エンデサ

エンデサ(Endesa, S.A.)はスペイン・マドリードに本社を置く大手エネルギー会社。スペイン最大の電力会社であり、ガス事業・水道事業も行っている。マドリード証券取引所および、ニューヨーク証券取引所(ティッカーシンボル:ELE)などに上場しており、スペインを代表する大企業としてIBEX 35指数の銘柄のひとつにも選ばれている。
エンデサは原子力発電、火力発電、水力発電によりスペイン国内で1,000万人以上に電力を供給しているほか、イタリア、フランス、ポルトガル、モロッコ、チリ、アルゼンチン、コロンビア、ペルー、ブラジル、ドミニカ共和国でも電力事業を行い、スペイン国外では1,000万人の顧客をもつ。
2004年末でエンデサは世界の2,220万人に電力を供給しており、スペインの天然ガス会社や通信事業会社も傘下におく。
目次
1 エンデサの発足と電力自由化
2 エンデサに対するM&A
3 脚注
4 外部リンク
エンデサの発足と電力自由化
エンデサの前身となる国営電力会社(Empresa Nacional de Electricidad, S.A.)は1944年11月18日に発足し、戦後各地に大型発電所を建設してきた。
1988年、政府が所有していた株の25%が株式公開され証券取引所への上場がなされ、民営化プロセスが開始された。新電気事業法が制定された1997年と1998年にも株の株式公開が行われ、民間と政府が株を保有する民営企業となった。2000年、欧州連合による電力自由化の基準(2003年までに加盟各国は電力市場の33%を自由競争市場に移す)に合わせてスペインの電力市場の完全自由化が決まった。
スペインでは民営化とあわせて電気事業者の集中再編が進み、電力会社は2000年ごろまでにエンデサをトップとする四大企業に集約された。スペイン国外企業によるこれらの会社への買収が始まる中、エンデサは電力自由化が進むEU諸国や中南米諸国に進出し、各地の電力・水道・ガス企業を買収した。2004年にはフランスの電力会社SNET (Société nationale d'électricité et de thermique) を管理下におき、その後雇用の30%削減を行った。
エンデサに対するM&A
しかし2006年以降、エンデサ自体がM&Aの対象となり、スペインのエネルギー事業を誰が握るかをめぐって政治問題に拡大している。まず2005年にバルセロナに本拠を置くスペイン最大のガス会社ガス・ナトゥラル(Gas Natural)が敵対的買収を仕掛け、次いでドイツのE.ON(エーオン)、イタリアのエネルが買収に名乗りを上げた。外国企業がスペインの電力の最大業者を傘下に置くことに対する経済ナショナリズムから来る反発がある一方、社会党の影響力の強いカタルーニャの企業の傘下になることを嫌う右派のエンデサ幹部やメディアはむしろドイツのE.ONの子会社になることを望んだ。2006年2月、スペイン政府は条件付でガス・ナトゥラルによる買収を認めたが[1]、E.ONはさらに6兆円を超える巨額の買収金額を提示していた。しかし2007年4月、E.ONはエンデサ買収を断念[2]、エネルとスペインの建設大手アクシオナが7兆円近くでエンデサを買収することとなった。[3]これに対して欧州委員会はスペイン政府が自由化に逆行するさまざまな政策を行い、買収合戦に介入・関与し資本移動の自由を損ない欧州共同体競争法に違反したとして欧州司法裁判所に提訴している[4]。
脚注
^ スペイン政府、ガスナチュラルによる電力大手エンデサ買収を認可(2006年2月4日、AFP)
^ 独電力エーオン、エンデサへの買収提案撤回-見返りに資産取得へ 2007年4月2日(ブルームバーグ)
^ 伊エネルとスペインのアクシオナ:エンデサめぐる買収合戦に勝利へ 2007年4月3日(ブルームバーグ)
^ 独エーオンの買収妨害、EUがスペイン政府を提訴 Nikkei net
外部リンク
エンデサ社・公式サイト(スペイン語)
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