マタタビ
マタタビ | |||||||||||||||||||||
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両性花(2008年7月 福島県会津地方) 蔓を持ち上げて撮影、葉は裏側 | |||||||||||||||||||||
分類 | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Actinidia polygama (Sieb. et Zucc.) Planch. ex Maxim. | |||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||
マタタビ | |||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||
silvervine |
マタタビ(木天蓼[注 1]、Actinidia polygama )は、マタタビ科マタタビ属の落葉蔓性木本である[1]。別名夏梅ともいう。
目次
1 特徴
2 分布と生育環境
3 和名の由来
4 利用等
4.1 生薬
5 参考画像
6 脚注
6.1 注釈
6.2 出典
7 外部リンク
特徴
蔓は、若いうちは茶褐色で成長と共に黒っぽい紫がかった茶色になる。葉は蔓状の枝に互生し長い葉柄があり2から7cm、形は楕円形で細かい鋸歯を持つ。6月から7月に径2cmほどの白い花を咲かせる。雄株には雄蕊だけを持つ雄花を、両性株には雄蕊と雌蕊を持った両性花をつける。花弁のない雌蕊だけの雌花をつける雌株もある。花をつけるつるの先端部の葉は、花期に白化し、送粉昆虫を誘引するサインとなっていると考えられる。近縁のミヤママタタビでは、桃色に着色する。実は、2から2.5 cm の細長い楕円形で晩秋にオレンジ色に熟す。虫こぶの実(虫癭果)はマタタビミバエの産卵により形成[1]され正常な実が熟す前に落ちる。
効果に個体差はあるものの、ネコ科の動物は揮発性のマタタビラクトンと総称される臭気物質イリドミルメシン、アクチニジン、プレゴンなど[2]に恍惚を感じることで知られており、イエネコがマタタビに強い反応を示すさまから「猫に木天蓼」ということわざが生まれた。ライオンやトラなどネコ科の大型動物もイエネコ同様マタタビの臭気に特有の反応を示す。なおマタタビ以外にも、同様にネコ科の動物に恍惚感を与える植物としてイヌハッカがある。
分布と生育環境
日本では、北海道、本州、四国、九州に、アジアでは千島列島、朝鮮半島に分布し、山地の林縁に自生する。
和名の由来
古くは『本草和名』(918年)に「和多々比」(わたたひ)、『延喜式』(927年)に「和太太備」(わたたび)の名で見える[3]。
貝原益軒『日本釈名』(1699年)では、果実に長いものと平らなものができることから、「マタツミ」の義であろうという[4]。
アイヌ語の「マタタムブ」からきたというのが、現在最も有力な説のようである。『牧野新日本植物図鑑』(北隆館 1985。331ページ)によるとアイヌ語で、「マタ」は「冬」、「タムブ」は「亀の甲」の意味で、虫えいを意味するとされる。一方で、『植物和名の研究』(深津正、八坂書房)や『分類アイヌ語辞典』(知里真志保、平凡社)によると「タムブ」は苞(つと、手土産)の意味であるとする[5]。
一説に、「疲れた旅人がマタタビの実を食べたところ、再び旅を続けることが出来るようになった」ことから「復(また)旅」と名づけられたというが、マタタビがとりわけ旅人に好まれたという周知の事実があるでもなく、また「副詞+名詞」といった命名法は一般に例がない。むしろ「またたび」という字面から「復旅」を連想するのは容易であることから、典型的な民間語源であると見るのが自然であろう。
利用等
- 果実
- 熟すとそのまま食べられるが、舌に刺激が残り、美味なものではない。生食のほか、塩漬け、みそ漬け、薬用酒(マタタビ酒)などにして利用される。通常の果実よりも虫こぶになったものが薬効が高い。ちなみにキウイフルーツもマタタビ科であり、果実を切ってみると同じような種の配列をしていることがわかる。
- 葉
- おひたしにして食べる事がある[6]が、アレルギーを生じる事がある[6]。
- 樹皮
- 布袋に入れ、浴用料とする。効用は神経痛、足腰の冷えなど[7]。
生薬
蕾にマタタビミタマバエまたはマタタビアブラムシが寄生して虫こぶになったものは、木天蓼(もくてんりょう)という生薬である。冷え性、神経痛、リウマチなどに効果があるとされる[8]。
参考画像
マタタビの実
実をつけたマタタビの枝
白化したマタタビの葉
実。ひとつは膨れて凹凸を持つ虫こぶになっている。(青森県、2015年8月中旬)
マタタビ、虫こぶ果の断面。
脚注
注釈
^ 「もくてんりょう」とも読む
出典
- ^ ab荒瀬輝夫、熊谷真由子、内田泰三、マタタビ(Actinidia polygama)の虫えい果の採集時期について 信州大学農学部AFC報告 11(1-2): 11-16(2013), hdl:10091/17025
^ 大江智子、大畑素子、有原圭三、ネコが反応を示すマタタビ中の揮発性成分の検索 ペット栄養学会誌 Vol.16 (2013) No.Suppl p.Suppl_52-Suppl_53, doi:10.11266/jpan.16.Suppl_52
^ 小学館『日本大百科全書』ジャパンナレッジ版、「マタタビ」文化史(湯浅浩史)。2013-08-24閲覧。
^ 小学館『日本国語大辞典 第二版』ジャパンナレッジ版、「またたび」語源説。2013-08-24閲覧。
^ 和泉晃一「マタタビの語源」
- ^ ab石川博康、島貫美和、門馬節子、「マタタビアレルギーの3例」 臨床皮膚科 62巻 10号, 2008/9, doi:10.11477/mf.1412102081
^ 長野県衛生部薬務課『長野県衛生部薬務課薬草の知識』長野県1981年3月31日発行全39頁中12頁
^ 薬用植物一覧表
外部リンク
- 目武雄、藤野明、村井不二男、マタタビ成分の化学的研究(第4~6報) (第4報)マタタビラクトンからアクチニジンの誘導1 日本化學雜誌 Vol.81 (1960) No.9 P.1444-1445, doi:10.1246/nikkashi1948.81.9_1444
- 目武雄、藤野明、村井不二男 ほか、「マタタビの化学的研究」 天然有機化合物討論会講演要旨集 (50), 19-24, 2008-09-01, NAID 110007066642