弾帯
弾帯(だんたい)は、以下の意味で用いられる[1]。
機関銃の銃弾を連結した帯(Ammunition belt)。- 銃弾を収納して身に着ける帯(Bandolierなど)。
- 銃弾や砲弾に自旋運動を行わせるために、弾丸に装着した帯(Driving band)。
目次
1 弾帯(Ammunition belt)
1.1 種類
2 弾帯(Bandolierなど)
3 弾帯(Driving band)
4 脚注
5 関連項目
弾帯(Ammunition belt)

弾帯で繋がれた12.7x99mm NATO弾
横一列に並べた銃弾を、布や金属製のベルトでつなげたものである(Ammunition belt)。銃弾をベルト状とし、携帯運搬する場合にも使われた。リンクベルトやベルトリンク、あるいはリンクとも呼ぶ[2]。
弾倉式に比べると装弾数が大幅に増やせるが、一列に長く延びるので携帯性に劣る傾向がある。このため、機関銃の中でも重機関銃や汎用機関銃のようなあまり移動が行われない銃器で使用される。また、弾帯をそのまま地面などに付けて銃を撃つと弾帯が何かに引っ掛かったり泥や異物がこびりつく可能性があるため、大抵は銃の横ないしは下に弾帯ごと弾丸を収納する金属製の箱かドラム式マガジンを取り付けて運用する。
金属製非分離式弾帯では、使用済みのリンクが分離せずに反対側に長く垂れ下がる(PKM)
金属製分離式弾帯では、使用済みのリンクが分離する(ミニミ軽機関銃)
種類
布製(Fabric belt)
機関銃開発の初期から第二次世界大戦頃まで多用されたもの。2枚の細長いキャンバス地の布を縫い合わせ、その間に銃弾が差し込まれている。第一次世界大戦では航空機用機銃にも使われたが、撃ち終わった分が風にたなびいて危険なため、その巻き取り装置も必要となった。地上用としても同じく邪魔となり、汚れると給弾不良の原因となった。
金属製非分離式(Metallic belt)- 金属製非分離式弾帯は、個々のリンクがワイヤーなどで繋ぎ合わされており、弾丸が抜き取られても分離はしない。ただし、金属製非分離式弾帯でも個々の弾帯の両端部分は金属製分離式弾帯と同じ構造になっており、弾帯同士を弾丸で繋ぎ合わせることが可能になっている。
- 再装填には弾帯に弾丸を装着するだけで良いので、弾帯の再利用が容易である。ただし、撃ち終わった弾帯が給弾口と反対側から垂れ下がるので、携帯性にやや劣る。
- 金属製分離式(Metallic link belt)
- 金属製分離式弾帯は、弾丸とリンクが自転車のチェーンのようにつなぎあわされていて、弾帯から弾丸が抜き取られるごとにリンクが外れて分離する。
銃の給弾口と反対部分から使用済み弾帯がはみ出ないため、弾帯が何かに引っ掛かる可能性が下がり携帯性は改善される。リンクを並べて弾丸を装着するのに手間がかかるうえ、戦闘で散らばったリンクを回収するのは実質的に不可能なため、使い捨てとなる。リンクと弾丸のつなぎ合わせは弾丸工場で行われ、リンク装着済みの状態で前線に供給される。
第二次大戦中には、アメリカ、イギリス、ソ連の地上用重機関銃で布製弾帯、ドイツで金属製非分離式弾帯が、戦後の地上戦用の機関銃では、アメリカを中心とする西側陣営では金属製分離式弾帯、ソ連・ロシアを中心とする東側陣営では金属製非分離式弾帯がそれぞれ主流となっている。この内、現在の東側陣営で主流である金属製非分離式弾帯は、東側陣営でライフル弾や軽機関銃弾として広く利用されている、リムとテーパーの大きい7.62x54mmR弾との相性が悪いという問題点を有しているが[3]、重機関銃弾として利用されている12.7x108mm弾や14.5x114mm弾はこうした問題の無いリムレス弾であるため、当面は変わることなく利用され続けると思われる[誰によって?]。
弾帯(Bandolierなど)
銃弾を収納して身に着ける帯(Bandolier)のほか、弾嚢や水筒、円匙といった各種個人装備を身体に固定する際に使用するベルト(Belt, Individual Equipment, いわゆるピストルベルト)も弾帯と呼ばれる[4][5]。

弾帯を身に着けたパンチョ・ビリャ
弾帯(Driving band)
ロシア製榴散弾
1度発射されたため、砲弾下部の銅合金製弾帯には線条痕が刻まれている
砲弾の側面にある帯状部分も弾帯と呼ばれる(Driving band)[2]。銅などの柔らかな金属で作られた帯状部分が砲身内面のライフリング(施条)の一部に食い込み、弾が砲身内を前進することによって弾体に飛翔軸を中心とする回転を与える。砲弾の飛翔経路に強く影響する砲弾の空中での姿勢は、この飛翔軸周りの回転によるジャイロ効果である程度保たれ、さらに空中の弾体は特定方向に横転することなく歳差運動を起こすことで空気から受ける抵抗が360度全方向で平準化される効果も得られる。これらの効果によって命中精度が向上する。
榴弾のような多くの砲弾は、硬度の高い鋼鉄製の弾殻からできているため、弾帯はそういった弾と砲身との隙間を塞いで発射ガスが前方に漏れるのを防ぎながら、できるだけ砲身の磨耗や摩擦抵抗を少なくする機能も果たしている。ただし、それほど完全に砲身に密着する訳ではなく多少の漏れは許容され、隙間を元々持つライフリングではそれが顕著である。また、ライフリングを持たない滑腔砲用の高速運動エネルギー砲弾でも、サボと呼ばれる分割式装弾筒の固縛を兼ねた樹脂製のリングによって、発射ガスの漏洩を防ぐ弾帯としての機能を果たしている(APFSDSを参照)。
弾帯はおおむね砲弾の後半部、または後端部に付いている。
脚注
^ デジタル大辞泉『弾帯』 - コトバンク
- ^ ab“防衛省規格 弾薬用語”. 防衛省. 2016年2月11日閲覧。
^ この点については、東側陣営を代表する汎用機関銃であるPKを参照
^ “聞くと難解な「自衛隊用語辞典」 第4回「ダンタイ」”. 自衛隊新潟地方協力本部. 2016年2月11日閲覧。
^ “防衛省仕様書改正票 弾帯”. 防衛省. 2016年2月11日閲覧。
関連項目
- 弾丸
- 弾倉
- 機関銃