ゴジラvsビオランテ
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出典は列挙するだけでなく、脚注などを用いてどの記述の情報源であるかを明記してください。記事の信頼性向上にご協力をお願いいたします。(2012年12月) |
ゴジラvsビオランテ | |
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Godzilla vs. Biollante | |
監督 | 大森一樹(本編) 川北紘一(特撮) |
脚本 | 大森一樹 |
製作 | 田中友幸 |
出演者 | 三田村邦彦 田中好子 高嶋政伸 小高恵美 沢口靖子 峰岸徹 金田龍之介 高橋幸治 |
音楽 | すぎやまこういち 伊福部昭(ゴジラテーマ曲) |
撮影 | 加藤雄大(本編) 江口憲一(特撮) |
編集 | 池田美千子 |
配給 | 東宝 |
公開 | ![]() |
上映時間 | 105分 |
製作国 | ![]() |
言語 | 日本語 |
配給収入 | 10億4000万円[1] |
前作 | ゴジラ |
次作 | ゴジラvsキングギドラ |
『ゴジラvsビオランテ』(ゴジラたいビオランテ、または、ゴジラ ブイエス ビオランテ)は1989年12月16日に公開された日本映画で、「ゴジラシリーズ」の第17作である。観客動員数は200万人、配給収入は10億4000万円。
キャッチコピーは「超ゴジラ それはゴジラ細胞から生まれた」「正月映画日本代表」「勝った方が人類最大の敵になる」など。また宣伝イラストでは人差し指を立てたディフォルメされたゴジラのイラストに「'90正月映画No.1宣言!」と書かれたものがある。
入場者プレゼントはゴジラスタンプ(全4種)[2]。
目次
1 概要
2 ストーリー
3 登場怪獣
4 登場人物
5 登場兵器
5.1 架空
5.2 実在
6 設定
7 キャスト
8 スタッフ
9 未使用シーン
10 小説版
10.1 原案小説
10.2 ノベライズ版
11 コミカライズ
12 その他
13 映像ソフト化
14 脚注
14.1 注釈
14.2 出典
15 参考文献
16 外部リンク
概要
平成ゴジラシリーズの原点となる前作『ゴジラ』(1984年)の直接の続編。平成VSゴジラシリーズの第1弾でもある。
当初の仮題は『ゴジラ2』。原案を一般公募で募集した結果、特撮テレビドラマ『帰ってきたウルトラマン』の第34話「許されざるいのち」の原案者・小林晋一郎の作品が採用された[3]。バイオテクノロジーをテーマにしている点や、同話に登場する合性怪獣・レオゴンと同様に植物と動物の融合怪獣・ビオランテがやはり芦ノ湖に出現するなど、本作には共通する要素も多い。なお、公募された候補のもう一つは、ゴジラが巨大コンピュータと戦い、それが戦車もどきのメカになるという案であったが、先行公開されていた特撮ロボット映画『ガンヘッド』が興行的に不振だったことが影響し、却下されている[4]。
原案公募だけでなく、特技監督に川北紘一、脚本と監督には『ヒポクラテスたち』などの大森一樹、音楽に「ドラゴンクエストシリーズ」などのすぎやまこういちを起用するという、それまでの怪獣映画にない新たな息吹を取り入れようとした意欲作でもある[3][注 1]。また、劇中で伊福部昭の楽曲が久々に使用されている(アルバム『OSTINATO[注 2]』より「ゴジラ・タイトル」、「ゴジラ対特車隊」、「怪獣大戦争マーチ」の3曲を流用[5])。
主要襲撃地点は伊豆大島、芦ノ湖、大阪、若狭湾。
本作は、以降のVSシリーズでメインキャラクターとなる超能力者・三枝未希の初登場作品でもある。演じる小高恵美は東宝シンデレラ第2回グランプリであり、第1回グランプリの沢口靖子演じる英理加が冒頭に死亡して彼女の場面に移る展開は、第1回から第2回への女優のバトンタッチを意識した演出となっている。また、ミニチュアセットで市街地すべてを再現した最後のシリーズ作品でもあり、次作『ゴジラvsキングギドラ』以降はCGによる描画が増えていくこととなる[6]。
映画の展開はいわゆる子供向け怪獣映画とは一線を画しており[注 3]、ゴジラとビオランテの対決よりも「ゴジラ対自衛隊」のそれに軸足を置いている。ゴジラ(略して「G」と呼称)は「特殊災害」と規定され、4段階の警戒態勢が設けられている。放射能熱線を反射して対抗できる「スーパーX2」や、ゴジラのエネルギー源である核物質を食べるバクテリアから作られた「抗核エネルギーバクテリア」 (ANEB) など、先端技術を投入して開発された対G用の超兵器に加え、未希の超能力も自衛隊の戦力として運用されている。劇中に登場する自衛官は役者(エキストラ)だが、登場する自衛隊車両(ジープ・73式大型トラック・自走砲・戦車など)はすべて現役の自衛官が操縦していた[注 4]。
作品内容については完成度の高さが評価されたが、興行収入は前作を下回った[7][8]。この結果を受け、次作以降は新怪獣ではなく人気怪獣を再登場させ、内容もエンターテイメント性を重視したファミリー向け娯楽路線に方針変更されることとなった[7][8]。
ストーリー
1985年、ゴジラ襲撃から一夜明けた新宿では、自衛隊が廃墟内の残留放射能検査やスーパーXの回収をすすめる一方、ゴジラの体の破片を回収する作業が行なわれていた。その最中、米国のバイオメジャーもG細胞の採取に成功、自衛隊に発見され銃撃戦となる。辛くも逃げ切った彼らだが、サラジア共和国のサラジア・シークレット・サービス工作員のSSS9によって全員射殺されG細胞も彼の手に渡る。サラジア共和国に運ばれたG細胞は、白神博士の研究室で小麦などの作物と融合させ、砂漠でも育つ植物を生む実験に使用されていた。しかし、G細胞争奪戦に敗れたバイオメジャーの策略で研究室は爆破され、白神博士はG細胞と共に最愛の娘・英理加を失う。
それから5年後、三原山内において再び活動を開始したゴジラに備え、国土庁はゴジラの体内の核物質を食べるバクテリアを利用した抗核エネルギーバクテリア (ANEB) の必要性を強く認識したが、科学者の桐島は、それが核兵器を無力化する兵器にもなり、世界の軍事バランスを崩す引き金になるのではという危惧を抱いていた。しかし、日に日に活動を活発化させるゴジラに対抗し得るものとして、自衛隊の黒木特佐はその開発のために白神博士の協力を仰ぐ。一度は断った白神だが、G細胞を1週間借り受けることを条件にANEB開発への協力を承諾する。
数日後、芦ノ湖に巨大なバラのような姿の怪獣が現れる。それは白神が娘の細胞を融合させたバラの命を救うために組み込んだG細胞の影響によって急激な成長を遂げた怪獣ビオランテであった。
同じ頃、バイオメジャーによる、ANEBの引渡しを求める脅迫文が首相官邸に届く。応じぬ場合は三原山を爆破させゴジラを復活させるというその内容に、桐島と自衛官の権藤は引渡しに応じるが、SSS9によりANEBは奪われ、さらに爆破された三原山からはゴジラが復活してしまう。
ゴジラは浦賀水道で護衛艦やスーパーX2と交戦し、これを撃退。続いて小田原へ上陸し、芦ノ湖でビオランテと対決する。ビオランテのさまざまな攻撃に苦しむゴジラだったが、放射能熱線によってビオランテを倒し、駿河湾へ消える。
対G作戦の指揮を任された黒木は、その後ゴジラがエネルギー補給のために若狭湾の原発群へ向かうと予想。最短経路の名古屋を通るとして伊勢湾に戦力を集結させるが、予想に反してゴジラは紀伊水道に現れる。裏をかかれた黒木はスーパーX2のみを大阪市に、残りの戦力を若狭湾へ向かわせてゴジラを迎え撃つ作戦へ変更する。
一方、桐島と権藤はサラジアのアジトが大阪にあることを知り、ANEB奪回に向かう。刻一刻とゴジラの上陸が迫る中、奪回に成功した権藤はそのままANEBをゴジラに撃ち込む準備へと入った。そしてゴジラはついに大阪市に上陸する。
スーパーX2と権藤という大きな代償を払いながらも、ANEBの撃ち込みは成功するが、14時間近くを経過してもその効果は現れず、ゴジラは若狭湾を目指す。桐島の「ゴジラの体温が低いためにANEBの活性化が抑えられているのではないか」という仮説を受けて、黒木は若狭にサンダーコントロールシステムを設置し、人為的な落雷によってゴジラの体温を上げる作戦を立案する。
作戦のさなかでようやくANEBは効力を発揮し始めるが、ゴジラの進行は止まらない。高浜原発に緊急態勢が発令され緊張が高まる中、ゴジラの前に成長し更なる進化を遂げたビオランテが出現した。
登場怪獣
ゴジラ(演 - 薩摩剣八郎)
- 体長:80メートル、体重:5万トン。
- 作中の出現地点・進行ルート:伊豆大島・三原山→浦賀水道→相模湾→小田原市→国道1号→芦ノ湖→駿河湾→遠州灘→紀伊水道→大阪湾→大阪市→丹波山中→若狭湾→日本海
ビオランテ
- 作中の出現地点・進行ルート:芦ノ湖→若狭湾
- ゴジラ細胞で作られた植物型生命体。
登場人物
- 桐島 一人
- 筑波生命工学研究所の若きエースである研究員。抗核エネルギーバクテリアの開発や大河内誠剛が進めようとしているバイオバンク(世界中のVIPや有名人の細胞を冷凍保存する)のプロジェクトを危惧している。マサチューセッツ工科大学からの招聘を受けており、最初は彼も要請を受け入れようとしていたが、結局断っている。慎重な性格だが、奪われた抗核エネルギーバクテリアを取り戻すために権藤と奔走したり、白神を射殺したSSS9を追って格闘戦を繰り広げるなど、行動的な部分も持つ。
- ノベライズ版では英理加に好意を抱いていたが、英理加を誘うたびに英理加が明日香を連れてやって来て、いつしか明日香の方と仲良くなってしまったという設定。
- 大河内 明日香
- 精神開発センターの研究員で、桐島の恋人。政財界の重鎮・大河内誠剛を父にもつ。白神英理加は親友だった。父の財団のプロジェクトを巡って、桐島とは少々溝が開いてしまっていたが、次第に関係を取り戻していく。愛車は三菱・パジェロで、桐島と兼用している。穏やかさと、ゴジラを足止めする危険な任務に挑む未希を見守るために、単身で関西国際空港建設基地に残留する勇敢な一面を併せ持つ女性である。
- 黒木 翔
- 防衛庁特殊戦略作戦室室長。三等特佐。防衛大学を首席で卒業し、スーパーX2の運用ならびに陸・海・空・全自衛隊を指揮する。若さゆえの粗もあるが、上官に対しても物怖じしない胆力や、三枝未希の超能力をも作戦に活用するなど柔軟な頭脳を持ち、手段を選ばない大胆な戦術・戦略でゴジラを追い詰める。終盤ではSSS9をTCシステムで蒸発させるなどの機転も見せる。
- ノベライズ版でも工作員が乗ったスパイ機をサンダービームで撃墜する。坂井孝行によるコミカライズ版では続く『vsキングギドラ』から『vsデストロイア』までの全ての作品に登場している。
- 三枝 未希
- 大河内明日香の勤める精神開発センターに所属する少女。三原山上空からゴジラの活動を感知したり、大阪湾でゴジラの動きを一時的に足止めするなど、強い超能力を持つ。しかし、大阪湾でゴジラを足止めする際にかなりのエネルギーを使い果たして失神してしまう。終盤ではビオランテの出現を予測しその事を桐島たちに伝えた。
- サブヒロインにあたるが、本作の後も続く『vsキングギドラ』から『vsデストロイア』までのVSシリーズのほか、『怪獣プラネットゴジラ』にも登場している。
- SSS9
- サラジア・シークレット・サービス工作員。コードネームは「サラジア・シークレット・サービスの9番目」という意味。G細胞と抗核エネルギーバクテリアをめぐり暗躍するが、白神を殺害後に桐島と格闘の末、黒木がサンダーコントロールシステムで発生させた人工の落雷により蒸発して死亡した。
- 山本 誠一
- スーパーX2の開発スタッフである、三友重工技術部長。完成したスーパーX2の性能を自信満々に黒木や権藤へ説明するが、初戦でゴジラに敗退してしまったことで肩を落とし、技術力の限界を痛感する。
- 大和田 圭子
- 内閣官房長官。首相官邸に権藤と大河内を呼び、三原山からゴジラを復活させないためにバイオメジャーの取引に応じて抗核バクテリアを引き渡すように依頼する。
- 雨沢 修[注 5]
- スーパーX2オペレーター。黒木と同様の特殊戦略作戦室所属の男性で、スーパーX2の攻撃を担当する。
- 河井 弘美[注 5]
- スーパーX2オペレーター。黒木と同様の特殊戦略作戦室所属の女性で、スーパーX2の機体操作を担当する。
- 山地
- 自衛隊統幕議長。情報操作や大都市への被害も厭わない黒木の大胆な作戦展開に不満を漏らし、激昂するなど黒木と対立する場面もあったが、ラストシーンでは意外な表情を見せる。若狭でのサンダービーム作戦では自ら陸上幕僚長とともに対ゴジラの前線で指揮を執る。
- 小山 実
- 防衛庁長官。日本の原発の3分の1が集中する若狭へのゴジラ進攻を危惧する。
- 竹田
- 科学技術研究部長。若狭湾でのサンダービーム作戦時に顔を出した。
- 志村 武雄[注 5]
- 陸上幕僚長。次回作・『ゴジラvsキングギドラ』にも登場する。彼も山地と共にサンダービーム作戦では前線で指揮を執る。
- 海上 航空幕僚長
- 海上幕僚長は次回作・『ゴジラvsキングギドラ』で、統幕議長に昇格して登場する。
- ジョン・リー
- アメリカのバイオメジャーの白人系工作員。コードNo.46762。日本語もかなり流暢に話す。ローと共に白神新植物研究所に侵入し、SSS9やビオランテの触手に襲われるが抗核エネルギーバクテリアに関する資料を盗み出すことに成功する。その後「エイリアン」と名乗り、抗核エネルギーバクテリアの受け渡しを日本政府に要求する。しかし受け渡しの際、SSS9の妨害により射殺される。
- マイケル・ロー
- バイオメジャーの黒人系工作員。コードNo.56594。白神博士の留守中にリーと共に白神新植物研究所に侵入し、抗核エネルギーバクテリアに関する資料を盗もうとしたが、突如出現したビオランテの触手に襲われ死亡。
- サーハン
- サラジア・オイル・コーポレーションの大阪支社長兼サラジア・シークレット・サービス工作員。抗核バクテリアを持ち出そうとしていたところにやってきた桐島と権藤に殴られ、抗核バクテリアを奪還されてしまう。
- アブドール・ザルマン
- サラジア生物工学研究所所長兼サラジア・シークレット・サービス部長。白神に対しては、1985年時にスポンサーとして友好的に接していたが、彼がサラジアを離れて日本で抗核エネルギーバクテリアを開発したことを知り、SSS9に白神の暗殺を命じる。
- デーモン小暮
- 本人役。生放送のTV番組に出演していたが、ゴジラ出現の臨時ニュースを流すために番組が中断し、視聴者にニュースを聞くよう訴える。
- 白神 英理加
- 白神博士の娘。明日香の友人。父の助手としてサラジア生物工学研究所に勤務していたが、バイオメジャーの爆破工作により死亡する。後に細胞がビオランテに組み込まれることになる。本作のラストは彼女のモノローグで締めくくられた。
- 権藤 吾郎
- 陸上自衛隊一佐。自衛隊陸幕調査部から国土庁特殊災害研究会議に出向しているが、本人は「体のいい左遷」と語っており、鬱屈した日々を過ごしている。愛用の腕時計はセイコー ファイブスポーツ(seiko 5126-8090)。事態を他人事のようにとらえた不謹慎かつ呑気な発言が目立つが、冷静な判断力と高い行動力を持つベテラン自衛官。大阪でゴジラにANEB弾を3発(うち1発は口内へ)命中させるが、その直後ツイン21の倒壊に巻き込まれ死亡。
- 『ゴジラvsスペースゴジラ』に、妹の権藤千夏や親友の結城晃が登場している。
- 大河内 誠剛
- 明日香の父で、大河内財団総帥。自らの会社にG細胞を保管している。世界中のVIPや偉人の細胞や精子を冷凍保存する「バイオバンク」プロジェクトを発表し、物議を醸している。飄々とした人柄だが、プロジェクトに対しては毅然とした態度で臨み、「原爆とゴジラの脅威にさらされた日本が、核兵器を超える抗核バクテリアを作り保有しても決して悪いと思わない」という過激な思想を持つ。
- 白神 源壱郎
- 遺伝子工学の世界的権威。1985年に、サラジアにて砂漠でも育つ植物を開発していたが、G細胞の争奪戦に巻き込まれ娘・英理加を失ったことで科学に失望。日本へ帰国後、芦ノ湖畔に建てた研究所でひっそりと暮らす。自衛隊から抗核エネルギーバクテリアの開発を依頼され一度は断るが、英理加の細胞を組み込んだバラが瀕死となったことで承諾。その際に預ったG細胞をそのバラと融合させ、ビオランテを誕生させてしまう。物語の終盤、SSS9に撃たれ死亡。
登場兵器
架空
- スーパーX2
- 92式メーサー戦車
- 24連装ロケット砲車
- 83式600mm地対地ミサイル車
- 92式ペトリオット<改>対Gシステム特車
- 抗核(こうかく)エネルギーバクテリア
- 略して抗核バクテリア、または抗核菌、英名であるAnti Nuclear Energy Bacteriaの頭文字をとってANEBとも呼ばれる[注 6]。
G細胞に含まれる、核を食べる遺伝子から作り出された核物質をエネルギー源にするバクテリア。作中ではこれをゴジラの体内に撃ち込んで核反応を抑え込み、エネルギーを奪うことを目的として大河内財団の協力の下で白神源壱郎博士らが開発し、自衛隊が大阪に上陸したゴジラに対し使用した(権藤吾郎一佐以下、陸上自衛隊隊員4名が84ミリ無反動砲(権藤のみ装備)及び89ミリロケットランチャー(M20「スーパー・バズーカ」)を用い大阪ビジネスパークのビルより坑核バクテリア弾を発射。5発中3発命中。内1発は口内に命中)。その効果はバクテリア弾1発で原発1基分の核反応を抑制できるほどのものだが、当初はゴジラの低い体温のために活性化せず、すぐには作用しなかった。そこでゴジラの体温を上昇させるために「サンダービーム作戦」が実施される。この結果、その後のビオランテとの交戦中にいったんゴジラを昏倒させる。しかし昏倒したゴジラがたまたま海に倒れ込んだことにより体温が下がり効果が一時的に低下。その間に消滅し宇宙へ飛んでいったビオランテを後に、回復したゴジラは海へ帰る。- 開発した白神博士が同作内にて殺害されたため(もっとも、白神はこれ以上抗核バクテリアを作るつもりはなかったが)本作以降のシリーズには登場しない。
- マイクロウェーブ6000サンダーコントロールシステム
- 略称はM6000TCシステム。
- 上空にヨウ化銀を散布して人工雲を発生させ、地上に固定した電位差発生装置とソニックビームシステム車に搭載した電位相増幅装置で人為的に雷を発生させる。サンダーコントロールシステムについては、作中では電子レンジと同じ仕組みとして説明されている。その雷撃は、戦車1台を溶かすほどの威力。
- 作戦領域(サンダーコントロールシステム設置領域)まではメーサー戦車隊による威嚇攻撃でゴジラを誘導。誘導後はメーサー戦車は戦車、ミサイル車などと連携して引き続きゴジラを作戦領域から外に出さないための威嚇、牽制攻撃を行う。
- 本システムを用いたサンダービーム作戦はゴジラの体温を上昇させ、ゴジラ体内に射ち込まれた抗核エネルギーバクテリアを活性化させるため実行された作戦であるが、すぐには抗核バクテリアの効果がでることはなく、直後に現れたビオランテとゴジラの交戦中にようやく効果が現れる。
- また作品の最後には、白神を射殺したサラジア共和国のエージェントであるSSS9に対して黒木がシステムを使用。人工雷を受けたSSS9は一瞬で消滅する。
- 『月刊コロコロコミック』に掲載された『ゴジラvsモスラ』の漫画化版では、黒木がこれを利用してモスラの幼虫を焼き払おうとする。
- 同様に、『コロコロコミック』に掲載された『ゴジラvsデストロイア』の漫画化版では、このシステムを応用したPE(ペルチェエフェクト)6000サンダーコントロールシステムで、黒木はゴジラの冷却を行っている。
- ソニックビームシステム車
- 装軌式の台車の上に巨大な電位相増幅装置を搭載したソニックビームシステム車(雷電位相増幅機=M6000-TCS)と91式特殊牽引索敵レーダー車で構成され、これに電位差発生装置(通称「地雷」)で一つのシステムを構成している。形式記号はPDSS91。所属は陸上自衛隊。
- 全高:30メートル
- スーパーサーチライト車(TSL-91)
- 若狭湾近辺で行われたサンダービーム作戦の支援車両として展開した移動照明車。
- ミニチュアは市販のはしご消防車のミニカーを改造し、はしごのターレットにサーチライト1基を載せたもの。
実在
- 自衛隊
- 90式戦車
- 74式戦車
- 61式戦車
- 82式指揮通信車
- 73式装甲車
- 60式装甲車
- 74式特大型トラック
- 73式大型トラック
- 73式中型トラック
- 73式小型トラック
- 1/4tトラック
- 中砲けん引車
- 75式130mm自走多連装ロケット弾発射機
- 67式30型ロケット弾発射機
- 60式自走106mm無反動砲
- 75式自走155mmりゅう弾砲
- 203mm自走りゅう弾砲
- 155mmりゅう弾砲FH-70
- 75式ドーザ
- 大型ドーザ
- 救急車
はるな型護衛艦「ひえい」
はつゆき型護衛艦「はつゆき」
たちかぜ型護衛艦「たちかぜ」- たかつき型護衛艦
しらね型護衛艦「しらね」(名称のみ)
むらさめ型護衛艦「むらさめ」(名称のみ)
F-15J戦闘機
AH-1S対戦車ヘリコプター
UH-1H多用途ヘリコプター
OH-6D観測ヘリコプター
KV-107II-4中型輸送ヘリコプター
CH-47J大型輸送ヘリコプター
HSS-2B哨戒ヘリコプター
AS350ヘリコプター- 89mmロケット発射筒 M20改4型
- 84mm無反動砲
- 64式7.62mm小銃
M16A1自動小銃
- バイオメジャー
- M16A1自動小銃
M11機関拳銃
M1911自動拳銃
- マークII手榴弾
- サラジア・シークレット・サービス
AK-47自動小銃
ベレッタM1934自動拳銃
設定
- G細胞
- 詳細は「ゴジラ (架空の怪獣)#G細胞」を参照
- 筑波生命工学研究所
- 筑波にある桐島が勤めている研究所で、ここで白神と桐島が抗核バクテリアを完成させる。
- 白神新植物研究所
- 日本に帰国した白神が神奈川県の芦ノ湖畔に建てた、自宅兼研究所。白神は英理加の遺伝子を移植したバラと共に5年間ひっそりと暮らしていたが、サラジア・シークレット・サービスやバイオメジャーに長期に渡って監視され続けている。
- ここで誕生したビオランテと、抗核バクテリアの資料を狙って侵入したSSS9、リー&ローの乱闘によって、所内は荒らされてしまい、最終的に白神の死に伴って閉鎖される。
- 精神科学開発センター
- 超能力の研究と訓練を行う機関で、素養を持つ少年少女を多数養成している。創設してから長い活動期間があるらしい。ここの子どもたち全員がゴジラ復活を予知する。
- 『ゴジラvsメカゴジラ』にも登場する。
- 大河内財団
- 大河内が総帥を務める大企業。筑波生命工学研究所に莫大な資金援助を行っている。
- 大河内総研
- 東京都内にある大河内財団の本社屋。地下室に新宿で採取されたG細胞を保管している。
- 国土庁特殊災害研究会議Gルーム
- 国会で可決された「ゴジラ対策立法」を基に、ゴジラ災害を担当するセクションの中心的な部署。陸上幕僚監部調査部から人員が出向しており、精神科学開発センターをはじめとする各施設と連絡を取り合い、ゴジラに関する情報を集め、ゴジラ復活に備えている。
- 室長を務める権藤の殉職により解体される[10]。
- 特殊戦略作戦室
- 対ゴジラ作戦のための特別教育・訓練を受けた自衛隊員で構成される防衛庁の特別部署で、若手隊員らは「噂のヤングエリート集団」と呼ばれている。
- 次回作『ゴジラvsキングギドラ』に登場する内閣安全保障室Gルームの司令室要員たちもこの部署のシンボルマークを付けている[11]。
- 三友重工
- 防衛庁と共同でスーパーX2を開発した重工業社。同社の格納庫にスーパーX2が置かれている。
- サラジア共和国
- 中近東の国家。自国の広大な砂漠地帯を緑の穀倉地帯に変えて、ポスト石油の世界戦力の展開を狙っている。諜報機関「サラジア・シークレット・サービス」を有し、裏で遺伝子工学に関するさまざまな工作活動を行っている。
- サラジア生物工学研究所
- サラジアの砂漠地帯にある世界一の設備を誇るといわれている研究所だが、サラジア・シークレット・サービスの拠点でもある。1985年にバイオメジャーによって白神が勤めていた研究棟が爆破されている。
- 大阪市街のビルにはサラジア・オイル・コーポレーション、サラジア航空、サラジア航空貨物、といった本国の関連会社の日本支社を持ち、神戸港から週1回日本とサラジアを往復する貨物船を出している。
- バイオメジャー
- アメリカ遺伝子工学産業大手4社の共同機構で、サラジアの計画を阻止し、遺伝子工学分野での市場独占(食料支配の覇権維持)を狙って、1985年時からサラジア・シークレット・サービス同様、日本にコマンドやエージェントを派遣し、活動させている。
キャスト
- 桐島一人:三田村邦彦
- 「演技の際、見えないゴジラに対しどう演技するか難しかった。大げさにやってもダメ、かといって淡白すぎてもダメ」と語っている。
- 大河内明日香:田中好子
- 1989年に『黒い雨』で各賞を総ナメした田中の出演交渉の際、監督の大森は「(ゴジラ映画も『黒い雨』も)どちらも原爆に関することですから」と語ったという。秋吉久美子もこの役の候補になっていた。[要出典]
- 1989年に『黒い雨』で各賞を総ナメした田中の出演交渉の際、監督の大森は「(ゴジラ映画も『黒い雨』も)どちらも原爆に関することですから」と語ったという。秋吉久美子もこの役の候補になっていた。[要出典]
- 黒木翔:高嶋政伸
- 高嶋政伸はゴジラのファンだったらしく、出演の際は非常に喜んだが、台本をもらった後「かなり難しい役を貰ったと思った」と後に語っている。
- 三枝未希:小高恵美
- SSS9:マンジョット・ベディ
- ベディはバイオメジャー役を担当した外国人俳優の通訳として収録現場に来ていたところを工作員役として採用されたという。採用した大森は、オーディオコメンタリーで「外国人キャストはもう少しキチンとキャスティングすればよかった」と語っている。
- 山地統幕議長:上田耕一
- 上田は、本作以降『ゴジラ FINAL WARS』までの平成・ミレニアムゴジラシリーズ全作品に出演することになる。
- 雨沢修:豊原功補
- 河井弘美:鈴木京香
- ジョン・リー(バイオメジャーのエージェント):ハント敬士
- マイケル・ロー(バイオメジャーのエージェント):デリック・ホームズ
- 自衛隊隊員:松原一馬、井上浩、吉満涼太、山田義晴、河合哲、弓家保則
- 秋山(陸自巨大植物監視部長):辰馬伸
- 作戦室員:皆川衆、坂田祥一、松岡一間
- サーハン(サラジア・オイル・コーポレーション日本支社長):メヒディザデ・ソレイマン
- 研究員:アブドゥーラ・ヘラール
- コマンド:カーティス・クレイマー、ブライアン・ウール、ロバート・コーナー
- 大阪千里中央病院の看護師:黒岩磨聖
- スーザン・ハーン(新宿のCCNキャスター):ベス・ブラット
- 白神英理加:沢口靖子(特別出演)
- 山本精一:永島敏行(友情出演)
- 大和田圭子官房長官:久我美子(友情出演)
- 劇場公開当時の現実世界における官房長官が初の女性である森山眞弓だったことや、久我の夫・平田昭彦(1984年死去)の実母から受けた助言「息子が好きな映画だったので、あなたも出演しておきなさい」に従い出演した。
- 小山実防衛庁長官:中田博久
- 竹田科学技術研究部長:佐々木勝彦
- 志村武雄:荻原賢三
- 海上幕僚長:仙波和之
- 航空幕僚長:山中康司
- アブドール・ザルマン(サラジア生物工学研究所所長):アイデン・ヤマンラール
- ゴジラ:薩摩剣八郎(スーツアクター)
- ビオランテ(第1形態):竹神昌央
- ビオランテ(第2形態):柴崎滋、木村義隆
- TNNテレビのレポーター:相楽晴子
- 臨時ニュースキャスター:松川裕美
- スーパーX2整備長:武野功雄
デーモン小暮
- 劇中のテレビ番組で世界の終末を説いている最中にゴジラ出現の臨時放送が始まる、というメタフィクション的な演出がなされている。
- 権藤吾郎:峰岸徹
- 権藤がツイン21の崩落によって死亡するシーンの撮影時、スタッフのミスによってカメラが回っていなかったため、峰岸は崩落場面を撮り直す羽目となってしまった。
- 大河内誠剛:金田龍之介
- 白神源壱郎博士:高橋幸治
本作は斉藤由貴や声優の伊倉一恵など、エンドロールにクレジットされていないゲスト出演を行った者も多い。監督の大森一樹も、千里中央病院内のシーンに明日香の後方を通り過ぎる医者役でカメオ出演した。
スタッフ
- 製作:田中友幸
- 原案:小林晋一郎
- ゴジラストーリー応募作品「ゴジラ対ビオランテ」より
- 脚本・監督:大森一樹
- 特技監督:川北紘一
- プロデューサー:富山省吾
- 音楽:すぎやまこういち
- 編曲:デビッド・ハウエル
- サントラ盤:東芝EMI
- 編曲:デビッド・ハウエル
- ゴジラテーマ曲:伊福部昭
- 撮影:加藤雄大
- 美術:育野重一
- 録音:宮内一男
- 照明:粟木原毅
- 編集:池田美千子
- 助監督:井上英之
- 製作担当者:森知貴秀
- 特殊機械:宮川光男、鹿山和男
- 装置:鈴木栄二
- 組付:笠原良樹
- 装飾:田代昭男
- 電飾:稲畑秀男
- 記録:江口由紀子
- 音響効果:伊藤進一、中村佳央(東洋音響カモメ)
- スチール:石月美徳
- 製作係:福塚孝哉
- 擬斗:宇仁貫三
- カースタント:スーパー・ドライバーズ
- 特殊技術
- 撮影:江口憲一
- 美術:大澤哲三、長沢孝
- 照明:斉藤薫
- 繰演:松本光司
- 造型:安丸信行、品田冬樹
- 特殊効果:渡辺忠昭、久米攻
- 助監督:松本清孝
- 装置:野村安雄
- スチール:中尾孝
- デザイン:西川伸司
- 撮影:江口憲一
- 特殊視覚効果
- オプチカルエフェクト:岸本義幸、北条則明
- モーションコントロール:木下良仁、阿部健一
- ビデオエフェクト:萩原賢治
- タイミング:岩田夫
- エフェクトアニメーション:橋本満明、松本肇、斉藤雅和
- アニメーション:毛利和昭、山懸亜紀、赤堀隆一
- コンピュータグラフィックス:大屋哲男、亀谷久、水端聡
- マットペインティング:山本二三(宣材のみクレジット)、三瓶一信
- マットペインター:石井義雄
- コーディネート:小川利弘、三沢勝治
- プロデュース:山辺崇、馬野光晴
- オプチカルエフェクト:岸本義幸、北条則明
- 協力:防衛庁[注 7]
- 資料協力:教育社、組織培養記念研究所、日本テレビ放送網
- プロダクション協力:東宝映像美術、東宝スタジオ、東宝録音センター、東宝音楽出版、京都衣裳、東京現像所
- 製作:東宝映画
- 配給:東宝株式会社
未使用シーン
- 芦ノ湖でのビオランテ戦は、コマ撮りによる未使用カットも存在する。全高1メートルのミニチュアで撮影された映像そのものの出来は良かったが、実写とコマ撮りのカットのバランスが悪く、結果的に不採用となった。同様に、若狭湾での戦いで倒れたゴジラを飲み込もうとするビオランテの描写も、大胆にもセルアニメによる処理を行ったカットがラッシュに持ち込まれたが、これも不採用となった。監督の大森は「一応は聞いていた」と語っているが、ラッシュを観て大森を含む関係者は唖然とさせられたという。特技監督の川北曰く「柔らかさを表現したかった」という狙いだったらしい。川北本人は会心の出来だったようで、スタッフの反応には非常に落胆していたという。
- この他、芦ノ湖での戦いの後、山にバラが咲き乱れるシーンもあったが、バラのスケールが合わないため未使用となった[3]。これらの未使用シーンは、DVDに映像特典として収録されている。
- 後述のオールナイトニッポンの特番では、採用されたものと異なるシチュエーションで数パターン撮影されていたデーモン小暮の登場する未使用シーンも音声のみ流されたが、こちらはDVDなどの特典にはなっていない。
小説版
原案小説
出版芸術社から刊行されている『怪獣大戦争(怪獣小説全集 2)』に原案者である小林晋一郎の「ゴジラ対ビオランテ」が収録されている。
ビオランテやそれを生み出してしまう博士のストーリーが異なる他、スーパーX2、三枝未希、抗核バクテリアなどの映画中で重要な要素は登場しない。
また、ビオランテの他に「デューテリオス」という怪獣が登場する。ビオランテを作成する過程で生み出された実験動物で、作中では出来損ないと言われている。魚と獣の合成生物であり、水陸両生、魚の体にネズミのような四肢と尻尾を持つ。研究所から逃げ出したのちに巨大化し、付近の海で船舶を襲っていた。自衛隊との交戦中にゴジラが出現し逃走するが、追撃してきたゴジラとともに横浜港に上陸する。水陸両生だが長い間陸上にはいられず、次第に弱っていき最後にはゴジラに捕食される。
デューテリオスという名称は、「重ねる」という意味で重水素(デューテリウム)から取られている[12]。映画には未登場だが小林自身によるラフスケッチも存在し、魚類と爬虫類の中間生命としてデザインされている。
「ゴジラ対ビオランテ」の佳作選出が決まった後、プロデューサーの田中友幸は、小林に応募作をもとにした長めのプロットの執筆を依頼した[13]。第2稿ではデューテリオスの登場がなくなり、替わりにアメリカと中東の産油国の間で繰り広げられるゴジラ細胞の争奪戦、ゴジラ細胞によるビオランテ誕生の経緯とその声を聞く女性、ゴジラの熱線を反射する自衛隊の新兵器「ZEUS (Zooming Electron Universal Shooter)」といった完成作に近い要素が盛り込まれている[14]。
ノベライズ版
角川文庫から刊行されている有馬治郎の小説版は映画に沿った展開になっているものの、オリジナル要素を多く含むストーリーとなる。スーパーX2は「アングラー」のコードネームで呼ばれており、ファイヤーミラーの代わりに大広角レーザー砲を装備する、権藤や白神は劇中で落命せず、ビオランテも熱線を吐く等の差異がある。
コミカライズ
小林たつよし版がてんとう虫コミックス(小学館、初出「別冊コロコロコミックスペシャル」12月号)から、平野俊弘版(タイトルは『ゴジラ1990』)がニュータイプ100%コミックス(角川書店)から刊行されている。平野版はビオランテとの第2戦の舞台が大阪であるなどストーリーが一部変更されており、スーパーX2のデザインもかなり異なる。
その他
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- ゴジラ造形に関して大森・川北両監督は、『ゴジラ』の際に「白い目の視点の定まらないゴジラではなく、動物としてのゴジラ」を造形スタイルとして考えついたという。
- 『デーモン小暮のオールナイトニッポン』にてスペシャル番組が組まれた。当初小暮独自にやっていた一コーナーであったが、東宝が最終的にタイアップをアピールして来たため、以前自分のMVにゴジラの出演のオファーを断られたデーモンは「今度は(ゴジラを)貸してくれるよな」とコメント。リスナーの投稿も「ゴジラ対ジラース、同時上映キンゴジ対モスゴジ」といったマニアックな投稿と、そのネタが解らないのに爆笑する小高恵美などの場面もあった。
- 本作より防衛庁が協力としてクレジットされ、東宝特撮史上最大規模の協力体制が敷かれた[15][注 8]。黒木をはじめとする「特殊戦略作戦室」と階級の「特佐」は現実の自衛隊には存在しないものであり、自衛隊の広報より「特殊戦略作戦室なんて組織はありません。特佐なんて階級もありません。」と言われ、これを大森が「映画ですから」となだめ、自衛隊側は「今回だけですよ。次回からは自衛隊にある組織と階級で作ってください。」と言われたという[16][17]。ただし、これは結果的に成功した設定でもあり、作中で佐官の黒木が中心となってゴジラ攻撃の指揮を執ったり、自衛官の最上位である統幕議長の決定を独断で無視したりする[注 9]シーンを「実際の自衛隊では絶対にありえないが、東宝の方で架空の設定を作って頂いて幸いだった」と防衛庁(当時)の広報官が語っている[18]。
- 舞台が大阪ということもあり、劇場公開の前後には読売テレビが『CINEMAだいすき!』の放送スタイルに近い形の「ゴジラ特集」を組み、公開までの数か月間、毎土曜深夜に過去のゴジラ作品ほぼすべてが放送された。番組内では、映画放送後に監督や脚本家へのインタビューのほか、スーツアクターへのインタビューなども放送された。
- ゴジラが大阪の市街地を破壊するシーンの一部には、前作『ゴジラ』の映像が流用されている。また、ゴジラが大阪湾に出現した際には大阪城ホールにおける斉藤由貴の「夢の中へ」のイントロが流され、それに続く大阪の人々が避難するシーンで権藤が「夢の中へ」の歌い出しを口ずさんでいる。
- 前半で芦ノ湖、ラストに若狭での戦闘場面があるが、若狭の戦闘時間の方が短く東宝から疑問の声が出た。これは川北紘一が芦ノ湖側の撮影に時間を使い、若狭側の撮影予定を消化しきれずに時間切れとなったためである[19]。
- 劇中で前作のゴジラの東京襲撃は1985年、本作の時代はそこから5年後とされており、ゴジラ痕跡記念物のプレートや手紙の消印など小道具にも1990年と記されている[20]。しかし、作中の時代が1992年の夏とされている次作『ゴジラvsキングギドラ』では、ゴジラがビオランテと戦った後に日本海へ消えて1000日超の時間が経過しているとの表現があるうえ、1996年とされている『ゴジラvsデストロイア』でも三枝未希がゴジラと関わり初めて7年であることを明かすなど、本作の時代は1989年とされている[20]。
- 前作が『Godzilla 1985』の名で公開されたアメリカでは、ザルマンがアメリカを「(遺伝子改造された小麦が普及すれば)世界一の小麦輸出国が悔しがるだろう」と揶揄するセリフがあるうえ、バイオメジャーがアメリカのテロ組織として描かれていることや、ラストシーンで桐島がマサチューセッツ工科大学行きを断念する描写などから「反米映画」と見なされて一般公開されず、日本公開から3年を経てようやくケーブルテレビで放送された。また、本作には登場人物が英語で話すシーンがあるが、アメリカ放送版では英語のセリフも吹きかえられている[21]。
- 2014年7月19日に日本映画専門チャンネルで放映された「ゴジラ総選挙」では、本作が「ゴジラ映画No.1」に選出された[22]。
- 1991年12月4日には、『ゴジラvsキングギドラ』の公開に合わせて『水曜ロードショー』でテレビ初放送された。一部シーンがカットされたほか、キングギドラの静止画と「協力 防衛庁」のテロップがエンドロールの代わりに表示され、終了後に告知が行われた。
- とんねるずが『仮面ノリダー』で本作のパロディをし、巨大化したノリダーと巨大化した怪人が戦うという内容を披露した。
映像ソフト化
- DVDは2002年5月21日発売[23]。オーディオコメンタリーは監督の大森一樹と特技監督の川北紘一[23]。
- 2005年4月22日発売の「GODZILLA FINAL BOX」に収録されている。
- 2008年4月25日発売のトールケース版「ゴジラ DVDコレクションIV」に収録されており、単品版も同時発売。
- 2014年5月14日には「ゴジラ60周年記念版」として期間限定の廉価版が発売。
- 2016年6月15日、<東宝DVD名作セレクション>版発売。
Blu-rayディスクは2009年9月18日に発売。ゴジラシリーズBD化第一弾として、シリーズ第1作と最終作(および、ゴジラシリーズではない『空の大怪獣ラドン』『モスラ』〈1961年版〉)と同時リリース。
脚注
注釈
^ 全体を通して絵コンテは川北が最初に書き上げ、それに沿って創られた映画だったという。
^ 伊福部が作曲した特撮映画音楽をオリジナル・スコアを使用し、ステレオ録音したもの。1986年に『東宝特撮未使用フィルム大全集』のサウンドトラックとして初版された。
^ プロデューサーの田中は原爆や核に続き、遺伝子工学や科学が人類の脅威になると考えており、1作目の核のように時代性を盛り込むことで作品の娯楽性につなげる狙いから大人向きの映画を志向した。
^ 民間の敷地を利用して撮影したシーンも含まれ、燃料などの必要経費は現物支給とはいえ自衛隊側も訓練環境の変化に伴い、この規模の自衛隊車両の運用は現在では不可能だという。自走砲や戦車などは富士総合火力演習・駐屯地創立記念祭や航空祭などの映像も流用しているとはいえ、撮影当時はともかくとして現在ではこの規模の協力は得られないだろうと、監督らによるオーディオコメンタリーで言及されている。
- ^ abc役名は小道具のネームプレートに記載[9]。
^ 『月刊コロコロコミック』に掲載された『ゴジラvsデストロイア』の漫画化版では、Gフォース隊員の青木などはANBと呼称している。
^ 富士学校及び富士教導団、東部方面航空隊の他、第1師団の各部隊全面協力であることが劇中の登場車両等の部隊名注記及びオーディオコメンタリーにて監督らの発言にて確認が出来るうえ、サンダーコントロールシステムの設置シーンは富士駐屯地の訓練場で行われたことも大森のコメントで言及されている。
^ 基本的に映画の撮影などでの協力では「広報活動」の一環として、それぞれ陸・海・空の幕僚監部広報を経由して方面総監部・師団などの各部隊へ協力要請や支援計画が練られているが、人件費は発生しないうえに小銃などの実物火器は劇中では使用せずに玩具類を活用するほか、車両を運用する場合における燃料費などは使用車両への燃料補給などによる実物給付による対応となる。
^ その運用レベルが方面隊相当である大規模部隊の運用において、一般には中隊長レベルの指揮官であるはずの3佐たる佐官が指揮することは、上級指揮官が現場で死亡するか指揮を執れない状態に陥った場合を除いて通常はあり得ないうえ、上級者である陸幕長たる将官の決定を無視することは服務規程に反しており、本来は処分対象となる。
出典
^ 1990年配給収入10億円以上番組 - 日本映画製作者連盟
^ 平成ゴジラパーフェクション 2012 p.20 「Memories of ゴジラVSビオランテ」。
- ^ abc東宝特撮映画大全集 2012, pp. 220 - 223
^ 冠木新市『ゴジラ・デイズ』集英社文庫、1998年、p371。
^ “サウンドトラック>ゴジラ”. 東宝ミュージック. 2015年9月18日閲覧。 ゴジラ・サウンドトラック・パーフェクトコレクション BOX4, BOX5
^ 【銀幕裏の声】ゴジラ関西へ上陸!(下)「最大の魅力は都市破壊の映像表現」大森一樹監督が語るミニチュアセットの臨場感(3/4ページ) - 産経WEST
- ^ ab平成ゴジラパーフェクション 2012, p. 147 「ゴジラVSキングギドラのポイント」。
- ^ ab東宝特撮映画大全集 2012, p. 227
^ 平成ゴジラパーフェクション 2012, p. 146 「平成ゴジラバーニング・コラム」No.007。
^ スタジオ・ハード 1995, p. 111.
^ 平成ゴジラパーフェクション 2012, pp. 140 - 141 「劇中シンボルマークの世界」。
^ 小林晋一郎 『形態学的怪獣論』 朝日ソノラマ、1993年、173頁。.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit}.mw-parser-output .citation q{quotes:"""""""'""'"}.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/6/65/Lock-green.svg/9px-Lock-green.svg.png")no-repeat;background-position:right .1em center}.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg/9px-Lock-gray-alt-2.svg.png")no-repeat;background-position:right .1em center}.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/a/aa/Lock-red-alt-2.svg/9px-Lock-red-alt-2.svg.png")no-repeat;background-position:right .1em center}.mw-parser-output .cs1-subscription,.mw-parser-output .cs1-registration{color:#555}.mw-parser-output .cs1-subscription span,.mw-parser-output .cs1-registration span{border-bottom:1px dotted;cursor:help}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/4/4c/Wikisource-logo.svg/12px-Wikisource-logo.svg.png")no-repeat;background-position:right .1em center}.mw-parser-output code.cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:inherit;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;font-size:100%}.mw-parser-output .cs1-visible-error{font-size:100%}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#33aa33;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-subscription,.mw-parser-output .cs1-registration,.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left,.mw-parser-output .cs1-kern-wl-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right,.mw-parser-output .cs1-kern-wl-right{padding-right:0.2em}
ISBN 4-257-03364-9。
^ 未発表資料アーカイヴ 2010, p. 152
^ 未発表資料アーカイヴ 2010, pp. 160 - 172
^ 平成ゴジラパーフェクション 2012, p. 142 「平成ゴジラバーニング・コラム」No.001。
^ DVDのオーディオコメンタリーにて大森らが言及している。
^ 【銀幕裏の声】ゴジラ関西へ上陸!(上)平成ゴジラ誕生の舞台裏、監督が明かす秘話(2/3ページ) - 産経WEST
^ 『裸の自衛隊』 別冊宝島編集部 編、宝島社〈宝島社文庫〉、1999年、[要ページ番号]。
ISBN 4796615644。
^ 川北紘一 『川北紘一特撮写真集』洋泉社、2015年、372頁、大森一樹インタビュー
- ^ ab平成ゴジラパーフェクション 2012, p. 143, 「平成ゴジラバーニング・コラム」No.002
^ デビット・キャリシャー『社会的に観たゴジラ映画 -日米を通して- (上)』 『福岡市総合図書館研究紀要』第5号 2004年[要ページ番号]
^ “ゴジラ総選挙 詳細レポート!”. 2016年3月4日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2016年1月9日閲覧。
- ^ ab「DVD & VIDEO Selection」、『宇宙船』Vol.100(2002年5月号)、朝日ソノラマ、2002年5月1日、 102頁、 雑誌コード:01843-05。
参考文献
- 『最新ゴジラ大図鑑』 バンダイ、1989年。
- 『ゴジラVSビオランテ 特集号』 近代映画社、1989年。
- 『エクサイクロベティア オブ ゴジラ ゴジラ大百科』 学研、1990年。
- 『怪獣大戦争(怪獣小説全集 2)』 出版芸術社、1993年。
ISBN 4882930722。 - スタジオ・ハード 『ゴジラvsGフォース 超兵器マニュアル Anti“G”weapon manual』 メディアワークス、1995年。
ISBN 9784073026983。 - 『動画王 Vol.6 巨大怪獣特集 怪獣に関わった男たちの証言集』 キネマ旬報社、1998年。
- 『ゴジラ大図鑑―東宝特撮映画の世界』 キネマ旬報社、2000年。
- 『平成ゴジラ大全1984〜1995』 双葉社、2003年。
- 『「ゴジラ」東宝特撮未発表資料アーカイヴ プロデューサー・田中友幸とその時代』 木原浩勝、清水俊文、中村哲 編、角川書店、2010年。
ISBN 978-4-04-854465-8。 - 監修:川北紘一 『平成ゴジラパーフェクション』 アスキー・メディアワークス〈DENGEKI HOBBY BOOKS〉、2012年。
ISBN 978-4-04-886119-9。
『東宝特撮映画大全集』 ヴィレッジブックス、2012年。ISBN 9784864910132。
外部リンク
ゴジラVSビオランテ - 日本映画データベース
ゴジラVSビオランテ - allcinema
ゴジラVSビオランテ - KINENOTE
ゴジラVSビオランテ - 文化庁日本映画情報システム
ゴジラVSビオランテ - Movie Walker
ゴジラVSビオランテ - 映画.com
Godzilla vs. Biollante - オールムービー(英語)
Godzilla vs. Biollante - インターネット・ムービー・データベース(英語)
SF MOVIE DataBank:ゴジラVSビオランテ(個人サイト)
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