はかた号






「はかた号」新型車両(2014年12月 - )




「はかた号」2階建て車両




朝、諏訪湖サービスエリアで休憩中の「はかた号」。左は2008年導入の純正ボディの三菱エアロクィーン。右は2003年導入の三菱エアロクィーンシャーシを架装した西工ボディのネオロイヤルSD-II。


はかた号(はかたごう)は、西日本鉄道(西鉄バス)が運行する、東京都渋谷区と福岡県北九州市小倉北区・八幡西区ならびに福岡市中央区・博多区を結ぶ高速バス路線である。




目次






  • 1 概要


  • 2 運行経路・停車停留所など


  • 3 運行会社


  • 4 歴史


  • 5 運賃の変遷と価格競争


  • 6 車両


    • 6.1 使用車両


      • 6.1.1 スーパーハイデッカー(2014年 - )


      • 6.1.2 2階建てバス(2009年 - 2014年)


      • 6.1.3 スーパーハイデッカー(1990年 - 2009年)


      • 6.1.4 4列シートのハイデッカー車




    • 6.2 車内設備・サービス


    • 6.3 過去の使用車両画像一覧




  • 7 付記


  • 8 脚注


  • 9 関連項目


  • 10 外部リンク





概要


バスタ新宿(東京都渋谷区千駄ヶ谷・新宿駅南口地区) - 博多バスターミナル(福岡市博多区博多駅中央街)間の1,097kmを所要時間14時間17分(福岡発は14時間35分)で走破するバス路線である。


2018年2月現在、天領バスが運行する「オリオンバス」(東京駅 → 博多駅間1,118 km、15時間50分)に次いで日本で2番目に運行距離が長い[1]。運行距離に比して所要時間が比較的短いのは、走行区間のほぼ全線で高速道路を走行し、他の高速路線バスと比べて一般道路を走行する割合が極めて低いためである。


「はかた号」以外の福岡と東京を結ぶ交通機関として、夜行高速バスでは前述の「オリオンバス」があるほか、夜行高速バス以外では東海道・山陽新幹線の「のぞみ」、首都圏と九州各県の国内定期航空路線、東京港(東京港フェリーターミナル) - 新門司港間のオーシャン東九フェリーもある。


利用者数は2.1万人/年(2009年6月の新聞報道による)[2]



運行経路・停車停留所など


太字は客扱いを行う場所。交通事情などにより経由地や休憩場所は変更される場合がある。


バスタ新宿 - 初台南出入口[3] -(首都高速中央環状線・首都高速3号渋谷線) - 東京IC - (東名高速道路・新東名高速道路・伊勢湾岸自動車道・東名阪自動車道・新名神高速道路・名神高速道路・中国自動車道・山陽自動車道・広島岩国道路・山陽自動車道・中国自動車道・関門橋) - 門司IC - (北九州都市高速4号線) - 富野出入口 - (平和通り・小文字通り) - 小倉駅前 - (国道199号) - 砂津 - (国道3号・国道199号) - 足立出入口 - (北九州都市高速4号線) - 黒崎IC〈引野口〉 - (北九州都市高速4号線) - 八幡IC - (九州自動車道) - 福岡IC - (都市高速4号線・1号線・環状線) - 天神北出入口 - 西鉄天神高速バスターミナル - 博多バスターミナル



  • 夜と朝に1回ずつ休憩を行う。休憩場所は、静岡SAと佐波川SAが主に用いられる。

  • このほか、乗務員交代や給油のため途中のサービスエリアに停車するが、乗客は外へ出ることはできない(後述)。



運行会社



  • 西日本鉄道(博多自動車営業所)

    • 京王電鉄バスが東京側の運行支援・予約発券業務を行っている(詳細後述)。



歴史




  • 1990年(平成2年)10月12日 - 西日本鉄道と京王帝都電鉄(現・京王電鉄)との共同運行で運行開始。当時は中国自動車道経由だった。1日2往復で、各社が1往復ずつ担当した。運行開始当初の所要時間は15時間10分(新宿発。福岡発は新宿発より5分増し。以下同じ)で、所要時間が非常に長いため現地での乗務員の休憩時間を確保するために先発便を出発地の会社が、後発便を到着地の会社が担当する形とした。


  • 1992年(平成4年)11月1日 - 広島北JCT - 山口JCT間を中国自動車道経由から広島自動車道・広島岩国道路・山陽自動車道経由に変更。発着時刻は変更せず。


  • 1993年(平成5年)12月26日 - 福崎IC - 広島JCT間を中国自動車道・広島自動車道経由から播但連絡道路・山陽自動車道経由に変更。所要時間を14時間30分に短縮。


  • 1997年(平成9年)12月10日 - 山陽自動車道の全通により神戸JCT - 山陽姫路東IC間を中国自動車道・播但連絡道路経由から山陽自動車道経由に変更。所要時間を14時間30分から14時間20分に短縮。


  • 1999年(平成11年)1月18日 - 京王電鉄の撤退により西鉄の単独運行に変更(1日1往復)。京王は東京側の予約・発券業務のみを行う[4]


  • 2003年(平成15年)8月11日 - 中国自動車道上り線で東京行「はかた号」2台と大型トラック5台、乗用車2台が絡む多重衝突事故が発生。「はかた号」の運転士2名が死亡、乗客・乗務員を含む36名が負傷[5][6]


  • 2009年(平成21年)12月22日 - プレミアムシート・ビジネスシート・エコノミーシートの3クラスの座席を装備した2階建て車両を福岡発の便より運行開始。


  • 2012年(平成24年)12月20日 - 運行ルートを変更し、新たに北九州地区(黒崎IC(引野口)・砂津・小倉駅前)に停車。運賃は天神・博多駅出発分からそれぞれ500円引き。また、運行ルートもこれまでの中央自動車道経由から新名神高速道路・伊勢湾岸自動車道・東名高速道路などを経由するルートに変更となる。全区間の所要時間および従来からの停車地の発着時刻は変更しない[7]。同時に、従来はプレミアムシートのみだったコンセントを全座席に追加してスマートフォンなどのモバイル機器の充電を可能にするのに加え、「au Wi-Fi SPOT」にも対応。対象ユーザー以外にも同じくプレミアムシート専用だった無線LANサービスを全席に拡大し「バス車内無料Wi-Fiサービス」を開始。これは「Lions Express」の西鉄高速バス運行便でも実施した[8]
    • ただし、同年12月2日に発生した笹子トンネル天井板落下事故により中央自動車道の一部区間で通行止めとなったため、12月3日より東名高速道路経由で運行している[9]



  • 2013年(平成25年)4月1日 - 新運賃体系の導入。往復運賃が廃止され、福岡・北九州発ともに同一運賃になる。また、プレミアムシート利用料金をこれまでの4,000円から3,000円に値下げ[10]



(シート:A運賃、B運賃、C運賃、D運賃)


  • プレミアムシート:18,000円、16,000円、15,000円、14,000円

  • ビジネスシート:15,000円、13,000円、12,000円、11,000円

  • エコノミーシート:12,000円、9,000円、8,000円、8,000円




  • 2014年(平成26年)
    • 4月1日 - 消費税率の引き上げに伴い、同日出発分から運賃が値上げとなる[11]。値上げ幅はプレミアムシートで500円、ビジネスシートで400円、エコノミーシートで300円。



(シート:A運賃、B運賃、C運賃、D運賃)


  • プレミアムシート:18,500円、16,500円、15,500、14,500円

  • ビジネスシート:15,400円、13,400円、12,400円、11,400円

  • エコノミーシート:12,300円、9,300円、8,300円、8,300円






    • 9月1日 - 軽食サービスを廃止。


    • 12月19日 新型車両に移行。スーパーハイデッカー車に戻り、エコノミーシートを廃止。ビジネスシートのうち最後部4席を女性専用席に設定[12]。また、三ヶ日 JCT - 御殿場 JCT 間を東名高速道路から新東名高速道路へ運行ルートを変更し、西鉄天神バスセンター始発・終着を博多バスターミナル始発・終着へ変更[13]。本来は12月18日からの予定だったが、17日から日本全土で発生した低気圧の影響による天候不順で17日及び18日の夜行高速バスの便がほぼ全て運休になったため、19日からの運行となった。また、博多バスターミナルのりばを変更(35番のりば→36番のりば)。



  • 2015年(平成27年)


    • 2月26日 - 2015年3月にWeb予約・クレジットカード払い限定で設定していたWEB早割21/14[14]に代わり、45日もしくは30日前までの予約で4,500円/3,000円引きになるWEB早割45/30を6月1日出発分から11月30日出発分まで設定[15]。実施期間外の4月1日出発分から4月30日までの分は通常運賃から1,000円引き、5月7日から5月31日出発分は通常運賃から2,000円引きのキャンペーンを実施。いずれもビジネスシートのみ(最後尾4列の女性専用席は割引キャンペーンは対象、WEB早割は対象外。4列シート車両も除く)が対象で、プレミアムシートは対象外。また、6月1日出発分より予約受付開始日を出発日の二ヶ月前からに変更。


    • 12月4日 - 車両の一部リニューアル[16]。プレミアムシートのうち1列目の2席にスイッチで透明になるマジックガラスを設置。これにより、前方景色が見られないという問題が最前列席は解消される。また、全席にSOSスイッチを設置。後者は、2016年3月までに全夜行高速バスに設置予定。




  • 2016年(平成28年)4月4日 - バスタ新宿開業に伴う乗車・降車場所の変更[17]。1号車は2016年5月9日までは乗車のみバスタ新宿に変更、新宿高速バスターミナルが降車場所になるが、5月10日以降は乗降共にバスタ新宿となる。なお、続行便(2号車以降)は引き続き新宿高速バスターミナルが乗降場所になる。


  • 2017年(平成29年)7月1日 - プレミアムシートの専用サービスであるWi-Fi接続『Nishitetsu Bus Free Wi-Fi』を、NTTBPの『Japan Connected-free Wi-Fi』に対応[18]



運賃の変遷と価格競争


運行開始当初は片道15,000円・往復27,000円の運賃設定で、運行開始以来2009年まで運賃改定は行っていなかった。


はかた号の所要時間は、航空機(所要90分から100分程度)や鉄道(東海道・山陽新幹線「のぞみ」は所要5時間4分)との差は大きかったものの、この当時の鉄道利用の場合は通常期に新幹線普通車指定席を利用の場合で片道23,100円(運賃13,180円+「のぞみ」特急料金9,920円)[19]で、航空機利用なら片道25,350円・往復45,800円(いずれもジェット特別料金片道850円を含む)[20]となっており、「はかた号」の価格面での優位性は明らかであった。


ところが、航空では1998年9月にスカイマークエアラインズ(現・スカイマーク)が東京/羽田 - 福岡線に新規参入した。普通運賃は大手航空3社[21]の半額となる13,700円に設定されたため、大手3社は割引運賃(「特割」など)でこれに追随した。この結果、航空運賃は「はかた号」の片道普通運賃を下回った(ただし、航空運賃は一定ではなく時期などによって変動する)。のちに航空運賃は徐々に値上げされたため、通常期運賃などに比べ価格面での優位性が再び高まってはいるものの、その後、東京 - 北九州線に新規参入したスターフライヤーが、指定期間のみ発売・2か月前予約・購入が必要という条件とはいえ片道1万円前後の航空券を販売しているほか、北九州発の始発便ならびに羽田発の最終便については、前日までの購入でも13,000円から16,000円程度の価格設定となっている[22]。また、大手航空2社[23]も期間限定の早期割引運賃では「はかた号」の運賃と同程度の運賃設定を行っている。


一方、鉄道では福岡市に西日本旅客鉄道(JR西日本)山陽新幹線の終点である博多駅が立地し、JR各社では運賃・新幹線特急料金を割り引いた特別企画乗車券の発売を行っている。福岡側のみの発売で、利用条件が限定(1週間以上前購入・往復利用)されるが、「のぞみ早特往復きっぷ」として福岡市内 - 東京都区内間が「はかた号」のビジネスシートより高くプレミアムシートより安い往復33,000円(片道あたり16,500円)の特別企画乗車券を発売している。


航空・鉄道の各種割引制度や特別企画乗車券の導入による実質的な低価格化により、1999年1月18日以降は2往復の運行から1往復に減便されるとともに、西鉄の単独運行に移行した。なお、年末年始・大型連休・お盆などといった航空・鉄道の繁忙期には、はかた号が増車運行されることもある。


さらに21世紀に入ると、オリオンツアー・ロータリーエアーサービスなどによりツアーバスが主催されるようになり、「はかた号」のビジネスシートと同等の独立3列シートタイプで片道10,000円から13,000円程度、エコノミーシートと同等の4列シートタイプの格安便だと時期によっては片道8,000円という旅行代金が設定される日もあった。また主催者や便により「はかた号」と同様の新宿・福岡市内のほかに東京ディズニーリゾート・東京駅周辺・横浜市・北九州市などの多様な発着地が設定された。これらのツアーバスは2013年7月31日の「新高速バス制度」施行までに多くが姿を消し、天領バスの「オリオンバス」とロイヤルバスの「ロイヤルエクスプレス」が高速乗合バスに移行したが、いずれも運賃はツアーバス時代の料金より上がり「はかた号」との価格差は縮小した。「ロイヤルエクスプレス」は2017年に休止され、現在は「オリオンバス」のみが残っている。
一方、航空においては2013年より格安航空会社のジェットスタージャパンが成田空港と福岡空港の間に就航し、キャンペーン期運賃では手数料等込で3000円台、それ以外の時期でも手荷物の貨物室預けや座席指定なども別料金で払い戻し不可という条件で5000~6000円台(ただし時期による変動は大きく最繁忙期はこの2倍以上になる)という運賃設定を行ない、はかた号も大きな影響を受けている。


運賃は永らく1クラス制であったが、2009年12月22日の2階建て車両導入を機に、「プレミアム」「ビジネス」「エコノミー」の3クラス制に分けられるようになった。「エコノミー」は往復割引がないものの通常期は片道1万円を切る価格設定がされている[24]。それにより以下のような運賃体系となった。



  • プレミアムシート: 片道 19,000円(運賃15,000円+シート利用料4,000円)、往復 35,000円(運賃27,000円+シート利用料8,000円)

  • ビジネスシート: 片道 15,000円、往復 27,000円

  • エコノミーシート: 片道・通常期 8,000円、繁忙期 12,000円(往復割引はない)

  • 北九州市内(引野口・砂津・小倉駅前) - 新宿間は福岡市内 - 新宿間の各片道運賃より500円引き(2012年12月20日以降)。


2013年4月1日に運賃を再度改定し、日によりA運賃・B運賃・C運賃・D運賃の4種類の運賃となった。また往復割引が廃止されるとともに、福岡市内乗降・北九州市内乗降ともに同一運賃となり、プレミアムシート利用料は3,000円に値下げされた。



  • ビジネスシート: A運賃15,000円(従来の運賃と同額)、B運賃はA運賃の2,000円引、C運賃はA運賃の3,000円引、D運賃はA運賃の4,000円引

  • プレミアムシート: ビジネスシートの3,000円増

  • エコノミーシート: A運賃12,000円(従来の繁忙期運賃と同額)、B運賃はA運賃の3,000円引、C・D運賃はA運賃の4,000円引(従来の通常期運賃と同額):(シート:A運賃、B運賃、C運賃、D運賃)



  • プレミアムシート:18,000円、16,000円、15,000円、14,000円

  • ビジネスシート:15,000円、13,000円、12,000円、11,000円

  • エコノミーシート:12,000円、9,000円、8,000円、8,000円


2014年12月の新型車両導入に合わせエコノミーシートの設定がなくなり、運賃が以下のように改定された[12]。なお、続行便で運用される2階建てバスに関しては、ビジネスシート以外はこれまでの運賃体系を引き継ぐ。



  • プレミアムシート: ビジネスシートの5,000円増

  • ビジネスシート: A運賃15,000円(従来の運賃と同額)、B運賃はA運賃の1,000円引、C運賃はA運賃の2,000円引、D運賃はA運賃の3,000円引
    ビジネスシートでWEB早割45/30適用時は、それぞれの料金から4,500円/3,000円引


  • ビジネスシート(女性専用):通常のビジネスシート価格から1,000円引



車両



使用車両



スーパーハイデッカー(2014年 - )


2014年(平成26年)12月から新型車両に替わった[12]。車種はスーパーハイデッカー車の三菱ふそう・エアロクィーン (MFBM製)。白夜行ロゴがゴールドになり、2階建てバス同様「Line connecting Hakata with Tokyo」が描かれている。


エコノミーシートを廃止し、プレミアム・ビジネスの2クラス制に移行。「プレミアムシート」4席、「ビジネスシート」20席→18席(うち最後部4席→3席は女性専用席)。



  • プレミアムシートは、電動リクライニング、背面マッサージ機、背面ヒーター、座面送風機能を内蔵する本革シートとなり(シートはマジカルテクニカ製A380F[25])、パーティションも設置され、個室化。新たに専用空気清浄機とインターネットや電子書籍を無料で閲覧できる専用タブレット端末(iPad mini 3)が配備される。

  • ビジネスシートは本革とモケットのコンビネーションを採用した独立シートに加え、座席配置を1-1-1アブレストに変更(女性専用席は2017年2月18日運行分までは4アブレスト、2月19日運行分より1-1-1アブレスト)。

  • 新たに女性専用席を除く全席にUSBポートが配備され、全席3点式ELRシートベルトが装備されている。



2階建てバス(2009年 - 2014年)




乗車口




プレミアムシート


2009年12月に従来のスーパーハイデッカー車に代わり、西鉄の高速バスでは初となる2階建て車両の運行を開始した[26]。車種は三菱ふそう・エアロキングで、1階にトイレを設置している。


外観は一般公募によるデザインが採用され、ゴールドのベースカラーに東京都の都花「桜」と福岡県の県花「梅」が描かれている[24]


座席は「プレミアムシート」4席、「ビジネスシート」21席、「エコノミーシート」10席の3クラス、計35席備えられている。



  • 2階最前部にある「プレミアムシート」は運賃のほかに利用料が必要で、従来より座席幅を広げリクライニング角度を深くした独立2列シートを設置し、各席に専用テレビと専用のマッサージ器が貸し出される。

  • 2階のプレミアムシートの後方にある「ビジネスシート」は従来の車両と同様の独立3列シートで、運賃は従来の車両と同額である。

  • 1階の「エコノミーシート」は、ツアーバス(観光バス)並みの2人掛け(横4列)シートで、運賃は従来より低廉に設定されている。

  • 全クラスにパソコン用コンセント・無線LANを備えている(従来はプレミアムシート専用設備だった)。



スーパーハイデッカー(1990年 - 2009年)


2階建てバス導入前まではスーパーハイデッカー車が使用されていた。岡本太郎のデザインによる白ベースの車両が原則として使用され、塗色名称は「白夜行」と呼ばれている。専用車両には「HAKATA」のロゴが表記されていたが、2003年の新製車から他系統への運用充当を意識してロゴがなくなり、それ以前の車両についても2006年秋頃にロゴが消された[要出典]


全席独立3列シートでトイレを設置している。運行開始当初は西鉄・京王とも正座席23人乗りで後部サロン付き(京王は三菱自動車純正ボディの三菱ふそう・エアロクィーン、西鉄は西日本車体工業SD-IIボディのエアロクィーン)であったが、西鉄は1994年12月に正座席27人乗り・後部談話室付きの車両に、京王は1995年8月に正座席28人乗り・サロンなしの車両にそれぞれ変更された。京王の撤退後、西鉄では2003年から後部談話室と公衆自動車電話を廃止して他の夜行バス用車両と同様の仕様とした車両が導入されている。また、2006年からは従来の西日本車体工業製の車体を持つ車両に代わり、三菱ふそうバス製造が架装する三菱ふそうトラック・バス純正車体(ハイウェイライナー)の車両が導入されている。トイレの位置が異なるため、この車両は座席配置が従来と異なっている。


スーパーハイデッカー車は2階建て車両の導入により通常は「はかた号」では使用されなくなったが、2階建て車両が検査に入る際の代走、あるいは2号車以降の続行便が運行される際の続行便用として使用されることがある。



4列シートのハイデッカー車


続行便を運行する場合は、通常「ひのくに号」などで使用されている「火の鳥カラー」で後部トイレ付き4列シートのハイデッカー車(主に8528、8529[27])や、かつて「Lions Express」専用車であった「白夜行カラー」(現在は「火の鳥カラー」)でスーパーハイデッカーの8545、8546号車が全席をエコノミーシート扱いとして運行されることがある。



車内設備・サービス



  • かつては車内でのビデオ上映のサービスがあり、上下とも出発後から夜の途中休憩までの間と、朝の途中休憩出発後から到着までの間に放映していた。2003年式以前の車両が充当されていた際は、始発点の改札開始からビデオ上映開始までと、2本目のビデオが終了してから終着地に到着するまでテレビ番組を上映する場合があった。

  • エコノミーシートを除き、朝の休憩時前後に軽食が配布されていた(後述)。

  • 夜の休憩後にカーテンが引かれ、通路と座席が遮断される。さらに前後に対してはフェイスカーテンによって仕切ることができるため、就寝時には個室感覚のスペースができる。フェイスカーテンは通路側カーテンにぶらさがっており、反対側の端を天井のエアコン吹き出し口の横にあるボタン(中央列の場合は反対側の通路側カーテンにあるボタン)に留めることで使用できる。

  • かつては車内に公衆自動車電話が設置されていたが、携帯電話が普及したため、2003年以降に導入された車両には設置されていない。それ以前の車両についても、電源が切られ使用できない、あるいは電話機自体撤去されている。

  • 運行開始当初から車内に給湯器が設置されており、セルフサービスでお茶とインスタントコーヒーが提供されていたが、2006年以降に導入された車両においては一部の設備が省略されており給湯器が設置されていない。このため、2006年以前・以後に導入された車両によってサービス内容が大幅に異なっていた。

  • 運行開始以来、軽食サービスを行っていたが、2014年9月1日発便より廃止となった。当初は主にクラッカーまたはマドレーヌ、缶入りサラダ、フルーツジュース等が提供されていたが、徐々に簡素化され、のちにコモ社のパネットーネと紙パックの緑茶に変更、さらに2010年には大塚製薬の栄養食品SOYJOY2本とポカリスエット(ビジネスでは200mlペットボトル、プレミアムでは500mlペットボトル)1本、プレミアムではそれに加えてカロリーメイト一箱となっていた[28]

  • 2010年7月16日出発分以降、ビジネスとプレミアムでは花王のホットアイマスクが一枚サービスされている[29]



過去の使用車両画像一覧


西日本鉄道



京王電鉄




付記



  • 前述のオリオンバス以外にも、運行距離または時間ではかた号を上回る(上回った)路線は複数存在する。


    • Lions Express(西武バス大宮営業所 → 西鉄天神高速バスターミナル間):1170km(開業時)/15時間20分(下り) - 2011年12月8日から[30][31]2015年5月16日まで[32]、西武観光バスと西鉄グループの西鉄高速バスによって運行された。


    • ふくふく東京号・ドリームふくふく号(東京駅 - 下関駅間) - 1991年3月28日から2006年11月30日まで、サンデン交通と中国JRバスによって運行された。


    • いわみエクスプレス(新木場駅 → 津和野駅):15時間36分 - 1996年4月26日から2016年9月10日まで、中国JRバスによって運行された。2008年7月1日に経路延長されたことで、運行時間が日本最長になった。


    • 萩エクスプレス(萩バスセンター → 東京駅):14時間39分 - 1993年4月24日に京浜急行電鉄(2003年10月1日に京浜急行バス、2005年12月1日に京急観光バスに移管し、2007年6月1日撤退)と防長交通によって運行開始。2007年8月10日に現行の東京駅発着に変更。



  • 計画段階では北九州市を経由することや、サロン付き2階建てバスを使用することや、途中のサービスエリアで食事を提供することが検討されたが、運行開始時にはいずれも見送られた[33]
    • 2階建てバスについては2009年12月より運行を開始したほか、2012年12月からは北九州経由で運行している。


  • 運行開始後の1991年、西鉄では帝都高速度交通営団(営団地下鉄、現・東京地下鉄)の駅で配布している路線図の裏に広告を出稿した。共同運行の相手会社側で独自に広報活動を行ったという点で希少な例である。文言は東京側の利用者向けになっていたが、車両設備の写真などはすべて西鉄の車両のものであった。

  • 過去には、年末年始やお盆などの多客期には予備車や西鉄高速バスの車両を使用して、合計4台から8台で運行することもあった。なお、運行開始当初から1999年頃までにおいては貸切車(4列シート車ではあるがトイレ、給湯器ならびに乗務員仮眠室が付いたスーパーハイデッカーの「スーパーロイヤル」)を含め10台から12台で運行していたこともあったが、2000年代後半以降は、すべて白夜行および「ムーンライト」カラーなどの3列独立シート車を使い、以前に比べ続行車の台数も少なくなっている。最繁忙期は西鉄高速バスの「さぬきエクスプレス福岡」・「桜島号」向け夜行車(いずれも塗装は白夜行カラー)も使用されることがある。なお、西鉄高速バスの車両は西鉄に貸し出されているため、原則として西鉄の乗務員が運行を担当するが、乗務員が不足する際には西鉄高速バスの乗務員が乗務する場合がある。

  • 2003年末の多客期からは「博多の女」(はかたのひと)という愛称の女性専用車両が運行されていた。しかし2006年夏季以降の多客期には女性専用車両の運行はされていない[34]

  • 2003年には新車[35]、2006年と2007年・2008年にも新車[36]が導入されたが、これら車両にはHAKATAのロゴは入っていない。

  • 全行程が1,000kmを超える長距離路線のため、必ず途中で給油を行う(福山SAや御在所SAが主に使われる)。中央道を経由していた時代は主に名神高速養老SAや山陽道三木SAが使われたほか、上り便については諏訪湖SAにて休憩後に給油する場合もあった。

  • 東京側の待機場は、路線開設時の京王バス[37]永福町営業所から中野営業所に変更されたが、2階建てバス運行開始後は永福町営業所に戻っている。繁忙期は永福町営業所の他に中野営業所を使用することもある。また、10台 - 12台で運行していた際は両営業所の車庫を使用しても全車両を収容できないため、一部車両は東京都庁舎の駐車場を待機所として使用していた時期もある。その後も繁忙期などにおける続行車の台数が多い場合は、都営バス新宿支所を待機所として使うこともある。



脚注


[ヘルプ]




  1. ^ “日本最長1100km14時間 東京〜博多間の高速バス、長距離・長時間運行でも支持されるワケ”. メディア・ヴァーグ (2016年10月29日). 2018年2月12日閲覧。


  2. ^ “西鉄がバス刷新、2階建てに変更、定員増 福岡-東京夜行高速”. 京都新聞 (京都新聞社). (2009年6月27日). http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2009031300048 2009年7月2日閲覧。 [リンク切れ]


  3. ^ 池尻出入口になることもある。


  4. ^ 鈴木文彦「Bus★CORMER バス全国情報」、『鉄道ジャーナル』第33巻第4号、鉄道ジャーナル社、1999年4月、 130頁。


  5. ^ “深夜バス含む9台が事故 運転手死亡、重軽傷41人”. 47NEWS (全国新聞ネット). (2003年8月11日). http://www.47news.jp/CN/200308/CN2003081101000546.html 2010年5月28日閲覧。 


  6. ^ “2人死亡、重軽傷も36人 中国道事故はバス含む11台”. 47NEWS (全国新聞ネット). (2003年8月11日). http://www.47news.jp/CN/200308/CN2003081201000043.html 2010年5月28日閲覧。 


  7. ^ “夜行高速バス 福岡〜東京線「はかた号」運行ルート変更 新たに北九州地区に停車します!” (PDF) (プレスリリース), 西日本鉄道, (2012年11月19日), http://www.nishitetsu.co.jp/release/2012/12_117.pdf 2012年11月19日閲覧。 


  8. ^ “夜行高速バス「はかた」号、「Lions Express」のバス車内サービス拡充に向けた新たな取り組みについて” (PDF) (プレスリリース), 西日本鉄道, (2012年12月14日), http://www.nishitetsu.co.jp/release/2012/12_136.pdf 2012年12月17日閲覧。 


  9. ^ 九州のりものinfo.com - 西鉄グループ 一般路線バス・高速バスの運行について(2012年12月3日10:15発表)


  10. ^ 夜行高速バス「はかた号」「Lions Express」 新たな運賃体系を導入します!(PDF) (PDF)”. 西日本鉄道 (2013年2月26日). 2013年2月26日閲覧。


  11. ^ 消費税率引上げに伴う乗合バス各種運賃の改定について (PDF)”. 西日本鉄道 (2014年2月24日). 2014年6月26日閲覧。

  12. ^ abc“夜行高速バスの快適な旅をプロデュース!個室型シートを採用した新「はかた号」 12月18日運行開始!” (PDF) (プレスリリース), 西日本鉄道, (2014年10月21日), http://www.nishitetsu.co.jp/release/2014/14_110.pdf 


  13. ^ 本州・四国方面夜行高速バスのダイヤ改正を12月18日(木)に実施します (PDF)”. 西日本鉄道 (2014年11月17日). 2014年11月18日閲覧。


  14. ^ 福岡〜東京間は便利で快適な夜行高速バスで!「はかた号」期間限定でWEB早割を設定します! (PDF)”. 西日本鉄道 (2015年1月29日). 2015年2月26日閲覧。


  15. ^ 夜行高速バス「はかた号」がますますおトクに!「WEB早割45/30」「運賃割引キャンペーン」を実施します! (PDF)”. 西日本鉄道 (2015年2月26日). 2015年2月26日閲覧。


  16. ^ 夜行高速バス「福岡・北九州〜東京(新宿)線[はかた号」 前方プレミアムシートにマジックガラス&全席にSOSスイッチ設置] (PDF)”. 西日本鉄道 (2015年12月4日). 2015年12月4日閲覧。


  17. ^ 福岡・北九州 〜 東京(新宿)線 夜行高速バス(はかた号)新宿の乗降場所の変更について - 西鉄くらしネット 2016年3月14日閲覧


  18. ^ 西鉄バス一部路線において『Japan Connected-free WiーFi』が利用可能になります (PDF)”. 西日本鉄道 (2017年6月23日). 2017年6月26日閲覧。


  19. ^ 弘済出版社『JR時刻表』1994年6月号 p884


  20. ^ 弘済出版社『JR時刻表』1994年6月号 p853


  21. ^ 日本航空・全日本空輸・日本エアシステムの3社。


  22. ^ その時間帯は九州側の着発空港である北九州空港と市街を結ぶ公共交通機関がないため安価な設定となっている。


  23. ^ 日本航空・全日本空輸の2社。

  24. ^ ab“〜夜行高速バス「はかた」号にハイグレード車両を2台導入〜 車両デザインと新シート運賃を決定しました!” (PDF) (プレスリリース), 西日本鉄道, (2009年10月29日), http://www.nishitetsu.co.jp/release/2009/09_126.pdf 


  25. ^ マジカルAV700|マジカルシリーズキット一覧 - マジカル・テクニカ(2016年6月24日閲覧)
    同ページ内のマジカル A380(シート)のご紹介を参照。



  26. ^ “夜行高速バス 福岡〜東京線「はかた」にハイグレード車両を2台導入します” (PDF) (プレスリリース), 西日本鉄道, (2009年6月26日), http://www.nishitetsu.co.jp/release/2009/09_043.pdf 


  27. ^ [1]


  28. ^ バスラマスペシャル9 p61


  29. ^ “「はかた」号 新たなアメニティグッズの提供とオリジナルグッズの販売開始について” (PDF) (プレスリリース), 西日本鉄道, (2010年7月13日), http://www.nishitetsu.co.jp/release/2010/10_059.pdf 2010年7月17日閲覧。 


  30. ^ “高速バスに大宮―博多路線新設 全国最長の1170キロ”. asahi.com (朝日新聞社). (2011年11月15日). オリジナルの2012年7月18日時点によるアーカイブ。. http://archive.is/wmo1 [リンク切れ]


  31. ^ “福岡〜大宮に高速バス路線 全国最長を更新”. J-CASTニュース (ジェイ・キャスト). (2011年11月15日). http://www.j-cast.com/2011/11/15113146.html 


  32. ^ 服部展和 (2015年5月14日). “日本一の長距離バス 16日最終便 ライオンズエクスプレス”. 東京新聞 (中日新聞社). オリジナルの2015年5月17日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20150517073938/http://www.tokyo-np.co.jp/article/saitama/20150514/CK2015051402000169.html 2015年5月16日閲覧。 


  33. ^ ぽると出版 バスラマ・インターナショナル スペシャル9 続・西鉄バスの本(以下「バスラマスペシャル9」)p77


  34. ^ 「博多の女」は、福岡の菓子メーカー「二鶴堂」が1972年から販売している菓子の名称でもあり、「はかた号」においても菓子「博多の女」が提供されていた時期がある。


  35. ^ 三菱ふそう KL-MS86MP改、2003年4月以降で西工ネオロイヤルSD-II架装のため、改造扱いとなる。


  36. ^ 三菱ふそうエアロクィーンI PJ-MS86JP、このモデルは三菱ふそうバス製造の車体となっている。


  37. ^ 路線開設当時は京王帝都電鉄(現・京王電鉄)の直営。のちに分社し、現在は京王バス東。※詳細は、京王電鉄バスを参照。




関連項目




  • 水曜どうでしょう - 北海道テレビ放送制作のバラエティ番組。当路線を「キング・オブ・深夜バス[1]」として紹介し、当路線を主題とする企画を放送した[2]


  • 天領バス - 当路線と同一区間を含む「オリオンバス」を運行する乗合バス事業者。以前は同区間をツアーバスとして運行していた。


  • ロイヤルバス - 当路線と同一区間を含む「ロイヤルエクスプレス」を運行する乗合バス事業者。以前は同区間をツアーバスとして運行していた。


注釈




  1. ^ 同番組では「(高速)夜行バス」のことを「深夜バス」として紹介している。


  2. ^ 『Quick Japan』 Vol.52 p.88,114ほか (太田出版、2004年1月) ISBN 4-87233-821-9




外部リンク



  • 福岡・北九州 〜 東京(新宿)(はかた号)夜行|高速バスのご案内|バス情報|西鉄くらしネット - 西日本鉄道



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