パフォーマンスアート















ヨゼフ・ボイスによるパフォーマンス(1978年)


パフォーマンスアート(英: performance art)は、芸術家自身の身体が作品を構成し、作品のテーマになる芸術である。また、特定の場所や時間における、ある個人や集団の「動き」が作品を構成する芸術の一分野である。パフォーマンスアートは美術・視覚芸術の一分野であるが、絵画や彫刻等のような、物体が作品を構成する芸術とは異なったものである。




目次






  • 1 要素


  • 2 他の表現との関係


  • 3 歴史


  • 4 種類


  • 5 参考文献


  • 6 関連項目


  • 7 外部リンク





要素


パフォーマンスアートは時間、場所、パフォーマー(Performer)の身体、パフォーマーと観客との関係と、四つの基本的な要素を含むすべての状態において成立しうる。



  • その作品の行われる場所は美術館、ギャラリー、カフェ、劇場、路上など非常に多様である。

  • また行われる時間や長さも多様である。1回限りのものもあれば、何度も演じられるものもある。一瞬で終わるものもあれば、映画並みに長いものや果てしなく続くものもある。

  • パフォーマーは演劇とは違い、普通はキャラクターを演じず、芸術家自身としてパフォーマンスを行う。

  • 即興の場合もあれば、練られた脚本に従って練習を入念に行い演じられるものもある。そのストーリーは一般的な起承転結や物語りに属しないものもあるし、そもそもストーリーが全く存在しないものもある。また観客は一方的に見るだけでなく、参加や助力を頼まれたり、場合によっては危害を加えられることもあるなど、パフォーマンスに巻き込まれることが多い。



他の表現との関係


パフォーマンスアートという概念は、演劇・ダンス等の舞台芸術(パフォーミングアート、performing arts)、音楽、サーカス(火吹きやジャグリング等)、体操など、比較的主流の表現活動をも含むともいえる。実際に、これらの分野に越境しているパフォーマンスアーティスト(Performance artist)も多い。しかし、普通は、「パフォーマンスアート」という名のある種の芸術表現-視覚芸術の中から誕生した前衛美術やコンセプチュアル・アートの表現活動の一部を指すために使われている。パフォーマンスは大勢の人々に直接訴える方法であり、同時に人々にショックを与え自分達の芸術観や文化との関係を見直させる方法でもあった。



歴史


パフォーマンスアートという用語はいまや一般的な言葉になっているが、もともと使われ始めたのは1960年代、ヴィト・アコンチ(Vito Acconci)、ヘルマン・ニッチュ、ヨゼフ・ボイス、「ハプニング」の創始者アラン・カプローらの作品の出現と同時期である。欧米の研究者は、パフォーマンスアートの起源を20世紀初頭の前衛芸術に遡って考えることもある。代表的なものはダダイスムで、リヒァルト・ヒュルゼンベック(Richard Huelsenbeck)やトリスタン・ツァラ(Tristan Tzara)らによりキャバレー・ヴォルテールで開催された型にはまらない詩の朗読パフォーマンスなど、パフォーマンスアートの重要な創始者を生み出している。しかし、ルネサンス期の芸術家が行った公共の場でのパフォーマンスを、近代のパフォーマンスアートの祖先と考える議論もある。またパフォーマンスアーティストの中には、部族の伝統儀式からスポーツにいたるあらゆるものにその表現の起源を置いている者もいる。20世紀初頭のパフォーマンスアートとして、「リビング・スタチュー」(人間の銅像)があり、女優オルガ・デスモンドは当時としては珍しいヌードになって、銅像パフォーマンスを写真に記録している。現在もロシアのポスト・カードに、オルガの美しい裸体を見ることができる。パフォーマンスアートの活動は西洋芸術に限られるものではなく、アジア、ラテンアメリカ、第三世界や先住民出身者などに優れたアーティストが存在する。日本における先駆者としては具体美術協会などが挙げられる。



種類


パフォーマンスアートのジャンルには、ボディアート、フルクサス、メディアアートなども含まれる。ネオダダやウィーン行動主義派のアーティストらは、自らの活動を「ライブ・アート」「アクション・アート」「即興」などと呼ぶことが多かった。


パフォーマンスアートには、観客の前で生で上演するものだけでなく、カメラの前で行いその記録を写真やビデオに写す者(キャロリー・シュニーマン、シャーロット・モーマン、オノ・ヨーコ、マシュー・バーニー、シンディ・シャーマン、マリーナ・アブラモヴィッチ、森万里子など)、絵画のキャンバスの上で行う者(草間弥生、ジャクソン・ポロックやイブ・クライン、詩や言葉をオーディオヴィジュアル化するローリー・アンダーソン(英語版)や詩人で美術家でもある千葉節子、更には具体美術協会のようなアクション・ペインティングなど)もその一部といえる。パフォーマンス・アートはしばしばヌードで演じられる場合もあり、1960年代から1970年代前半にかけては、フェミニズムと結びついているケースもあった。また中には自分の身体に暴力を加える者(クリス・バーデン、マリーナ・アブラモヴィッチなど)、身体能力を誇示する者(マシュー・バーニーなど)、ギャラリーの床下で自慰行為を行ったコンセプチュアル・アートに近い者(ヴィト・アコンチ)もいる。



参考文献


『パフォーマンスアート・未来派から現在まで』 ローズリー・ゴールドバーグ (Performance Art: From Futurism to the Present、ISBN 0-500-20339-3)



関連項目



  • 前衛

  • 前衛芸術

  • コンテンポラリー・ダンス

  • 舞踏

  • 舞踏家

  • ヌード

  • ポエトリーリーディング

  • 美術モデル



外部リンク







  • パフォーマンス・アートとフェスティバルの時代 - セゾン文化財団

  • Performance Art in the Culture Jammer's Encyclopedia

  • http://the-mico-castles.com





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