十字架
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十字架(じゅうじか)はイエス・キリストが磔刑に処されたときの刑具と伝えられ、主要なキリスト教教派が、最も重要な宗教的象徴とするもの。イエスの十字架を象り、立体のものを作ったり画布や板に描いたものを崇敬の対象とする。また、祈祷の一部として手で自分の胸に画いたり、相手の頭上に画いたりする。
エホバの証人が主張する十字架の形状否定については苦しみの杭を参照
目次
1 歴史と受容
2 信仰実践の中の十字架
2.1 十字架の道行き
3 日本での呼称
4 文字
5 脚注
6 関連項目
歴史と受容
旧約聖書において、磔刑に処されたものは「呪われる」とあり、またローマでは十字架への磔刑は「国家反逆罪」への罰であった。このような「呪い」と「貶め」をキリストが甘受したことのうちに、キリスト教ではイエスの謙りとそれによってのみ贖われえた人類の罪の深さ、さらにそれを解消したイエスの神性の力強さを見ている。
十字架がキリスト教の信仰の中で重視されるようになったのは4世紀以降である。十字架はキリストの受難の象徴また死に対する勝利のしるし、さらには復活の象徴として捉えられた。このため「聖なる木」「死を滅ぼしし矛」などの美称がある。
キリスト教を公認したローマ皇帝コンスタンティヌス1世の夢に十字架が勝利のしるしとして現れたという伝承や、コンスタンティヌスの母ヘレナがエルサレム巡礼に際して十字架の遺物を発見したという伝承がある。
いくつかの図像や立体の十字架の根元にはされこうべが置かれていることもあり、これは伝承によればアダムのされこうべであるといわれる[要出典]。
カトリック教会や正教会など伝統的諸教会においては、十字架への崇敬を公の場面でも私の場面でも行う。特別の祭日において十字架を崇敬するほか、十字架への接吻や跪礼を行う、十字架を主題とした祈祷を行う、一般の祈祷において十字を手で画くなどさまざまな仕方で、十字架は信仰生活の一部となっている。
十字の描き方には、教派によっていくつかの種類がある。こうした際は古代の教義論争の結果成立したものであり、最初期には一本指・二本指などいろいろな方法があった。また十字を画く場所も多岐にわたった。
プロテスタントのほとんどの教派でも、十字架はキリストの受難を象徴するものとして教会装飾に取り入れられる。一方ほとんどのプロテスタント教派では手で十字を描く習慣は廃されている。
信仰実践の中の十字架
カトリック教会や正教会などにおいては、「十字架発見」を始めとして、幾つかの十字架に関する祝祭日がある。
正教会においては年に3度、十字架のための特別の祭日がある[要出典]。大斎中の「十字架叩拝の主日」、8月の「十字架の出行の祭日」、9月の「十字架挙栄祭」である。十字架挙栄祭は十字架発見を記憶する祭で、十二大祭のひとつである[要出典]。またそれ以外のときにも、復活大祭など特別の折に、十字を先頭にした行列を行うことがある。これを十字行という。十字行は聖歌を伴う奉神礼の一種である[要出典]。
信者は十字架を身に付けるほか、指を用いて十字を描くのを常とする。
また正教会においては、主日ほか祭日の早課中と聖体礼儀の後、主教もしくは司祭が持つ手持ち十字架に接吻し司祭の祝福を受ける習慣がある。この十字架接吻で用いられる十字架は多く金製であり、十字架上のキリストの身体の象りを含む場合が多い[要出典]。
十字架の道行き
カトリック教会で行われる信心業で、中世末期から行われてきた。キリストのまねびの一形態ともいえる。イエス・キリストの捕縛から受難と埋葬までの14の場面を、個々の場所や出来事を心に留めて祈りを捧げる。聖地巡礼ではそれぞれの場所で祈祷を行う。これを模すためにカトリック教会の聖堂では、壁に捕縛から埋葬まで14場面の聖画像が掲げてある。最後に15番目として復活の場面の祈りが祭壇中央に向かって捧げられることもある。特に四旬節中にミサの前後などに行われる信心業である。
日本での呼称
日本語では立体のものを「十字架」と呼び、二次元のものは「十字」と呼ぶことが多い。古くは、ポルトガル語の「Cruz(クルス)」を模して「久留子(くるす)」とも言った[1]。
文字
ユニコードに採用された、文字としての十字架には以下がある。
- ✝ Unicode Character 'LATIN CROSS' (U+271D)
- ✞ Unicode Character 'SHADOWED WHITE LATIN CROSS' (U+271E)
- ✟ Unicode Character 'OUTLINED LATIN CROSS' (U+271F)
脚注
^ 千鹿野茂監修 高澤等著『家紋の事典』東京堂出版 2008年
関連項目
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