ロックウェル硬さ

ロックウェル硬さの試験機。

圧子とアンビル
ロックウェル硬さ(ロックウェルかたさ、英: Rockwell hardness)は、工業材料の硬さを表す尺度の一つであり、押込み硬さの一種である。記号はHR。実際に使われる際は、HRAやHRCなど使用したスケール名をつけて記述する。スケールについては後述する。
目次
1 概要
2 試験方法
3 ロックウェル硬さスケール測定条件表
4 脚注
5 関連項目
概要

ロックウェル硬さの原理。(鋼球圧子の場合)
ロックウェル硬さ試験法はアメリカ合衆国のヒュー・M・ロックウェル(Hugh M. Rockwell、1890–1957)とスタンリー・P・ロックウェル(Stanley P. Rockwell、1886–1940)により1914年7月15日に特許が申請された。
それまで鋼の硬さの試験にはブリネル硬さが使われていたが、ブリネル硬さは式の計算に時間がかかり計算に知識も必要なため、もっと簡単に計算するために考え出されたものであった。
国際標準化機構では ISO 6508-1 で金属の、ISO 2039-2 でプラスチックのロックウェル試験が、日本工業規格では JIS G 2245 でロックウェル試験が規定されている[1]。
試験方法
ロックウェル硬さは、まず試験面(基準面)に基本荷重F0 をかける。次に試験荷重F1 を足したF0 + F1 の力を加え、塑性変形させる。その負荷を基準荷重F0 に戻し、この時の基準面からの永久窪みの深さを読み取る。ビッカース硬さやブリネル硬さと違い、深さを読むだけなので簡便かつ素早く行えるのが特徴である。
通常のロックウェル硬さは、圧子の種類は先端半径0.2 mmかつ先端角120度のダイヤモンド円錐と1/16インチの鋼球を使う方法があり、さらに試験荷重F1 は60 kgf・100 kgf・150 kgfとの3種類、合計6種類が使われる。基本荷重F0 はどれも10 kgfが使われる。
ロックウェル硬さの計算式は以下である。
- HR=a−b⋅h{displaystyle HR=a-bcdot h}
a , b はそれぞれのスケールごとに決められた値、h は基準面からの永久深さ(mm)である。HRA、HRD、HRCのときa = 100、それ以外のときa = 130、どちらの場合もb = 500である。
例えば、鋼の硬さを測る時によく使われるロックウェル試験法として、先端半径0.2 mmかつ先端角120度のダイヤモンド円錐を使い150 kgfの力をかけるHRCと、1/16インチ(1.5875 mm)鋼球を使い100 kgfの力をかけるHRBがある。この場合、式は以下のようになる。
- HRC=100−500h{displaystyle HRC=100-500h}
- HRB=130−500h{displaystyle HRB=130-500h}
どのスケールを使うかは必要に応じて決める。比較的柔らかい材料にはHRBを使い、HRBでは数値が100を超えるような時、HRCを使う。概ね、HRBは0から100の間で、HRCは0から70の間で使われる[2]。
さらに基準荷重F0 を3 kgfで、試験荷重を15 kgf・30 kgf・45 kgfで行うロックウェル硬さ試験を、ロックウェルスーパーフィシャル硬さ(Rockwell superficial hardness)と呼ぶ。ロックウェルスーパーフィシャル硬さは、通常のロックウェル硬さ試験では荷重が強すぎてしまう、薄板の硬さ試験によく使われる[3]。
ロックウェルスーパーフィシャル硬さの計算式は
- HR=100−1000h{displaystyle HR=100-1000h}
で表される。
ロックウェル硬さスケール測定条件表
スケール | 圧子 | 試験荷重 | スケール | 圧子 | 試験荷重 | スケール | 圧子 | 試験荷重 |
C | 120°ダイアモンド 円錐圧子 |
150 kg | G | 1/16"鋼球 | 150 kg | M | 1/4"鋼球 | 100 kg |
D | 100 kg | B | 100 kg | R | 1/2"鋼球 | 60 kg | ||
A | 60 kg | F | 60 kg | H | 1/8"鋼球 | 60 kg | ||
E | 1/8"鋼球 | 100 kg |
脚注
^ ロックウェルスーパーフィシャル硬さ/スケール-鉄鋼用語
^ 強 度 引張り ねじり 内圧 硬さ 破壊靱性
^ 鋳物データブック材料第5章鋳物の検査方法
関連項目
- 材料工学
- 機械的性質