電波型式の表記法








電波型式の表記法(でんぱかたしきのひょうきほう)とは、総務省令電波法施行規則(以下、「施行規則」と略す。)第4条の4に規定する、電波の変調方式(ラジオ放送で言えば振幅変調(AM)、周波数変調(FM)等の違い)や占有帯域幅を表す表記法である。
電波法令およびこれに基づく行為にはこの規定により表記される。




目次






  • 1 表記法


    • 1.1 表記例


    • 1.2 占有帯域幅の表記




  • 2 旧表記


  • 3 アマチュア無線に関して


    • 3.1 一括記載コード


    • 3.2 無線業務日誌、交信証の表記




  • 4 脚注





表記法


1979年(昭和54年)の世界無線通信主管庁会議(WARC79)で採択されたもので、日本では1983年(昭和58年)7月1日に施行された[1]。但し、アマチュア局については、2004年(平成16年)1月13日に施行された[2]。なお、無線局免許状の表記については、同規則附則にある経過措置により[3][4]、免許の有効期限内は書換えを必要としなかった。




































































































































電波型式の表記法
一字目
 
二字目
 
三字目
主搬送波の変調形式
主搬送波を変調する信号の性質
伝送情報


無変調 N 変調信号なし 0 無情報 N
振幅変調 両側波帯 A 副搬送波を使用しないデジタル信号の単一チャンネル 1
電信(聴覚受信)
A
単側波帯 全搬送波 H
低減搬送波 R
抑圧搬送波 J 電信(自動受信)・印刷電信(RTTY) B
独立側波帯 B 副搬送波を使用するデジタル信号の単一チャンネル 2
残留側波帯 C
角度変調 周波数変調 F ファクシミリ C
位相変調 G データ伝送、遠隔測定、遠隔指令 D
振幅変調および角度変調であって、同時に、または一定の順序で変調するもの D
アナログ信号の単一チャンネル
3
パルス変調 無変調 P デジタル信号の二以上のチャンネル 7
電話(音響の放送を含む)
E
振幅変調 K
幅変調または時間変調 L
位置変調または位相変調 M アナログ信号の二以上のチャンネル 8
テレビジョン(映像)
F
パルス期間中に角度変調 Q
上記の組合せ、または他の方法 V
上記に該当しないもので、振幅、角度またはパルスのうち二以上を組み合わせて、同時に、または一定の順序で変調するもの W 1以上のアナログ信号チャンネルと、一以上のデジタル信号チャンネルの複合方式 9 上記の組合せ W
その他 X その他 X その他 X


表記例



  • ラジオ放送


    • 中波放送(AM放送、モノラル)、短波放送 →A3E

    • 中波放送(AM放送、ステレオ)→D8E (AMステレオ放送)


    • 超短波放送(FM放送、モノラル)→F3E (NHK第1,第2の補完放送[5]及び補完放送制度前の混信対策放送[6]等)

    • 超短波放送(FM放送、ステレオ)→F8E



  • アナログテレビジョン放送

    • 映像部分→C3F

    • 音声部分(モノラル)→F3E

    • 音声部分(ステレオ・音声多重放送)→F8E




  • デジタルテレビジョン放送 →X7W


  • FAX→J3C,F3C


  • 標準電波(電波時計)→A1B


  • オービス(速度違反取締機)→N0N


  • アマチュア無線等

    • CW→A1A

    • AM→A3E

    • FM→F3E

    • SSB→J3E


    • RTTY(ラジオテレタイプ)→F1B




  • モールス通信→A1A,A2A,F2A



占有帯域幅の表記


無線局の免許申請にあたり、無線設備規則(以下、「設備規則」と略す。)別表第2号の各号が適用され、占有帯域幅の表記を要する場合は、無線局免許手続規則別表第2号「無線局事項書の様式」各号の注[7]による。
























占有周波数帯幅の範囲 記載方法
0.001Hz〜999Hz H001〜999H
1.00kHz〜999kHz 1K00〜999K
1.00MHz〜999MHz 1M00〜999M
1.00GHz〜999GHz 1G00〜999G
注1 電波の型式に冠して記載する。
注2 3数字と1文字で表す。
注3 最初の記号に0、K、M、Gを用いない。

無線局免許状の電波の型式にも記載される。



旧表記



  • 1950年(昭和25年)6月30日 設備規則制定の際に定められる[8]

  • 1961年(昭和36年)6月1日 設備規則から施行規則へ移行した[9][10]
























































































電波型式の表記法(旧表記)
一字目
 
二字目
 
三字目
主搬送波の変調
伝送の型式
補足的特性

振幅変調 A 情報を送るための変調の無いもの 0 両側波帯
変調用可聴周波数を使用しない電信 1 単側波帯 低減搬送波 A
一もしくは二以上の変調用可聴周波数の電鍵開閉操作、または変調波の電鍵開閉操作(特別の場合には、電鍵を操作しない変調波)による電信 2 全搬送波 H
周波数(位相)変調 F 抑圧搬送波 J
電話(音響の放送を含む) 3 二独立側波帯 B
ファクシミリ(主搬送波を直接に、または周波数変調した副搬送波で変調したもの) 4 残留側波帯 C
テレビジョン(映像のみ) 5 パルス 振幅変調 D
パルス変調 P 四周波ダイプレックス 6 幅、時間変調 E
音声周波多重通信 7 位相、位置変調 F
上記に該当しない伝送、または複合した伝送 9 符号変調 G


アマチュア無線に関して



一括記載コード


アマチュア局に対してのみ、複数の電波型式を一括して表示する一括記載コードが適用される。無線局免許状や無線局事項書(工事設計書を除く。)には指定周波数毎にコードに含まれる電波型式について一括して表記される。



無線業務日誌、交信証の表記


無線業務日誌(交信ログ)や交信証明書(QSLカード)は、私文書(無線業務日誌の備付けは義務付けられていない、総務省告示[11]第1項の表の2の項を参照)でありこの表記法によることを必要としない。一般的にAM、FM、SSB、CWなどの英字表記[12][13][14]を用いる。



脚注




  1. ^ 昭和58年郵政省令第9号による施行規則改正


  2. ^ 平成15年総務省令第107号による施行規則改正


  3. ^ 昭和58年郵政省令第9号附則第2項


  4. ^ 平成15年総務省令第107号附則第2項


  5. ^ 放送法15条の"あまねく"(均一な放送)がある為、中波放送と同じモノラルを選択したと思われる。(らじる★らじる(R1(第1)とR2(第2))においてもモノラルを選択したのも同様と思われる。)


  6. ^ ラジオ沖縄、琉球放送及び北日本放送


  7. ^ 昭和58年郵政省令第8号による無線局免許手続規則改正


  8. ^ 昭和25年電波監理委員会規則第5号制定時の第10条


  9. ^ 昭和36年郵政省令第12号による施行規則第4条の4追加


  10. ^ 昭和36年郵政省令第16号による設備規則第10条削除


  11. ^ 昭和35年郵政省告示第1017号 電波法施行規則第38条の2及び第38条の3の規定による時計、業務書類等の備付けを省略できる無線局及び省略できるものの範囲並びにその備付け場所の特例又は共用できる場合の平成4年郵政省告示第737号による改正による(総務省電波利用ホームページ 総務省電波関係法令集)。


  12. ^ ログブック記入例交信方法(7L4CWl)


  13. ^ アマチュア無線局業務日誌 書き方(見本) (PDF) 業務日誌(JP1JWF)


  14. ^ QSLカードの書き方 楽しもうアマチュア無線(日本アマチュア無線連盟)




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