足白癬









































水虫

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足白癬の画像

分類および外部参照情報
診療科・
学術分野

皮膚科

ICD-10

B35.3

ICD-9-CM

110.4
DiseasesDB
13122
MedlinePlus
000875
eMedicine
derm/470
MeSH
D014008

KEGG 疾患

H01316

足白癬(あしはくせん)は、感染症の一種で、白癬菌(はくせんきん)が足の指や足の裏など皮膚の角質やその下の皮下組織を侵食することで、痒みや炎症などが起きる。一般的な通称は水虫(みずむし)。足白癬には2種類あり、足の裏の角質が肥厚して硬くなる角化型白癬(かくかがたはくせん)と、水疱や皮膚剥離(薄く皮が剥ける)が発生し、発赤や痛痒感などを伴う汗疱状白癬(かんぽうじょうはくせん)が存在する。


治療には抗真菌薬が使われ、外用薬の場合1986年には1日1回で済む薬剤が登場した。




目次






  • 1 感染


  • 2 予防


  • 3 診断


    • 3.1 類似感染症




  • 4 治療


    • 4.1 処方薬


    • 4.2 市販薬


    • 4.3 熱療法




  • 5 民間療法


    • 5.1 硫黄


    • 5.2 ティーツリーオイル


    • 5.3


    • 5.4 木酢酸


    • 5.5 ニンニク


    • 5.6 重曹




  • 6 出典


  • 7 参考文献


  • 8 関連項目





感染



A

培養された白癬菌



A

足白癬の顕微鏡画像


白癬菌は角質内部へ侵食し定住する。この領域では白血球による駆逐も不可能である。また皮膚の新陳代謝以上のスピードで侵食するため、自然治癒は期待できない。


足白癬は、長らく通気の悪い革靴を長時間履いたままになりやすいサラリーマン男性に多かったため、社会的には成人男性の病気という風に理解されている面があるが、性別などは全く関係なく、女性でもブーツなど通気性の悪い靴を履くと感染しやすくなる。白癬菌自体は自然界に多く存在する真菌(カビ)である。至近に対策を行っていない感染者がいれば感染しうる機会は多くなるが、感染しやすさはあくまで湿度や足などの環境に大きく影響される。



予防


予防は、水虫既感染者との特に足周りの直接・間接接触を避け、感染しうる機会を減らし、足を清潔に保ち長時間高湿度にならないようにすればよい。靴下をよく取り替え、通気性の良い靴にするなども足の湿度を下げることに効果がある。最近では五本指靴下があるので、それを履くことも予防に繋がる。足を清潔に保つことは、白癬菌が定住している垢が長時間付着することを防ぐことになる。既感染者が足拭きマットの共用を避ける、足を清潔に保ち垢の落下を防ぐなど、他者と接触させないようにするとともに、しっかりとした治療を行うことが、他者への感染を防止する。



診断


顕微鏡で確認し、2-3回確認しても見つからない場合は他の疾患を考慮する[1]。汗疱状湿疹、紅色陰癬、疥癬、かき壊し、外用薬部夜かぶれを考慮する[1]。水虫を訴えて受診した者の13-33%が足白癬ではなく、その大部分は湿疹や皮膚炎だったというデータがある[2]



類似感染症


足白癬(水虫)のような症状を引き起こす、同じ白癬菌の感染によって感染症に以下があり、部位によって呼称が異なる。




  • 田虫(たむし) - 皮膚。(掌、足、頭、太股の内側、陰部を除く)


  • 陰金(いんきん) - 太股の内側や陰部。


  • 白雲(しらくも) - 頭部。特に子供に起こりやすい。

  • 体部白癬(たいぶはくせん)は、上記以外の場所に感染した場合。



治療


病院では顕微鏡で菌が確認できない場合、ステロイド外用薬を使い、足白癬ではない皮膚炎の場合は治り、足白癬では菌が増えているので、1-2週間後に顕微鏡での再検査[2]。真菌が確認されれば以下のようになる。


「疱型足」や「趾間型」では抗真菌薬の軟膏が使われる[3]。糜爛がある場合には、これがなくなるまで酸化亜鉛の軟膏で内服の抗真菌薬を併用し、なくなったら抗真菌薬の軟膏に切り替える[3]。細菌感染症がある場合、内服の抗菌薬と痛みがあれば内服の抗真菌薬を使用[3]。外用の抗真菌薬は足底全体に塗り1か月続ける[3]


「角質増殖型」では1-2か月、内服の抗真菌薬を用いる[3]


2012年のシステマティックレビューで、外用薬の抗真菌薬でいずれかが優越しているということはなく、調査に含まれた薬剤はケトコナゾール、テルビナフィン、ブテナフィン、ビホナゾール(英語版)
クロトリマゾール、ミコナゾール、エコナゾール(英語版)オキシコナゾール(英語版)セルタコナゾール(英語版)チオコナゾール(英語版)ナフチフィン(英語版)シクロピロックス(英語版)[4]



処方薬


日本では1986年より1日1回の塗布で済む外用の抗真菌薬が登場した[5]。当初抗菌スペクトル(殺菌対象)を拡大し、次に使いやすい1日1度となり、その後は皮膚に残りやすい成分の開発へと移った[6]。外用薬を使ったことによる症状の緩和によって中止すると、角質内に真菌が生存したままとなり再発しやすい[6]


一般的名称にていくつか列挙する。


外用抗真菌薬(1日1回使用のタイプ)



  • ケトコナゾール


  • テルビナフィン(ラミシール)


  • ブテナフィン(ブテナロック)

  • 1%ルリコナゾール(英語版)(ルリコン)

  • ビホナゾール(英語版)

  • ラノコナゾール




市販薬


以下では、薬局で購入可能で足白癬(水虫)を効能として謳っている医薬品をいくつか列挙する。


抗真菌薬(1日1回使用のタイプ)



  • ブテナフィン(ブテナロック、久光製薬)

  • テルビナフィン(ラミシール、ノバルティスファーマ)

  • ラノコナゾール(ピロエース、第一三共ヘルスケア)


殺菌剤



  • クロルヘキシジン+保湿成分など(オロナインH軟膏、大塚製薬工場)

硫黄製剤


  • イオウ(商品名アスター軟膏、丹平製薬、サリチル酸も配合)


熱療法


40度以上の耐えられる温度で2時間温めるが、低温やけどの危険性もあるため補助で用いる[7]


ストーブや火気に患部を近づける、お湯をかけるなどの民間療法が存在する。作家の安部譲二は刑務所に服役中重症の水虫に苦しめられたが、服役仲間に教えられて1日2回、熱い蝋を患部に垂らし10日ほどで完治した体験を記録している[8]



民間療法


民間療法に関しては統計的調査や検証が行われたものがほとんど見つからず、効果がどのくらいなのかや副作用にどのようなものがあるのかなど不明なものが多い。



硫黄


日本薬局方の「イオウ」の適応に、頭部浅在性白癬が含まれ、薬効薬理には抗菌作用および角質軟化作用とある。


硫黄は古くからさまざまな皮膚病に適用されてきた歴史を持つ。[9]
現在でもフケやニキビなどいくつかの皮膚病などに使用されることがあり、硫黄の入ったシャンプーや入浴剤、クリーム、石鹸などが国内外で販売されている。民間療法としては、硫黄粉を擦り込む方法や硫黄含有液を塗布・湿布・漬け置きするなどの方法が取られている。硫黄には角質の軟化・溶解作用がある[10]。一部の温泉でも水虫を効能としてうたうところがある。また入浴剤に配合することで水虫の効能を謳えるようになるようである。[11]


作用機序としては、硫黄と皮膚との反応により生成する硫化水素などにより抗菌作用や角質軟化作用が生じると考えられている。[12]副作用としては、皮膚への刺激や発赤、皮膚炎などがある。[12][13]
濃度の高いものや長期間使用する場合には十分な注意が必要となる。なお、硫黄は一部の金属に対して腐食作用があるので取り扱いには注意が必要である。



ティーツリーオイル


海外ではティーツリーオイルが使われることがある。治癒率は3割[14]、6割[15]との報告がある。





民間療法として、食酢を使用するものが存在する。[16][17]
食酢を水で半分ほど希釈し、傷口に付けておく。これを毎日繰り返す。そうすると水虫の成長に最適なpH状況がなくなり、数日間で治るとされる[18]



木酢酸


民間療法として、木酢酸(もくさくさん)を使用するものが存在する。岡山大学の実験によると10%以上の濃度の木酢酸液に24時間漬けた白癬菌は発育を止めたという医学的効果をレポートされている。[19]このレポートにおいては24時間木酢酸溶液に患部を浸けるという時間の短縮が検討項目であるとしている。ただし、患部を木酢酸で一度浸透させた場合、患部に残留する木酢酸の濃度は一定時間持続する。残留濃度の変化による白癬菌の発育抑制については未調査である。



ニンニク


ニンニクを利用した民間療法も存在する。[20][21]
生のニンニクをすりおろしたものやガーリックオイルを患部へ適用する。経口投与を同時にする人もいる。ニンニク内のアリインからアリナーゼにより生成するアリシンがニンニク療法の有効成分と考えられている。なお、ニンニク適用ではまれに副作用がいくつかされている[22]。ニンニク#悪影響も参照。



重曹


重曹を利用する民間療法も存在する。[21]



出典




  1. ^ ab日本皮膚科学会雑誌 2009, p. 853.

  2. ^ ab日本皮膚科学会雑誌 2009, p. 854.

  3. ^ abcde日本皮膚科学会雑誌 2009, p. 858.


  4. ^ Rotta I, Sanchez A, Gonçalves PR, Otuki MF, Correr CJ (May 2012). “Efficacy and safety of topical antifungals in the treatment of dermatomycosis: a systematic review”. Br. J. Dermatol. (5): 927–33. doi:10.1111/j.1365-2133.2012.10815.x. PMID 22233283. 


  5. ^ 日本皮膚科学会雑誌 2009, p. 855.

  6. ^ ab比留間政太郎「新規外用抗真菌薬ルリコナゾールクリーム1%・液1%の臨床試験成績を中心として」、『日本医真菌学会総会プログラム・抄録集』第49巻0、2005年、 36-36頁、 doi:10.11534/jsmm.49.0.36.0、 NAID 130006949982。


  7. ^ 日本皮膚科学会雑誌 2009, pp. 855-856.


  8. ^ 「塀の中の水虫博士」『塀の中の懲りない面々3』より


  9. ^ Andrew N. Lin, Richard J. Reimer, Martin Carter (March 1988). “Sulfur revisited”. Journal of the American Academy of Dermatology (Mosby, Inc.) 18 (3): 553–558(abstract). doi:10.1016/S0190-9622(88)70079-1. http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0190962288700791 2012年7月23日閲覧。. 


  10. ^ 株式会社ドーモ(編著) 『よくわかる一般用医薬品』 薬事日報社、135頁。.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit}.mw-parser-output .citation q{quotes:"""""""'""'"}.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/6/65/Lock-green.svg/9px-Lock-green.svg.png")no-repeat;background-position:right .1em center}.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg/9px-Lock-gray-alt-2.svg.png")no-repeat;background-position:right .1em center}.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/a/aa/Lock-red-alt-2.svg/9px-Lock-red-alt-2.svg.png")no-repeat;background-position:right .1em center}.mw-parser-output .cs1-subscription,.mw-parser-output .cs1-registration{color:#555}.mw-parser-output .cs1-subscription span,.mw-parser-output .cs1-registration span{border-bottom:1px dotted;cursor:help}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/4/4c/Wikisource-logo.svg/12px-Wikisource-logo.svg.png")no-repeat;background-position:right .1em center}.mw-parser-output code.cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:inherit;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;font-size:100%}.mw-parser-output .cs1-visible-error{font-size:100%}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#33aa33;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-subscription,.mw-parser-output .cs1-registration,.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left,.mw-parser-output .cs1-kern-wl-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right,.mw-parser-output .cs1-kern-wl-right{padding-right:0.2em}
    ISBN 978-4-8408-1055-5。



  11. ^ 鈴木正人(監修) 『機能性化粧品の開発, Volume 3』 シーエムシー出版、2007年、CMCテクニカルライブラリー 261、175頁。

  12. ^ abイオウ添付文書


  13. ^ “Does sulfur soap Top have side effects? (html)”. WebMD. 2012年7月23日閲覧。 (題訳:硫黄含有石鹸に副作用はある?)


  14. ^ Tong MM, Altman PM, Barnetson RS (1992). “Tea tree oil in the treatment of tinea pedis”. Australasian J. Dermatology 33 (3): 145–9. doi:10.1111/j.1440-0960.1992.tb00103.x. PMID 1303075. 


  15. ^ Satchell AC, Saurajen A, Bell C, Barnetson RS (2002). “Treatment of interdigital tinea pedis with 25% and 50% tea tree oil solution: a randomized, placebo-controlled, blinded study”. Australasian J. Dermatology 43 (3): 175–8. doi:10.1046/j.1440-0960.2002.00590.x. PMID 12121393. 


  16. ^ 安全生活研究会 『クスリにたよらない健康生活術: 昔ながらの元気とキレイの知恵』 PHP研究所、2007年、47-48頁。
    ISBN 978-4-569-66879-6。



  17. ^ Todd C. Jude (Jan 1, 2002). Herbal Home Remedies. B. Jain Publishers. pp. 97-98. ISBN 81-8056-550-5. http://books.google.co.jp/books?id=QTK5Mq6zUt8C&pg=PA97. 


  18. ^ Vinegar cure for Toe-Nail fungus


  19. ^ “白癬菌に対する木酢液の発育抑制・殺菌作用”. 2016年5月25日閲覧。


  20. ^ 石原結實 『「医者いらず」の食べ物事典』 PHP研究所、2006年、CMCテクニカルライブラリー 261、69頁。
    ISBN 4-569-66624-8。


  21. ^ abJames A. Duke (Jun 23, 2009). The Green Pharmacy Guide to Healing Foods. Rodale. pp. 416 (pp54-56). ISBN 978-1-59486-712-5. http://books.google.co.jp/books?id=uT-JKaiX2FQC&pg=PA54. 


  22. ^ ニンニク 「健康食品」の安全性・有効性情報




参考文献



  • 渡辺晋一「診療ガイドライン at a glance 皮膚真菌症診断・治療ガイドライン」、『日本内科学会雑誌』第106巻第4号、2017年、 802-806頁、 doi:10.2169/naika.106.802、 NAID 130006681900。

  • 渡辺晋一、松田哲男、望月隆 ほか「皮膚真菌症診断・治療ガイドライン」、『日本皮膚科学会雑誌』第119巻第5号、2009年、 851-862頁、 doi:10.14924/dermatol.119.851、 NAID 130004708665。



関連項目







  • アホエン - ニンニクに含まれる化合物で、足白癬等の医療用途の治療に適用できると考えられている。



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