アバンギャルド









アバンギャルド、または、アヴァンギャルド(仏: avant-garde[1]、また漢語表現で「前衛」と呼ばれているものについて解説する。




目次






  • 1 概要


  • 2 前衛美術


  • 3 前衛音楽


  • 4 前衛演劇


  • 5 前衛文学


  • 6 前衛映画


  • 7 前衛舞踏


  • 8 前衛書道


  • 9 前衛生け花


  • 10 前衛芸術の例(世界)


  • 11 前衛芸術の例(日本)


  • 12 出典/脚注


  • 13 参考文献


  • 14 関連項目





概要


「アヴァンギャルド」は、フランス語でもともと「前衛部隊[† 1]」を指す語であり、転じて「最先端に立つ人」、そして芸術の文脈においては、《革新的な試み》や《実験的な試み》(またそれを行う芸術家)を指すようになった。


美術・音楽・映画・演劇・舞踏・文学・書道・生け花など、それぞれの分野に「アバンギャルド」と呼ばれる表現や表現者が存在する。


漢字表現に翻訳する場合は「前衛」とし、ジャンル名を組み合わせ「前衛芸術」「前衛美術」「前衛音楽」「前衛文学」...などの用語・概念がある。


avant-gardeがもともと軍事用語を引用したことからもわかるとおり、「何かへの攻撃の先頭に立つ」というような、政治的ニュアンス、挑戦的な姿勢を示す言葉である。(たとえば、旧世代に属する芸術、保守的な権威、資本主義体制など、様々なものへの挑戦する姿勢戦いを挑む気概などを含んでいるものを指す用語・概念である。)


政治的ニュアンスを含んだ言葉としての最初の使用例はアンリ・ド・サン=シモン[2]の著作『新キリスト教(Le Nouveau Christianisme)』(1825年)とされている。ロシア革命前後に起こったロシア・アヴァンギャルド[3]は、革命を象徴する芸術活動として活発な活動を行った。


1960年代がアバンギャルドの全盛期であった。保守化が目立った1980年代には、「"前衛"は(もう)古い」と見なすような風潮が見られたが、21世紀に入ってから再評価され、復活してきている。


類義語

「avant-garde」の類語に「experimental...(実験...)」がある。



「avant-garde」と「contemporary~」との相違点

「contemporary~ コンテンポラリー~ (現代~)」が類語として用いられることもあるが、「contemporary」は単に「現代(同時代)」でしかなく、基本的に「時」や「時代」で線引きしているにすぎず、場合によっては、既存の価値観やシステムにすっかり屈服してしまった、なんら革新性の無いものですら含みうる。


よって、「avant-garde」(既存のものに挑戦する姿勢を指す概念)と 「contemporary」とは、そもそも根本の概念が異なっている。


たとえばある時代の映画の現場全体が「前衛」の気質に満ちていると、その時代の「現代映画」は「前衛美術」でありうるが、その時代の映画の現場が反骨精神を欠いていたら(たとえば、その時代の映画が既存の権益に迎合して、たとえば営利主義に満ちていたりしたら)その時代の「現代映画」は「前衛映画」とは異なっている、という関係になる。 1960年代 - 1960年代は「現代~」という表現を 「前衛~」という表現を ほぼ同義語として用いることができたが、それは1960年代が(「折しも」あるいは「たまたま」)前衛芸術の全盛期だったからである。類義語と見なせたのは、たまたまのことで、あくまで過去の話である。 その後、世の風潮が、既存の価値観に迎合的になってしまった近年では「現代~」と「前衛~」は、しばしば、指す活動内容や、指す芸術家のリストが異なっている。



前衛美術


前衛美術では、シュルレアリスムや抽象絵画などを指す場合が多い。日本の画家・彫刻家 草間彌生は、1960年代に「前衛の女王」と呼ばれたが、のちに勲章を受章しているように姿勢が変わった。漫画では、つげ義春などに始まる「ガロ系」と称される一群の漫画家が存在した。



前衛音楽


音楽の分野では、ピエール・ブーレーズ、フランク・ザッパ、ルー・リード、キャプテン・ビーフハート、カールハインツ・シュトックハウゼン、ジョン・ケージ、オーネット・コールマン、アルバート・アイラー、デレク・ベイリー、ムーンドッグらが、アバンギャルドな音楽家として知られている。




前衛演劇


寺山修司の天井桟敷や、劇団黒テントなどが1960年代の激動の時代を反映した、アングラ演劇を上演した。現在でも月触歌劇団や演劇実験室◎万有引力、J・A・シーザーらが、寺山のスピリットを引き継いだ演劇を発表している。



前衛文学


日本では、埴谷雄高の『死靈』などがこれにあたる。




前衛映画


アレハンドロ・ホドロフスキーや大島渚、寺山修司、若松孝二、松本俊夫らが、前衛映画の監督としてあげられる。




前衛舞踏


舞踏の分野では、土方巽、大野一雄、伊藤ミカらが活躍した。暗黒舞踏も、この分野に含まれる。



前衛書道


前衛書道は太平洋戦争後に新しい芸術観に基づいて起こった、書道芸術運動による新しい書道の分野。運動の先駆者には上田桑鳩や宇野雪村、比田井南谷があげられる。
その後も発展し、現在も盛んに書かれている分野である。「墨象(ぼくしょう)」とも呼ばれる。



前衛生け花


中川幸夫による前衛生け花が知られている。中川は、日曜美術館にも出演した。



前衛芸術の例(世界)



  • フルクサス

  • バウハウス

  • ドグマ95



前衛芸術の例(日本)




  • 月刊漫画ガロ(ガロ系作家ら)


  • 具体美術協会(吉原治良ら)


  • マヴォ(村山知義ら)

  • ネオ・ダダイズム・オルガナイザーズ

  • アートの産道

  • ATG

  • ハイレッド・センター

  • 暗黒舞踏

  • 九州派

  • トマソン

  • ゼロ次元

  • 岡本太郎

  • 猪熊弦一郎

  • アックス



出典/脚注




  1. ^ 英語の vanguard または advance guard にあたる。


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  1. ^ http://www.dictionary.com/browse/avant-garde


  2. ^ http://www.britannica.com/biography/Henri-de-Saint-Simon


  3. ^ http://www.moma.org/calendar/exhibitions/1668




参考文献



関連項目



  • ロシア・アヴァンギャルド

  • シュルレアリスム

  • ダダイスム

  • ネオ・ダダ

  • ポップアート


  • 草間彌生 - 日本の前衛芸術家。

  • アンディ・ウォーホル

  • ロイ・リキテンスタイン

  • ヴァンガード









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