オウレン
オウレン | |||||||||||||||||||||
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キクバオウレン(両性花) | |||||||||||||||||||||
分類(APG III) | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Coptis japonica (Thunb.) Makino(広義) | |||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||
オウレン(黄連) |
オウレンとはキンポウゲ科オウレン属の植物の一種。学名Coptis japonica。常緑の多年草で、根茎は漢方薬としても使われる。
目次
1 特徴
2 種内変異
3 利用
3.1 生薬
4 その他
5 写真
6 脚注
7 関連項目
8 参考文献
9 外部リンク
特徴
小型の多年生草本。葉は根出状に出て、葉質はやや硬くてつやがある。葉の形には変異が多く、変種が認められる。標準のものは1回3出複葉で、小葉は卵形で荒い鋸歯があり、3出状に裂けることもある。
葉を抜いて立つ高さ15-40センチメートルほどの花茎が上の方で3つほどに枝分かれして、そのそれぞれの先に3月から4月ごろ、直径およそ1センチメートルほどの白くて小さな花を咲かせる[1]。花茎の葉は目立たない。5枚の細長い萼片は白くて花弁状であり、花弁はさじ形でより小さくて数が多い。
雌雄異株。雄花には雄蕊が多数あり、両性花には雄蕊と数個の心皮があり、心皮は花後に柄が伸びて、果実は車輪状の軸の先に袋がついたような形になる。先端部分は口が開いている。これは雌蘂の段階から開いているもので、果実時に裂開するものではない。
北海道、本州、四国の山地の木陰に自生する。針葉樹林に多く、杉植林などにもよく出現するという。
種内変異
葉の形に変異が多く、変種名もそれにちなんで与えられている。
オウレン(広義) Coptis japonica (Thunb.) Makino
- キクバオウレン Coptis japonica (Thunb.) Makino var. anemonifolia (Siebold et Zucc.) H.Ohba:オウレンとも。1回3出複葉。
- (シノニム -Coptis japonica (Thunb.) Makino var. japonica auct. non Makino)
- セリバオウレン Coptis japonica (Thunb.) Makino var. major (Miq.) Satake :2回3出複葉。本州と四国に分布。
- (シノニム -Coptis japonica (Thunb.) Makino var. dissecta (Yatabe) Nakai ex Satake)
- コセリバオウレン Coptis japonica (Thunb.) Makino var. japonica :3回3出複葉。本州太平洋側に分布。
- (シノニム -Coptis japonica (Thunb.) Makino var. major (Miq.) Satake)
- キクバオウレン Coptis japonica (Thunb.) Makino var. anemonifolia (Siebold et Zucc.) H.Ohba:オウレンとも。1回3出複葉。
利用
薬用植物のため栽培もされる。播種より収穫するまでに最低5-6年を要する。
生薬
本種、および同属のC. chinensis、C. deltoidea、C. deltoideaの根茎を乾燥させたものは黄連(オウレン)という生薬であり、体のほてり(熱)を抑える性質が有るとされ、胃や腸を健やかに整えたり、腹痛や腹下りを止めたり、心のイライラを鎮めたりする働きが有る[2]。この生薬には抗菌作用、抗炎症作用等があるベルベリン(berberine)というアルカロイドが含まれている。
漢方医学においては ほかの生薬と組み合わせて、黄連湯、黄連解毒湯、三黄丸、三黄瀉心湯、温清飲などの漢方方剤に使われる。
その他
「オウレン」は仲春(啓蟄〔3月6日頃〕から清明の前日〔4月4日頃〕まで)の季語とされている[3]。
写真
丹波黄連の野生種 5月全体
5月上旬の丹波黄連の果実
丹波黄連の葉
黄連 (生薬、丹波市立薬草薬樹公園)2010年5月撮影)
脚注
^ "オウレンとは|ほぼ普通の植物図鑑 ヤサシイエンゲイ". (京都けえ園芸企画舎). 2016年2月24日閲覧。
^ "オウレン(オウレン)タケダの生薬・漢方薬辞典". (武田薬品協業株式会社). 2016年2月24日閲覧。
^ "黄連|季語と歳時記". (NPO法人季語と歳時記の会). 2016年2月24日閲覧。
関連項目
参考文献
- 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎他『日本の野生植物 草本II 離弁花類』,(1982),平凡社、p.87。
- 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- 黄連|季語と歳時記(NPO法人季語と歳時記の会)
- オウレンとは|ほぼ普通の植物図鑑 ヤサシイエンゲイ(京都けえ園芸企画舎 )
外部リンク
- イー薬草・ドット・コム/