ラーン川






ラーン川流域地図


ラーン川 (Lahn)は、ドイツのノルトライン=ヴェストファーレン州、ヘッセン州、ラインラント=プファルツ州を流れるライン川右岸(東側)の支流。全長242km。




目次






  • 1 行程


  • 2 歴史


  • 3 産業と行楽


  • 4 自然環境


  • 5 支流


  • 6 他の川


  • 7 流域の街


  • 8 外部リンク





行程




ラーン川の水源


ノルトライン=ヴェストファーレン州南東部、ヘッセン州との州境付近のロタール山地南東部にあるロタールシュタイク(有名なトレッキングコース)沿いのネトフェンという町、そのラーンホフと呼ばれる地域にあるラーンコプフという標高612mの斜面にラーン川の水源地はある。川はまず東に向かい、グラーデンバッハ山地の北部をカルデルンまで至り(上部ラーン渓谷)、ヴェトシャフト盆地の南縁を形作る。




ヴィーデンコプフとケルベの間、ブーヒェナウを流れるラーン川


ケルベで、フォーゲルスベルク山地から流れ下ったオーム川と合流する。ここから流れは南に向きを変え、マールブルク=ギーセン・ラーン渓谷となる。ここで川は一時、ライン・シーファー山地を離れ、雑色砂岩質の台地(マールブルクの背景となるラーン山地)であるマールブルク(城、エリーザベト教会、旧市街)地域を切り開いて流れる。この後、シュタウフェンブルクの下流で、ギースナー盆地となる。ローラーで東から前フォーゲルスベルク山地に源を発したルムダ川が、ギースナーでは小川でありながら町の発展に重要な役割を果たしたヴィーゼック川が、それぞれ合流する。ヴェッツラー(大聖堂、旧市街、博物館)では、最も大きな支流であるディル川(全長約69km)と合流する。ヴェッツラー付近では、ラーン川とディル川とによってライン山地のヘッセン州部分は、タウヌス(南部)、ヴェスターヴァルト(北西部)、グラーデンバッハ山地(北東部)の三つの部分に分けられる。ラーン川はここから再びライン山地に入る。


ヴェッツラー以降、渓谷は徐々に狭くなり、ロインからヴァイルブルガー・ラーンタール山地に入る。この山地の上流部分である、レーンベルク山地区は、有名なゼルター鉱泉をはじめ、鉱泉が存在する。その下流で川は南に向きを変え、谷底状の緩やかな起伏の地形を流れてゆく。川はヴァイルブルクの町で大きく湾曲しており、ドイツでも類を見ない舟のためのトンネルが掘られている。その後、ホーホタウヌスから流れてきたヴァイル川がラーン川に合流する。アウメナウ付近で進路を再び西に向け、自らがえぐった深さ50mほどの肥沃なリムブルク盆地の底を流れる。ここで2つの支流タウヌスに端を発したエムスバッハ川とヴェスターヴァルトに源流を持つエルプバッハ川とがラーン川に合流する。この付近でデボン紀の石灰の岩盤(ラーンマーモル:ラーンの大理石)が現れ、リムブルク・アン・デア・ラーンの大聖堂は、この大理石によって飾られている。またこの辺りから谷は広さを増す。ディーツで南から流れてくるアール川を容れ、ファッヒンゲン付近の盆地やシーファー山地を200mもの深さに刻み込んだ下部ラーン渓谷を下る。


オバーンホフでゲルバッハ川がラーン川に合流する。ナッサウやファッヒンゲンの鉱泉で知られるバート・エムスを過ぎて、水源から242km、ラーンシュタイン近くの標高61mの地点で、ライン川に注ぐ。




ラーン川とライン川の合流地点。画面手前がラーン川、奥がライン川で、画面右手で合流する。画面左手奥、ライン川の対岸にシュトールツェンフォルス城が見える。



歴史




  • 石器時代にはすでに、ラーン川地域に人が住んでいた。たとえばディーツ近郊やヴェッツラーでこの時代の発掘品が見つかっている。

  • ローマ時代には、おそらくエムス城に利用されていた。ヴェッツラーの町はずれヴァルトギルメスで見つかったローマ時代の町の設備はかなり充実している。

  • 600年前から、LaugonaLogana、あるいはLogeneといった名称で呼ばれた。名前は時代によってたびたび変化した。この名前の意味は分かっていない。ゲルマン以前の言葉に由来するのかもしれない。

  • 13世紀になると、現在マールブルク=聖ヤコブス病院のある場所に、巡礼者のための宿ができた。これは、おそらくラーン川を渡ってサンティアゴ・デ・コンポステーラに向かう巡礼者のためであると思われる。


  • 1365年が、現在の名称が使われた事が確認できる最も古い年である。

  • 1600年頃には、舟の航行が可能になり、牽引路が敷設された。年4-5ヶ月は航行が可能で、約500艘の舟が船団に所属した。

  • その後、徐々に航路は拡大し、1808年からはディーツ近くのアール川との合流点まで航行できるようになった。貨物はここで陸路に積み替えられた。


  • 1964年にラーン川の拡張が完成し、300tクラスの船舶が航行できることとなった。


  • 1981年、ラーン川の貨物輸送は終了。今日では、ラーン川を航行するのは、専らレジャー目的の船舶のみである。


  • 1984年、ラーン川沿いに歴史的な洪水が発生。多大な損害を被った。この後、中央洪水警告サービスやギーセン行政地域(Regierungsbezirk Gießen)による洪水防止策が講じられた。



産業と行楽




ディーツでラーン川の川遊びを楽しむレジャーボート


ラーン川の中下流域は、舟で航行することができ(リムブルク近郊のデールンまでは途切れることなく遡上できる)、いくつかの水門も用意されている。カヌーや手漕ぎボートあるいは小型モーターボートによるレジャー客の水路として有用である。モーターのない船舶専用の水路はマールブルク近くのロートから利用することができる。




ラーン渓谷自転車道のルートサイン


ラーン川は、また、様々な手段で楽しめるように開発されている。観光街道のラーンの休日街道 (de: Lahn-Ferien-Straße) に沿って、ラーン渓谷自転車道 (de: Lahntal-Radweg) が整備されている。これらには、フロイディンクとマールブルクの間に上部ラーン渓谷鉄道 (de:Obere Lahntalbahn)、マールブルクとギーセンの間にはマイン=ヴェーザー鉄道 (de:Main-Weser-Bahn)、ギーセンとフリードリッヒスゼーゲンの間にはラーン渓谷鉄道 (de:Lahntalbahn)がそれぞれ併走している。ハイカーにはラーンヘーヘンヴェグ(de:Lahnhöhenweg)という295kmのトレッキングコースもある。


ラーン川には19の水力発電所が設けられている。



自然環境




ラーン川に浮かぶ白鳥


1999年の河川水質等級(クラスIからVまで)で、ラーン川は、生物学的等級がクラスII、化学的等級がクラスIと分類された。いずれも自然に近い状態だと考えられる。



支流


ラーン川に合流する支流を以下に記す。並び順は上流から下流の順。( )内は、スペル、ラーン川から見た合流方向と比較的大きな支流については全長を示す。






水源からマールブルクまで



  • イルム川(Ilm 左岸)

  • アーバッハ川(Ahbach 左岸)

  • イルゼ川(Ilse 右岸 7.6 km)

  • バンフェ川(Banfe 右岸 10.7 km)

  • ヴァーバッハ川(Wahbach 右岸)

  • ラースフェ川(Laasphe 左岸 7.6 km)

  • プーダーバッハ川(Puderbach 左岸)

  • ハインガッハ川(Hainbach 左岸)

  • ペルフ川(Perf 右岸 16 km)

  • グラウバッハ川(Graubach 左岸)

  • マーティンスバッハ川(Martinsbach 右岸)

  • ダウトフェ川(Dautphe 右岸 8.5 km)

  • カッツェンバッハ川(Katzenbach 左岸 4.5 km)

  • エレンバッハ川(Ellenbach 左岸)

  • ラウターバッハ川(Lauterbach 左岸)

  • ヴァルツェンバッハ川(Warzenbach 左岸)

  • ケルンバッハ川(Kernbach 右岸)

  • ミュールグラーベン川(Mühlgraben 右岸)

  • ローデンバッハ川(Rodenbach 左岸)

  • ヴェトシャフト川(Wetschaft 左岸 22 km)


  • オーム川(Ohm 左岸 59 km)


マールブルクからヴェッツラーまで



  • アルナ川(Allna 右岸 17 km)

  • ツヴェスター・オーム川(Zwester Ohm 左岸 22.9 km)

  • ザルツベーデ川(Salzböde 右岸 25 km)


  • ルムダ川(Lumda 左岸 33.7 km)

  • ヴィースマールバッハ川(Wißmarbach 右岸)

  • ヴィーゼック川(Wieseck 左岸 20 km)

  • クロップバッハ川(Kroppbach 右岸)

  • ビーバー川(Bieber 右岸)

  • ヴェルシュバッハ川(Welschbach 左岸)

  • アツッバッハ川(Atzbach 右岸)


  • ディル川(Dill 右岸 69 km)



ヴェッツラーからリムブルクまで



  • ゾルムスバッハ川(Solmsbach 左岸)

  • イーゼルバッハ川(Iserbach 左岸)

  • ウルムバッハ川(Ulmbach 右岸)

  • カレンバッハ川(Kallenbach 右岸)

  • ヴォルストバッハ川(Worstbach 右岸)

  • ヴァルダーバッハ川(Walderbach 右岸)


  • ヴァイル川(Weil 左岸 50 km)

  • オーダースバッハ川(Odersbach 右岸)

  • ケルカーバッハ川(Kerkerbach 右岸)

  • エムスバッハ川(Emsbach 左岸)

  • エルプバッハ川(Elbbach 右岸)


リムブルクからラーンシュタイン



  • ハムバッハ川(Hambach 右岸)

  • ハイシュテンバッハ川(Heistenbach 右岸)

  • アール川(Aar 左岸 60 km)

  • ランゲンバッハ川(Langenbach 右岸)

  • ダウバッハ川(Daubach 右岸)

  • ヴァーゼルバッハ川(Waselbach 右岸)

  • デュルスバッハ川(Dörsbach 左岸)

  • ゲルバッハ川(Gelbach 右岸 25 km)

  • ザウアーバッハ川(Sauerbach 左岸)

  • エルゼバッハ川(Elsebach 右岸)

  • ウンターバッハ川(Unterbach 右岸)

  • ルルスバッハ川(Rullsbach 左岸)

  • ヴィースバッハ川(Wiesbach 左岸)

  • ブラウネバッハ川(Braunebach 左岸)

  • ファハバッハ川(Fachbach 右岸)




他の川



  • ラーン川の水源のわずか5.5km北西にエーダー川の水源がある。

  • ラーン川の水源のわずか3km北にジーク川の水源がある。



流域の街








ラーン川沿いのヴェッツラー旧市街





ルンケル城とラーン川





  • ネトフェン(Netphen)


  • バート・ラースフェ(Bad Laasphe)


  • ビーデンコプフ(Biedenkopf)


  • マールブルク(Marburg (Lahn))


  • ギーセン(Gießen)


  • ヴェッツラー(Wetzlar)


  • ヴァイルブルク(Weilburg)


  • ルンケル(Runkel)


  • リムブルク・アン・デア・ラーン(Limburg a.d. Lahn)


  • ディーツ(Diez)


  • ナッサウ(Nassau)


  • バート・エムス(Bad Ems)


  • ラーンシュタイン(Lahnstein)



外部リンク



  • Wasserwanderführer Lahn

  • Elektronisches Wasserstraßeninformationssystem: Schleusenbetriebszeiten der Lahn

  • Lahntal Tourismus Verband

  • Lahn-Marmor-Museum

  • Lahntalradweg

  • Lahnhöhenweg und Limesweg








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