一帯一路
シルクロード経済ベルトと21世紀海洋シルクロード | |||||||||||||||
一帯一路の地図 | |||||||||||||||
アジアインフラ投資銀行の加盟国 | |||||||||||||||
中国語 | |||||||||||||||
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繁体字 | 絲綢之路經濟帶和21世紀海上絲綢之路 | ||||||||||||||
簡体字 | 丝绸之路经济带和21世纪海上丝绸之路 | ||||||||||||||
英文表記 (意味) | The Silk Road Economic Belt and the 21st-century Maritime Silk Road | ||||||||||||||
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一帯一路 | |||||||||||||||
繁体字 | 一帶一路 | ||||||||||||||
簡体字 | 一带一路 | ||||||||||||||
英文表記 (意味) | The Belt and Road Initiative; BRI One Belt, One Road Initiative; OBOR | ||||||||||||||
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朝鮮語 | |||||||||||||||
ハングル | 실크로드 경제벨트와 21세기 해상실크로드 | ||||||||||||||
ベトナム語 | |||||||||||||||
ベトナム語 | Vành đai kinh tế đường tơ lụa và đường tơ lụa hàng hải thế kỷ 21 | ||||||||||||||
フランス語 | |||||||||||||||
フランス語 | La ceinture économique de la route de la soie et la route de la soie maritime du XXIe siècle | ||||||||||||||
ロシア語 | |||||||||||||||
ロシア語 | Экономический пояс Шелкового пути и морской шелковый путь 21 века | ||||||||||||||
ローマ字 | Ekonomicheskiy poyas Shelkovogo puti i morskoy shelkovyy put' 21 veka | ||||||||||||||
スペイン語 | |||||||||||||||
スペイン語 | El cinturón económico de la ruta de la seda y la ruta marítima de la seda del siglo XXI | ||||||||||||||
ポルトガル語 | |||||||||||||||
ポルトガル語 | O Cinturão Económico da Rota da Seda e a Rota da Seda Marítima do Século XXI | ||||||||||||||
日本語 | |||||||||||||||
日本語 | シルクロード経済ベルトと21世紀海洋シルクロード |
シルクロード経済ベルトと21世紀海洋シルクロード(シルクロードけいざいベルトと21せいきかいようシルクロード、中国語: 丝绸之路经济带和21世纪海上丝绸之路、拼音: 、英語: The Silk Road Economic Belt and the 21st-century Maritime Silk Road)とは、2014年11月10日に中華人民共和国北京市で開催されたアジア太平洋経済協力首脳会議で、習近平総書記が提唱した経済圏構想である。
略称は一帯一路(いったいいちろ、拼音: 、英語: The Belt and Road Initiative, BRI; One Belt, One Road Initiative, OBOR)。
目次
1 概要
2 近年の動向
2.1 上海協力機構参加国との協力
2.2 一帯一路国際協力サミットフォーラム
2.3 アジア金融協力協会
3 問題点
4 脚注
5 関連項目
概要
中国西部から中央アジアを経由してヨーロッパにつながる「シルクロード経済ベルト」(「一帯」の意味)と、中国沿岸部から東南アジア、スリランカ、アラビア半島の沿岸部、アフリカ東岸を結ぶ「21世紀海上シルクロード」(「一路」の意味)の二つの地域で、インフラストラクチャー整備、貿易促進、資金の往来を促進する計画であり[1]、インフラ投資計画としては史上最大規模とされ[2][3]、それぞれ2013年に習総書記がカザフスタンのナザルバエフ大学とインドネシア議会で演説したものである。
一帯一路構想のルートである中欧班列は、中国大陸とヨーロッパを繋ぐ世界最長の鉄道路線[4]の義烏・ロンドン路線と義烏・マドリード路線であり、2017年には列車は3673本運行された[5]。基本的にユーラシアランドブリッジ(亞歐大陸橋、英語: Eurasian Land Bridge)の浜州線や集二線を経由するトランス・ユーラシア・ロジスティクスなどが代表的だが、厳冬期での輸送などに適してないロシアを迂回するルートとして新ユーラシアランドブリッジ(新亞歐大陸橋、英語: New Eurasian Land Bridge)の北疆線やアゼルバイジャン、ジョージア、トルコを通るルートも開発されており[6]、テヘラン、マザーリシャリーフとも結ばれてる[7]。ヒューレット・パッカード[5]やBMW[8]といった欧米企業、伊藤忠商事や日本通運など日本企業もこれを活用してる[9][10]。
海洋では北極海航路、北米航路も第三のルートとして含まれている。ロシアのムルマンスクの埠頭を開発して、ヨーロッパ - ロシア - 日本 - 中国というルートである。これはロシアの大統領ウラジミール・プーチンが一帯一路と北極海航路の連結という形で提唱し[11]、中国は「氷上シルクロード」と呼んでいる[11]。「北有钏路 南有新加坡」(北の釧路 南のシンガポール)として日本の釧路港をアジアの玄関口、北のシンガポール港という位置づけで強い関心があることも公表されている[12][13]。中国遠洋海運集団はドイツから釧路港に穀物を輸送した他[14]、日本の商船三井は中国企業と合弁して北極海航路でロシアのLNGを運んでいる[15][16][17]。
貨物輸送だけでなく、旅客輸送のためのインフラストラクチャーも重視されており、日本の奄美大島の大型クルーズ客船寄港地計画にも、一帯一路の後押しがあるとされる[18]。また、さらに北京・モスクワ高速鉄道からアメリカ大陸と繋ぐ、高速鉄道構想もある世界的な物流網戦略でもあり、南米大陸横断鉄道などの構想がある中南米諸国とは「太平洋海上シルクロード」の構築で合意している[19][20]。
中国政府の李克強国務院総理は、沿線国を訪問し、支持を呼び掛けている。100を超える国と地域から支持あるいは協力協定を得ており[21]、さらに国際連合安全保障理事会[22][23]、国際連合総会[24][25]、東南アジア諸国連合、アラブ連盟、アフリカ連合、欧州連合、ユーラシア経済連合、アジア協力対話(英語: Asia Cooperation Dialogue, ACD)、ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体[20]、上海協力機構など多くの国際組織が支持を表明している[26]。李克強首相は「『一帯一路』の建設と地域の開発・開放を結合させ、新ユーラシアランドブリッジ、陸海通関拠点の建設を強化する必要がある」[27]としている。
そのため、諸国の経済不足を補い合い、アジアインフラ投資銀行(AIIB)や中国・ユーラシア経済協力基金[28]、シルクロード基金(丝绸之路基金、英語: Silk Road Fund)などでインフラストラクチャー投資を拡大するだけではなく、中国から発展途上国への経済援助を通じ、人民元の国際準備通貨化による中国を中心とした世界経済圏を確立すると言われている[29]。
2017年5月14日から15日にかけて北京では一帯一路国際協力サミットフォーラムが開催された。
2017年10月の中国共産党第十九回全国代表大会で、党規約に「一帯一路」が盛り込まれた[30][31]。
近年の動向
上海協力機構参加国との協力
2015年5月8日には習総書記はロシアのプーチン大統領と会談し、一帯一路をユーラシア経済連合と連結させるとする共同声明を発表した[32][33]。同年11月17日にロシアのプーチン大統領は、アメリカ合衆国の主導する環太平洋パートナーシップ協定を批判し、中国のシルクロード経済ベルトとロシアのユーラシア経済連合の連結がアジア太平洋の繁栄をもたらすとする寄稿文を世界のメディア各紙に行った[34]。
2016年6月17日のサンクトペテルブルグ国際経済フォーラムでプーチン大統領が中国・パキスタン・インド・イランなど上海協力機構の参加国を中心[35]に進めるとする「大ユーラシア・パートナーシップ」構想とその第一段階として中国のシルクロード経済ベルトとユーラシア経済連合の統合[36]を発表し[37]、25日のプーチン大統領の訪中から同構想が中露共同声明に盛り込まれて共同研究の準備と経済連携協定の交渉協議が開始された[38][39][40]。
2017年5月14日に、北京での一帯一路国際協力サミットフォーラムの開幕式でプーチン大統領は一帯一路、上海協力機構、ユーラシア経済連合などは同構想の基礎となると演説[41]し、同年7月には同構想の共同研究が開始され[42][43]、同年10月に経済連携協定の交渉は完了した[44][45]。
同年11月には、APECに向けてプーチン大統領が発表した論文でもユーラシア経済連合と中国の経済連携協定交渉の完了や大ユーラシア・パートナーシップは中国の一帯一路を基礎にすることが述べられ[46][47]、2018年5月17日に中国との経済連携協定とイランとの暫定自由貿易協定が締結された[48]。
2016年6月24日の中露蒙首脳会談では、モンゴルのツァヒアギーン・エルベグドルジ大統領が掲げる草原の道構想と一帯一路とユーラシア経済連合の連結を謳った「中国・モンゴル・ロシア経済回廊建設計画綱要」が調印され[49][50]、エルベグドルジの後任のハルトマーギーン・バトトルガ大統領も中国・モンゴル・ロシア経済回廊の建設で中露と一致してる[51]。
2017年6月のカザフスタンのアスタナの上海協力機構の首脳会議で、一帯一路への支持[52]などを掲げるアスタナ宣言が採択された。習総書記は「カザフスタン訪問の際に自ら打ち出した構想が今や100を超える国の賛同を得た」としてカザフスタンとの関係を重視しており[53]、カザフスタンのヌルスルタン・ナザルバエフ大統領も自らの掲げるヌルリ・ジョーリ(光明の道)構想は、シルクロード経済ベルトの一部[54]と認めて一帯一路と連結するとしてる[53][55][56]。
一帯一路国際協力サミットフォーラム
2017年2月、北京市で一帯一路国際協力サミットフォーラムを5月に開催すると発表し[57]、アントニオ・グテーレス国際連合事務総長ら70を超える国際機関代表団[58]やロシアのプーチン大統領ら29カ国の首脳[58]が出席を表明したのをはじめとして、世界130カ国超[58]の政府代表団が参加を決定した[59][60]。しかし、主要7か国(G7)は閣僚級などを出席させて首脳のほとんどは欠席し、出席したのはイタリアのパオロ・ジェンティローニ首相だけとなった[61]。
一帯一路を中国主導の巨大経済圏構想と警戒してアジアインフラ投資銀行参加を見送ってきた日米も、米国のドナルド・トランプ政権は同サミットにマット・ポッティンガーNSCアジア上級部長を団長とする代表団を派遣させており[58][62][63][64]、同サミットでポッティンガーは米国企業の参加準備と一帯一路の作業部会設置を表明しつつ透明性と民間資本の活用を主張した[65][66]。
トランプ大統領の上級顧問で、元中央情報局(CIA)長官のジェームズ・ウールジーはAIIBへの米国の不参加を前任のバラク・オバマ政権の「戦略的失敗」と批判[67][68]してトランプ政権は中国の一帯一路に「ずっと温かくなる」との見通しを述べていた[69]。
トランプの支援者であり、民間軍事会社のブラックウォーターUSAで有名な元アメリカ海軍特殊部隊SEALsのエリック・プリンスは中国政府系(中国中信集団公司)の警備・流通会社フロンティア・セキュリティ・グループの会長としてアフリカなどで一帯一路戦略を支援している[70]。トランプ政権になってから北京のアメリカ大使館などで米国企業と中国国有企業を集めた一帯一路での米中協力を謳う会合が行われるようになった[71]。トランプ大統領自身も一帯一路への協力について米国はオープンであると述べてる[72]。
トランプ大統領の訪中の際は、習総書記と一帯一路への協力で一致し[73]、成立した約28兆円の商談の中にはシルクロード基金とGEの共同投資プラットフォーム[74]など一帯一路関連のものもあった[75]。米国内ではカリフォルニア州知事のジェリー・ブラウン[76]などが独自に一帯一路構想への参加を表明しており、カリフォルニア州は作業部会を設立してる[77]。
日本国政府も安倍晋三内閣総理大臣は、今井尚哉内閣総理大臣秘書官[78]、松村祥史経済産業副大臣[58]、二階俊博自民党幹事長、榊原定征経団連会長[79]ら約50人規模[80]の官民代表団を出席させ、団長の二階幹事長は「日本も積極的に協力をする決意をもってうかがってる」[81]「日本は一帯一路に最大限協力する」[82]としつつ同サミットではインフラの開放性と公平性を主張した[83]。同行した松村経産副大臣もオープンかつ公正なインフラ整備を訴えた[84]。
二階俊博幹事長はAIIBについて「参加をどれだけ早い段階で決断するかだ」と発言し[85]、安倍首相はAIIBの日本参加について「公正なガバナンスが確立できるのかなどの疑問点が解消されれば前向きに考える」と述べ[85]、一帯一路については「国際社会共通の考え方を十分に取り入れる観点から協力したい」と述べ[86]、日中首脳会談でも習総書記に協力を表明してる[87][88]。中国政府は日本政府の一帯一路への協力的な姿勢を歓迎することを表明している[89][90]。
2017年8月には、自民党・公明党と中国共産党の間で行われた第6回日中与党交流協議会は、一帯一路への協力を積極的に検討するとする共同提言をまとめた[91]。民間でも日本経団連と経済同友会は「AIIBへの参加を前向きに検討すべき」と主張しており[92]、2017年11月に史上最大規模の財界訪中団が中国を訪れた際に、経団連などは一帯一路への協力のための窓口設置や共同研究体制を提言しており[93]、中国の日系企業は一帯一路連絡協議会を設置している[94]。
中国からも、経団連や安倍首相の一帯一路への協力に前向きな姿勢を歓迎され[95]、同年12月には安倍首相は自らの「自由で開かれたインド太平洋戦略」と一帯一路の連携を推進する意向を固め[96]、「一帯一路に大いに協力できる」「自由で開放的なインド太平洋戦略を推進するとともに中国の一帯一路により広範に協力する」などとも述べており[97][98]、軍事利用されかねない港湾開発は対象外に指定しつつ、日本国政府は一帯一路に関する第三国での日中民間経済協力指針を策定した[99][100][101]。
2018年1月22日に、安倍首相は施政方針演説で、アジアのインフラ整備で中国と協力することを表明して、中国政府から歓迎され[102]、一帯一路について「地域の平和と繁栄に貢献することを期待する。日本としてはこうした観点から協力していく」と述べ[103]、同年5月9日の李克強首相と安倍首相の会談で、一帯一路に関する第三国でのインフラ整備協力を具体化させる官民合同委員会など官民協議体の設置で合意し[104][105]、翌6月に第三国での日中インフラ整備協力をインフラシステム輸出戦略に盛り込み[106]、同年9月25日に北京で官民合同委員会の初会合を開催した[107]。
2018年10月、内閣総理大臣としては7年ぶりに安倍晋三の公式訪中で、官民フォーラムで第三国でのインフラ共同投資などを行うための52件の協力文書が交わされ[108]、習総書記は「一帯一路を共に建設することは、中日協力の新たなプラットフォーム」と述べた[109]。
AIIBへの参加申請を拒否[110]されるなど核実験をめぐり中国と関係冷却化が伝えられる北朝鮮からも金英才(キム・ヨンジェ)対外経済相が出席したが[111]、AIIBに参加した一方でTHAADミサイル配備をめぐって蜜月ではなくなったとされる韓国から参加するのは駐中国大使と対外経済政策研究院院長ら3名のみで閣僚級の招待状すら送られなかった[112][63]。しかし、2017年大韓民国大統領選挙でTHAADに批判的な文在寅政権が誕生した同サミット直前になって中国から正式な招待状がおくられたため[113]、韓国政府は代表団の派遣を急遽決定した[114]。文在寅政権では初となる韓国と北朝鮮の要人接触も同サミットで行われた[115]。中国がこの会議に国際社会から経済制裁を受けている北朝鮮を招いたことに対し、アメリカ合衆国政府は北京のアメリカ大使館を通じて強い懸念を表明した[116]。北朝鮮は5月14日、サミット開幕に合わせて弾道ミサイルを発射し、日本の安倍首相はこれを強く批判[117]、出席した二階幹事長も安倍首相と電話で対応を協議してサミットで抗議文を読み上げ[118]、フランスのメディアは北朝鮮のミサイル発射をサミット開幕への「祝砲」と報道した[119]
上海協力機構とAIIBの加盟国でもあるインドは2017年5月13日、一帯一路の一部である中国・パキスタン経済回廊が係争地のカシミールを通るとして「主権と領土保全における核心的な懸念を無視した事業計画を受け入れる国は1つもない」と批判する外務省声明を発表し[120]、一帯一路国際協力サミットフォーラムからのナレンドラ・モディ首相らへの招待を拒否[121]して世界で唯一公式にフォーラムをボイコットした国となった[122]。また、「支えきれない債務負担を地域に作り出す事業は行わないようにするという財務上の責任の原則に従うべきだ」とも述べ、中国がスリランカを借金漬けにしてることなどを念頭に牽制している[121]。同じく上海協力機構とAIIBの加盟国で一帯一路に参加するロシアは「個別に問題があっても政治的解決を他の全ての分野に結び付けてはならない。一帯一路からメリットを得る道を探せるだけの非常に賢明な政治家や外交官がインドにいると信じる」として友好国のインドに対して中国の一帯一路に協力するよう求めている[122]。2018年6月の青島での上海協力機構の首脳会議ではインドのモディ首相のみ一帯一路に支持を表明しなかった[123]。
なお、この会議には、シリア内戦中のアサド政権の閣僚級も招待されたことも注目された[124]。
アジア金融協力協会
2016年7月のボアオ・アジア・フォーラムで李克強首相が提唱し[125]、2017年5月11日に北京で設立された「アジア金融協力協会」は一帯一路構想との関連があるとされており[126]、邦銀からは三大メガバンクの三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行が加盟した[127]。
問題点
中華人民共和国から融資を受けても、財政の健全性や透明性といったガバナンスとコンプライアンスが無いために、莫大な債務を発展途上国が負わされて、土地を代わりに取り上げられることが問題になっている[128][129]。
マレーシアは、中国の国営企業から受けた融資が国営ファンドに利用された可能性と、過剰なコストの問題から4つ中3つを中断した。
パキスタンは、2015年に中国が世界に披露する一帯一路の象徴的プロジェクトとして始まった620億ドル規模の事業に、公的資金が投入されなければ継続不可能な莫大な借金をきたして、国際通貨基金(IMF)に救済金融を申請する危機に追い込まれている。また構想以前の2013年1月にはグワーダル港の操業権を中国に譲って海上輸送の要衝となっているが、インドは中国による軍事利用を警戒している。
スリランカは、建設費のほとんどを中国からの融資受け完成させたインフラに赤字が続き、中国への11億2000万ドルの借金帳消しの条件で、2017年12月に株式の70%を引き渡して、南部のハンバントタ港に99年間の港湾運営権を中国企業に譲渡する事態に追い込まれた。獲得した港の軍事目的が指摘されている。
ミャンマーの港湾事業も、中国の軍事的目的が疑われる事例として指摘されている。ウォールストリート・ジャーナルは、中国の大規模な資金支援で、ラオス、モルディブ、モンゴル、モンテネグロ、ジブチが大規模な負債の返済リスクに直面している状態だと報道している。
キルギスの場合、一帯一路のために国債の国内総生産(GDP)の割合が62%から78%に、ジブチは82%で91%に急騰と推定した。これらの問題の背景として、建設中のインフラは完成した後に中国に返済義務化されているが、事業採算性を判断する能力やノウハウが不足している途上国は、負債が積み重なっている事がある。
大韓民国の国民日報によると、中国の利益優先主義が背後にあることによって、中国の銀行から事業へ融資契約をしなければならないため透明性がなく、施工まで中国企業が行うために、中国にますます借金を負う仕組みになっている。中国国営の環球時報に名指しで批判されたインドの戦略研究家ブレーマ・チェラニーは、スリランカが中国に背負わされた負担を過小にしていること、日本によるプロジェクトの金利は0.5%なのに対して一帯一路など中国人によるものは6.3%もするスリランカの例を上げて、一帯一路は『債務のワナ』と指摘している[130][131][132][133][134]。
脚注
^ The Huffington Post 日本語版:「一帯一路」構想に浮かれる中国(2015年03月20日)
^ China building biggest infrastructure project in history
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関連項目
- 中国の夢
- 韜光養晦
- 中国製造2025
- シルクロード
- マーシャル・プラン
- アジアインフラ投資銀行
- 真珠の首飾り戦略
- 中遠海運港口
西安市 - 一帯の起点
泉州市 - 一路の起点- 蘭州拉麺
- アジア横断鉄道
- 中国ラオス鉄道
- ラサ・シガツェ鉄道
- カラコルム・ハイウェイ
- ハンバントタ港
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