クレジットタイトル
クレジットタイトル (credit title)、クレジット (credit) とは、映画やテレビ番組、またはレコード・CDやゲームソフトにおいて、出演者(キャスト)、スタッフ、制作に関わった企業、団体などの名前を表示するものである[1]。「クレジットする」と動詞化した使い方も見受けられる[2]。日本ではクレジットを表示しないことを「ノンクレジット」とも称する。
目次
1 概要
2 クレジット順
3 特別出演
4 友情出演
5 オープニング・エンディング
6 クレジットタイトル一覧
7 関連項目
8 脚注
9 外部リンク
概要
クレジットは作品の制作に関わったキャストやスタッフのリストである[3]。具体的には出演者のほか、監督、撮影監督、美術監督、編集、録音などのスタッフを表示する[4]。クレジットの原義は「信用」である。クレジットにはキャスト、スタッフ、各パートの責任者を明確にするという意味合いもある[5]。
クレジットは本編の最初あるいは最後もしくは双方に配置され、その多くは本編冒頭に主要キャスト・主要スタッフの名前を表示し、本編最後に完全なリストの形式で表示される[3][4]。
今日、クレジットタイトルは作品における重要な構成要素とされ、特にアルフレッド・ヒッチコック監督の1960年の映画『サイコ』のソール・バスによるクレジットのデザインは新たな領域を生み出した作品として評価されている[3]。また、本編の余韻を楽しむための時間という認識も強くなり、作品によっては「終」の表示の後にクレジットが表示されることもある[5]。
通常、クレジットは名前で表示されるがアマチュア映画などでは顔写真としている場合もある[5]。
クレジット順
本項ではテレビドラマ・映画・テレビアニメにおいてのクレジット順について説明する。テレビドラマ・映画において、オープニングまたはエンディングにキャスト・スタッフを表示したクレジットが流れる。通常、キャスト→スタッフの順に表示され、劇中使用BGMなどの表示位置はドラマ/映画により異なる。
中でもキャストのクレジット順に注目する人は多く、その順序は製作側担当者にとっても極めて繊細な問題とされ、その配置によっては出演者と製作側との契約上の紛争にまで発展することがある[3][6]。
テレビアニメの場合、本編で名前が明かされていないキャラクターは名前を伏せて表記されることもある。また、正体不明のキャラクターはネタバレになってしまう事もある為、キャストを未公開にする場合もある。また、準主役・脇役がフィーチャーされる話数、いわゆる「お当番回」では、そのキャラクターが一番上にクレジットされることもある。
特別出演に該当(匹敵)するキャストは、クレジットで他よりも長めの時間で映し出したり、「起こし」と呼ばれる手法などを用いたり、目立たせる場合もある。
「トメ」[7](「止め」「留め」)といって主役から脇役名がずらっと並んで最後に線が引いてあって重い役者の名前を出すことがある[8]。落語や相撲などの名跡で、いちばん格の上の名前も「トメ」といい、「止め名」から来ている(歌舞伎の番付で,最後に記される座頭(ざがしら)を「留め筆」という)。トメにあたるクレジットが存在せず、多数の脇役の連名がキャストの締めくくりとなるケースも(特に往年の映画には)多く、その場合は二番目に表示される俳優が序列二番目という扱いである。
またテレビドラマの場合、近年は役名を表記せずキャスト名のみクレジットされる事も多い。
- テレビアニメの場合
- テレビアニメ(原則としてオープニングのクレジット)の場合は基本的に順番が統一されている。
原作 / 原案 (出版社/(連載 / 掲載))- 企画
- シリーズ構成
- キャラクターデザイン
- プロップデザイン
- 美術監督
- 色彩設定
- 撮影監督
- 編集
- 音響監督
- 音楽
- 音楽プロデューサー
- 音楽制作
- プロデューサー
- アニメーションプロデューサー
- アニメーション制作
- 監督
製作 / 制作/制作・著作
特別出演
日本においての特別出演とは、物語の一部分でしか登場しない役柄に起用された俳優・タレント・著名人などの客演のこと。
現在のテレビドラマでは、毎週出演するにも拘らず、クレジットの順序の都合上で「特別出演」がつけられる場合もある。
また連続テレビドラマ等に1回だけ出演する場合、ゲスト出演と呼ばれることがある。かつての時代劇では、特別出演に該当(匹敵)するキャストは、「起こし」と呼ばれる手法などで、クレジットで目立たせる場合もあった。
特別出演について、淡島千景は以下のように述べている。
自分の劇団を持っている人―文学座の杉村春子先生、民藝の滝沢修先生、宇野重吉先生等―が特別に出るんで『特別出演』っていったんだけど、それがだんだん乱れてきて、どうしても出したい人が、名前のことでうるさいとなると、「『特別』にしますから」っていうことが増えた。『友情出演』は『特別』まではいかないけど、本人とちっとも仲良くないのに『友情出演』するのは大笑いですよ。気休めなんですよ。同じような年代で『特別出演』だとおかしいでしょ、だから『友情』にするんです。この世界は「あいつより俺が上だ」とか、そう思う人ばかりなんですよ。
— 淡島千景、「淡島千景 女優というプリズム」青弓社、2009年、284頁
なお、「特別出演」は脇役で、出番は比較的短いことが多いが、特撮ドラマ『快傑ズバット』で原作者の漫画家の石森章太郎が、そのエピソードの中心人物の1人であるプロ野球選手の役で、エピソード全体に渡って特別出演した事例もある。
類似の用語に「特別ゲスト出演」があり、連続したシリーズ作品において、メインキャラクターを演じていた出演者が新シリーズでレギュラーとしては降板し、いくつかのエピソードにだけ同じ役でゲスト出演する場合に用いられる。
友情出演
友情出演は監督や主演俳優が友人の俳優などの芸能人に依頼して出演してもらう場合や、俳優自身が願い出てキャスティングされる場合に表示される。
オープニング・エンディング
映画、テレビ番組などの映像コンテンツでは、コンテンツの最初と最後に2回クレジットが表示されることが多く、原則として、オープニングでは制作プロダクション、主演など主要な出演者、プロデューサー、監督、原作などの主要なクレジットが、エンディングでは全てのクレジットが表示される。
日本のテレビドラマでは、1960年代の作品ではオープニングに全てのクレジットを表示させ、エンディングを省いた作品が多かったが、1970~80年代ではオープニングで主要クレジット、エンディングはそれ以外のクレジットという分割表示式が主流となる。1990年代以降はオープニングをタイトル表示のみとし、エンディングで主題歌を流し、全クレジットを表示させる手法が多い。
英語圏ではオープニングクレジット (英: Opening credits)、クロージングクレジットまたはエンドクレジット (英: Closing credits / 英: End credits) と読み書きされるのが一般的であり、Credit title、End roll、Ending rollなどと読み書きされることはほぼ無い。
クレジットタイトルが下から上や、右から左へに(縦書きでは左から右に)一括して流れるように表示されるものはスタッフロール (英: Staff roll) ともいわれ(スタッフに限らないクレジット全般の場合もある)、エンドクレジットがこの形の場合はエンドロール、エンディングロールともいう。ロール (roll) とは巻物の意味で、かつては実際にクレジットを書いた巻物を用意して、それを開くさまを撮影したことに由来する。
クレジットタイトル一覧
ここではクレジットタイトルの種類・名称について記述する。
- クレジットタイトル (credit title)
- クレジット (credit)
- オープニングクレジット (opening credits)
- エンディングクレジット (ending credits)
- クロージングクレジット (closing credits)
- スタッフロール (staff roll)
- エンドロール (end roll)
- エンディングロール (ending roll)
- エンドクレジット (end credit)
- スタッフクレジッツ (staff credits)
関連項目
- タイトルバック
脚注
^ “credit titleの意味”. ランダムハウス英和大辞典. goo辞書. 2017年4月12日閲覧。 “〔映画〕 〔テレビ〕 クレジットタイトル:冒頭や終わりに原作者名,製作者名,配役などを流す字幕”
^ “credit”. Oxford Dictionaries. オックスフォード大学出版局. 2017年3月2日閲覧。 “Publicly acknowledge a contributor's role in the production of (something published or broadcast)”(英語)
- ^ abcdSteve Blandford、Jim Hillier、Barry Keith Grant、杉野健太郎・中村裕英訳 『フィルム・スタディーズ事典―現場の知恵と戦略』 フィルムアート社、2004年、p.95
- ^ ab高村倉太郎、岩本憲児、佐崎順昭、宮澤誠一、奥村賢 『世界映画大事典』 日本図書センター、2008年、p.1063
- ^ abc山岸達児 『映像用語事典―現場の知恵と戦略』 じゃこめてい出版、1978年、p.50
^ 日本における有名な事例としては、藤田まことの必殺シリーズでの事例(必殺シリーズ#中村主水の主人公問題・中村主水#エピソードを参照)や田宮二郎の事例(田宮二郎#映画界追放を参照)がある。
^ 渥美清は歳を取ったらトメになりたいと発言していた(小林信彦『おかしな男 渥美清』新潮文庫 2000年p.245)。
^ 飯間浩明『辞書には載らなかった不採用語辞典』(PHP 2014年p.115)。
外部リンク
- 映画「特別出演」のギャラは高額 「友情出演」はノーギャラ