払腰

天神真楊流の乱捕技、拂ヒ腰

払腰
払腰(はらいごし)は、柔道、の腰技の一つ。
幕末の天神真楊流柔術の乱捕技に拂ヒ腰がある。
目次
1 概要
1.1 投の形
1.2 歴史
2 他の競技への派生
2.1 プロレス
2.1.1 主な使用者
3 関連項目
4 出典
5 外部リンク
概要
相手を腰に乗せ、後ろに足を払って、相手を横に泳がせる様に投げる技。
膝のあたりを払うので、後ろを向いた膝車ともいえる。
また、内股は、股の間(足の内側)から足を跳ねる(跳腰は自分と同じ足、内股はどちらの足でもよい。)のに対し、払腰は膝を足の横(足の外側)から払うため、外股ともいえる。(特に、内股と払腰は、足の内側から足を跳ねるか、足の外側から足を払うかの違いだけで、全く、同じフォームで投げる事も出来る。)
釣り手で横襟を掴み、引き手で袖を掴む。
前回りさばきで相手を前すみに吊るすように崩し、脚後部を相手の膝にあて、払い上げるようにして投げる。
大腿前部から腰の高さにあてると、大車になり、足首にあてると、足車になる。
投の形
投の形の腰技の2本目。
約2尺で向かい合い、受が右足を踏み出して右自然体に組もうとする。
これに取が応じ、右自然体で組み、左足から後退する。
続いて、取は受を引き出そうと左足を引く。
このとき、右手を受の左腋下に差込む。
次に取が後退するとき、両手で受を引き付け、受から見て右前隅に浮かし崩す。
そして、右足で払いあげる。
歴史
嘉納治五郎の得意技「浮腰」は大抵の者は容易に逃げることは出来ない技であったが、次第に西郷四郎などが前に飛んで回避するようになり決まらなくなってきた。
そこで嘉納は逃げる足を払って投げを効かせる「払腰」を編み出した[1]。
嘉納は1931年刊の著書『柔道教本』の中で払腰について、「西郷四郎はどんな技を掛けられても、暫くするとそれに対応する方法を工夫して逃げる事を覚えた。
私は浮腰が得意であったから当分の間は容易に逃げさせなかったが、後には前に跳んで逃げるようになった。
そこで、その逃げる足を払いながら喰い止めて投げを効かせるようにした技である」と述べている[1]。
しかし、嘉納が学んだ天神真楊流柔術の乱捕技に拂ヒ腰という同様の技が存在していることや、柔術諸流の乱捕で使われていた事実から、起源は江戸時代にある。
他の競技への派生
プロレス
プロレスにおいては、柔道経験者のレスラーが走ってくる相手に対しカウンター技として用いることが多い。
主な使用者
MAO - その場式で使用。
岩本煌史 - カウンター式を孤高の芸術として使用。フィニッシャー。- 小川直也
- 金本浩二
- 坂口征夫
- 佐藤耕平
- 高橋匡哉
- 村上和成
- 「ことり」
- 志田光
優宇 - カウンター式の他、相手を浮かせて高角度でマットに叩きつける形をイッポンとして使用。- 渡辺智子
関連項目
ウラジーミル・プーチン (払腰を得意技とする)
天神真楊流柔術(乱捕技に拂ヒ腰がある)
出典
- ^ ab老松信一 (1980年8月20日). “柔道小史 -連載10 柔道の技術的発展-”. 近代柔道(1980年8月号)、56頁 (ベースボール・マガジン社)
外部リンク
- 講道館柔道 払腰(はらいごし)
- 払腰|柔道チャンネル
- 払い腰
- 払い腰<前編>
- 払い腰<中編>
- 払い腰<後編>
二丁投げ(相撲の決まり手で大外刈と共に払腰にあたる技。)
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