120mm迫撃砲 RT
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120mm迫撃砲 RT(フランス語: Mortier 120mm Rayé Tracté Modèle F1,MO-120-RT-61)は、フランス・トムソン-ブラーント社が開発した迫撃砲。口径120mmで、従来の軽榴弾砲に匹敵する射程を備えることで知られている。射程約10数Km。
目次
1 来歴と設計
2 採用国
2.1 フランス
2.2 アメリカ合衆国
2.3 日本
3 諸元・性能
4 登場作品
4.1 アニメ・漫画
4.2 小説
5 脚注
5.1 注釈
5.2 出典
6 関連項目
7 外部リンク
来歴と設計
開発は、トムソン-ブラーント社によって行なわれた。なお、同社はタレス・グループとEADSの合弁事業であったが、のちにTDA社と改名し、2005年以降はタレス・グループの100パーセント子会社となっている。
107mm迫撃砲と同様にライフル砲身であるが、107mm迫撃砲と異なり牽引用のタイヤを装備しており、移動・展開が容易である。このタイヤは、射撃の際に取り外す必要はない。牽引時は専用のフックを砲口に取り付けて使用するが、通常の砲より軽量であるため、必ずしも砲兵トラクターを使用する必要はなく、陸上自衛隊では高機動車を改造した重迫牽引車、アメリカ海兵隊ではグロウラーITVが使用されている。
砲身後部の撃針は可動式で、切換位置によって射撃方法を選択できる。撃針を突出させておけば墜発式(砲口から装填された砲弾がすぐに発射される)、逆に後退させておけば拉縄式(装填された砲弾は砲身後端にとどまり、砲手が任意のタイミングで撃発用のロープを引っ張り発射させる)となる。
採用国
ベルギー
ブラジル
ジブチ
コロンビア
キプロス
フランス
イスラエル
イタリア
日本
ヨルダン
オランダ
チュニジア
トルコ
アメリカ合衆国
フランス
本砲は、1980年代後半よりフランス陸軍において採用されている。フランス陸軍においては、VAB装甲車から派生したVTM-120(Véhicule Tracte Mortier de 120 mm)牽引車によって牽引されており、1個射撃班は、車両の乗員2名と砲員4名の合計6名より構成される。
平時は砲兵連隊に8門ずつ配置されて、榴弾砲やMLRSを補完しているが、戦時の際は本来の所属である歩兵連隊に配備されて運用される。
アメリカ合衆国
アメリカ海兵隊は、HIMARSやM777 155mm榴弾砲を補完する小型・軽量な間接照準火力として本砲に着目し、M327 EFSS(Expeditionary Fire Support System)として採用して、2009年3月より運用を開始した。
また、LAV-Mの後継となる自走迫撃砲としてLAV-EFSSも開発されている。これは、LAVシリーズの車体をベースに、自動装填装置を搭載して発射速度を向上させたXM326 ドラゴンファイア-II迫撃砲を搭載したものである。
グロウラーITVで牽引されるM327 EFSS
AAV7の車内スペースに積載されたM327 EFSS
日本
M2 107mm迫撃砲の後継として1992年(平成4年)度から採用しており、豊和工業がライセンス生産している。陸上自衛隊では、牽引車両として高機動車を改造した重迫牽引車を使用するほか、自走型として、96式自走120mm迫撃砲も開発・配備されている。現在も調達を続けており、24年度は3門調達予定である[注釈 1]。調達価格は約3,400万円である。
普通科の中では最大の火砲で、普通科連隊の重迫撃砲中隊に配備されているほか、その機動性から第1空挺団の空挺特科大隊が装備している。空輸の際は、重迫牽引車ごとCH-47Jにより吊り下げられて空輸される。また、水陸機動団の水陸機動連隊の各中隊・および水陸機動団特科大隊にも装備がされている[1][2]。
一般公募で付けられた愛称は「ヘヴィハンマー」だが、他の装備と同様に愛称は部隊内では使われず、隊員達からは「120モーター」「120迫(ひゃくにじゅっぱく)」などと呼ばれている。
第1空挺団の120mm迫撃砲RT。重迫牽引車で牽引されている。
CH-47Jで吊り下げ輸送される120mm迫撃砲 RT
第18普通科連隊の120mm迫撃砲 RT。発砲炎で煌輪が出来ている。
予算計上年度 | 調達数 | 予算計上年度 | 調達数 | 予算計上年度 | 調達数 |
---|---|---|---|---|---|
平成4年度(1992年) | 47門 | 平成14年度(2002年) | 11門 | 平成24年度(2012年) | 3門 |
平成5年度(1993年) | 55門 | 平成15年度(2003年) | 6門 | 平成25年度(2013年) | 2門 |
平成6年度(1994年) | 53門 | 平成16年度(2004年) | 6門 | 平成26年度(2014年) | 1門 |
平成7年度(1995年) | 52門 | 平成17年度(2005年) | 6門 | 平成27年度(2015年) | 2門 |
平成8年度(1996年) | 38門 | 平成18年度(2006年) | 4門 | 平成28年度(2016年) | 5門 |
平成9年度(1997年) | 42門 | 平成19年度(2007年) | 4門 | 平成29年度(2017年) | 6門 |
平成10年度(1998年) | 27門 | 平成20年度(2008年) | 4門 | | |
平成11年度(1999年) | 27門 | 平成21年度(2009年) | 4門 | ||
平成12年度(2000年) | 22門 | 平成22年度(2010年) | 4門 | ||
平成13年度(2001年) | 11門 | 平成23年度(2011年) | 1門 | 合計 | 443門 |
諸元・性能
諸元
種別: 迫撃砲
口径: 120 mm (4.7 in)
砲身長: 2,080mm
重量: 582kg
性能
俯仰角: 30-85度
旋回角: 左右14度
最大射程: 約8,100m(通常弾), 約13,000m(RAP弾:ロケット補助推進弾)
発射速度: 通常時6発/分、最大20発/分[4]
砲弾・装薬
弾薬: 120mm迫撃砲弾・装薬(NATO標準規格)
登場作品
アニメ・漫画
- 『ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』
異世界へ派遣された自衛隊の装備として登場。新生龍を倒すために使用される。
小説
- 『日本北朝鮮戦争 自衛隊武装蜂起』
- 車両に牽引され、総理大臣官邸前に展開する。作中では「一二〇ミリ榴弾砲」と表記されているが、これは誤りである。
脚注
注釈
^ 当初の計画での配備により充足完了していた部隊の砲は新編部隊(1連隊重迫中隊の再編及び新編部隊である50連隊-52連隊)への管理替えなどで現在のところ各部隊共に完全充足しておらず、現在は引き続き必要数の調達が主体の他、52連隊の重迫小隊が中隊編成(16門による完全編成へ準備中)への拡充や水陸機動団特科部隊への配備予定である事から引き続き調達は行われる予定
出典
^ 駐屯地機関紙「湯布院」第29号(pdf) - 陸上自衛隊湯布院駐屯地
^ “水陸機動団の装備”. 陸上自衛隊 水陸機動団. 2018年4月18日閲覧。
^ 防衛白書の検索
^ MO 120mm RTF1(フランス陸軍)
関連項目
- 陸上自衛隊の装備品一覧
M30 107mm迫撃砲 - アメリカ陸軍におけるM2 107mm迫撃砲の後継砲。
M120 120mm 迫撃砲 - アメリカ陸軍が現用する120mm迫撃砲。同口径で同規格の砲弾を使用できるが、滑腔砲である。
外部リンク
陸上自衛隊 - 120mm迫撃砲 RT
フランス陸軍公式サイト (フランス語)
イタリア陸軍公式サイト (イタリア語)
オランダ陸軍公式サイト (オランダ語)