活性化部分トロンボプラスチン時間
活性化部分トロンボプラスチン時間(かっせいか・ぶぶん・トロンボプラスチン・じかん)とは、血液凝固能検査のひとつ。APTT(activated partial thromboplastin time)とも略される。内因系及び共通系の凝固異常を判定する検査として用いられる。
目次
1 検査法
2 活性化部分トロンボプラスチン時間の意義
3 その他
4 脚注
5 関連項目
検査法
まず、被検者の静脈血を採取する。このうち血漿に部分トロンボプラスチン、カルシウムの他、カオリン、セライトまたはエラジン酸などの接触因子活性化物質を添加し、凝固時間を測定する。PTT(部分トロンボプラスチン時間)に比べ、より安定した結果を得られる。[1]
- PTTは部分トロンボプラスチン(脳抽出粗製セファリン=血小板第3因子作用物質)と適量のカルシウムを添加し、凝固時間を測定するもの。
正常ではAPTT (試薬がリン脂質+カルシウム+エラジン酸) 30-45秒。
- 一般に正常対照(ネガティブ・コントロール)と共に測定する。
活性化部分トロンボプラスチン時間の意義
APTTに関与する因子は、プレカリクレイン・HMW-キニノゲン・第XII因子・第XI因子・第IX因子・第VIII因子・第V因子・第II因子およびフィブリノーゲンである。
その他
状態 |
プロトロンビン時間 |
活性化部分トロンボプラスチン時間 |
出血時間 |
血小板数 |
---|---|---|---|---|
ビタミンK欠乏 or ワルファリン |
延長 |
変化なし または やや延長 |
変化なし |
変化なし |
播種性血管内凝固症候群 |
延長 |
延長 |
延長 |
減少 |
ヴォン・ヴィレブランド病 |
変化なし |
延長 or 変化なし |
延長 |
変化なし |
血友病 |
変化なし |
延長 |
変化なし |
変化なし |
アスピリン |
変化なし |
変化なし |
延長 |
変化なし |
血小板減少症 |
変化なし |
変化なし |
延長 |
減少 |
急性肝不全 |
延長 |
変化なし |
変化なし |
変化なし |
末期肝不全 |
延長 |
延長 |
延長 |
減少 |
尿毒症 |
変化なし |
変化なし |
延長 |
変化なし |
無フィブリノーゲン血症 |
延長 |
延長 |
延長 |
変化なし |
第Ⅴ因子欠乏 |
延長 |
延長 |
変化なし |
変化なし |
第Ⅹ因子 欠乏 |
延長 |
延長 |
変化なし |
変化なし |
血小板無力症 |
変化なし |
変化なし |
延長 |
変化なし |
ベルナール・スリエ症候群 |
変化なし |
変化なし |
延長 |
減少 または 変化なし |
第ⅩⅡ因子欠乏 |
変化なし |
延長 |
変化なし |
変化なし |
遺伝性血管浮腫 |
変化なし |
短縮 |
変化なし |
変化なし |
血友病は内因系の第VIII因子や第IX因子に異常がある。そのためAPTTは延長するものの、プロトロンビン時間(PT)は延長しない。
同様に第Ⅷ因子に異常があるヴォン・ヴィレブランド病もAPTT延長・PT正常を示す。
脚注
^ 野村武夫ほか、血小板-止血・凝固・線溶-,中外医学社, 1994年, p100-101
関連項目
- 血液学
- 凝固・線溶系