東洋電機製造
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種類 | 株式会社 |
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市場情報 | 東証1部 6505 |
略称 | 東洋電機 |
本社所在地 | ![]() 〒103-0028 東京都中央区八重洲一丁目4番16号 |
設立 | 1918年(大正7年)6月20日 |
業種 | 電気機器 |
法人番号 | 7010001034857 |
事業内容 | 電気機器 他 |
代表者 | 代表取締役社長:寺島憲造 代表取締役専務:土屋正美 |
資本金 | 49億9839万円 (2012年5月) |
発行済株式総数 | 48,675,000株 |
売上高 | 単体340億57百万円 連結385億70百万円 (2012年5月期) |
純資産 | 単体123億58百万円 連結150億49百万円 (2012年5月) |
総資産 | 単体353億26百万円 連結380億86百万円 (2012年5月) |
従業員数 | 単体832名、連結1,262名 (2016年5月) |
決算期 | 5月31日 |
主要株主 | 東日本旅客鉄道 4.93% 豊田自動織機 4.31% 日本生命保険 3.46% 日立製作所 2.26% (2012年5月) |
関係する人物 | 渋沢栄一 |
外部リンク | https://www.toyodenki.co.jp/ |
東洋電機製造株式会社(とうようでんきせいぞう、英: TOYO DENKI SEIZO K.K.)は、鉄道車両用電気機器、産業生産設備をはじめとする電気機械などの生産を行う企業である。通称、「東洋電機」と呼ばれるが、同名の他社と区別するために「東洋電製」と呼ばれることもある。東京証券取引所第1部上場(証券コード:6505)。
同社は半導体製造部門を持たない重電機器メーカーのためGTOサイリスタ、IGBTやダイオードなどの主要電力半導体は同業他社より供給を受けている。ただし、1980年代まではサイリスタを自社製作、その後もSIサイリスタの商品化研究を行っていたが、1998年限りで半導体事業からは撤退した。[要出典]
鉄道車両下部の機器収納箱やパンタグラフ基部などに「Toyo Denki」と書かれた同社の現ロゴや「T」「D」「K」の三文字をあしらった旧ロゴ(現ロゴ「Toyo Denki」と併用している)をしばしば見ることができる。
みどり会の会員企業である。
愛知県の東洋電機や、兵庫県丹波市で電車用機器を製造する三菱電機系列の東洋電機は、資本・人材を含めて一切の関連を持っていない。
目次
1 事業所
2 沿革
3 主な納入先
3.1 日本国内
3.2 世界各国
4 国内連結子会社
5 競合他社
6 不祥事
6.1 東洋電機カラーテレビ事件
6.2 取引先からの架空発注問題
7 新工場建設
8 脚注
9 参考文献
10 関連項目
11 外部リンク
事業所
- 工場 - 横浜製作所(横浜市金沢区)、滋賀工場(滋賀県守山市、以前は京都市南区、現在任天堂本社ビルが建っている場所にあった)
- 鉄道車両用機器の製品例
東武9000系電車の主回路チョッパ制御装置(1987年納品)
東武9050系電車のVVVFインバータ制御装置(1994年納品)
京成3000形7次車のVVVFインバータ制御装置(2009年から納品)
JR東日本E217系電車の補助電源装置(2008年から納品)
沿革

創業初期から生産していたDB1形直接制御器、Dick Kerr Systemの表記がある
それまで外国製品の輸入に頼っていた鉄道車両用電気機器の国産化を目指し、石川島造船所(現・IHI)の社長で京阪電気鉄道の役員であった渡邊嘉一が中心となり設立、イギリスのデッカー社(1920年にイングリッシュ・エレクトリック[1]に改称、GECを経て現在のアルストム)との技術提携により生産を開始した[2]。
会社設立の背景には、第一次世界大戦によるヨーロッパを中心とする輸入製品の不足、大戦による好景気があった。
この時点で、芝浦製作所はすでにGEと提携関係にあり[3][4]、1921年(大正10年)には三菱電機が創立、1923年(大正12年)に三菱電機とウェスチングハウス・エレクトリックの技術提携が成立し、鉄道車両用電機品の分野でも、自主開発を貫く日立製作所を含め、4社による激しい受注競争が繰り広げられることとなった。
1917年(大正6年)12月19日 - 東京市麹町区内幸町のデッカー社東京支店内に設立事務所を設ける[2]。
1918年(大正7年)6月20日 - 会社創立。資本金300万円、初代社長渡邊嘉一、東京市麹町区内幸町1丁目4番地に本社を置く[5]。- 1918年(大正7年)6月27日 - イギリスのデッカー社との「トラクションモーター、コントローラーとその付属品の製作販売権を譲渡する契約」が成立。契約期間は10年[5][6]。
1919年(大正8年) - 横浜工場が操業を開始(移転前は相模鉄道天王町~西横浜間JR線路寄りに工場があった。)。
1920年(大正9年) - 最初の製品であるDB-1形直接制御器、DK-9C形主電動機(50HP)を京阪電気鉄道へ納入。いずれも、デッカー社の図面による製品[7]。
1921年(大正10年) - 国産最初のパンタグラフ(A形)21台を阪神急行電鉄(現在の阪急電鉄)に納入。GEの図面による模倣品[8]。
1923年(大正12年) - 鉄道省に電車用主電動機(MT10形・150HP)を初めて納入[7]。
1924年(大正13年) - 鉄道省の電車用標準電動機MT15の共同設計に日立製作所・芝浦製作所・三菱電機とともに参加[7]。
1926年(大正15年) - 国産初の電車用「電動カム軸式制御器」を京成電気軌道に納入[7]。
1928年(昭和3年)8月 - イングリッシュ・エレクトリック社との提携契約を10年間延長[5]。
1932年(昭和7年) - 日本で最初の回生ブレーキ用複巻整流子電動機と直接制御器を京阪電鉄京津線に納入[7]。
1934年(昭和9年) - 鉄道省の電気機関車全体を初受注[7][9]。
1938年(昭和13年)8月 - イングリッシュ・エレクトリック社との提携契約を終了[5]。
1949年(昭和24年) - 東京証券取引所上場。
1953年(昭和28年) - 中空軸平行カルダン駆動システムを開発、京阪電鉄に納入。翌年には、世界初の狭軌用撓み板継手式中空軸平行カルダン駆動装置を開発し、南海電鉄、名古屋鉄道に納入[7]。
1957年(昭和32年) - 国鉄の国鉄101系電車に撓み板継手式平行カルダン駆動システムが採用される。以後、この駆動方式が国鉄電車の標準方式となる[7]。
1958年(昭和33年) - 日本国内初となる補償巻線付き主電動機を南海電鉄高野線に納入。
1961年(昭和36年) - 「カラーテレビの開発」発表をめぐる不祥事発生。翌年、捜査起訴される(東洋電機カラーテレビ事件)。
1968年(昭和43年) - 世界初の量産車両用インバータ完成。
1969年(昭和44年) - TD平行カルダン駆動装置完成、京王帝都電鉄(現京王電鉄)に納入。
1972年(昭和47年) - 世界初の完全ブラシレス電動発電機を完成。
1986年(昭和61年) - 世界初の8個電動機一括制御VVVFインバータ制御装置を製作。東京急行電鉄7600系
1988年(昭和63年) - 世界初のヒートパイプ冷却式8個電動機一括制御VVVFインバータ制御装置を完成。東京急行電鉄1000系などに導入。埼玉博覧会向けHSST用のリニアモータを納入
2008年(平成20年) - 日本電産より株式公開買付けによる買収提案を受けるも、労働組合の反対[10]により断念。
2011年(平成23年) - 豊田自動織機と資本・業務提携。
2018年(平成30年) - 東日本旅客鉄道(JR東日本)より鉄道向け実証実験用超伝導フライホイール蓄電システムを受注[11]。
主な納入先
日本国内
大手私鉄16社すべてと取り引きがある。さらに集電装置は、いわゆる新性能電車の登場とともにほぼ独占状態である。
東日本旅客鉄道(JR東日本) - E127系、205系5000番台、E129系、253系1000番台
東海旅客鉄道(JR東海) - 383系、373系、313系のモータ
西日本旅客鉄道(JR西日本) - 125系(全車)、321系、225系、287系
四国旅客鉄道(JR四国) - 8000系、8600系、7200系
九州旅客鉄道(JR九州) - 303系(K03編成のみ)
東京地下鉄(東京メトロ) - (パンタグラフのほか補助電源装置、車掌スイッチなどを供給)
京成グループ各社 - 京成電鉄・北総鉄道・新京成電鉄(N800形)
西武鉄道 - (主電動機やパンタグラフのほか9000系までの車両に搭載される補助電源装置を供給。以降の形式の補助電源装置および電動機・制御装置は日立が主体)
東武鉄道 - (20000系列までの車両に搭載される制御装置を供給)
小田急電鉄 - (集電装置が主)- 東京急行電鉄
京王電鉄 - (集電装置が主)
京浜急行電鉄 - (三菱電機と折半で採用)
上信電鉄 - (200形以降の自社発注車両に搭載する電動機、主制御器など。ただし7000形においてはブレーキ関係の装置のみを供給)
相模鉄道 - (9000系まで、10000系以降は三菱電機製主制御器、8000系、9000系の更新車は日立製主制御器)
名古屋鉄道 - (ただし近年の新車の電動機・制御機器は三菱電機製に移行)
愛知高速交通 - (日本唯一の磁気浮上式鉄道営業路線の車両向けにVVVFインバーター等を納入)
富山地方鉄道 - (14760形までの自社発注車両の電装品を供給)
京阪電気鉄道 - (前述の通り同社は京阪出身者などによって設立されたことから、一貫して当社製の制御装置を採用している)
阪急電鉄 - (京都線管内は一貫して同社製の制御装置を採用、神宝線は主幹制御器(9000系以降)とパンタグラフのみ。神宝線は通常東芝製だが、神戸線・今津線用5000系の補助電源装置は同社製となっている)
南海電気鉄道 - (2000系・2300系・8300系・50000系の主電動機。ただし電動機は三菱電機製が主力。制御装置は日立製が主力だが、ズームカー2300系のみ同社製となっている。また、6200系(50番台含む)更新車の電動機と補助電源装置、戸閉機械は同社製である)
阪神電気鉄道 - (電動機、及び一部車両の電源装置と集電装置のみ)
近畿日本鉄道 - (パンタグラフのみ。前身の一つである伊勢電気鉄道(現・名古屋線)、奈良電気鉄道(現・京都線)時代には制御機器も納入していた)
西日本鉄道 - (西鉄9000形電車の駆動装置を納入)- その他、地方の中小私鉄、および公営交通事業者
世界各国
北京地下鉄(中華人民共和国)
広深港高速鉄道(香港特別行政区)
JR西日本
125系
新京成電鉄
N800形
京成電鉄
新3000形
北総鉄道
7500形
愛知高速交通
100形
阪急電鉄
1300系
京阪電気鉄道
8000系
南海電気鉄道
2300系
国内連結子会社
東洋工機株式会社
泰平電機株式会社 - 鉄道車両・バス用のドア開閉装置ではアジアでトップシェア
東洋産業株式会社
東洋商事株式会社- 株式会社ティーディー・ドライブ
競合他社
三菱電機 - 民鉄電機品分野で市場を分け合っている。- 東芝
日立製作所 - 2010年、国外向け鉄道車両用電機品事業に関する業務・資本提携。
富士電機 - 2009年に、国外鉄道車両用電機品事業で提携した。当社は、後に上記日立との関係を新たに構築し、分野が重複しているが、富士電機がアメリカで受注した鉄道車両用電機品の製造を当社の現地法人と連携して生産するなど、提携関係は継続している[2]。- シーメンス
ナブテスコ - 戸閉め装置分野(旧日本エアーブレーキ)および駆動装置分野(旧帝人製機)で市場を分け合っている。
工進精工所 - 日本国内の集電装置分野において、同業他社が事業縮小、撤退する中で市場を二分している。
不祥事
東洋電機カラーテレビ事件
1961年、安価なカラーテレビの開発を発表(実際は架空の開発だった)し、その後の株主総会で総会屋に協力を依頼した事件。
取引先からの架空発注問題
東洋電機製造と取引のある鉄道部品販売会社「エヌ・ケイカンパニー」が、シムやこれを成型加工するための金型など鉄道部品などの架空発注を行って裏金を作り、大半を還流させていたことが、2013年8月19日に一部マスコミの報道により判明。また、その一部が東洋電機製造社員に渡った疑いも持たれた[12][13]。東洋電機製造では内部調査を実施し、その後同年11月14日に、東洋電機製造では社内調査結果を公表したうえで、エヌ・ケイカンパニーとの取引を中止するとともに、東洋電機製造の社内の担当者を、管理責任を問う形で処分することとした[14][15]。
新工場建設
かつて同社は、発祥の神奈川県に相模工場・横浜工場、京都府に京都工場の3拠点を有していた。バブル後は相模と京都を閉鎖し、一部を滋賀守山に残して、横浜製作所との2拠点となった。横浜製作所の竣工から約30年が経過し、2017年2月10日に「滋賀竜王製作所」の建設を発表した。
同社は2000年代に入って中国や米国などへの海外展開を強化しており、中国では合弁を中心に、米国では独自に製造拠点を配置しているが、今回は国内での設備投資となる。約70億円を投資し、産業事業の開発・設計・製造を一体化、創立100周年の2018年6月に全面稼動を計画する。
脚注
^ 「英国電気会社」と書かれる場合もある。
- ^ ab東洋電機五十年史 p 4
^ 芝浦製作所とGEの技術提携は1909年(明治42年)に成立。
^ 電気鉄道技術発達史 pp.537 - 540
- ^ abcd東洋電機五十年史 pp. 9 - 12
^ 契約時に10万円、各製品の工場渡し仕切り値に対して数%の実施料をデッカー社に支払う契約であった。また、製造する電気機器については、見やすい位置に "Dick Kerr System" の表記を行うこととされた。
- ^ abcdefgh東洋電機技報 109号
^ 東洋電機技報 108号 p5
^ 電気機関車では電機メーカーが主契約者となり、車両メーカーと組んで完成車を納入するのが通例であった。
^
“日本電産株式会社による資本・業務提携提案に対する当社労働組合からの反対意思表明文受領のお知らせ (PDF)”. 東洋電機製造 (2008年12月8日). 2017年6月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年6月23日閲覧。[1]
^
“鉄道用超電導フライホイール蓄電システムの委託研究開発の受注に関するお知らせ (PDF)”. 東洋電機製造 (2018年8月31日). 2018年8月31日閲覧。
^ 架空発注:三重・伊勢の業者、新幹線部品を 別工法で裏金 毎日新聞 2013年8月19日
^ 本日の新聞報道について 東洋電機製造ニュースリリース 2013年8月19日
^ エヌ・ケイカンパニー部品架空受発注:製造されぬ金型24個に代金払う 毎日新聞 2013年11月14日
^ 毎日新聞報道(平成25年8月19日付け)に関する社内調査結果と改善施策について 東洋電機製造ニュースリリース 2013年8月19日
参考文献
- 東洋電機製造株式会社五十年史刊行委員会編 『東洋電機五十年史』 東洋電機製造、1969年。
- 鉄道電化協会 『電気鉄道技術発達史-電気鉄道一万五千キロ突破記念-』 鉄道電化協会、1983年12月。
- 小野寺正之・新井博之「日本におけるパンタグラフの歴史と東洋電機」、『東洋電機技報』第108号、2001年9月。
- 「東洋電機技術年史」、『東洋電機技報』第109号、2003年11月。
関連項目
中空軸平行カルダン駆動方式 - 東洋電機が開発し、国鉄在来線電車の標準となった駆動方式
TD平行カルダン駆動方式 - 中空軸平行カルダン駆動にかわり近年主流となった駆動方式
外部リンク
- 東洋電機製造株式会社
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