アルカリ









アルカリ(蘭: alkali)とは一般に、水に溶解して塩基性(水素イオン指数 (pH) が7より大きい)を示し、酸と中和する物質の総称。


典型的なものにはアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物(塩)があり、これらに限定してアルカリと呼ぶことが多い。これらは水に溶解すると水酸化物イオンを生じ、アレニウスの定義による酸と塩基の「塩基」に相当する。一方でアルカリをより広い「塩基」の意味で用いることもある。




目次






  • 1 語源


  • 2 定義


  • 3 性質


  • 4 参照文献





語源


アラビア語: القليal-qily, القالي al-qālīに由来し、元来は植物の灰を意味する。ジャービル・イブン=ハイヤーンの命名による(カリウムも同語源)。これらを水に溶かした際に示す性質(例えば鹸化など)がアルカリという概念の始まりである。なお植物灰の主成分は炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどであり、アルカリ性を示すが狭義のアルカリではない(下記参照)。



定義


ブレンステッドとローリーによる酸と塩基の定義以後、一般には、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の水酸化物(塩)など、水に溶解すると水酸化物イオンを生じる物質を限定してアルカリと呼び、これらはアレニウスの定義による塩基に相当する。他にテトラアルキルアンモニウムの水酸化物などもこのアルカリに当たり、化学式は一般に M(OH)n(M は陽イオン Mn+ となり、n は1以上の整数である)と表される。またこれらの水溶液をアルカリと呼ぶこともある。特に、塩基解離定数がほぼ pKb < 0(Kb > 1)で、水酸化物イオンを定量的に生成するものを強アルカリまたは強塩基と呼ぶ。


水溶液に関しては、pH 7 より大きい塩基性のことをアルカリ性ともいう。農学では土壌に関して、おおむね pH 7.3 以上の場合をアルカリ性という。


また水に溶かした場合に弱塩基性を示すアンモニアやアミン、あるいはアルカリ金属の炭酸塩や燐酸塩などをアルカリに含めることもある。これらはそれ自体が水酸化物イオンを生じるわけではなく、その意味ではアルカリではないが、水分子からプロトンを奪うため結果的に水酸化物イオンを生じる。これらはブレンステッド・ローリーの定義による塩基に含まれる。


このほか、アルカリをブレンステッド・ローリーの定義による塩基の同義語として広く用いることもあるが、上記の性質を示さない塩基が多い。例えばアルカロイド(アルカリに由来する名前)や核酸の構成成分である塩基は、強酸とは塩を形成するが、水溶液で塩基性を示さない。


さらに、アルカリ金属・アルカリ土類金属の酸化物は水に入れると反応し水酸化物つまりアルカリを形成する。これら自体は基本的にはアルカリではないが、アルカリと呼ぶこともある。


岩石学では組成として酸化ナトリウム・酸化カリウムを多く含む火成岩を、アルカリ岩と分類する。



性質


アルカリは、中濃度(濃度 10 mM 以上)の水溶液では pH 10 以上となる。高濃度水溶液は腐食性があり、また脂肪を鹸化し、タンパク質を変性させさらに加水分解する。アルカリ水溶液は触れるとヌルヌルした感触(石鹸に類する)があるが、これは皮膚の脂肪の鹸化などによる。低濃度では一般に苦味を呈する。一般には水に溶解するが、アルカリ土類金属水酸化物(水酸化カルシウムなど)には溶解度の低いものもあり、これらはアルカリ金属水酸化物ほど強いアルカリとはならない。



参照文献


  • 『理化学辞典』 第五版, 岩波書店



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