航空機の離着陸方法
![]() |
この記事には独自研究が含まれているおそれがあります。問題箇所を検証し出典を追加して、記事の改善にご協力ください。議論はノートを参照してください。(2014年4月) |
![]() |
この記事は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。 出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。(2014年4月) |
この記事では離着陸方式にもとづいた航空機の分類と各分類の離着陸のあり様について解説する。
目次
1 垂直離着陸機
2 短距離離陸垂直着陸機
3 短距離離着陸機
4 垂直/短距離離着陸機
5 通常離着陸機
6 CATOBAR機
7 短距離離陸拘束着艦機
8 離陸方法のみ
8.1 空中発進
8.2 牽引発進
8.3 ロケット補助推進離陸・ジェット補助推進離陸
9 着陸方法のみ
9.1 橇着陸・胴体陸上着陸
9.2 ネット回収
10 係留塔係留
11 脚注
12 関連項目
垂直離着陸機
垂直離着陸機(VTOL機、Vertical TakeOff and Landing、ヴィトールき)は、ヘリコプターと同じように垂直に離着陸できる飛行機のことである。なお飛行船やヘリコプターを含む回転翼機はVTOL機とは言わない。
なお、実際にはほとんどの機体が、後述する短距離離陸垂直着陸機(STOVL機)として運用される。機体が最初から車輪を有さないなどの特別な事情でもなければ、離陸は滑走した方が燃料、携行重量の面で有利であることは当然であり、高地高温時の離陸重量減少を補う目的で、ヘリコプターですらこうした離陸方法をとっている。STOVL機として運用できないVTOL機は少なく、旧ソ連のYak-38などがある。
一方で降着装置の強度が垂直離着陸を前提として設計されているため、着陸時の滑走は不可能である。そのためVTOL機を後述する短距離離着陸機(STOL機)として運用する事は不可能である。
短距離離陸垂直着陸機

短距離離陸するハリアーの映像

垂直着陸するF-35Bの映像(ワスプへの着艦)
短距離離陸垂直着陸機(STOVL機、Short TakeOff/Vertical Landing、ストーヴルき)は短い距離で離陸でき、かつ、ヘリコプターと同じように垂直に着陸できる飛行機を指す。通常、STOVL機は垂直離陸機能を持っているが、実際に垂直離陸での運用を行うとペイロードが大幅に減少してしまううえ、垂直離陸には多量の燃料を消費するため、離陸時には短距離の滑走を行い、着陸時は垂直着陸を行う。
STOVL機は平面な空母甲板からでも発進可能で、実際にイギリス海軍がインヴィンシブル級航空母艦を就役させた当初は甲板は平面であった。しかしその後の研究で離陸時の滑走にスキージャンプ台を用いることでさらにペイロードや燃料消費の面で有利であることが確認されたため、インヴィンシブル級にはスキージャンプ台が後付けされ、その後各国がSTOVL機を艦載機として運用する軽空母にもほとんどにスキージャンプ台が設けられている。
ただしスキージャンプ台そのものはSTOVL機と不可分なものではなく、単に採用例が多いというだけの話であり、CTOL機の離艦にも有用であり、ジャンプ台を用いてCTOL機を離艦させると、後述する短距離離陸拘束着艦機(STOBAR機)となる。ロシア海軍のアドミラル・クズネツォフに採用されている。しかしアメリカ海軍の強襲揚陸艦は、艦載機としてハリアー IIを使用しているがスキージャンプ台は設置していない。
このSTOVL機運用におけるスキージャンプ台の有用性の確認が、後のSTOBAR運用の確立につながったと言える。
なお、前述のVTOL機とは別個の機体としてSTOVL機が存在する訳ではなく、単なる離陸時の運用方法での相違である。例外としては先に出しているYak-38があり、短距離離着陸性能を有しておらず、VTOL機ではあるがSTOVL機ではない。ただしエンジンを強化したYak-38Mでは短距離離陸性能が付加されており、すべてに該当する機体となった。
ホーカー・シドレー ハリアー / シーハリアー / ハリアー II / BAe ハリアー II
- F-35B
- V-22 オスプレイ
- AW609
短距離離着陸機

低騒音STOL実験機「飛鳥」
短距離離着陸機(STOL機、Short TakeOff and Landing、エストールき)は、通常の航空機に比べ短い距離で離着陸できるもののこと。高揚力フラップやスラストリバーサなどを使うことによって短い距離での離着陸を可能にしている。スウェーデンの軍用機は運用方針(緊急時は高速道路を代替滑走路として使用する)から、この性能を重要視している。
STOL機と後述する通常の離着陸性能の航空機(CTOL機)との間の区分は曖昧であり、具体的に滑走距離が何メートル以下ならSTOL機に分類されるという定義は存在しない。現実問題としては、短い距離での離着陸を意識して設計され、その設計意図を性能面で達成した固定翼機を、STOL機と呼ぶ場合が多い。
- An-72
- An-74
- Fi 156 シュトルヒ
- 三式指揮連絡機
- YC-14
- YC-15
- C-17
C-1[1]
飛鳥(航空宇宙技術研究所の試験機)- NASA QSRA (Quiet Short-Haul Research Aircraft)(C-8Aを改造したNASAの実験機)
F-15S/MTD(マクドネル・ダグラス社が開発した実験機。現在はNASAの管理下)- F-22
- JAS39 グリペン
- ブレゲー941
- ピラタス PC-6
垂直/短距離離着陸機
垂直/短距離離着陸機(V/STOL機、Vertical/Short TakeOff and Landing、ヴィ・エストールき)はVTOL機とSTOL機の両方を指すために使われる言葉である。短距離/垂直離着陸機(S/VTOL機、Short/Vertical TakeOff and Landing、エス・ヴィトールき)とも呼ばれる。
一般にVTOL(垂直離着陸)が可能な機体は当然STOL(短距離離着陸)が可能とされたため、過去の文献の多くでは、VTOL機はあえてV/STOL機と書かれた事が多かった。しかしながら、実際にはVTOL機は、上述の通り着陸時の滑走が不可能で、短距離離陸は可能だが着陸は不可能である。従って、VTOL機とSTOL機を総称して呼ぶ場合はともかく、個々のVTOL機をV/STOL機として記述するのは正確ではない。より正確な用語として、最近ではSTOVL機と呼ばれている。
通常離着陸機
通常離着陸機(CTOL機、Conventional TakeOff and Landing、シートールき)は、通常の離着陸性能の航空機のこと。VTOL機やSTOL機との対比の意味で使われることが多い。
CATOBAR機

カタパルト後端の発艦位置に着いたF/A-18F

アレスティング・フックとアレスティング・ワイヤー
CATOBAR機(Catapult Assisted TakeOff But Arrested Recovery、キャトーバーき)は、航空母艦の離着艦において離艦にカタパルトを用い短距離で離陸し、かつ、着艦にアレスティング・フックを用いることで短距離で機体を停止させる航空機をいう。
CATOBARとは艦上機の発着方法を表す英語「Catapult Assisted TakeOff But Arrested Recovery」のアクロニムで、あえて日本語訳するならば「カタパルト補助離陸拘束着艦」というほどの意味である。ただしこれは今のところ定訳と呼べるものでは無いので注意が必要である。
CATOBARと後述する短距離離陸拘束着艦機(STOBAR)は発艦方式が異なるだけで、使用できる機体は基本的には同じである。
離艦にスキージャンプを用いるSTOBARと比較して、CATOBARは最大離陸重量を大きくとれる事で搭載できる兵装が多くなるというメリットがある反面、カタパルトを運用するにあたって大きなコストがかかるというデメリットもある。
短距離離陸拘束着艦機

スキージャンプ甲板を用いて離陸(発艦)するSu-33

アレスティング・フックを展開しているSu-33
短距離離陸拘束着艦機(STOBAR機、Short TakeOff But Arrested Recovery、ストーバーき)は、主に航空母艦の離着艦において、短い距離で離陸させ、かつ、着艦にアレスティング・フックを用いることで短距離で機体を停止させる航空機をいう。
この時、離陸にカタパルトを用いる場合はCATOBAR機として扱われるため、技術的もしくは財政的な制約などによってカタパルトを導入できなかった国がスキージャンプ甲板を用いて運用する場合にこの呼称が使われる場合が多い。
STOBARに用いられる機体はCTOL機に主脚の強化や主翼の折り畳み機構を設けるなどの改造を施したものが多いが、基本的にCTOL機やCATOBAR機と同じ構造のものが用いられる。
大型の機体をカタパルトを使わず航空母艦で運用できるという利点があるが、カタパルトを利用する場合と比べて離陸重量の制約が厳しく、また元々の機体重量がSTOVL機などと比べて重い場合が多いことから運用できる兵器の制限が大きいという欠点がある。
現在ではロシア海軍における「アドミラル・クズネツォフ」、中国人民解放軍海軍における「遼寧」、インド海軍における「ヴィクラマディティア」及び「ヴィクラント」においてこの方式がとられている。
- Su-25UTG
- Su-33/UB
- MiG-29K/KUB
- J-15
離陸方法のみ
空中発進
実験機・特別攻撃機・寄生戦闘機・無人機・空中発射型ミサイルなどで見られる。
牽引発進
グライダーなどで見られる。地上設置型の牽引機や、自動車や、飛行機で牽引する。
ロケット補助推進離陸・ジェット補助推進離陸
RATO・JATO参照。
地上発射型ミサイル・艦上発射型ミサイル・水中発射型ミサイル・地上発射ロケット・水上発射型ロケットなども類似の技術。
着陸方法のみ
橇着陸・胴体陸上着陸
実験機・特別攻撃機の実験段階・グライダー・無人機・一部のヘリコプターなどで常用する。投棄式降着装置や空中発進や垂直離陸機などが多い。
ネット回収
小型の無人機などで見られる。
係留塔係留
飛行船で見られる。
脚注
^ “C-1 輸送機”. 川崎重工. 2017年6月4日閲覧。
関連項目
- 滑走路
飛行甲板 / アングルド・デッキ
アレスティング・ワイヤー / アレスティング・フック
- 着陸復行
- ヘリポート
- 胴体着陸