歩行
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シュテファン・エッガートの「歩く人」、ミュンヘンのシュバービングにある公共アート。
歩行(ほこう)とは、足(脚)を持つ動物が行う、足による移動のうち、比較的低速のものを言う。急いで移動する場合は走ると言う。厳密に区別する場合は、すべての足が同時に地面から離れる瞬間を持たない動作を言い、例えば競歩においてはこちらの定義が用いられる。
目次
1 概説
1.1 歩行に関するパラメータ
1.2 静歩行と動歩行
2 陸上動物の歩行
2.1 ヒトと歩行
2.1.1 歩行の健康促進効果
2.1.2 スポーツとしての歩行
2.1.3 武術・格闘技における歩行・足運び
2.1.4 その他の様々な歩行
2.1.5 疾患と歩行
2.2 馬の歩行・歩法
3 水中動物の歩行
4 日本における不動産用語の「徒歩」
5 脚注
6 関連項目
概説
サントドミンゴの道路を歩く人達。
「足による移動」とは、全体を支える部位で、接地している複数の足の一部(例えば2本のうち1本)から荷重を除き、その足を進行方向に移動させて接地してから再び荷重させる動作と、その動作に伴って(同時に又は荷重後に)全体の重心を移動する事を言う。これを繰り返して、足の届く範囲以上の移動が可能となる。重力ないし慣性力の働かない環境下や、それを打ち消すほどの浮力がある環境下では歩けない。
海中においても節足動物は歩行を行う。タコやヒレが変化した魚類にも歩行に類似した動作が見られる。
歩行に関するパラメータ
- 歩行率(ほこうりつ) - 1分間当たりの歩数のこと。よって単位は(歩/分)である。歩行の際にどれだけ速く脚を動かしているかを表している。ヒトにおいて通常は、脚が成長途中で短い幼児において高い値を取り、成長と共に減少する傾向が見られる。
- 歩幅(ほはば) - 1歩当たりに進む距離のこと。単位はメートルやセンチメートルなどを用いる。
- 歩行比(ほこうひ) - 歩幅と単位時間当たりの歩数との比のこと。歩幅を歩行率で割ることで求める。
- 歩行速度(ほこうそくど) - 歩行によって移動した時の移動速度のこと。なお、歩幅と歩行率との積は、歩行速度を分速で計算した時の値と一致する。
- 歩容(ほよう) - 歩く様子のこと。物理量ではない。詳しくは歩容解析を参照のこと。
- 歩隔(ほかく) - 歩行時の左右の足の間隔のこと。歩幅とは異なる。単位はセンチメートルなどを用いる。
静歩行と動歩行
2本足で歩く際に「足を接地して荷重してから全体の重心を移動する」場合を特に静歩行といい、また「足を進行方向に移動させると同時に全体の重心を移動する」場合を動歩行という。それぞれ静的歩行と動的歩行と呼ばれることもある。
二足歩行ロボットの研究では、ホンダのASIMOでは動歩行のみならず走行まで出来るようになっている。
陸上動物の歩行
歩く女性と犬(四足歩行)
脚を交互に動かし比較的低速で進行するのが歩行で、急ぐ場合には全ての脚が接地しない動作が混じり、走行となる。なお、脚が突出していないナメクジやカタツムリなどは這うと言う。
ヒトと近縁の種では類人猿は前足を地面につけて四足歩行するが、その際指を軽く握り込み、地面には指関節の外側をつける。これをナックル・ウォークと言う。
歩行できない動物もあり、例としては飛行に特化して脚をあまり動かせないトンボやツバメ、ハチドリがある。これらの動物では脚は体の支持に用いられ、移動の際は短い距離でも飛行する。もう少し脚がしっかりした小鳥では、歩くのではなく小さく跳躍して移動する。
樹上生活に特化した中にも、歩行が殆ど苦手な動物がいる。皮膜を発達させたムササビやニホンモモンガ、ヒヨケザル、それに木から木へと跳躍するのが得意な原猿亜目のベローシファカなどは、地上では跳躍して移動する。
地上での跳躍に特化したために歩行できない動物もいる。カエルは、あまり歩かず連続した跳躍で前進する。ヒキガエル科の構成種は逆にあまり跳躍せず、歩行に適した頑丈な四肢を持つ。
ヒトと歩行
ヒトの歩行動作

歩行のアニメーション
直立二足歩行はヒトの進化と密接に関連しているといわれる。
歩行の健康促進効果
歩行は重病人や一部の障害者を除き問題なく実践できる行為であり、しかも現代人の多くが増えている病気や不健康状態を予防あるいは改善する効果がある。とくに動脈硬化に関連する病気や死亡に対する効果が期待されている[1]。
日本での研究では、40-79歳の27738人をプロスペクティブに13年間調査したところ、年齢や疾患などで調整した場合においても、1日に1時間以上歩く群は、1日1時間未満しか歩かない群と比べて長生きであった[2]。
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- 心血管疾患
- 動脈硬化
- 高血圧
- 糖尿病
- 脂質異常症
- 便秘
- 不眠症
- 肥満
- 速歩
スポーツとしての歩行
- 競歩
- 強歩大会
- ウォーキング
- ウォーカソン
野球で、デッドボールやボークなどによりバッターやランナーが進塁を許されること。
ムーンウォーク:ダンスの歩き。
武術・格闘技における歩行・足運び
格闘技や武術においては、多くの場合に足運びは重要なものと見なされている。様々な特殊な歩き方、それに対する用語がある。
- アヒル歩き:レスリングなど格闘技の鍛錬の練習法としての歩き方。
摺り足(すり足):能や、剣道、相撲など武道の歩き方。- 継ぎ足:剣道で前の右足に後ろの左足を追いつかせる歩き。
- 歩み足:剣術、柔道、空手道などに用いられる日本武術の歩き。
- 膝行(しっこう):本来は武士が城内で主君の面前(御式内)や神道の禰宜などが正面を向いて膝を曲げたまま体の上下左右のぶれなく進む歩き。後退は膝退(しったい)という。合気道では体を横にむけ体の変換を伴って歩く。[要出典]
- 無足:一部剣術・柔術流派の蹴らず重心を体の前方に直進させ前進する歩き。
- 這(はい):中国武術の大成拳(意拳)の鍛錬の歩き。
禹歩(うほ、ただしくは反閇(へんばい)):陰陽道の呪術で北斗七星となるような歩き。
ナンバ歩き:手をほとんど振らず右手と右足、左手と左足をそろえて歩行する。甲野善紀が紹介し有名となった。
足甲歩き:忍者が鍛錬のために行ったと伝えられている、足の甲で立って行う歩行。
その他の様々な歩行
散歩:目的地を設けない歩行。
速歩:速さを上げた歩行。- スキップ:片足で軽く飛ぶような動作を交互の足で連続させる歩行。
行脚:仏教において、徒歩で各地を巡る修行。- 徒歩旅行
- 徒歩暴走族
- 歩きスマホ
疾患と歩行
疾病とともに、症状として独特な歩行がみられることがある。
- すくみ足(frozen gait) - パーキンソン病患者に見られることで有名。
- 小刻み歩行(brachybasia) - パーキンソン病患者に見られることで有名。
- 失調性歩行(gait ataxia)
- 動揺性歩行(waddling gait) - 筋ジストロフィー患者に見られることで知られる。
間欠性跛行(Intermittent claudication) - 下肢の血行不良などが原因で見られる。
など。
馬の歩行・歩法
水中動物の歩行
魚などは、水底にいても、移動の際泳ぐ事が多い。水中で歩行する動物は、1つは貝殻や頑丈な甲羅を持ち体が重いものがあり、アワビやサザエ、イセエビなどはこちらに該当する。
一般の魚は水中を遊泳するために対鰭のうちの胸びれが側面に位置し、歩行はできない。ポリプテルスなどの古代魚には腹面に対鰭を持つものがあり、それらは水底を這うように歩行できる。
日本における不動産用語の「徒歩」
日本において、不動産業の広告などでは「XX駅まで徒歩○○分」などの、最寄駅からの所要時間を示す宣伝文句がよく見受けられる。
この不動産物件からその最寄駅までの徒歩の所要時間は、不動産公正取引協議会の表示規約により、「徒歩所要時間」として、1分=80mとして計算するように基準が設けられている。なお、1分未満の端数については切り上げる事とされている。
脚注
^ 商品の説明 内容紹介 - Amazon.co.jp
^ BMJ Open. 2011 Jan 1;1(2):e000240.
関連項目
二足歩行
- 直立二足歩行
- 二足歩行ロボット
- 歩容解析
- 徒歩旅行
- 歩数計
- 遊歩百選
- 歩兵
行進
- ガチョウ足行進
- 歩行者
- 歩道
- 完歩
- 匍匐
- 土踏まず
