EMI
EMI(イーエムアイ)は、1931年から2012年まで存在したイギリスのレコード会社である。かつてはユニバーサル・ミュージック、ソニー・ミュージックエンタテインメント、ワーナー・ミュージックと共に4大レコード会社のひとつであった。音楽出版事業はソニーを中心とした企業連合に買収され、レコード部門はユニバーサルが買収したのちに一部をワーナーへ売却した。
1931年に英コロムビアと英グラモフォン(HMV)が合併し、Electric and Musical Industries Ltdとして設立された。
目次
1 沿革
1.1 英コロムビア
1.2 英グラモフォン(HMV)
1.3 EMI
2 主なレーベル
3 主なアーティスト
3.1 クラシック音楽
3.2 ポピュラー音楽
4 脚注
5 関連項目
6 外部リンク
沿革
英コロムビア
1897年 - シリンダー型蓄音機「グラフォフォン」の製造・販売を行っていたコロムビア・フォノグラフ社のイギリス支店である「英コロムビア」として設立される。
1922年 - 米コロムビアから完全に独立する。
1926年 - ドイツのカール・リンドストレームが所有していた「オデオン」と「パーロフォン」を買収する。
1928年 - フランスのパテ・マルコニを買収する。
1931年 - 英グラモフォン(HMV)と合併し、Electric and Musical Industries Ltd(EMI)となる。
英グラモフォン(HMV)
1897年 - ディスク型蓄音機「グラモフォン」の製造・販売を行っていたベルリーナ・グラモフォン社のヨーロッパ進出のため、イギリスのオーエンがエミール・ベルリナーから蓄音機に関する特許を受け取り、ロンドンに「英グラモフォン」を設立する。
1898年 - ドイツのハノーファーに工場を設立し、クラシック音楽のレーベル「ドイツ・グラモフォン」の始まりとなる。
1907年 - のちに日本ビクターも用いるニッパー犬のマークを採用し、犬とともに記される"His Master's Voice"の頭文字から「HMV」と愛称される。
1925年 - 第一次世界大戦の勃発によって、英グラモフォンのドイツ支社であった「ドイツ・グラモフォン」がドイツ資本の会社となったため、新レーベル「エレクトローラ」を設立する。
1931年 - 英コロムビアと合併し、Electric and Musical Industries Ltd(EMI)となる。
EMI
1931年 - 英コロムビアと英グラモフォン(HMV)が合併して、Electric and Musical Industries Ltdとして設立される。
1934年1月 - 最初のステレオ録音が、実験的に行われる(SP媒体を使った、一本溝によるステレオ録音)。内容は、トマス・ビーチャム指揮ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団による、モーツァルト作曲の交響曲第41番「ジュピター」。
1949年9月 - テープ・レコーダーを使用した録音を開始[1]。
1951年7~8月 - 戦後に初めて再開されたバイロイト音楽祭の録音を行う。この音源はフルトヴェングラー指揮、ベートーヴェン作曲 交響曲第9番(合唱付)(7月29日ライブ録音)という歴史的名盤も含まれる。
1955年1月 - 1942年に設立されたハリウッドのレコード会社「キャピトル・レコード」と業務提携を開始し、同社の買収に乗り出す。
- 2月4日 - ロンドンのキングス・ウェイ・ホールで、正規のステレオ録音を開始する。第1号はニコライ・マルコ指揮、フィルハーモニア管弦楽団演奏、プロコフィエフ作曲 交響曲第7番「青春」[2]である。
- 後半頃 - 米キャピトル・レコードの買収が完了し、コロムビア・HMVの流れで続いていた米コロムビア・米RCAビクターとの業務提携が打ち切られる[3]。
1958年10月 - ステレオLPの発売を開始。第1回発売はレコード番号ASD251の、サー・トーマス・ビーチャム指揮、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団演奏、R・コルサコフ作曲 交響詩「シェヘラザード」ほか
1968年
- EMIのゴッドフリー・ハウンズフィールドがX線CTを発明。1972年には臨床用CT(EMIスキャナ)を製作(後に撤退)。
アビー・ロード・スタジオ向けに回路全てを半導体で設計したミキシング・コンソールTG12345を自社開発[4]する。24チャンネル入力8チャンネル出力の構成で、各入力チャンネルにイコライザーとコンプレッサーを備えるなど現代的なスペックを備え、ビートルズの「アビーロード」やピンク・フロイドの「狂気」など様々な名盤の録音に使用された。
1973年 - EMIは東芝音楽工業株式会社に資本参加し、東芝EMIと改称する。
1979年
CTを発明したハウンズフィールドがノーベル生理学・医学賞を受賞する。- 7月2・3日 - 自社のアビー・ロードの第1スタジオにて、初のデジタル録音を行う。第1号は、アンドレ・プレヴィン指揮、ロンドン交響楽団演奏、ドビュッシー作曲の「管弦楽のための映像」及び「牧神の午後への前奏曲」[5]である。
1982年11月 - EMIグループで世界初のCDが、日本の東芝EMIから発売される。CDの制作は当時のCBSソニーに委託した。
1992年 - イギリスのヴァージンを買収する。
1995年 - ドイツのインターコードを買収する。
2007年 - 東芝が音楽部門から撤退し、日本の東芝EMIを完全子会社化してEMIミュージック・ジャパンに改称する。
- - 英プライベート・エクイティ・ファンドのテラ・ファーマが、米金融大手シティグループからの融資を受けてEMIを42億ポンドで買収した。のちに世界金融危機などからEMIの業績が急速に悪化し、テラ・ファーマがEMIへ資金注入した[6]。
2009年12月 - テラ・ファーマは、シティグループを詐欺の疑いで提訴した[6]。
2011年2月1日 - シティグループがEMIの全株式を取得し、同社の経営権を掌握した[7]。
- 11月11日 - ユニバーサル・ミュージックが、EMIのレコード部門を買収することについて株主のシティグループと合意したと発表した。また同日、ソニーを中心とした企業連合が、EMIの音楽出版事業を買収することについて株主のシティグループと合意したと発表した。
2012年
- 6月30日 - ソニーが、EMIの音楽出版事業についての買収手続きが完了したと発表した。これにより、ソニーが世界最大の音楽著作権者となった。
- 9月28日 - ユニバーサル・ミュージックがEMIのレコード部門の買収を完了した。これにより、ユニバーサル・ミュージックは世界最大の音楽事業会社としての地位を強化した。
2013年
- 2月7日 - ユニバーサル・ミュージックが、EMIレコードの主要部門であるパーロフォン・レーベル・グループをワーナー・ミュージック・グループに売却することに合意した[8]。(但し、ビートルズの一連の音源は、ユニバーサルとアップル・コアの合弁により設立されたカルダーストーン・プロダクションズに移管されることになる。)これに伴い、ビートルズを除く同音源が全世界のワーナー・ミュージックへ移行し、発売が開始される。日本ではワーナーミュージック・ジャパンへ移行され、同年9月から発売が開始された。[9]
- 2月7日 - ユニバーサル・ミュージックが、EMIレコードの主要部門であるパーロフォン・レーベル・グループをワーナー・ミュージック・グループに売却することに合意した[8]。(但し、ビートルズの一連の音源は、ユニバーサルとアップル・コアの合弁により設立されたカルダーストーン・プロダクションズに移管されることになる。)これに伴い、ビートルズを除く同音源が全世界のワーナー・ミュージックへ移行し、発売が開始される。日本ではワーナーミュージック・ジャパンへ移行され、同年9月から発売が開始された。[9]
主なレーベル
当初、EMIは傘下に多数のレーベルを抱える統括会社として存在していた。同名の「EMI」というレーベルが設立されたのは1972年のことである。
- EMI
- EMIクラシックス
アップル・レコード
- カルダーストーン・プロダクションズ
パーロフォン・レーベル・グループがワーナー・ミュージック・グループに買収される際、ザ・ビートルズ関連の音源をユニバーサルミュージックグループに残留するために設立された原盤管理会社
- カルダーストーン・プロダクションズ
- パーロフォン
オデオン(en:Odeon Records)
ハーヴェスト・レコード(en:Harvest Records)・
キャピトル・レコード
- リバティ・レコード(en:Liberty Records)
ブルーノート・レコード
- マンハッタン・レコード(en:Manhattan Records)
- リアル・ワールド(en:Real World Records)
- クリサリス・レコード(en:Chrysalis Records、2005年で閉鎖)
ヴァージン・レコード
- カリスマ・レコード(en:Charisma Records)
- アストラルワークス(en:Astralwerks)
- 百代(zh:科藝百代)
主なアーティスト
ここでは、キャピトル、ヴァージン・レコード、ブルーノートの所属アーティストを除外する。
クラシック音楽
- マリア・カラス
- ジュゼッペ・ディ・ステファーノ
- ビクトリア・デ・ロス・アンヘレス
- プラシド・ドミンゴ
- ヴィルヘルム・フルトヴェングラー
- オットー・クレンペラー
- カール・シューリヒト
- アルフレッド・コルトー
- ワルター・ギーゼキング
- エドウィン・フィッシャー
- パブロ・カザルス
- ディヌ・リパッティ
- キャスリーン・フェリアー
- エリーザベト・シュヴァルツコップ
- サンソン・フランソワ
- ジョルジュ・シフラ
- ジャクリーヌ・デュ・プレ
- アンドレ・クリュイタンス
- ジョン・バルビローリ
- エイドリアン・ボールト
- ジャン・マルティノン
- ルドルフ・ケンペ
- オイゲン・ヨッフム
- クラウス・テンシュテット
- リッカルド・ムーティ
- サイモン・ラトル
- アントニオ・パッパーノ
- アルバン・ベルク弦楽四重奏団
- ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
- ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
- ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団
- 北ドイツ放送交響楽団
- バイロイト祝祭管弦楽団
- シュターツカペレ・ドレスデン
- パリ管弦楽団
- フランス国立管弦楽団
- ロンドン交響楽団
- ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
- フィルハーモニア管弦楽団
- バーミンガム市交響楽団
- フィラデルフィア管弦楽団
- サンクトペテルブルク・フィルハーモニー管弦楽団
ポピュラー音楽
- クリフ・リチャード
- ビートルズ
- ホリーズ
- アニマルズ
- ピンク・フロイド
- ディープ・パープル
- ホワイトスネイク
- デヴィッド・ボウイ
- クイーン
- クラフトワーク
- テレックス
- ケイト・ブッシュ
- アイアン・メイデン
- シーナ・イーストン
- ティナ・ターナー
- ケイティ・ペリー
- デュラン・デュラン
- カイリー・ミノーグ
- ペット・ショップ・ボーイズ
- ジーザス・ジョーンズ
- セックス・ピストルズ
- EMF
- ブラー
- リー・ライアン
- リズ・マクラーノン
- RBD
- ブルー
トーキング・ヘッズ(1984年以降、米加以外)- エターナル
- X JAPAN
脚注
^ 2011年2月25日にEMIミュージックジャパンのホームページにて公開された、EMIのエンジニアであるサイモン・ギブソンの、フルトヴェングラーの一連のSACDプロジェクトのリマスターについてのコメント映像にて、ギブソン自身が述べている。
^ この演奏者による同じ場所でのセッション録音は、この日を含めて、同月の7、9、11日の計4日間行われた。この間には、前記の他に、チャイコフスキー作曲のバレエ組曲「くるみ割り人形」、プロコフィエフ作曲の『交響曲第1番「古典」』 、同『組曲「3つのオレンジへの恋」』が録音された。尚、この録音の一部のステレオ・テープ・ソフトは初め、英EMIだけでなく、米RCAビクターからも発売された。尚、この4日間の全録音のCDは、現在英EMIから発売されている(CD番号:0946 3 82229 2 7)
^ その後、米コロムビア原盤は蘭フィリップス、米RCAビクター原盤は英デッカ経由で英国で配給されることとなる。
^ MusicTech (2014年7月29日). “Studio Icons: EMI TG12345 Mixing Console - MusicTech” (英語). MusicTech. 2017年11月22日閲覧。
^ この音源は現在、米EMIクラシックスのCDにて入手可能である(CD番号:0946 3 91966 2 3)。
- ^ abKlug (2010年8月19日). “英テラファーマと米シティグループ、和解へ=英EMI買収問題で” (日本語). GCI総研. 2011年2月3日閲覧。
^ YOMIURI ONLINE (2011年2月2日). “ビートルズ手がけた英EMI、米シティが買収” (日本語). 読売新聞社. 2011年2月3日閲覧。
^ ウォール・ストリート・ジャーナル 2013年2月8日付記事に掲載
^ 音楽の友社「レコード芸術」2013年10月号など ワーナーミュージックジャパンの発売広告に記載。
関連項目
- EMIミュージック・ジャパン
外部リンク
EMI Group 現在はユニバーサル・ミュージックの公式サイトへリダイレクトされる。
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