あっせん









あっせんとは、裁判外紛争解決手続の一つである。主に労働分野において、公的な紛争解決機関の力を借りて、双方の主張の要点を確かめ、事件が解決されるように努める話し合い手続のことである。


「斡旋」とする表記もあるが、現行法では法令上の表記はひらがな表記の「あっせん」である。



概要


企業において、使用者と労働者(正規・非正規は問わない)との間で各種の労働条件(賃金、解雇、配置転換、いじめ・嫌がらせ等)に関して紛争が発生した場合に、あっせん員が両者の間に入り、紛争解決に当たる。日本においては労働関係調整法(集団労働紛争)、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律(個別労働紛争)等を根拠法とする。


当事者の双方若しくは一方から、都道府県労働局もしくは都道府県労働委員会に対してあっせんの申請があると、それぞれの機関からあっせん員(通常、都道府県労働局によるあっせんの場合は1名、都道府県労働委員会によるあっせんの場合は3名)が指名される。あっせん員は、あっせん期日を指定し、紛争両当事者に出頭を求め、両当事者や参考人から事情等を確認し、両当事者間の調整を行う。都道府県労働委員会によるあっせんの場合は、事前に相手方のところへ赴いて事前調査も事例によっては行う。調整の結果、あっせん員の提示したあっせん案を両当事者が受諾するか、あるいは両当事者間で紛争解決について合意すれば、紛争は円満解決となる。もし、両当事者間で合意に至らなかったり、あっせん案をいずれか一方でも拒否した場合は、あっせんは不成立となり終了する。また、あっせん員が解決の見込みがないと判断した場合は、あっせん案を作成することなく終了する場合もあり(労働関係調整法第14条、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第15条)、これらの場合、紛争解決は別の手段(調停、裁判等)へ移行することになる。


あっせんの利点は、手続きの簡易なことにある。あっせんは短時間(通常、両当事者が出頭した当日)で終了し、手続きの費用も無料である。裁判等と異なり、両当事者が直接顔を会わせてお互いの主張をぶつけ合うこともないし、法令解釈のみでは白黒はっきりつけがたいグレーな事案についても柔軟に合意による解決を目指すことができる。そのため、労働関係調整法に定める3種類の手続き(あっせん、調停、仲裁)のうち、最も利用されているのは圧倒的にあっせんである[1]。しかしながら、あっせん案を両当事者が受け入れたとしても、そのことをもって強制執行を行うことはできず[2]、そもそもあっせん期日に一方でも出頭しなければ、あっせんは成立しない。また男女雇用機会均等法、パートタイム労働法、育児介護休業法等に定める一定の事案については、各法に定める調停の対象となり、あっせんの制度はない。



脚注


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  1. ^ 厚生労働省「平成27年労働争議統計調査の概況」。平成27年に労働委員会が関与した全127件のうち123件があっせんであった。


  2. ^ あっせんによる合意は法律上は裁判外の和解契約と解され、一方が義務を履行しない場合でもあくまで債務不履行にとどまり、強制執行を実現するためには改めて裁判で確定判決を得る必要がある。




外部リンク



  • 個別労働紛争のあっせん中央労働委員会







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