ズサ
ズサ (ZSSA) は、「ガンダムシリーズ」に登場する架空の兵器。有人操縦式の人型ロボット兵器「モビルスーツ(MS)」のひとつ。初出は、1986年に放送されたテレビアニメ『機動戦士ガンダムΖΖ』。
作中の軍事勢力のひとつであるネオ・ジオン軍の量産機。作中序盤では、ネオ・ジオン将校のマシュマー・セロが搭乗する。
本項では、各バリエーション機や、テレビアニメ『∀ガンダム』に登場するズサンの解説も行う。
目次
1 機体解説
1.1 武装
1.2 劇中での活躍
1.3 デザイン
1.4 ズサ・ブースター
2 ズサ・カスタム
3 ズサ・ダイン
4 ズサブースター・マリンタイプ
5 ズサン
6 脚注
6.1 注釈
6.2 出典
7 関連項目
機体解説
ズサ ZSSA | |
---|---|
型式番号 | AMX-102 |
全高 | 15.85m[1] 16.94m(ミサイル・ポッド装備時)[1] 25.11m(ブースター・ポッド装備時)[1] |
頭頂高 | 15m[1] |
本体重量 | 23.7t[1] 8.2t(ミサイル・ポッド)[1] 26.3t(ブースター・ポッド)[1] |
全備重量 | 74.5t[1] |
装甲材質 | ガンダリウム合金[1] |
出力 | 1,820kW[1] |
推力 | 17,300kg×2[1] 32,400kg(ブースター)[1] 26,700kg×2(ブースター)[1] 総推力:120,400kg[2][注 1] |
センサー 有効半径 |
10,800m[1] |
武装 | ミサイル・ポッド 拡散ビーム砲 ビーム・サーベル×4 30mm[3]バルカン砲×2 ビーム・ライフル(グレミー軍) ビーム・マシンガン(袖付き) ショットガン(袖付き) シールド(袖付き) |
搭乗者 | マシュマー・セロ |
その他 | 姿勢制御バーニア×18[1] |
近接戦闘用のガルスJとの共同作戦を想定して開発されたMS[1]。陸戦での後方支援用に開発された機体だが[1]、宇宙でも運用されている。大型化が著しいU.C.0090年代前後のMSの中では全高15mと小型だが、火器を内装した着脱式の大型複合ブースターユニット(ブースター・ポッド)を背面に装着する設計により、高い火力と推力を付与できる。ズサ本体や背部ブースター・ポッドのドラム・フレーム部[4]には大量のミサイルが搭載される。ブースター・ポッド装着時は大気圏内での飛行が可能で[5]、大量のミサイルを装備しており、高い機動性と火力を用いた強襲用[5]や爆撃機としても運用される[6]。ブースターを排除することで近接戦闘にも対応できるうえ[5]、マニピュレーター先端は鉤爪状になっており、ルナ・チタニウム合金製の装甲をも引き裂く[7]。
武装
- ミサイル・ポッド(ミサイル・ランチャー)
- 胸部・大腿・脛の左右に小型通常弾のAMS-02Sを計38発、両前腕の3連装ポッドに近接信管式のAMS-05Sを計6発、ブースター左右の7連装ポッドに大型のAMS-02Hを計14発、同じくブースター左右の4連装ポッドにやや小型のAMS-03Hを計8発、総計66発を装備[1]。
- 両肩のミサイル・ポッドは通常はブースター側に接続されているが、ブースター側の基部を切り離してMS本体にこのポッドのみを装着することも可能となっている[注 2]。
- 拡散ビーム砲
- 腰部中央に内蔵。出力7.64MW[1]。
- ビーム・サーベル
- 脛部のミサイル・ポッド蓋側に2基ずつ、計4基を装備。出力0.62MW[1]。
- 30mmバルカン砲
- 首元に計2基内蔵されたけん制・対人用火器[3]。装弾数は800発[3]。
- ビーム・ライフル
- グレミー軍所属機が、バウと共通のライフルを装備。
- ビーム・マシンガン、ショットガン、シールド
- アニメ版『機動戦士ガンダムUC』で「袖付き」仕様機が装備。マシンガンとシールドはギラ・ドーガ、ショットガンはケンプファーからの流用品。
劇中での活躍
『機動戦士ガンダムΖΖ』第5話(タイトルは「ズサの脅威」)では、サイド1のスペースコロニー「シャングリラ」で、マシュマー・セロの搭乗する機体がブースター・ポッドの整備が不十分のため[6]右肩のみにミサイル・ポッドを装着して出撃。アーガマのファ・ユイリィの搭乗するメタスやアストナージ・メドッソのΖガンダムを圧倒するが、ジュドー・アーシタに乗り換えたΖガンダムにより右脚を切断され撤退する。塗装はイエローを基調とする。
マシュマー・セロによって実戦試験が良好であったことから量産化が決定し、第22話以降は量産型が複数登場する。第46話では、グレミー・トト率いる反乱軍の統一カラーである灰色に塗装された1機が、アクシズ内部でフルアーマーΖΖガンダムに撃破されている。
小説版『機動戦士ガンダムUC』では、グリーンを基調とし、「袖付き」所属を示す装飾が両手首に施された機体がテニスン艦隊に配備されている。OVA版のep7では最終決戦にシールド装備の3機が登場。ショットガンを携行した1機がネェル・アーガマに取り付き、同じく取り付いたシュツルム・ガルスの支援をおこなうが、コンロイ・ハーゲンセンのジェガンが投げたファイア・ナッツの炎に焼かれ[8]、ネェル・アーガマから落下する。ほかの2機はビーム・マシンガンを携行し、ブースター装備でユニコーンガンダムと交戦するが、1機は左腕と両脚を破壊され、もう1機は味方であるローゼン・ズールの攻撃に巻き込まれ撃破される。
デザイン
ラフデザインは出渕裕[9]。クリーンアップは藤田一己であると本人がインタビューで発言しているが[10]、それ以前には明貴美加とされていた[9]。また、当初の名称は「ゾノス」であった[9]。
ズサ・ブースター
『ΖΖ』ではブースター単体での運用はされないが、後年のゲーム作品[要出典]で「ズサ・ブースター」という名称で登場している。
大気圏内用で、宇宙用には別のブースターを装備するともいわれるが[1]、いずれの状況でも同型のブースターの装備が確認されている。基本的には無人で運用するが、リニアシート型コックピットを備えており[1]、有人による単独操縦も可能。本機の専用設計ではあるものの、ほかのMSによるサブフライトシステム的な運用も想定されている[3]。また、宇宙では燃料タンクの一部を爆弾として、対艦用の特攻兵器としての運用も可能となっている[1]。
- 劇中での活躍
- アニメ『機動戦士ガンダムUC』では、自力での航行能力がないシュツルム・ガルスがブースターを使用、これを盾にしつつ突撃しネェル・アーガマに取り付くことに成功する。
- 漫画『機動戦士ガンダムUC 『袖付き』の機付長は詩詠う』では、戦闘空域外に突き飛ばされ帰還不能となったシュツルム・ガルスを救出するため、同機の機付長であるジューリが搭乗する。
ズサ・カスタム
ズサ・カスタム | |
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型式番号 | AMX-102C |
頭頂高 | 15.0m[11] |
本体重量 | 22.5t[11] |
全備重量 | 61.8t[11] |
装甲材質 | ガンダリウム合金[11] |
出力 | 2,250kW[11] |
推力 | 129,800kg[11] |
センサー 有効半径 |
10,800m[11] |
武装 | ビーム・サーベル ガン・スピア 攻撃用パックAK-90S |
搭乗者 | アルヴェニシカ・キースト |
漫画『ダブルフェイク アンダー・ザ・ガンダム』に登場。名称は初出の『MJ』1988年10月号では「アニー専用ズサ」[11]、『ENTERTAINMENT BIBLE』シリーズでは「ズサ・カスタム」[12]、『MS大全集』シリーズでは「ズサ改」とされる[13][注 3]。ゲーム『SDガンダム GGENERATION』シリーズでは「ズサカスタム」と表記された[14]。
宇宙世紀0090年に過激派組織「NSP」の「カラード」隊が運用するズサの改修機。本体のミサイルはすべて撤去され、ジェネレーターを強化している[11]。また、ブースターは通常型と異なる攻撃用パックAK-90Sを装備、左右にミサイル各12発を内蔵し[12]、両肩にかぶさるユニットにはビーム砲を1門ずつ装備する[14]。以上により全備重量を大幅に削減することに成功し[13]、運動性や格闘戦性能が向上している[12]。なお、攻撃用パックには異なる仕様も存在するという[12]。
主兵装は右前腕にはめるようにマウントする3連装の速射式ビーム砲[12]「ガン・スピア」で、銃身下部にヒート・ナイフを装備する[11]。塗装は赤を基調とし、左胸のみピンクに塗られ、パイロットの"Annie"の名が記されている。また、左襟には"Kiss me Deadly"と記されている[15]。
デザインは福地仁[11]。
- 作中での活躍
- カラード隊のパイロット、アルヴェニシカ・キースト(アニー)が搭乗。サイド6における連邦軍襲撃作戦に参加するが、連邦軍アラハス所属のDガンダムとの交戦中にカラードのリーダー、エルデスコ・バイエのザクIIIを有線爆弾からかばって大破する。なお、作中ではガン・スピアは装備していない。
ズサ・ダイン
ズサ・ダイン ZSSA DAIN | |
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型式番号 | AMX-013 |
武装 | ガン・スピア 腕部クロー 胸部ビーム砲×2 背部メガビーム砲 ミサイル・ポッド |
搭乗者 | アルヴェニシカ・キースト |
漫画『ダブルフェイク アンダー・ザ・ガンダム』に登場。
ズサの開発チームが手がけたズサベースの格闘戦用機。ベース機ではオプションだったミサイルポッドおよびブースターが、本体との一体式に改められた。格闘用とされてはいるが、胸部ビーム砲やメガビーム砲を装備し、腕部にはクローを備えているため、オールレンジに対応可能であり、汎用性が高い。
- 劇中での活躍
- 捕虜から脱走して復員し、ネオ・ジオンのレウルーラに合流したアニーの乗機となる。武装としてズサ・カスタムのガン・スピアを引き続き使用する。
ズサブースター・マリンタイプ
雑誌企画・漫画『A.O.Z Re-Boot ガンダム・インレ-くろうさぎのみた夢-』に登場。
火星のジオン軍残党組織「火星独立ジオン軍」(ジオンマーズ)が、対立するジオン軍残党組織「レジオン」の飛行禁止令によって運用不能になったズサ・ブースターを水中戦用に改造したもの。推進器や整流カバーが水中仕様に改造され、バラストタンクが増設されたほか、ブースター自体にモノアイセンサーを有している。武装はドラムフレームに接続した3連装の魚雷ポッド2基とビーム・ショットライフルなど。
ジオンマーズと同盟を結んだティターンズ残党の水中仕様ジム・クゥエル(ガンダム型頭部)に装備され、「輝ける星作戦」に際してレジオンがガンダムTR-6[インレ]の建造を進める氷河地下秘密基地の攻撃に投入されている。当然ジム・クゥエルとの互換性には問題があり、そのままでは動作しなかったが、OSをBUNNySに変更することで簡単に接続されている。
ズサン
ズサン ZSSAN | |
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型式番号 | G-M2F(ギンガナム艦隊) AMX-1002 |
頭頂高 | 15.0m |
本体重量 | 28.7t |
装甲材質 | ガンダリウム合金 |
武装 | 7連ショルダーミサイルポッド 腕部3連ミサイル×2 大腿部6連ミサイル×2 脚部6連ミサイル×2 アームパンチ×2 ほか |
搭乗者 | ギンガナム艦隊大名、カシム ほか |
テレビアニメ『∀ガンダム』に登場。
ギンガナム艦隊が月面のマウンテンサイクルから発掘したMSで、同艦隊の月面残存部隊によって運用された。無人機としての運用が可能だが、行動に規則性があるために読まれやすく、コントロールを行う有人機が撃破されるとさらに行動が単純化するという欠点をもつ。
ギンガナム艦隊における型式番号「G-M2F」のうち、 "G" はギンガナム艦隊、 "M" はMS、 "2" は2番目に発見されたこと、 "F" はファイターを意味するらしい。本来の型式番号は、コクピットのコンソールに表示された「AMX-102」あるいは「AMX-1002」である。その姿は、シャングリラでマシュマーが試験運用していた機体によく似ている。なお、頭頂高は不明だが、公式サイトでの説明によればズサよりダウンサイジングされている模様[16]。
ガルスJのようなアーム・パンチ機構を装備しており、脚部ミサイルポッドは格闘用のワイヤーアンカーになるなど、近接格闘戦を重視している。
また原型機とは違い、脚部が胴体胸部から直接生えており、いわゆる腰に当たる部位が存在していないなどの差異がある。(ただし、原型機のようなフロントおよびリアアーマーはある)
- 劇中での活躍
- 月面残存部隊で、6機(有人2、無人4)が地球への出発準備を進めるディアナ派の足止めに使用される。初見では回避が困難なワイヤーアンカーを効果的に使い、ディアナ親衛隊のスモー2機を撃破するが、ハリー・オードには通じず回避されたうえ、上記の欠点を見抜かれて有人機1機を撃破される。
- 備考
- 第46話の絵コンテチェックの段階で、登場メカが足りないという理由から急遽設定された[17]。「3日くらいで仕上げられるメカは何かないか?」という中、「ただビームとミサイルを撃つだけではつまらない、ズサだったら何かできるんじゃないか」ということで選択され、さらにワイヤーやアームパンチといったアイデアを付加されて完成した[17]。
脚注
注釈
^ ブースター・ポッド装備時には本体背面の2基のスラスターは隠れてしまうが、総推力にはカウントされている。
^ 両肩にミサイル・ポッドのみを装着した設定画があり、『MS大全集』シリーズなどでも確認できる。
^ ただし小口のインデックスでは「ズサ・カスタム」と表記。
出典
- ^ abcdefghijklmnopqrstuvw『1/144 AMX-102 ズサ』説明書、バンダイ、1986年6月。
^ 『ENTERTAINMENT BIBLE .2 機動戦士ガンダム MS大図鑑【PART.2 グリプス戦争編】』バンダイ、1988年3月、52-53頁。(ISBN 978-4891890186)
- ^ abcd『HGUC AMX-102 ズサ』説明書、バンダイ、2014年6月。
^ A.O.Z Re-boot Vol.29 ズサブースター・マリンタイプ
- ^ abc『ENTERTAINMENT BIBLE .2 機動戦士ガンダム MS大図鑑【PART.2 グリプス戦争編】』バンダイ、1988年3月、121頁。
- ^ ab『MJマテリアル10 機動戦士ガンダムΖΖ&Ζ 保存版設定資料集』バンダイ、1986年6月、14頁。(ISBN 978-4891893736)
^ 『ニュータイプ100%コレクション7 機動戦士ガンダムΖΖ PERFECT EDITION』角川書店、1987年10月、49頁。
^ 『機動戦士ガンダムUC メカニック&ワールド ep 7』双葉社、2014年10月、24頁。
- ^ abc「ΖΖ GUNDAM M.Sデザイン大研究」『B-CLUB』第5号、バンダイ、1986年3月。
^ 『B-CLUB』第7号、バンダイ、1986年5月、34頁。
- ^ abcdefghijk『MJ』1988年10月号、バンダイ、43頁。
- ^ abcde『ENTERTAINMENT BIBLE .3 機動戦士ガンダム MS大図鑑 【PART.3 アクシズ戦争編】』バンダイ、1989年6月、119頁。
- ^ ab『機動戦士ガンダム MS大全集Ver.3.0』バンダイ、1992年6月、132頁。
- ^ ab『SDガンダム GGENERATION-0』バンダイ、1999年8月。
^ うしだゆうじ『アンダー・ザ・ガンダム 』バンダイ、1990年11月、32頁。(ISBN 978-4891891176)
^ ズサン - モビルスーツ ∀ガンダムWeb
- ^ ab『ニュータイプ100%コレクション41 ∀ガンダムVol.2』角川書店、2001年2月、58頁。(ISBN 4048533177)
関連項目
- 宇宙世紀の登場機動兵器一覧
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