部リンク
- 日本化学繊維協会 VOL.16 人工皮革
- 日本化学繊維協会 VOL.23 自動車資材
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