アドバルーン






アドバルーン


アドバルーン(英語: advertising balloon)とは、無人の係留気球や風船を使った宣伝方法の一種。




目次






  • 1 概要


  • 2 歴史


  • 3 アドバルーン業界の現況


  • 4 広告以外への利用


  • 5 関連項目


  • 6 参考文献


  • 7 脚注


  • 8 外部リンク





概要


日本では主に屋外で水素やヘリウム入りの係留気球で宣伝文の布を吊り上げる広告手法をさすことが多い。「アドバルーン」は、広告を意味する ad と、気球を指す balloon を組み合わせた造語であるが、その造語の元となったadvertising balloonはアメリカ合衆国などではアドバルーン広告にとどまらず広告宣伝用途で利用される気球や風船全般をさす言葉として用いられている。


アドバルーンとは主に広告宣伝目的に使われる大体直径2m-3m程度の球形の係留気球のこと。また、アドバルーン広告とはその係留気球の浮力により気球を20m-50mの高さに揚げ、横幅1m、高さ10m程度の宣伝文のバナーに一文字が縦80cm-1m程度、横1m程度で枠抜きした文字を配置したものを空中に吊り上げて、屋外の不特定多数の人々に場所の目印とともに宣伝メッセージを標示するもので、日本で発祥した広告手法である。


屋外のアドバルーン広告は夜間に於いても気球内照明やバナー照明などにより広告の掲示は可能であるが、強風(掲揚が中止される風速5m/s以上)による事故のおそれもあり、掲示中は昼夜を問わず常時監視員が配置される。


アドバルーンの係留気球には、浮揚ガスに可燃性もある水素が使われることもあったが、引火爆発の恐れもあることから、火災防止の観点から不燃性のヘリウムに徐々に転換していった。アドバルーン広告は都道府県や市区町村が制定する屋外広告物条例の制限により、地域や施設により掲揚のできない禁止地域や広告の際の申請等が必要な場合がある。



歴史





二・二六事件で吊り上げられた投降を促すアドバルーン


係留気球で広告文を吊り上げるアドバルーン広告は、日本では1913年に化粧品会社(中山太陽堂など)が使用したのが最初とされる。当初は広告気球と呼ばれていたが、第1次の隆盛期を迎えるにつれ昭和初期以降はアドバルーンの語が広く定着した。


1936年の二・二六事件では反乱将兵の鎮圧のため、帝国陸軍はビラやラジオ放送とともに「勅命下る軍旗に手向かふな」と書かれたアドバルーンを使用した。1930年代末以降になると、気球(アドバルーン)は兵器としても使用可能なことから民間での利用には制限がつくようになり、やがてアドバルーン広告は禁止された。


戦後しばらくもGHQの命令により禁止されていたが、講和条約以降は解禁され、昭和30年代から40年代には大量に用いられ、第2次の隆盛期となった。


アドバルーン広告は広告幕の文字の大きさの制限から広告を見るのに適した距離や高さ(仰角)があり、日本の都市部では超高層ビルの林立により宣伝効果が失われ、またコストが高いため懸垂幕をはじめとする様々なビル壁面広告に多くが置き換わったため、ほとんど見ることがなくなった。また、広告宣伝手段の多様化・発達により、相対的にコストパフォーマンスが低下してきたことも指摘されている。



アドバルーン業界の現況


屋外用アドバルーン広告が衰退してから、屋外用として主に使用されている場所は、郊外の低層階の店舗やイベント会場、展示会場などである。そして、屋内展示場、見本市会場、イベント会場、大型ショッピングセンターなどの室内装飾に用いられることも多い。


広告文を係留気球本体に巻き付けて係留するものや、宣伝文はなく自動車や魚、企業のキャラクターの形状などの変形気球が使われたり、屋内の展示場で屋上から吊り下げて使われるように、気球自体がブースの目印や広告媒体の役目を果たすものもある。


従来型の紅白アドバルーンは最盛期に比べ数は激減したが、今日では逆に物珍しさによって利用されることもある。また、住宅展示場などでは場所案内への目印として使用されることもある[1]


また従来の紅白アドバルーンに取って代わり、特注品の変形バルーンが多くなっている。これらはキャラクターや各種メーカー品、企業ロゴなどが象られたもので、趣向を凝らしたものである。他にも室内をホバリングする飛行船や出入り口に取り付けられるエアアーチといった応用商品も多く、これらは皆アドバルーン製作、掲揚の技術を応用、発展させたものである。更に、球皮がスクリーン加工され映像装置を内蔵したバルーンも製作されている。


業界では、これらを含めた宣伝広告用のバルーンをまとめてアドバルーンやインフレータブルバルーンと呼んでいることが多い。



広告以外への利用


アドバルーンは、広告利用のほか、高架電線の設置・保守点検・撤去作業や、環境観測に使用される係留式の気球や飛行船は、同系列の技術を使用している。また、アドバルーンを利用した空撮や垂直測量などにも実用的となっている。



関連項目


  • アドバルーン発言


参考文献



  • 屋外広告の知識 設計・施工編 ISBN 978-4324096390

  • 屋外広告の知識 デザイン編 第四次改訂版 ISBN 978-4324096383

  • 屋外広告の知識 法令編 第四次改訂版 ISBN 978-4324096376

  • 東京都屋外広告物条例の解説 ISBN 978-4802832625



脚注





  1. ^ そこでは縁起物として紅白アドバルーンを用いている




外部リンク


  • アドバルーンの許可基準



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