ボランティア














タンカーからの事故で汚染された海岸の清掃ボランティア




選挙活動のボランティア




ボランティアによる災害現場での土砂除去


日本において、ボランティアとは一般的に、自発的に他人・社会に奉仕する人または活動を指す。ボランティア活動の基本理念は、公共性、自発性、無償性、先駆性である。まれに暗黙の了解や周りの雰囲気により強制させられる[1]


奉仕活動については「チャリティー」の項目を参照。




目次






  • 1 語源・原義


  • 2 世界各国のボランティア


    • 2.1 米国


    • 2.2 ロシア


    • 2.3 日本


      • 2.3.1 観光客的ボランティアへの批判




    • 2.4 韓国


    • 2.5 イギリス


    • 2.6 オーストラリア




  • 3 脚注


  • 4 参考文献


  • 5 関連項目


  • 6 外部リンク





語源・原義


聖書の副詞形ヴォルンターテ「自ら進んで」の語源は動詞「volo(ヴォロ)」(「欲する」「求める」「願う」の意)である。ラテン語ヴォルタースから英語の volunteer が誕生した[2][3]。ボランティア活動において、交通費や実費、その他経費を受け取る活動を有償ボランティアと称する例も存在する[4]。英語の volunteer の語の原義は志願兵であり、「ボランティアをする人」、「ボランティアをする」のほか、志願兵の意味もある。徴集兵を意味する drafts とは対義の関係にある。十字軍の際には「神の意思」(voluntas) に従うひとを意味した[5]



世界各国のボランティア



米国




米国での動物園ボランティア


超高齢社会に向かいつつある社会背景の中でアメリカでは定年退職者や高齢者の社会参加の一環として、若者の開発途上国でのボランティアを平和部隊として組織した先例に倣って、高齢者が学校や障害者、引きこもりの児童などに社会的なボランティアを展開するのをアメリコー(AmeriCorps、アメリカ部隊)と名づけて、連邦政府から経済支援を与えることにした。


アメリカでは、州によって高校生、大学生の時期に5,000時間ほどボランティアに従事すると就職のためのキャリア形成につながるというシステムがある。ボランティアを募集する機関とボランティアをしたことを認定する機関や認定資格者が制度的に確立していて、一定の活動条件を満たした場合に本人にボランティア認定証が発行される



ロシア


ロシアで開催された2018 FIFAワールドカップのボランティアの活躍でロシアの印象が前後で一変したと評価されている。現地取材した記者は頼りになるボランティアスタッフの存在の大きさを指摘している。大学生を中心としたロシアのボランティアスタッフがスムーズな英語を話せたこと、スタジアムだけでなく駅や空港、繁華街などで積極的なサービスが印象的だったと述べている[6]



日本


「ボランティア」、「NPO」は2002年1月18日に株式会社角川グループホールディングス(当時は、株式会社角川書店)が商標登録出願、2003年4月25日に登録されたが、2005年5月10日に商標登録を取消されている。2012年に日本の厚生労働省が日本国内のボランティア活動者を対象として実施した調べでは、最大のボランティア人材源となっているのは主婦層および高齢者層である[7]


1995年の阪神・淡路大震災では全国から大勢のボランティアが被災地に駆けつけたことから、「ボランティア元年」とも呼ばれる。当該震災の日(1月17日)を「防災とボランティアの日」としている。東日本大震災で罹災した男性が恩返しとして災害ボランティア活動に参加するようになり、熊本地震、西日本豪雨、北海道胆振東部地震の復興に助力している。このように被災した過去のある人々が恩返しとして他の被災地でボランティア活動や支援活動に参加する動きが国内に広がっている[8][9][10][11][12][13][14][15][16][17][18][19][20][21][22]




































災害ボランティアの概数[23]
災害
人数
集計期間

阪神淡路大震災
138万人
1995年1月 - 1996年1月

新潟県中越地震
8万人
2004年10月23日 - 2005年3月31日

新潟県中越沖地震
3万人
2007年7月 - 12月

東日本大震災
102万人
2011年3月 - 12年3月

広島土砂災害
4万人
2014年8月 - 12月


観光客的ボランティアへの批判


兵庫県西宮市の今村岳司市議会議員(当時)は、阪神・淡路大震災での被災体験を振り返り「ボランティアは、被災者が食うべきものを食い、被災者が飲むべき水を飲み、被災者が寝るべきところで寝(た)」と述べ、当時のボランティアのことを「観光気分で来た自分探し」「ただの野次馬観光客」「人から感謝されることを楽しみにやってきただけ」等とし、「要はプロに任せること」「被災地に必要なのは、プロだけで」あり[24]、「部隊の指揮下で日本のために自分を犠牲にできる人だけが、「ボランティア=義勇兵」として現地入りすべき」だと述べた[25]



韓国


2018年冬季平昌オリンピックでは約1万8千人のボランティアが参加したが、温水が出ない、宿舎から三時間など問題[26]が発生して約2000人が途中離脱した。会組織委員会の李熈範会長は「交通サービスが不十分で、食事なども宿舎によって差があった」と謝罪し、改善のために最善を尽くしていると述べた。また文在寅大統領が、自身のフェイスブックに「ボランティアの皆さん 愛しています」となだめるなど異例の事態となった。しかし、日本からは外国語大学の大学生など応募して2017年9月の研修に参加した約280人から語学力審査に合格した約100人がボランティア活動をした。事前研修が韓国語だけなど問題もあったが、「大学で学んでいる英語と韓国語を生かしたい」「専攻の英語でたくさんの人の役に立ちたい」「大学で身につけた知識や語学力を生かしながら、多くの国の人たちと交流ができる」「英語とスポーツを結びつけた仕事ができる機会」とのボランティア活動を決めた思いを明かしている[27][28][29][30][31]。英語と韓国語が堪能なトリリンガンルの女子大生は日本の報道で言われているほど酷くなかったと日本の記者に語っている。大量離脱は極寒の中でバスが予定時間を過ぎていくら待っても来なかったことなどが原因だった。ボランティアの韓国人女性は記者の質問に「当初は現場と本部との意思の疎通ができていなかったようですが、改善されました。大会が始まった今はもう皆、一生懸命仕事をしてくれている」と述べている[26][31]。記者からの「通訳ボランティアをして良かったことは何か」との質問にトリリンガルの日本人女子大生はネーティブの人と直接コミュニケーションが取れることだと強調し、トイレットペーパーは流してはいけないことなど日本との文化の違いや日本の良さも知れたと語っている。別の日本から来た女子学生はボランティアに初参加だったが、外国の老若男女と直接交流したことをとても良い経験が出来ていると語っている。彼女はスポーツを生で観戦したこともなかったが、ボランティアとして生でスピードスケートを見た際に会場に足を運んで見ることの楽しさもを明かしている[26]。週刊文春は大会を問題続きだと評価したが、ボランティアスタッフに対する評価では世界各国から好意的な評価されていることを紹介している。特に過去にオリンピックを取材したことのある記者の間では、特に高評価だとの声を伝えている[32]。朝日新聞記者は何年か後に平昌五輪で思い浮かべることに、「困ったですか。(戻ってきて)良かったですね」と記者の紛失物を手渡しながらのボランティアの温かい笑顔との記事を寄稿している[33]



イギリス


1948年にイギリスで開催されたロンドン五輪オリンピックがオリンピックボランティアの始まりである[34]。2012年夏季ロンドンオリンピック・パラリンピックでは開催の2年前である2010年9月から募集が開始され、応募してきた24万人の中から書類選考などを経て最終選考に残った8万6000人に対して面接が行われ、その中から面接審査に合格した約7万人が参加している[34][35]。ラフバラ大学Globalization and Sports修士の川部亮子はイギリス国内でスポーツに関連するボランティアのイメージが大会前より身近になったことを評価した一方で、審査に合格出来なかったために興味を持ってボランティアに応募したのに活かされなかった人々が沢山いたことを指摘している[36]



オーストラリア


2000年夏季シドニーオリンピックでは5万人のボランティアが参加した。自らシドニーの事務局に自己アピールをしてボランティアに選ばれたというオーストラリア国外からのボランティア参加者も少なからずいたと報道されている[35]。大学院在学中に日本から参加した女性はオリンピックボランティアについて非日常空間として、「学校に通ったり、仕事をしたりしている中では味わえない経験が出来た」「1カ月間お祭りをやっている空間に当事者の人としていられるのは、ものすごく刺激的な経験」と述べている。シドニーオリンピックのボランティアの年齢構成については大学生を中心に若年層とリタイア世代の高齢者が多かったと明かしている[37]



脚注





  1. ^ “生涯学習審議会「今後の社会の動向に対応した生涯学習の振興方策について(答申)」の送付について”. 文部科学省. 2018年8月22日閲覧。


  2. ^ 「ボランティア」の源流は聖書が起点である―『石巻かほく』つつじ野 (2017年11月21日付)


  3. ^ 岩村義雄 (2016年5月1日). 「キリスト教とボランティア道」 ―水平の<運動>から,垂直の<活動>に― (Speech). 東京大学本郷キャンパス. http://kicc.sub.jp/wp-content/uploads/2016/05/33ddbe942723595e25a1137ecc35bf3c.pdf 2018年6月30日閲覧。 


  4. ^ ボランティアについて (PDF)”. 厚生労働省 社会・援護局 地域福祉課. 2018年8月22日閲覧。


  5. ^ 八木雄二『神を哲学した中世』新潮選書p.71


  6. ^ W杯前後で印象が一変、現地取材記者が経験したロシアのおもてなし


  7. ^ 付属資料4. 高齢者の社会参画についての企業やNPO等の実態に関する既存調査一覧 内閣府共生社会政策統括官


  8. ^ “泥かきやごみ撤去に汗 被災地でボランティア活動本格化” (日本語). 日本経済新聞 電子版. https://www.nikkei.com/article/DGXMZO33010840U8A710C1AC1000/ 2018年9月16日閲覧。 


  9. ^ “茨城・常総から真備へ「恩返し」 15年被災時にボランティア支援” (日本語). 山陽新聞デジタル|さんデジ. http://www.sanyonews.jp/article/753288/1/ 2018年9月16日閲覧。 


  10. ^ “神戸新聞NEXT|総合|「9年前の恩返し」 佐用町民、豪雨被災地に支援のタオル” (日本語). www.kobe-np.co.jp. 2018年9月16日閲覧。


  11. ^ “東北や神戸から真備へ「恩返し」 ボランティア2千人が復旧支援” (日本語). 山陽新聞デジタル|さんデジ. http://www.sanyonews.jp/article/751673 2018年9月16日閲覧。 


  12. ^ “西日本豪雨:「困った時はお互い様」恩返しのボランティア - 毎日新聞” (日本語). 毎日新聞. https://mainichi.jp/articles/20180730/k00/00e/040/219000c 2018年9月16日閲覧。 


  13. ^ “西日本豪雨:被災地へ「恩返し」 住宅無償貸与など 県内で支援広がる /栃木 - 毎日新聞” (日本語). 毎日新聞. https://mainichi.jp/articles/20180712/ddl/k09/040/207000c 2018年9月16日閲覧。 


  14. ^ “「大雪の恩返しを」豪雨被災地へ 舞鶴市に福井県からボランティア | 社会 | 福井のニュース | 福井新聞ONLINE” (日本語). 福井新聞ONLINE. http://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/620935 2018年9月16日閲覧。 


  15. ^ “<西日本豪雨>宮城からも続々とボランティア 汗だくで作業、思いは一つ「震災支援の恩返しを」” (日本語). 河北新報オンラインニュース. https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201807/20180724_13015.html 2018年9月16日閲覧。 


  16. ^ “梅パワー届け 恩返し” (日本語). YOMIURI ONLINE(読売新聞). (2018年9月13日). https://www.yomiuri.co.jp/local/wakayama/news/20180913-OYTNT50123.html 2018年9月16日閲覧。 


  17. ^ “3連休でボランティア続々 北海道地震の被災地” (日本語). 47NEWS. https://www.47news.jp/news/2769138.html 2018年9月16日閲覧。 


  18. ^ “被災地でボランティア“始動” 広がる“支援の輪” - FNN.jpプライムオンライン” (日本語). FNN.jpプライムオンライン. https://www.fnn.jp/posts/00400674CX 2018年9月16日閲覧。 


  19. ^ “北海道地震:宮城から80歳の恩返し ボランティア続々と - 毎日新聞” (日本語). 毎日新聞. https://mainichi.jp/articles/20180916/k00/00m/040/090000c 2018年9月16日閲覧。 


  20. ^ INC., SANKEI DIGITAL (2018年9月12日). “【北海道震度7地震】列なすボランティア希望者 冷え込む中、被災者の力に” (日本語). 産経ニュース. https://www.sankei.com/affairs/news/180912/afr1809120005-n1.html 2018年9月16日閲覧。 


  21. ^ “受けた恩、他の被災地へ 愛媛県にボラバス運行、土のう袋寄付 - 大分のニュースなら 大分合同新聞プレミアムオンライン Gate”. https://www.oita-press.co.jp/1010000000/2018/09/13/JD0057308948 2018年9月16日閲覧。 


  22. ^ “西日本豪雨:熊本地震で被災のボランティア、汗ぬぐって恩返し - 毎日新聞” (日本語). 毎日新聞. https://mainichi.jp/articles/20180715/ddm/041/040/052000c 2018年9月16日閲覧。 


  23. ^ 「惨禍語り継ぐ 阪神大震災20年=下=」2015年1月15日日本経済新聞朝刊39面


  24. ^ あの恐怖と屈辱は、記憶よりさらに奥に刻みつけられてしまっている。


  25. ^ それでもなにかできることを。~昨日の続編

  26. ^ abc“大学生ボランティアが語る平昌のプライスレスな経験 - 直撃!冬季五輪 - 五輪コラム : 日刊スポーツ” (日本語). nikkansports.com. https://www.nikkansports.com/olympic/pyeongchang2018/column/murakami/news/201802210000449.html 2018年9月15日閲覧。 


  27. ^ INC., SANKEI DIGITAL (2018年2月1日). “【平昌五輪】環境劣悪… ボランティア2000人離脱 温水出ない、宿舎まで3時間” (日本語). 産経ニュース. https://www.sankei.com/pyeongchang2018/news/180201/pye1802010014-n2.html 2018年9月15日閲覧。 


  28. ^ “平昌五輪で通訳ボランティア、日本の7外大100人出発:朝日新聞デジタル” (日本語). 朝日新聞デジタル. https://www.asahi.com/articles/ASL1015KNL1ZUTIL05Z.html 2018年9月15日閲覧。 


  29. ^ “足りない情報、苦心の平昌ボランティア 笑顔に励まされ:朝日新聞デジタル” (日本語). 朝日新聞デジタル. https://www.asahi.com/articles/ASL2W547YL2WUHBI01S.html 2018年9月15日閲覧。 


  30. ^ “大学倶楽部・神田外語大:平昌五輪ボランティアリポート - 毎日新聞” (日本語). 毎日新聞. https://mainichi.jp/univ/articles/20180305/org/00m/100/064000c 2018年9月15日閲覧。 

  31. ^ ab“平昌五輪で日本人ボランティアも大活躍!環境は?雰囲気は?…現場の声聞いてみた” (日本語). スポーツ報知. (2018年2月11日). https://www.hochi.co.jp/topics/20180210-OHT1T50238.html 2018年9月15日閲覧。 


  32. ^ “極寒と不安山積の平昌五輪だが……。現場のボランティア、市民は温かい。(松原孝臣)” (日本語). Number Web - ナンバー. https://number.bunshun.jp/articles/-/829880?page=3 2018年9月15日閲覧。 


  33. ^ “平昌での取材、思い返すのはきっとボランティアの笑顔:朝日新聞デジタル” (日本語). 朝日新聞デジタル. https://www.asahi.com/articles/ASL2J5VYML2JUTQP02D.html 2018年9月15日閲覧。 

  34. ^ ab“世界の人々を迎える五輪ボランティアの仕事とは” (日本語). ニコニコニュース. http://news.nicovideo.jp/watch/nw792988 2018年9月15日閲覧。 

  35. ^ ab“五輪ボランティアスタッフに学ぶ、従業員満足度と顧客満足度の連係。(葛山智子)” (日本語). Number Web - ナンバー. https://number.bunshun.jp/articles/-/545535 2018年9月15日閲覧。 


  36. ^ “五輪ボランティア。その経験の活かし方とは?2012ロンドン大会から学ぶこと。~若松千枝加(留学プレス編集長)” (日本語). 留学プレス(PRESS)|留学・旅・グローバル教育のニュースサイト. (2018年2月16日). http://www.ryugakupress.com/2018/02/16/tokyo2020-4/ 2018年9月15日閲覧。 


  37. ^ “ボランティア体験記 〜ボランティア経験者にインタビュー〜 第1回 | 東京ボランティアナビ―東京2020大会に向けたボランティアウェブサイト―” (日本語). 東京ボランティアナビ―東京2020大会に向けたボランティアウェブサイト―. http://www.city-volunteer.metro.tokyo.jp/jp/about/interview/experience/index.html 2018年9月15日閲覧。 




参考文献



  • 田尾雅夫・川野祐二『ボランティア・NPOの組織論』学陽書房、2005年

  • マルフリート-マリー・ホファート著 『世界のボランティア事情各国の歴史と実例』 アルク出版、2002.10発行。

  • IAVE 『第11回IAVEアジア太平洋地域ボランティア会議 2007年会議報告書』 IAVE、2007年

  • 加藤基樹編『0泊3日の支援からの出発 早稲田大学ボランティアセンター・学生による復興支援活動』早稲田大学出版部(早稲田大学ブックレット<「震災後」に考える>)、2011年



関連項目



  • 学校支援ボランティア

  • 災害ボランティア

  • プロボノ

  • チャリティー

  • 国際ボランティア学会

  • 国際ボランティア・デー

  • 特定非営利活動法人



外部リンク



  • ボランティア活動 厚生労働省




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